計画策定において将来予測はほぼ確実に行われる。
では、そもそも将来事象を予測する意義は何だろうか?
将来のパターンとしては大きく二つある。
1.ほぼ確実に到来する未来
2.不確実性の高い未来
将来予測の第一歩は、この「ほぼ確実に到来する未来」と「不確実性の高い未来」を適切に仕分けすることである。
1.について
ほぼ確実に到来する未来に対して、ヒト・モノ・カネの点から完璧に備えることが可能である。
ほぼ確実な未来とは、例えば、内示済の受注や、原材料の値上がり等が該当する。
これらについては、適時適切に対応を行うことが必要である。
しかし、内示済みの受注があるにも関わらず発注の手配が遅れたり、顧客が海外に生産拠点を移管することが見えているにも関わらず現実に発生するまで何ら対策が打たれない等の事例は頻繁に見られる。
これは事前に準備することが出来るはずである。
この到来することがほぼ確実な未来に対して適時適切な対応を準備しておくことが、将来予測の第一の目的である。
2.について
次に、不確実性の高い未来については完璧な準備をすることは不可能である。
したがって、この不確実性の高い未来に対しては、将来のシナリオを作成することが必要となる。なぜシナリオを作成するかと言えば、この作業自体が「事業に及ぼす重要な変動要因(ドライバー)の認識」を強制するためだ。
シナリオを作るのは、将来を当てるためではなく、外部環境に対する感度を上げるために行うのだ。
もし、シナリオを準備しておかなかった場合、そもそも当社にとっていかなる変化が脅威であり、いかなる変化が機会となるかの仮説が無いため、環境の変化への対応が遅れる(=成行き任せとなる)可能性が高い。
一方、シナリオを用意しておけば、これが事業環境の変化に対するレンズとなり、環境変化に対する感度が向上し、かつ変化に対する解釈が可能となる。
この外部環境の変化への感度を上げることが、将来予測の第二の目的である。
以上をまとめると図の通りとなる。
まず、確実に到来する未来に完璧に備え、次に不確実な未来に対しては変化への感度を上げておく、これが将来予測の意義と言える。