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2012年08月01日

【野球】「落合博満の超野球学〈1〉」落合博満さん

P26
スランプから早く脱出する方法

スランプには、精神面によるものと技術的な問題がきっかけになったものがある。まず、精神的スランプの根本的な原因になるのは、体力の衰えによるパフォーマンス力の低下だろう。

(中略)

疲労はスポーツ選手にとって避けられないものだが、高い成績を残せる選手はできる限り疲れをためない方法を知っている。私が気を配っていたのは、よく食べること、よく眠ることである。極めて基本的なことなのだが、意外におろそかにされているものだ。

(中略)

また、睡眠についても、現役時代の私は1日10時間は眠っていた。長時間の睡眠をとるためには体力が必要だ。お年寄りが早起きなのは、長く眠る体力がないためである。つまり、よく眠れているかどうかはコンディションのバロメーターにもなる。

(中略)

そして、最後に考えておきたいのは、自分自身でスランプから抜け出す方法である。とくにレギュラーを任されている選手なら、多少状態が悪くても試合に出なければならない。ならば、投手と勝負しながら自分の状態を見極める術を身に付けたい。そのために必要な存在が、対戦相手の主力投手である。

プロであれば、先発ローテーションを守って投げてくるエース級の投手がベストだが、社会人や大学生でも大切な試合になればなるほど、先発してくる投手は限られるだろう。対戦した経験が多いほど、彼らの利用価値は高くなる。

主戦投手には安定感も制球力もあり、打者と同様に自分のスタイルを持っている。さらに、勝負の仕上げには決まってウイニングショットを投げ込んでくる。そういう投手を打ち崩していくためには、フォームやボールの軌道を一枚の景色として記憶しておくことが大切だ。そして、たとえば「山田久志さんのシンカーはこうやって打つ」というように、自分なりの対処法を備えて勝負しているはずだ。だから、自分が調子を崩している時には、そういう投手に対して打席に立ち、ボールの見え方、そのボールに対する自分の打ち方をチェックする。そこでふだんと違う点が見つかれば、その部分を次の打席で修正するのだ。こうして自分のイメージどおりのバッティングができれば、スランプの蟻地獄からは抜け出せる。

自分の状態がよくない時に、相手チームがエースを先発させてくると憂鬱になる選手は多いだろう。ところが、それがスランプ脱出への最大のチャンスになることを覚えていてほしい。

誤解を恐れずに言えば、「仕事は、お金を払ってでも、デキる人としなければいけない」。
主因は二つある。
一つは、ダメな人と仕事をすると、人的成長が見込めない(→時間と体力をお金と交換することにのみ帰結する可能性が高い)からだ。
もう一つは、ダメな思考&行動習性は、伝染(うつる)可能性が高いからだ。
とりわけ資本主義社会において、デキる人とダメな人の能力的、及び、経済的格差が時間と共に拡大するのは、社内外問わず、デキる人はデキる人との仕事に益々恵まれ、ダメな人はダメな人との仕事を益々強いられるからだ。

だから、落合博満さんが仰った以下の旨のスランプ脱出法は、尤もであり、強く共感する。
やはり、有望新人の輩出が絶えない将棋界で、依然「羽生世代」がダントツに強いのは、互いに強固な好敵手関係を構築しているのが、主因の最たるではないか。

「好打者(足らん打者)は、好投手と好敵手関係を構築すべきだ。
そして、独自のバッティング哲学を具現化したベストプラクティスを、好投手毎に創出すべきだ。
然るに、ベストプラクティスの更新が、ひいては、バッティング哲学の更新が容易になるのは勿論、ベストプラクティスとのかい離でスランプの原因特定も容易になる(→スランプの早期脱出も容易になる)」。



P66
イチロー打法をまねしてはいけない

王貞治さんの一本足打法、イチローの振り子打法、私でいえば神主打法と、実績を残した打者の中には、特徴あるフォームだった選手がいる。それを「あの人だからできた」とか「あの人は大天才だから」と評する人もいるが、私はまったく別の考え方だ。王さんはタイミングのとり方に苦しんだ末に右足を上げたわけだし、イチローは細い体でボールを強く叩くために右足を振った。私だって、どうしても右ヒジが体の後ろに入りすぎるという悪癖を矯正するために、両腕を体の前に出すようにしたのだ。天才ではないから、自分のフォームを徹底的に考えた。そして、ほかの誰よりも多くバットを振ることで、考え出したフォームを体に覚えさせてきたのだ。歴史に残る打法は天才芸術家の名作ではなく、すべて苦闘の産物なのである。

「必要は発明の母」だ。
不意に自分の思考ないし現状が否定され、このままだと座して死ぬ可能性が有るからして、発明は有り得るのだ。
さもなくば有り得ないし、もし有り得ても、その実力と成果は知れている。
王貞治さんの一本足打法、イチローさんの振り子打法、落合さんの神主打法は、いずれも引退を賭した苦闘の産物に違いない。


P112
理想的なスイングを追い求めよう

以上が、バッティングにおける理想的な体の使い方である。上半身と下半身には反対の動きをさせ、ボールはグリップでつかまえるという意識はとくに大切だ。しかし、私はこの動きを常にできていたかと問われれば、「練習の時は、ほぼできていた。しかし、ゲームの時はできなかったことの方が多い」と答える。実戦は結果がすべてである。打たせまいとして投げてくる相手投手のボールをヒットやホームランにするためには、理想的なスイングうんぬんなどとはいっていられない。間合いや緩急などで、フォームを崩されることもあるからだ。

練習を重ねていい形を作る。それを試合で崩される。そして、またいい形に作り直す。バッティングとは、この流れの繰り返しであり、その中では基本をしっかりと体にしみ込ませておくことが絶対条件である。決して理想的な形にならなくても、ひたすら理想を追い求め、ゲームではどんな形であれ結果を残す。いい打者になるためには、このことを忘れないでほしい。

ビジネスマンにとって、「理想」と「現実」は終生の課題だ。
いかに思考、練習(自己鍛錬)し、「理想」を高め、「理想」に近接しても、「現実」の成果は約束されない。
また、「現実」さえ良ければと、思考、練習を怠り、「理想」の向上、近接を等閑にすれば、成果が持続的に創出され難くなることに加え、「現実」に自らを置くモチベーションが絶えかねない。
デキるビジネスマンとは、「理想」と「現実」に不断の折り合いがつけられる人のことだ。



落合博満の超野球学〈1〉バッティングの理屈
落合 博満
ベースボールマガジン社
2003-05T




kimio_memo at 07:42│Comments(0) 書籍 

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