我々コンサルタントにとって「空・雨・傘」の枠組みは大変に重要視されている。
(「空・雨・傘」という用語を使うかどうかは別として)
■「空・雨・傘」とは
空とは「事実」を指し、
雨とは「解釈」を指し。
傘とは「行動」を指す
「空を見たら曇っている(事実)、雨が降りそうだから(解釈)、傘を持っていこう(行動)」といった意味合いである。
■「空・雨・傘」の重要性について
なぜこの枠組みは重要なのだろうか?
結論から言えば、「説得力のあるメッセージを発信するには「空・雨・傘」がいずれも担保されていることが不可欠であること」による。
具体例で説明しよう。
①よくある誤り(事実しかない)
一般によくあるのが、例えば人口統計を見て「日本は人口が減ることは間違いない」という分析結果を得ただけで終わるケース。
聞いた方は、「だから何(So what)?」となる。「私に何の関係があるの?」と。空・雨・傘のうち、空(事実)しか無いからだ。
もう一歩進めば、「人口が減少することによって、日本のGDPも減少するだろう」となる。空(事実)から得た雨(解釈)である。
しかし、これでもなお「だから何(So what)?」となる。「まだ私に何の関係があるかわからない」と。
さらに進めば、「海外市場への投資を推進すべき」となる。雨(解釈)から判断した傘(行動)である。
これでやっと「なるほど。人口が減っていることにより日本のGDPは減る。したがって、海外市場への投資を進めた方が良いということか」と受け止めてもらえるようになる。
②よくある誤り(仮説しかない)
逆にコンサルタントでよく犯す誤りが、「GDPは減少するから、海外市場への投資を推進すべきだ」という仮説のまま進めようとするケース。つまり、雨と傘はあるが、空(事実)の裏付けがない。
「なぜGDPは減少するの(Why so?)」となる。
「仮説を決めつけて、事実の裏付けの無いまま施策を推進しようとするケース」は驚くほど多い。
空(事実)の収集は楽ではないからだ。
以上。
総合すると以下のようなイメージになる。
「空・雨・傘がそろって、初めて説得力のあるメッセージ」となる。
■具体的な利用方法
この枠組みを用いて、僕は同僚や先輩らと話をしている時に「それって誰が言ってました?」「何かデータ見ました?」(空の確認)とか、「このメッセージって何でしたっけ?」(雨・傘の確認)を確認するようにしている。
傾向として、若い年次のコンサルタントは「メッセージが無い誤り」を犯すことが多いのに対して、高い年次のコンサルタントでは「事実の裏付けのない誤り」を犯すことが多い。
したがって、この枠組みから確認することの重要性は極めて高い。
以上、「空・雨・傘」のいずれも抜け漏れ無く、価値のあるメッセージを発信するようにして頂きたい。
2013年08月
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