原価計算をするにあたって、必ず悩みとして付きまとうのが「間接費の配賦」である。
私自身、メーカーの会計監査において、この論点が出なかったことは無いくらいだ。

きちんと配賦基準を設定して、適切に製品に按分しているか否か?
チクチクと細かくチェックした。

在庫評価損の計算にだって関わってくるし、大変重要な論点だと信じて疑わなかった。

しかしである。

今回プロジェクトで検証してわかったこと。
「配賦」という行為事態が経営管理に役立つことはほとんど無い。

これはあくまで財務会計の要請であり、製造間接費配賦後の製品原価をベースとして「高いor低い」と判断するよりも、間接費は間接費として別個に科目別に管理した方がよほどわかりやすい(下手に分けるな、と)。

また、現場の管理指標としてみたいなら、配賦後金額ではなく、配賦基準(コストドライバー)たる作業時間等で直接管理した方がよほど直感的だ。

わざわざ科目別に色々な配賦基準(作業時間、稼働時間、面積等)なんかを作って、一生懸命配賦計算しても、かえって実態がみえづらくなるだけだ。

しかも、生産量に応じていくらでも単品当たり原価なんて変わってしまう。

そう、あんなに一生懸命にやってきた配賦計算であるが、経営管理に資することはほぼ無いのである。