コンサルティングとファイナンス

コンサルの仕事や書籍から得たコンセプトのメモ

2013年01月

クライアントの数字を忘れない方法


プロジェクトが進むにつれて視野が狭まってくると、基本的なクライアントの数値を忘れることがある。
(さすがに売上高といったレベルは忘れないが、利益率や設備投資額といった数値はパッと出てこないことがよくある)

こうした数字がディスカッションの場面でも引き出せると、非常にプロらしく見えるものだ。


そのため、今回は数字を忘れない方法を述べたいと思う。


とは言っても大したことではない。「頭の中で簡易的なシミュレーションを行う」ことだ。
シミュレーションにより、頭の中で有機的につないでおくと忘れない。

そしてシミュレーションを行う指標として、オススメはFCF(フリー・キャッシュ・フロー)÷有利子負債倍率である。


理由としては、FCFがB/SとP/Lの重要な数字を含んだ数字であること、この倍率は金融機関の融資基準にも密接に絡んでいる指標であることによる。
(私が再生コンサルに属していることも影響しているが、一般論として役立つはずだ)


まず前提を確認しておこう。

FCF=営業CF-投資CFである。
営業CFは、営業利益+減価償却費+運転資本増減であり、投資CFは必要となる設備投資額だ。


FCFを有利子負債との関係を取れば、有利子負債÷FCF=××年となる。
一般論として10倍~15倍程度が健全な水準である。


では、仮に有利子負債50億であるとし、シミュレーションを行ってみよう。
この場合、10年で償還とするとFCFは5億円必要となる。

ここで必然的に、営業利益と設備投資、減価償却費は頭に入っていないといけない。

仮に、営業利益は▲2億円、減価償却費は4億円、設備投資は毎期3億円必要であるとし、運転資本の増減は加味しないとする。

FCF達成に必要となる営業利益額は、

営業利益(X)=FCF5億円-減価償却費4億円+設備投資額3億円
X=4億円となる。

したがって、営業利益を6億円(▲2億円→4億円)改善することが必要となる。

その場合、人件費含む固定費削減施策で4億円、増収施策で(売上10億円*限界利益率20%)で2億円施策で積み上げる・・・
―――

というようなことを「そら」で行うのだ。

こうして有機的に数字がつなげておくと忘れない。忘れてもどこかの数字が頭にあれば逆算できる。

(そもそもコンサルティングの過程においては、「あとどれだけ施策を積みあげる必要があるか?」といったことを常に頭に入れておくのが重要である)


このシミュレーションは、非常に有効な方法と感じたので共有させていただいた。

意思決定の条件

ドラッカー名著集1 経営者の条件
ドラッカー名著集1 経営者の条件

久しぶりに読み返した。
大変な名著であると感じた。

本書を読んで決めたアクションは以下の通り。

・意思決定にあたっては満たすべき必要条件を列挙する。
必要条件を明確化することで、条件の間に矛盾が無いか、リスクとして許容できるか、撤退すべき時はいつか、を知ることが出来る。

・方針の決定にあたっては必ず反対のポジションを取る。前提に見落としがないか探るとともに、代替案を得る。


Valueを発揮する

いかなる場面においてValueを発揮する。

高いフィーを頂いている以上、果たさなければならないことだ。しかし、これが非常に難しい。

以下、好ましくない状況で問うべきことを記載する。

「クライアントファーストの姿勢を貫いているか?自分の身の安全に気が向いてないか?」

「目的を忘れていないか?些末なことに目が向いていないか?」

「どうすればよいかわからない状況下でも、頭をフル回転させているか?答えを探し求めたか?逃げていないか?」

「Valueを発揮するに十分な準備をしたか?成行まかせにしていないか?」


自戒の意を込めて。

経済合理性を貫けるか

結果を出すリーダーはみな非情である
結果を出すリーダーはみな非情である

非常に尊敬する経営者である冨山氏の書籍。

もっとも響いたフレーズは以下の一文。

「論理で片がつかない問題かどうかは、論理的に考えつくさないとわからない」

氏によれば、論理的に考えれば解ける問題は非常に多く、サンデル教授のような哲学的・倫理的な問題にまで発展することは稀であること。

私自身、複数の案件に関与し、その通りだと感じる。

論理的に見れば経済合理性がないにも関わらず、感情的・直感的に決められている事象があまりに多いのだ。

ベンチャー企業の成功事例でもそうだが、「計画的ではなく直感的な判断」がハイライトされることで、論理的に突き詰める行動が過少評価されているように思う。
しかし、それは思考の放棄にほかならない。

情緒な判断では曖昧さが許容される。それで済むなら絶対にそちらの方が楽だ。


論理的に考え、経済合理性を突き詰めること、これは決して止めてはいけないと思う。

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Outputを具体化する手法

やるべきことがぼんやりとしかつかめず、悶々と時間を過ごしてしまうことがよくある。

そんな時に自分がやる方法は、具体的なMtgの場面を設定して、「自分がプレゼンしているシーン」や「説明をしているシーン」を想像してみる。

特に考えが整理されていない状況であっても「重要なポイントは3つあって…」「今日お伝えしたいことは4つありまして…」と、とりあえず(声に出さずに)言ってみる。

すると、客先等をイメージしていることもあり、なにかしら内容は出てくるものだ。

しかし、こうしてパッと出た内容ではあっても、不思議と勘所をつかんでいるが多いのだ。

そして、この重要なポイントから逆算して具体的なタスク設計を行う。

こういったアクションをクライアント・社内Mtgの相当前段階でできれば、かなり良い準備ができる。

極めて抽象的な物事を扱う職業では、とかくOutputイメージの具体化が求められる。
言うまでもなく具体的なOutputイメージの有る無しでは生産性が全く変わってくるだろう。


試してみて頂きたい。
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