「ロジック」の大原則は「事実に基づいていること」だ。
こんなことは誰でも知っているだろう。

しかし、この原則は意外に守られていない。

例えば、誰かから説明を聞いていても、どうも納得が出来なかったことは無いだろうか?


先日チームメンバーからある事業部の将来予測に関する説明を受けていた時のことだ。

話を単純化すると、以下のようなイメージである。

「14年度の将来予測において、X事業部PLの粗利率が下がっている」

Q:なぜか?
A:事業部売上の製品ミックスが変わったから。

Q:なぜ製品ミックスが変わるのか?
A:製品群ごとの売上成長率の予測が異なるから。

Q:成長率の予測が異なるとなぜ利益率が下がるのか?
A:他の製品群と比べて利益率の低いA製品群があり、このA製品群の割合が増加するから。

つまり「粗利率が下がっているのは、利益率の低いA製品群の割合が増加するからか」と。


いかがだろうか?

確かにこれでも説明をしているように見えなくもない。


しかし、この説明には致命的な欠落がある。

それは、全て「どう仮定したか」という話をしているに過ぎず、事実は何ひとつ出てきていない点だ。

「仮定の上に築かれた仮定」にて、説明をしているから納得が得られないのだ。


本来は、以下のような事実が説明に含まれているべきである。

•「顧客からのフォーキャスト(生産計画)」が提示されており、これに基づくと製品群Aの売上構成比があがると予測される

•「過去の実績」から、製品群Aの利益率は他の製品群と比べて低い

これなら「顧客からのフォーキャスト」や「過去の粗利率実績」という事実がドライバーとなり、粗利率の変化が生じていることが分かる。

これこそロジックの大原則が守られた説明といえる。


ロジックに強い人は「仮定の上に築かれた仮定」の話で終わらせること無く、事実までトレースする。

本来、具体的な因果関係のイメージを描きながら説明を聞いていれば、事実がドライバーとなっていないにも関わらず、納得することなどあり得ないはずだ。

「ロジックは事実に基づいているか?」という大原則を忘れないようにしたい。