女難の相を持って生まれたシュッとしたおっさんが半生を語る

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    コメント

    fd

    1:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:36:24.15ID:Z2fvbUs3.net
    立ったら書き貯め張ってく。
    スレチならどこかに誘導してくれると助かる。

    聞いてくれるか?



    3:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:37:56.68ID:aXyI5cGn.net
    面白いのなら聞く


    2:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:36:57.98ID:yyZQhEhU.net
    聞くぞ
    これから仕事だが



    5:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:38:36.48ID:Z2fvbUs3.net
    お、立った。お仕事お疲れ様です。

    一家のスペック

    俺:現在37歳 既婚 シュっとしてる 長男で末っ子
    父:とある大手自動車メーカーで中卒から工場勤務
    母:専業主婦 親父ラヴ ど天然 ずっとしゃべってる
    長女(千賀子):仮名 7つ歳上 めっちゃ細くて美人だが神経質
    次女(綾子):仮名 6つ歳上 おっとりしていてグラマー 天然でかわいい系

    その他登場人物は都度書き込みます。


    思い立って人生を振り返ろうと思ってのスレ立てだが
    2ちゃん10年ぶりくらいだからなんか失礼してたらすまん
    昔の話はおぼろげな記憶だから多少美化されてるかもわからんが
    基本的には事実に沿って話を進めたい。

    暇な奴は読んでってくれ。
    レスは出来たらするスタンスで。
    おっさんグラスハートだからあんまり荒らさないでな。
    仲良くやってください。




    6:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:39:25.94ID:Z2fvbUs3.net
    俺の最初の記憶は、一番最初に住んでいた山の中の一軒家にいた頃だ。
    大体3歳くらいか。いわゆる待機児童ってやつで、幼稚園に入れなかったので
    1年間ずっとテレビを見続けていた。庭にはギリギリ犬か?ってレベルの
    それはもう情けない駄犬がいて、家族で飯を食いに行くと遠くから
    情けない声で遠吠えしていたのを覚えている。

    その頃姉二人はもう小学生で、すごく俺のことを可愛がってくれていた。
    いや、可愛がりすぎていたのだ。自分のお古のワンピースを着せて
    おかんの化粧道具で女の子にされたり、俺を取り合い両方から
    手を引っ張り両肩が抜けたり、3人で風呂に入っては体中泡洗いして
    微妙な気持ちにさせてくれたり。

    それはもうやりたい放題だった。でもこの頃はまだ優しい姉っていう
    イメージのほうが大きかったな。今思うとこの時点で女難の相があった。

    1年後、おかんもパートに出始めて俺は幼稚園に入った。
    俺にとっては初めての社会生活ってやつだった。
    こんなところで俺は心底女が怖いと知るとはこのときは
    思いもしていなかった。
    幼稚園は、それなりに楽しかったが実は記憶があまりない。
    その事件が衝撃的すぎて記憶容量がオーバーしてしまったのかもしれない。



    9:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:41:36.77ID:Z2fvbUs3.net
    事件とは、2つある。

    一つはどこの幼稚園でもあると思うけど、お昼寝の時間に起きた。
    俺は今でもそうだが寝つきが悪く、明るい場所ではあまり寝られない。
    しかし騒いでいると怒られるので一応目を瞑りいつも寝たふりをしていた。
    園児たちが静かになると、先生はいつも一旦教室から出ていく。
    そうすると俺は寝たふりをやめ、空を見たり空想しながら過ごしていた。
    ただ目の固い子供はどこにでもいるようで、同じクラスにもう一人
    いつも寝付けない女の子がいた。
    もちろんおしゃべりは禁止なので声を出さずにじゃんけんをしたり
    なんとなく見つめあったり、ヘンな形の雲とかがあると、
    指を指して笑いあったりした。まわりが起きたことはないと思う。
    ひょっとしたらあったのかも知れないけど、少なくとも記憶にはない。



    11:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:43:10.34ID:Z2fvbUs3.net
    ある日、その子(仮にゆうちゃんとしよう)が俺を無言で手招きした。
    教室には昼寝用のお布団が閉まってある押入れのような物があって
    布団を出してしまうとそこは子供にはそこそこの大きさの空間になる。
    押入れと言っても軽くカーテンがかかっているくらいで真っ暗ではない。
    ゆうちゃんは、そこに入れと俺を促していたのだ。
    当時は恋愛感情とか性欲とか倫理観とかまるでないから
    なんかいい暇つぶしを見つけたのかなーってくらいで俺は何も考えずに
    面白い遊びでも見つけたのかとでも思って
    みんなを起こさないようにそーっと押入れに入った。
    目線は黄色のカーテンで遮られているが、音は立てられない。
    俺が入ると、ゆうちゃんもすぐ入ってきた。
    最初彼女は黙って俺の両手を握り、しばらく俺の目を覗き込んでいた。
    なんだか彼女の顔は上気して赤く染まっているように見えた。

    数分、そうしていたと思う。
    彼女はくりくりとした、大きな目をしていた。



    12:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:44:24.59ID:Z2fvbUs3.net
    しかし彼女は急に何かを決意したような顔をして、俺の手を放した。
    そして後ろを向き、おもむろに着ていたワンピースを脱ぎ始めた。
    俺は固まった。意味が分からない。最初は暑いのだろうか?なんて
    ピントのずれた考えしか浮かばなかった。



    13:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:44:59.31ID:Z2fvbUs3.net
    彼女は裸で振り向き、手振りで俺にも脱げと言ってきた。
    いままで見たことのない、オンナの顔をしていたと今は思う。
    恥ずかしいとも違う、とにかく当時の俺が知らない目だった。

    パニックになっていた俺は、彼女に命令されるがまま脱いだ。
    お互いパンツ一丁の状態だ。とても悪いことをしているような
    それでもなんだかドキドキするような、不思議な感覚を覚えている。
    顔なんて真っ赤で身体は興奮で震えていた。しかし勃起はまだ無い。
    彼女はそんな状態の俺に突然抱き着いてきた。
    裸の俺の、まだ筋肉もついていない肋骨が浮かんだ胸に
    彼女は顔を埋め、しばらく二人で抱き合っていた。
    どうしたらいいかわからない俺は、お姉ちゃんがいつもしてくれるように
    ゆうちゃんの頭を撫でているのが精いっぱいだった。



    14:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:45:49.94ID:Z2fvbUs3.net
    続けてもいいか?


    15:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:46:14.81ID:5GTt6STY.net
    ふぅ


    16:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:46:50.38ID:Z2fvbUs3.net
    >>15
    はえぇな続けるぞもう一発いけるか?



    17:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:47:18.79ID:Z2fvbUs3.net
    そのうち彼女は行動を起こし始める。
    始めはさわさわと全身を触り始め、胸元にある口はちゅっちゅと音を
    立て始め、場所によっては舌を出して舐めてきた。
    もちろん俺の頭の中はこうだ。

    「?????????!!!!!!!???????」

    あたりまえだ。性の芽生えどころか初恋もまだなんだ。
    そもそも色恋ってのが理解できていない。
    完全に理解の範疇を超えていた。
    そのうち彼女は俺の首元に、大きな音を立ててちゅーーーーーーっと。
    キスマークをつけた。それがまずかったのだろうか、
    折悪く見回りに来ていた先生に気づかれてしまった。

    「あんたたちなにやってんの!!!!!!」

    カーテンは無情にもバっと大きく開かれた。
    この時ものすごく眩しかった事を強烈に覚えている。
    ただ怒られた記憶とかはない。消去してしまったのだろうか。



    18:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:48:26.05ID:Z2fvbUs3.net
    このあとで覚えているのは一つだけ。帰り際に彼女は俺の耳元で


    「男の子なんだから今度は俺君からちゃんとお口にちゅうしてね」


    とぼそっと言ってあの見たことのないような目をしてニコッと笑った。



    21:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:53:32.42ID:JEW/njTa.net
    >>18
    こわっ



    23:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:55:17.11ID:Z2fvbUs3.net
    >>21
    なんせ女難の相だからな



    19:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:49:06.84ID:Z2fvbUs3.net
    もう一つの事件はそんなに時を待たずして起きた。
    どこからそんな話になったのかはわからないが、数人の園児と
    (ゆうちゃんもその中にいた)
    当時50代くらいのおばちゃん園長先生が校庭でファーストキスの話を
    しはじめた。いつか大好きな人が出来たら~みたいな流れだったと思う。
    話の途中でゆうちゃんがこっちをチラチラ見てくる。またあの目だ。
    俺は不思議な気持ちになり、あまり目を合わせないようにして俯いていた。

    まだ恋とかよくわからなかったが、初恋だったのかもしれない。
    それとも、未知のモノに対する漠然とした恐怖か。
    あるいはその両方の混ざった複雑な思いなのかは今でもわからない。



    20:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:50:58.20ID:Z2fvbUs3.net
    園長先生はそんな俺に突然牙を剥いた。


    22:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:54:02.60ID:Z2fvbUs3.net
    このあたりの細かい描写は自分のなかでも細かいスライドのような
    記憶なので省くが、園長がこう言ったのだけはハッキリと覚えている。

    「恥ずかしがりの俺くんのファーストキッスは先生がもらっちゃお♪」



    24:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:55:45.79ID:Z2fvbUs3.net
    真っ赤な口紅、パーマネントでくるくるの脂ぎった髪の毛。
    誇張ではなく塩沢ときのような紫のグラデーションの眼鏡。
    金色のでかいイヤリング。
    絵にかいたようなババアの顔が近づいてくる恐怖に俺はやっぱり
    動けずに固まってしまった。ババアは笑っていた。

    そしてキスの約束をしていたゆうちゃんの目の前で
    俺のファーストキッスは悲しくも強引に奪われた。

    なんだか口紅が油っぽくてべとべとしてすごく不快だった。
    そして同時にひどく大切なものを失ったような気がした。
    あまりに気持ちが悪くて、俺はスモッグで唇をごしごしと拭いた。
    拭っても拭っても不快な気持ちは晴れなかった。
    あまりのことに涙さえ出なかった。



    25:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:56:40.11ID:5GTt6STY.net
    トラウマ過ぎわろえないwww


    27:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:57:52.21ID:Z2fvbUs3.net
    >>25
    この歳でハッキリ覚えているくらいだからな。
    今でも塩沢ときは嫌いだ。彼女は悪くないが。


    https://www.youtube.com/watch?v=5RVrCYpD_pI



    26:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:56:45.45ID:Z2fvbUs3.net
    視線に気づいてふっと目を上げるとそこには憤怒の表情を浮かべた
    ゆうちゃんの顔があった。

    言いつけを守らなかった時の、母親やお姉ちゃんの怒った顔とは違った。
    まるで般若みたいな、とでも言えば表現できるだろうか。
    とにかくそれも俺が初めて見る女の一面だった。
    俺がドキドキして夢にまで見たゆうちゃんはそこにはいなかった。

    今思えば、あれは嫉妬、というやつなのだろう。
    そのあとゆうちゃんは俺に話しかけてくれる事もなく
    目も合わせてくれずに、年長組に入る前に引っ越してしまった。
    当時の俺には全く理解ができなかった。
    なんとなく約束を破ってしまったのはわかったけど、
    俺は悪くないのに。とずっとやりきれない気持ちを抱えたまま
    子供には手の届かない場所に彼女は行ってしまった。



    28:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 16:59:13.61ID:JEW/njTa.net
    俺そんなことされたら生きていけないわ……(´・ω・`)


    29:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:00:25.20ID:Z2fvbUs3.net
    >>28
    まじでな…今だったら大変なことになりそう。
    当時の俺は親にも言えなかったが。



    30:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:00:30.35ID:EZ+9JPkK.net
    クソばばあwww
    ありえんだろwww



    33:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:06:53.45ID:Z2fvbUs3.net
    >>30
    ほんとうにクソなババアだ
    本人にとっては冗談かもしれんかったが



    31:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:01:32.62ID:Z2fvbUs3.net
    とりあえず書き溜めた幼稚園編はこんなもん。
    ちなみにこんなもんじゃない女難の相がぐいぐい出てくるが
    この先も聞きたいか?



    32:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:03:27.74ID:JEW/njTa.net
    >>31
    そんなレスは求めてねえんだよなあ。続きお願いします!



    42:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:28:06.09ID:Z2fvbUs3.net
    俺が小学校に上がるとき、お姉ちゃん二人は中学生になった。
    二人は年子だったが、俺だけ歳が離れている。

    当時の流行だが、ちょうどなめ猫が流行ったりしていた時期。
    姉も御多分にもれず、順調に思春期に入りそしてグレた。
    特に家庭に問題があったわけではない。



    親父はちゃんと働いてくれたし、母親はパートをしながら
    家事をしてくれた。関係ないがウチのおかんの飯はスーパーうまい。
    しかし二人とも忙しかったのでほとんど鍵っ子状態だった。
    夕飯の時間には帰って来てくれたけど、それまでひたすらテレビを見たり
    当時流行ったドラクエをやったりしていた。まだ赤白黄色のケーブルが無く
    直接アンテナ線をに繋いでファミコンをしていた。
    まるで待機児童に戻ったような感じがした寂しかったが元が暗い俺は空想の中で
    十分遊べるからそんなに気にはしなかった。
    友達もそこそこいたが殆どインドアだった。多少苛められた事もあったが、
    死ぬとか考える手前のかわいいやつだ。



    46:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:35:35.91ID:Z2fvbUs3.net
    姉二人は競うようにしてコーラ空き缶(当時は細い缶)の前髪を高く上げ、
    スカートを長くし、セーラー服の上はへそが見えるくらいの短さで
    鞄はぺちゃんこ。中身には薄い鉄板を忍ばせていた。もちろんなめ猫ステッカーな。
    何故か鎖を持って出かける時もあった。もちろん化粧はスケバン仕様な

    思春期の女子っていうのは、あれだろ?かわいい顔した魔物みたいなもんだ。
    あんなに優しくて、俺のことを可愛がってくれたお姉ちゃんは豹変した。

    どこで覚えたのか乱暴な言葉遣い、干してある下着は可愛いパンツから
    どぎつい色の下着に変わり、当時は携帯とかないから、知らないDQN臭い男から
    頻繁に電話がかかってくる事もあった。

    今の若い子には想像もつかないだろうけど、当時は全部家電だからね。
    子機なんてものもないから、直接メインの回線に出るしかない。
    2個以上電話機があるなんてお金持ちの家だけだった。

    両親が忙しいので必然的に半奴隷状態になった俺がよく電話を取ってた。
    お姉ちゃんの部屋(姉二人で一室、俺は別に一部屋)に呼びに行くと
    感謝の言葉も無にいきなり蹴られたりしたこともある。



    49:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:41:29.45ID:LHZVDNWu.net
    世代を感じるなあ


    51:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:42:05.62ID:JEW/njTa.net
    うちは電話当番てあったなぁ


    52:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:51:36.71ID:Z2fvbUs3.net
    ある日、お姉ちゃんの友達数人がうちに溜まっていたことがあった。
    もちろんみんなスケバンだ。アサミヤサキみたいのが長女千賀子の他に3人。
    俺は隣室の自分の部屋で漫画とか読んでいたが、けっこうな勢いでうるさかった。



    すると俺の部屋のドアをお姉ちゃんが蹴破るようにして開けた。
    そのままつかつか俺の部屋に入ってきた。

    当時俺の部屋には普段のおこずかいとかお年玉の残りとかを入れておく
    小さな小さな貯金箱があった。俺の全財産だ。

    千賀子姉はなぜそれを知っていたのか分からないが
    ノーモーションで掴み取り、部屋を出ていこうとした。

    俺は当時姉ちゃんが怖かったが、さすがに全財産なので呼び止めた。

    「なにすんだよ、俺のおこずかいだよお姉ちゃん」
    「知るかみんなでお菓子食べるんだよ」


    そう言って蹴られた。俺ちなみに小学2年か3年くらい。
    俺はドアを閉め、さめざめと泣いた。



    53:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 17:56:14.32ID:Z2fvbUs3.net
    便宜上、

    アサコ→中心人物 ワンレン パッと見おっぱいがすごかった
    ミヤコ→金髪で眉毛なし
    サキコ→ほかの人よりちょっと大人しめに見えた

    とでもしておくか。名前は正直知らない。でもすごく綺麗なお姉さんたちに
    見えた。中身は同じ魔物だったんだろうが。
    今から思えば精一杯背伸びをした、ただのマセガキに見えるかもしれない。



    55:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:06:24.06ID:Z2fvbUs3.net
    親はその日、家にいなかった。時間帯は学校の終わったあとそのまま
    制服でうちに来たんだろうって感じだったと思う。

    ともかく、いったんお姉ちゃんはサキコと商店(コンビニなんてない)へ出かけて行った。
    次女は遊びほうけているんだろう。まだ帰って来ていない。
    あるいは先輩が集まるので遠慮していたのかもしれない。
    当時の中学校では、先輩は絶対だったから。
    隣の部屋にはよりによってアサコとミヤコのみ。俺は声を殺して泣き続けていた。

    こんなひどいことってあるものか。俺が一体何をしたんだって。
    おこずかいを貯めて、ゲームボーイが買いたかったのに。

    いつの間にか声を上げて泣いたのを覚えている。
    ドアを背にして、ベッドで覆いかぶさるように。
    まさに枕を濡らして泣きに泣いた。

    すると、後ろでスーッとドアが開いたのが分かった。



    56:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:08:16.23ID:tNxCBOL5.net
    エッチな展開くる?


    58:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:12:56.98ID:Z2fvbUs3.net
    >>56
    くるで



    57:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:09:59.63ID:EdfjVuwD.net
    おねしょたやんけ


    59:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:14:13.52ID:aQPY+27p.net
    パンツ脱いでおくわ


    62:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:17:50.32ID:Z2fvbUs3.net
    >>59
    風邪ひくなよ



    60:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:15:13.34ID:tNxCBOL5.net
    ゆっくりでいいぞ


    62:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:17:50.32ID:Z2fvbUs3.net
    >>60
    ありがとな



    61:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:16:52.58ID:Z2fvbUs3.net
    「どうしたの?」

    アサコだった。後ろに金髪のミヤコを従えている。

    「なんでもないです。」

    背の伸びきっていない小学生に対し、中学生のスケバン二人は怖すぎる。
    俺はそう言うのがやっとだった。

    母やお姉ちゃん以外の女の人に泣いてる所を見られた気恥ずかしさや、
    本当にちっぽけな男なりの見栄みたいなものもまじっていたと思う。

    でも泣いてる事くらい誰でも分かったと思う。

    「泣いてるじゃない」とアサコ
    「わっ弟くん?大丈夫?」とミヤコ

    もう一度大丈夫と言おうとする前にベッドの脇にスケバン二人。
    下から見上げる格好だったので白いおへそがチラチラ見えた。



    63:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:27:11.53ID:NoQbWwUI.net
    ふむふむ
    続け給え



    65:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:27:46.85ID:Z2fvbUs3.net
    俺が何も言えず固まっていると、
    彼女たちは状況を察したのか頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
    あんな風になる前のお姉ちゃんみたいに優しく。

    俺は堪え切れなくなって、枕に突っ伏して泣いてしまった。
    ちっぽけな見栄は殆ど役には立たなかった。
    彼女たちは落ち着くまで黙って俺を見ていてくれた。

    ちなみに田舎なので商店まで往復するのは結構時間がかかる。
    だが姉にこんなところを見られるわけにはいかない。
    後で何されるのかわかったもんじゃない。

    泣き止んだ後、俺はもう一度声を振り絞って
    「なんでもないです。大丈夫です。」と言った。

    正直もうほっといて欲しかった。おへそにはドキドキしたけれど。
    女子の身体にはもう興味があったが、まだそこまで理解もしていなかった。

    でも奴らは出ていかない。俺の顔をじっと見ている。
    優しそうな、っていうのとはこの時ちょっと違うなって思った。



    67:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:41:40.50ID:Z2fvbUs3.net
    なんて言うんだろ、ニヤニヤみたいな笑顔に変わっていた。二人とも。
    さっきまで優しいと思って泣いていたのに、ちょっとだけ恐怖が混じった。
    幼稚園児の頃に戸惑った、あの顔とはまた違う女の側面を見てしまった気がした。

    「弟君、可愛い顔してるね」とアサコ
    「女の子みたい。モテるでしょ」とミヤコ

    何を言っているんだこいつらは。そんなことは無い。確かに女顔ではあったが
    幼稚園の時のトラウマで俺は女子と話すのが苦手になっていたから。

    俺は知ってしまっていたんだ。可愛い女の子が時として鬼になることを。
    そして気を抜いた時には姉のように暴虐の限りを尽くすこともあると。

    「好きな子いるの?」
    「彼女は?まだいないかーW」
    「ねぇ、ほっぺ触っていい?」
    「やらかーい。かわいいーW」

    そんな感じでつんつんされたり撫でられたり。
    つまり完全に遊ばれている。

    「いないです。わかりません。やめてください。」
    みたいなことを俺は言ってなんとか逃げようとしたが離してくれない。



    68:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:45:37.37ID:Z2fvbUs3.net
    すると突然、アサコが言い放った。

    「女の子に興味ないわけじゃないんでしょ?おっぱい触ってみる?」



    69:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:51:31.55ID:aQPY+27p.net
    ふぅ…


    71:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:57:24.38ID:Z2fvbUs3.net
    >>69
    書いてるのおっさんやで



    72:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 19:04:06.61ID:aQPY+27p.net
    >>71
    わかってるぞw



    70:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 18:56:52.40ID:Z2fvbUs3.net
    ミヤコは横で眉毛のない顔をよじらせながら爆笑している。
    俺の頭の中は当然。

    「??????????!!!!!!!!!!!!?????????」

    いろんな事がフラッシュバック。固まる俺。

    でもそんな俺をからかうようにアサコは自慢であるだろうおっぱいを
    ゆさゆさしている。その上ミヤコはチラチラ見えていたセーラー服の裾から
    下着が見える所まであげて若く健康的なおへそを俺に見せつけてくる。
    ちなみにブラジャーは意外にも白だった。透けるからだろうか。

    俺の顔は真っ赤になっていたと思う。
    そんなの小学生に対処できるわけが無い。
    でもどうしても見てしまう。男の性っていうのをこの時知った。

    一通り俺をからかうとアサコは

    「遠慮しないでもいいのよ?」

    と俺の手を取り自分の豊満な胸に押し付けた。
    幼稚園児だったゆうちゃんのおっぱいとは次元が違った。



    73:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 19:07:48.26ID:Z2fvbUs3.net
    「あーずるいー」っとミヤコ

    アサコと比べると若干控えめな胸だったが、俺の頭を抱え込むようにして
    抱き着いてきた。煙草と香水の様な匂いがした。

    「アタシもー」

    ついでのようにアサコも俺のベッドに乗っかりお姉さん二人に俺は
    挟み込まれるように抱き着かれた。
    もちろんまだ未使用の俺のアレはすごいことに。こんなの見つかったら…

    やばい。やばすぎるぞ。
    でもやわらかい。大人のいい匂いがする。
    ひょっとして俺は夢でもみてるんじゃないか?
    イヤイヤもう死んでるかもしれん。
    くらいの現実感のなさだった。

    ひとしきりおもちゃにされた。地獄なのか天国なのか俺にもわからない。

    そしてヤツラはついに言いやがった。

    「アレ?」



    75:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 19:16:40.54ID:Z2fvbUs3.net
    ついに見つかった。俺は半ズボンだったから、見つかるのは時間の問題だった。
    それに、姉ちゃんもう帰ってくる。絶体絶命。ゲームの様にリセットボタンは無い。

    「弟くん、立ってる?」とアサコ
    「マジだー、やっぱ男の子なんだねー」とミヤコ

    何故か二人とも爆笑。
    俺は恥ずかしくて、両脇にいる生き物が怖すぎて、でもやわらかくて。
    どういう顔をしたらいいのか全く分からない。
    思わず手を伸ばし隠そうとするも両側からがっしりつかまれていて
    身動きが取れない。何故か二人の顔がゆうちゃんのあの目つきに変わっていた。



    76:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 19:20:25.28ID:Z2fvbUs3.net
    二人が俺の股間へ手を伸ばす。
    最初はつつくように。だんだん大胆に触ってくる。

    「やめてください…やめ…」

    声になっていなかったと思う。まだ自慰行為も覚えていないのだ。
    何度か勃起したことはあったが、こんなケースはない。

    その時だった。



    77:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 19:21:26.87ID:Z2fvbUs3.net
    「あんたら何やってんの!!??」

    姉とサキコだった。



    85:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:08:29.22ID:Z2fvbUs3.net
    長女千賀子は何故かファーストキスを奪われたあとのゆうちゃんと
    同じ顔をしていた。般若、ふたたび。
    その後ろで顔を真っ赤にしてサキコが買い物袋をぶら下げて突っ立っていた。
    彼女は幾分純情なのか、こっちを直視していなかったように思う。

    「いいじゃーん弟君泣いてたよ?」
    「アンタが泣かせたから慰めてやったんだよ?」

    勝手なことをのたまうスケバン達。
    もう俺は半分魂が抜けて、白目。ひょっとしたら幽体離脱していたのかもしれない。

    「バカじゃないの?!!」と何故か俺が千賀子姉に殴られた。

    もう不条理…なんなのこれ…おっぱい柔らかかったけど…



    87:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:10:07.92ID:NoQbWwUI.net
    ふむふむ


    88:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:10:56.00ID:Z2fvbUs3.net
    その日彼女たちは俺の部屋にはもう来なかった。
    その後何度か遊びには来ていたけど、俺を一人にしていくことはもうなかった。

    その夜ひょっとしたら長女は次女の綾子姉に話してしまったのかもしれない。
    しばらく二人にまるで汚いものを見るかのようにガン無視された。
    俺は姉が話しかけてくるまで空気の様に振る舞い、
    なるべく顔を合わせないようにしていた。

    しかし家族だから、そんな緊張は長く続かなかった。
    ある日何故か千賀子姉がなめ猫免許証を俺にくれた。
    今思うと、不器用な姉なりの和解宣言だったのだと思う。
    半奴隷的な状況は変わらなかったが。

    その年のお年玉でゲームボーイもなんとか買えた。
    何故か最初のソフトが思い出せないが。
    姉に取られたおこずかいは、逆に俺が高校生になってから姉の部屋に
    侵入してきっちりと回収したよ。あしからず。



    89:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:12:09.16ID:Z2fvbUs3.net
    俺が小学校の5年生になったころ。軟弱な俺を見かねて急に親父が言い出した。

    「空手をやりなさい」

    親父は典型的な昭和の親父。波平さんみたいなタイプだったから
    言う事は絶対だった。逆らえば容赦なく平手で殴られる。
    虐待とかじゃないよ?愛はあった。当時はそんなもんが普通だった。
    俺は嫌で嫌でしょうがなかったが、選択肢はないので従った。

    しかしやってみると意外と楽しくて、やっていると腹が減って、
    飯の量もぐんぐん増え、比例するように背が伸びだした。
    淫獣ふたりに襲われた時にはツルツルだったものも、生え出した。
    少し活発になってきたのか、友達も出来始めてよく外で遊ぶようになった。
    毎日チャリンコで出かけ、河原でヨレヨレになったエロ本を発掘したり、
    森の中に秘密基地を作ったり、出ると噂の廃屋に入ったら日本人形があって、
    それに驚いて逃げ出したり、まぁ世間一般的な少年生活を送っていた。

    しかし女子はその年の男の子としてはまぁ普通かもしれないが、やっぱり苦手だった。
    なんていうかもちろん興味はあったけれど、怖い部分が大部分を占めてうまく話せな
    かったんだ。特に相手が集団となると…ね。



    91:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:17:07.62ID:Z2fvbUs3.net
    そんな俺でも6年生になった頃、人並みに恋をした。

    相手は隣の席になったロングヘアのお嬢様風の女の子で仮に永山さんとしよう。
    彼女は成績もよくクラス委員を務めているような、いわゆる才女だった。
    いつもレースが付いているような服を着て、どことなく気品があった。
    それに比べて俺は、多少元気になり自信もついたけれど成績は偏りが激しく
    興味のあることと無いことの差が激しかった。
    その上忘れ物が激しく落ち着きがなかったので、しょっちゅう永山さんに
    世話になっていた。

    消しゴムを借りたり、忘れた教科書を見せてもらったり。
    その度に、すごくいい匂いがした。煙草の匂いは混ざってなかったしね。
    何度もごめんと謝ったけど、彼女は嫌な顔ひとつ見せずに対応してくれた。
    彼女の黒髪は信じられないくらいさらさらしていて、風が吹いて
    揺れているだけなのに、俺のちっぽけな心臓はそれを見てはどくんと脈を打った。



    93:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:19:47.58ID:Z2fvbUs3.net
    しかしそんな彼女の優しさは、長く続かなかった。


    95:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:20:52.68ID:Z2fvbUs3.net
    俺には初めて淡い恋愛感情というものが芽生え始めたんだけど、そんなのは
    とても恐れ多い、告白なんてもってのほかだって思っていた。
    こんな俺と彼女が釣り合うわけがないって。
    そもそも告白してどうするのかわからなかったし。
    あまりに格好悪いから忘れ物を無くそうとしたけども俺はバカだから
    なかなか直すこともできずにずるずると世話になっていた。

    そんなある日だ。



    97:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:22:01.12ID:JhxCHPOa.net
    女難うんぬんの話だから…
    まさか永山さん…実は…



    98:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:29:38.37ID:Z2fvbUs3.net
    クラスの男子、どこにでもいるうっとうしいいじめっ子が現れた。
    仮に奥山としておこう。それと取り巻きの3~4人。
    俺は当時多少大きくなったけれどもスクールカーストは下の方だった。
    今思うと奥山は彼女が好きだったんだと思う。

    その彼らが俺と彼女をイジり出した。夫婦じゃねーの?とかそんな感じだ。
    しかもしつこい。小学生なんてそんなもんだろうけど。
    俺を苛めるならまだいい。こんな綺麗で清純な子まで巻き込むなんて
    なんて奴らだ。そう思ってはいたが多勢に無勢。もちろん一人でも勝てない。
    情けない俺は睨みつけるのが関の山だった。



    99:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:39:03.05ID:Z2fvbUs3.net
    何日かして、ついに永山さんは泣いてしまった。
    完全に俺のせいだ。力が無いってことをこんなに思い知ったのは初めてだった。
    最初はぽろぽろと。だんだん激しく彼女は泣きじゃくった。
    あんなにツヤがあって、きれいな永山さんの髪を俺は乱してしまった。
    しかし不謹慎ではあったがそんな泣いている彼女も俺はきれいだと思った。

    同時に、生まれて初めて殺意にも近い憤りと怒りを俺は覚えた。
    何のために俺は空手をやってたんだ?こういうやつに負けない為じゃないか。
    一年も頑張ったんだ。多少ならやれるだろう。いや、やってやる。
    負けてもいい。ぼろぼろにされたっていい。

    そう思ってこぶしを握り俺は立ち上がった。



    100:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:41:30.95ID:Z2fvbUs3.net
    その瞬間だった。

    「もぉぉぉおおおおおお!っざけんなよっ!!!!!」

    え?何?奥山たちも似たような顔をしてきょとんとしている。
    目が点。鳩に豆鉄砲。まさにそんな感じ。

    声の主は永山さんだった。



    101:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:45:44.21ID:bw8umz/H.net
    !!?


    102:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:54:12.59ID:Z2fvbUs3.net
    俺は自分の耳を疑った。いやクラス中そうだったと思う。
    学年でもすべてにおいてトップクラスのお嬢様がそんな声を上げるわけがなかった。

    「てめぇら、バカにすんのもたいがいにせえよ?アタシが好きでこんな奴の面倒見てると
    思ってんの?私立中学に行くために、先生にいい点数もらうためにきまってんじゃない!?
    それに奥村アンタなんなの?おめぇの親、うちの父親に借金してんだろ?
    クズの息子は一生クズなんだろ?この酔っぱらいの息子がアタシの前ででかい面
    すんじゃねぇぇぇぇっぇっえええええ!!!!!」

    そこにいたのは俺の知っている永山さんではなかった。
    鬼女とはこういう事かと思った。それ以上に俺は振り上げそうになったこぶしを
    どうしていいかわからず、思わず奥山の方を見た。

    奥山は、最初びっくりしていたが、そのうちとても悲しそうな顔になった。



    103:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:55:46.37ID:tNxCBOL5.net
    奥山くん可哀想になってきた


    105:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 21:59:36.87ID:NoQbWwUI.net
    奥村は奥山の間違い?おつ


    107:1@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 22:04:45.16ID:Z2fvbUs3.net
    >>105
    そうそうWごめんね一気にかいてるから。
    間違えちゃった☆



    109:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 23:21:29.26ID:EdfjVuwD.net
    凄いな


    110:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/09(火) 23:37:40.58ID:iOu+8NLC.net
    1ほどじゃないけど俺も姉貴が中学の頃ぐれてやられたい放題だったの思い出して悲しくなった。
    大人になった今じゃそんなことなかったかのように振る舞ってくるから怖い
    母も怖いひとだったせいで未だに女が怖いよ、1がどうやって結婚するまでに至ったのかすごい気になる



    111:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 03:05:03.93ID:TYpDn0l8.net
    >>110
    明日また見てくれ。姉はまた出てくるから。
    君にも幸あれ。



    112:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 03:08:46.88ID:TYpDn0l8.net
    >>みんな

    俺は今スゴイ酔っぱらってます。
    それもこれも何故か。
    たぶん最後に全部わかると思います。
    何日かかかると思うけど。
    よろしければみなさんお付き合いください。
    それでは明日。名無しのみんな読んでくれてありがとうございます。



    113:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 14:33:36.93ID:TYpDn0l8.net
    少しだけ投下
    続き

    俺はなんていうのかショックを通り越して血の気が引いてしまった。
    怒りなんてここまでくると何の効果もないようだ。
    むしろ奥山の事が少し気の毒に思った。

    奥山は涙を必死に堪えているようにも見えた。

    彼の親は近所でも有名なアル中で、永山さんの実家の会社でなんとか
    雇ってもらっているようというのはみんな知っていた。
    正直あまりいい噂はなかったが子供である彼が悪いわけではない。
    彼女の言うとおり、クズだったのかもしれない。でもさすがに言い過ぎだ。
    いくら原因が奥山のイジリにあったとしてもだ。

    なんだか俺は、ひどくいたたまれない気持ちになった。
    永山さんに対しても、奥山に対しても。

    きっと奥山がいじめっ子になったのだって理由があるんだろうし、
    永山さんにもいい子でいるためのストレスがあったんだ。
    ただなんとなく好きなことだけやってボーっと生きている俺とは違うんだ。



    114:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 14:35:47.86ID:TYpDn0l8.net
    こんな風になってしまったのは結局は俺が情けないせいなのだ。
    世話をかけてしまった俺が悪いし、
    奥山のイジリからもっと早く救い出すべきだった。
    それなのに怖くて、あんなにきれいな永山さんからあんな言葉を吐かせてしまった。
    少なくともその時はそう思った。

    それにしてもクラスの他のやつ。奥山の取り巻きでさえ声を出せなかった。
    関わっておいて、手に負えなくなったら無視するのってどうなんだろう?
    弱いアル中よりもクズなのはそういうヤツラではではないだろうか?

    重苦しい空気が教室を包み込む。
    誰も言葉を発せないまま空々しくチャイムが鳴る。

    俺の初めてのまともな恋は、こともなげに終わった。

    それから2学期に席替えがあるまでは地獄だった。
    もう気まずくて教科書を借りることもできない。
    それに、どうも女子たちが結託して俺と奥山を無視しているようだった。

    後で気が付いたが、その中心にいるのは永山さんだった。
    本人はもちろん手を下さない。奥山派もそのうち寝返り、俺たち二人に対する
    執拗な苛めが始まった。



    116:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 14:51:56.34ID:TYpDn0l8.net
    グループ分けの際、二人を仲間に入れない。
    上履きをトイレに投げ込む。
    机が教室の外に出されている。奥山のとふたつ。
    誰も話しかけてきてくれない。
    教科書がびりびりに破かれる。

    こんなことが日常的にあった。もともと俺はひとりでいるのが
    好きな子だったから、無視なんかは気楽なもんだったが、
    お山の大将から急に最下層に落とされた奥山は俺よりもつらそうに見えた。
    風のうわさで聞いたが、奥山の親父も会社をクビになったようだった。
    表面上、何かのミスがあったようなことは聞いたが、どう考えても
    原因はあの日の出来事にあると思った。

    皮肉な話だが、そのうち俺と奥山は友達になった。
    他に話す相手がいなかったので、いろんな事を話した。
    彼の父親のアル中具合はクビになってからさらにひどくなっているようだった。
    生活保護でもらったお金も全部酒とパチ●コに費やしてしまっていたので
    ノートも買ってもらえないし、弁当の日には食パンを一斤持って来たりしていた。
    俺は自分の文房具を少し多めに買ってもらい、奥山にあげた。
    最初彼は固辞したが、こないだの詫びだと言うと、しぶしぶ受け取り
    それでもにこっと笑ってかれはありがとうと言ってくれた。

    そのあとはにかみながら彼が言った言葉を覚えている

    「女って怖いよな」

    最初はいじめっ子といじめられっ子の関係であったが、
    手の届かない同じ女の子を好きになって仲良く玉砕した、
    妙な連帯感のようなものが俺たちにはあった。



    117:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 14:55:37.58ID:rF/Zpyk7.net
    この頃には忘れ物減ったのかな
    文房具やさc



    119:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:05:50.78ID:TYpDn0l8.net
    >>117
    教科書をすべてランドセルに入れば忘れないことに気が付いた俺GJ
    すげー重かったけど。



    120:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:11:35.64ID:rF/Zpyk7.net
    >>119
    忘れ物自分も多くて同じ方法で解決したなあ
    今は全部入れることは無くなったけど



    122:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:21:37.49ID:TYpDn0l8.net
    >>120
    同志よ



    118:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:03:56.41ID:TYpDn0l8.net
    奥山はそれから俺のうちによく来るようになった。
    彼の家には乱暴な酔っぱらいがいるし、ゲームも漫画もなかったから。
    時には俺の家族と一緒に夕飯を食う時もあった。
    姉二人に挟まれ、真っ赤な顔をしている元いじめっ子はなんだか
    今迄のイメージと全く違う、年相応の普通の少年に見えた。

    俺は彼に自分の部屋の中の娯楽をすべて提供し、
    彼は俺にちょっと悪い娯楽を提供してくれた。

    そのままあっというまに俺たちは小学校を卒業した。
    最初こそはいじめが気になったが、そのうちどうでもよくなっていた。
    奥山は家庭環境こそ大変だったが、よく笑うとてもいいやつだったから。

    永山さんは宣言通り私立中学に進学し、それから一度も会っていない。
    風のうわさでバツ1になっていることを大人になってから聞いたくらいだ。

    中学に入ると、いじめはきれいさっぱりなくなった。
    主催者がいないのだからあたりまえだったが。
    他の小学校から入ってきた新しい友人もでき始めた。

    ただ、一つ重大な問題があった。



    121:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:21:08.50ID:TYpDn0l8.net
    中学入学の初日。
    入学式を終え、教室に向かうと入り口に白いジャージで竹刀をもった
    ゴリラみたいな顔をした体育教師がいた。
    これが誇張でないから恐ろしい。当時は本当にいたんだよ。
    彼は制服の胸元にある名札を確認しているようだった。
    俺が教室に入いろうとすると、ゴリラは激しく反応した。

    「おまえがイッチか?」

    え?俺?何の用?ゴリラに知り合いはいませんが…

    「お前、姉がふたりいるだろう」

    え?いますけどそれが何か??バナナ食います?

    無言で突っ込んでいると彼は急に俺の髪の毛を乱暴にひっつかみ、
    そのまま生徒指導室まで引きずっていった。
    なんだよ。姉ちゃんなにやったんだよ。髪の毛抜けるよハゲちゃうよ。

    俺はそう思った。

    生徒指導室に入るとゴリラは話し始めた。
    つまらないので要約することういうこと。

    ・お前の姉は校則を守ったことがない。二人共だ。
    ・髪の毛茶色いが、お前も染めてるんだろ?
    ・どうせそのうちお前も教師を困らせるんだから今のうちにしばいといてやる。
    ・丸坊主だ。ここで、刈る。

    ちょっと意味が分かりません。先生。
    確かに茶色いのだけど、それは地毛だった。お姉ちゃんは確かに染めていたが
    もとは同じような毛色で、親父からの遺伝だ。

    不可抗力だろ?地毛で茶色かったらいちいち黒く染めるのか?
    黒く染めるのはいいが、茶色く染めるのはいかんのか?

    そういえば前に姉が中学に上がるときにやっぱり問題になって
    「地毛証明書」的なものを学校からとってきたというような話を
    思い出した。姉ちゃんがグレはじめたのはちょうどその後だったと思う。



    123:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:36:42.55ID:rF/Zpyk7.net
    地毛証明書って差別だよな
    なんか当たり前みたいに行われてるけど



    124:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:38:53.50ID:TYpDn0l8.net
    >>123
    日本人が黒髪なのはあたりまえってのがすでに差別だよな
    どっからが茶髪だっていう線引きもないし。
    結局は主観だもんな。理不尽極まりない。



    125:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:47:52.14ID:TYpDn0l8.net
    俺は問答無用に丸坊主にされた。ハゲ上がった頭を竹刀でたたかれた。
    トイレの鏡で自分の顔をみると、なまっちろい女顔なので
    なんだか尼さんみたいだなって思って泣けてきた。
    まだ何もしていないのに…姉ちゃんがグレたのだって証明書取っても
    執拗に黒く染めろって言われ続けた反動じゃないか…
    それに姉ちゃんがグレてたって俺がグレるとは限らないじゃないか…
    卒業したのだって何年も前だろ?なんて粘着質なんだよ。

    クラスに初めて入ると、みんな一瞬固まったが
    折よく同じクラスになった奥山が上手く茶化してくれて
    その日のうちに「空海」という二つ名が授けられた。
    悲惨な経験ではあったが、奥山のおかげで笑ってもらうのは
    悪い気がしなかったしあだ名をつけてもらったのも初めてだったので
    ちょっとだけ、嬉しくて救われたような気持ちになった。
    俺は心の中で、奥山に感謝した。

    髪の毛問題は、親に言いって学校にねじ込んでもらった。
    でも今のように学校の方が親より強いということはなかったから
    謝罪なんて一切なかった。あのゴリラは柔道の時間になると、
    俺の時だけ本気で投げた。意識が飛びそうになるくらい。
    ただのあてつけだってのは、子供だって理解できる。
    でも彼はある部活の顧問で全国大会の常連だったから
    学校内でもかなり力があったから、俺は何もできなかった。
    俺が苦しそうにしていると、たまに奥山が自分から志願して
    身代わりになってくれた。やっぱこいつ本当は優しいやつだったんだ。

    ゴリラはうっとうしかったが、拾う神あればとはよく言ったもので
    中には人情派のいい先生もいた。社会の先生だったがかなりの変わり者で
    年号を暗記させるだけではなく綿花をプランターで栽培して、昔の道具で
    糸をより、機織りの真似事なんかを授業中にやらせてくれた。
    その道具は休みの日に先生とクラスの何人かで近所の農家の蔵へお邪魔して
    借りてきた。帰りにはラーメンまでおごってくれた。

    そのメンバーの中にいたんだ。あの子が。



    126:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 15:50:46.93ID:TYpDn0l8.net
    ごめん違うな

    学校の方が親より強い→×
    親の方が学校より強い→〇

    当時は先生様みたいな風潮がまだ残ってたんだ。田舎だったし。



    127:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 16:01:35.14ID:TYpDn0l8.net
    彼女は背が高くて、いつもツインテールにしているきれい、
    というよりは可愛くて活発な女の子だった。
    違う小学校から入ってきたので知らなかったが、
    その先生の課外授業の際にはいつも参加していた。
    もちろん、俺も。そして家に居場所のない奥山もよく来ていた。
    彼女のことは、横山さんとでも呼ぼう。

    それに俺と奥山はバスケ部に入ったが、彼女はバレー部だったので
    同じ体育館で練習してたから仲良くなるには時間がかからなかった。
    (スラムダンクの流川と同じバッシュ買ったのは内緒な)
    他にも何人か定期メンバーみたいな感じのやつはいたが、
    活発な横山さんは女子と遊ぶより俺たちと遊ぶほうが楽しいみたいだった。

    とにかく小学校のころよりもはるかに明るい青春がやっと俺にもやってきた気がした。





    134:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 20:02:16.61ID:ZWEBmAV1.net
    女難うんぬんの話だから
    まさか…横山も…



    138:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 21:01:44.26ID:TYpDn0l8.net
    俺たちは何事もなく2年生になった。三人とも別々のクラスになってしまったが
    変わらずよく一緒に遊んだ。といっても公園でくだらない話をしたり、
    やっぱり俺んちで漫画をみたりゲームをしたりするだけ。
    金もないし、そもそも遊ぶところが無い。
    部活に勤しみ、やたらめったら食い、遊び、寝て厨二病が完全に発症するころには
    俺も奥山も背の高かった横山さんを追い越していた。

    初めて奥山と彼女を家に連れて行ったときタイミング悪く
    母親と姉と次女の綾子姉が家にいた。
    普段は見たことのないようなカップでお紅茶が出てきたのを覚えている。
    テレビのある部屋は一応閉め切っていたが、曇りガラスの向こうで
    姉と母親が蠢いているのが見えた。ニヤニヤすんじゃねーよ。

    でも確かに、この頃には好きになっていたんだと思う。
    そんな話はしたことが無かったが、奥山だってまんざらではなさそう。
    またお前は恋敵にクラスチェンジするのかよとも思ったが
    3人でいる時間が楽しくて、壊したくないって気持ちの方が勝っていた。

    そんな淡くも幸せなある日の放課後。



    139:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 21:03:18.55ID:TYpDn0l8.net
    夏休みが間近に迫った季節で、夕暮れが真っ赤に空を染めていた。
    暑いからちょっとソフトクリーム食って帰ろうぜという流れになった。
    本当は校則違反だったが、ゴリラにさえ見つからなければ問題ない。
    3人で商店のほうに歩いていくと手前の路地の奥で横山さんが何かを見つけた。
    どうやら女子3人が1人の女の子を囲んでいるようだった。
    その三人は、一つ上の学年で有名なビッチだった。
    対してもう一人の女の子は俺のクラスの隅っこにいる眼鏡をかけた
    おとなしそうな子だった。名前を吉田さんとでもする。

    彼女はあまり友達がいなそうで、休み時間にはいつも難しそうな本を
    読んでいた。俺も本が好きだったので通っていた図書館でも何回か見たことがある。
    物静かなで教養のあるそうな子。そんなイメージを俺は持っていたが
    近づきがたいオーラを背負っていたので話したことはほとんどなかった。

    一瞬俺らが止まっていると、横山さんが走り始めた。
    俺と奥山は顔を見合わせあわてて後を追いかけた。
    相手は女子とはいえ先輩だ。内心困ったことになったなと思いつつも
    さすがに好きな子ひとりに押し付けるわけにもいかない。
    横山の顔をみると、ちょっと目をキラキラさせながら笑っている。
    いかん。男気スイッチ入っちまってるじゃないか。
    ここで負けるわけにはいかない。いいところを見せるのは俺だ。
    そんな器の小さな考えが俺の脳裏を支配した。



    149:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 23:44:45.83ID:TYpDn0l8.net
    俺たちが追いついた時には横山さんは

    「何やってるんですか?」と少し息を切らせながら彼女たちに声をかけていた。

    「なんだよお前関係ねーだろウケるんだけど」とビッチズ。

    よく見たら吉田さんは目に涙を浮かべている。今にも泣きだしそうだ。
    彼女は小さい体をぷるぷると震わせながら、それでも必死に耐えているように見えた。

    これはいかん。奥山にイニシアチブを取られるわけにはいかない。
    俺はとにかく焦っていたので後ろからとりあえず声をかけた。

    「あれ?吉田さん?どうしたの?」

    今思い出しても自分で情けなく思うが、かなりわざとらしく声も裏返っていた。



    150:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 23:46:18.88ID:TYpDn0l8.net
    「なんだよおめーらよ。2年か?どっかいけよ。お話ししてただけだよなー?吉田ちゃん」

    んなわけあるかビッチよ。どう考えてもおかしいじゃねぇか。
    お前の安っぽい化粧よりもおかしいよ。その爪とかどういうことになってんだよ。
    俺はそんな考えを表情に出さないように気を付けながら、さらに口を出そうとした。

    「いやあの…」正直おれは緊張でパニックを起こす寸前だったと思う。

    俺が言いかける前に奥山が横山(と俺を)守るようにしゃしゃり出た。
    ちなみにこいつは元いじめっ子だけあってなかなか迫力のある面構えをしている。
    上背も、身体の厚みも完全に負けている。空手を少しかじったとはいえ、
    天性のいじめっ子には簡単には勝てないのだ。

    「センパイ、イジメっすか??やめましょうよそんなこと」

    奥山ぁあっぁぁっぁぁぁっぁああああああああ!
    おれがかっこいくなるとこだろぉぉぉぉおおおおおそこは!!!



    151:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 23:47:44.35ID:TYpDn0l8.net
    全員の視線が奥山に集まる。

    「んだよお前。あれ?こいつあれじゃん?あのアル中クズ親父の」とビッチ

    奥山は一瞬あの時のような悲しそうな顔を見せたが、すぐに笑顔になってこう言った。

    「そうですよー。クズの息子が頭下げるんで、今日は勘弁してやって下さいよ。
    そんなことしてるとウチの親父みたいにクズになっちゃいますよ。」

    奥山は深々と、似合いもしない香水の匂いをぷんぷんさせている尻軽女たちに頭を下げた。
    俺は思わずうぉぉぉ…マジかこいつ、、格好いいじゃないかよ…と思ってしまった。

    「奥山くん…」横山さんも、なんだかぽーっとしてしまっている。

    これはまずい。俺の出番まるでないじゃないかよ。
    いやいやそんなことより、とりあえずこの場を収めるには乗っておくしかないと思った俺は

    「俺からもお願いします。クラスメイトなんで。」

    と奥山の隣に一歩出て一緒に頭を下げた。それを見た横山さんもそれに倣った。
    吉田さんは涙目こそおさまったようだったが、なんだか信じられないものでも
    見てしまったかのように一回大きく目を見開き、次の瞬間ハっとしたような顔をして
    ペコリとちいさく頭を下げた。言葉はまだ出せないようだった。



    152:1@\(^o^)/: 2016/08/10(水) 23:52:09.78ID:TYpDn0l8.net
    「んだよ気持ちわりーな。もういいや。つまんないからカラオケでもいこ」

    ビッチ達はまるでおもちゃに飽きてしまった子供の様な顔をして、踵を返し去って行った。
    俺は内心、あいつらの周りにいる怖い先輩たちとのもめごとを危惧していたから
    大事になる前に自分の頭一つを犠牲にして事を収めた奥山を素直に尊敬した。
    たいして広い人間関係があるわけではない当時の俺にとってこんな奴と友達になれた
    ことが俺は、誇らしかった。自分の根性のなさを抜きにしてもだ。

    とはいえ一番オイシイところをもって行かれ、ちょっとした嫉妬も感じていた俺は
    一呼吸おいてから中学生にしては背が低くリスのような可愛らしさを持った
    吉田さんの方を向き、自分にできる最高の優しい笑顔を浮かべているつもりで言った。
    近くで見ると彼女にはすこしだけ、そばかすがあった。

    「大丈夫?怪我とかない?何か取られたりとかしてない?」

    途端、吉田さんが堰を切ったように泣き出した。
    ぺたんと地面に座り込み、ついでにうぅぅぅ…と低く唸った。
    ボブっていうのかな?短めの黒髪が呼吸をする度にゆらゆらと揺れた。
    きっと猛獣のようなビッチどもから解放されて気が抜けたんだろう。


    「えぇぇぇえちょっ、、どうしたの?どっか痛いの?」

    同年代の女の子の涙なんか目の前で見たことが無かったんだ。
    俺はそんな間の抜けたことを言うのが精いっぱいだった。
    どうにかこの事態を収拾しようと思わず小さい子にするように
    吉田さんの頭をそっと撫でた。いや、撫でてしまったんだ。



    158:1@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 15:06:17.86ID:EpMbwdaB.net
    「あーイッチ泣かした」と奥山 てめぇこの野郎。
    「ひどいひどーい」と横山さん。意地悪な顔も可愛いです。

    俺はオロオロすることしかできない。そんなスキルはもっていないよ。
    横山さんは鞄からこの世にこんなに清潔なものはあるのか?というくらい
    真っ白で、女の子らしい縁取りにピンクの刺繍をあしらってあるハンカチを
    取り出して吉田さんにそっと差し出した。
    なぜだか俺、このハンカチの事を昨日の事のように覚えているんだ。

    それを見た吉田さんは何故か余計に一度大きく泣いた。
    優しさが沁みるって感情は俺たちにも伝わった。
    誰も一言も発せず彼女の気持ちが落ち着くのを待った。
    横山さんも、だまってにこにこと微笑みながらハンカチを差し出したままだ。



    159:1@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 15:06:39.60ID:EpMbwdaB.net
    ひとしきり泣いた後、吉田さんはおずおずと受け取って眼鏡をとり涙を拭いた。
    真っ赤になってしまった目は若干痛々しくも映ったが
    そんな野暮なことを突っ込むやつはひとりもいなかった。
    姉と妹くらい背丈の違う二人を見ていると俺はななんだかくすぐったいような
    気持ちになった。奥山のほうに顔を向けるとちらっと目が合った。
    おそらく似たような気持ちだったんだろう。ニコッとあいつは笑いかけてきた。
    なんとかなったな。そう心の声が聞こえたような気がした。
    ああほんとだ。お前のおかげだよ。俺は胸の中でそう返した。
    その時俺は、こいつは俺なんかより遥かに大人なんだと感じた。
    未成熟でいい加減な俺はいい恰好をすることしかはじめ頭になかったから。

    数分もすると吉田さんは落ち着いたのかゆっくり立ち上がり、やっと言葉を発した。

    「あ、あのっあ…ありがとうございましゅっっっつ!…た。」

    口を開いたと思ったら、それはもう見事にスカっとするほど盛大に噛んだ。



    161:1@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 15:08:09.63ID:EpMbwdaB.net
    一瞬の静寂。そのあと何かが破裂するくらいの勢いで爆笑。
    笑っちゃ悪いとは思ったが、これはもうしょうがない。
    つられて吉田さん本人も照れながらも一緒に笑顔を見せる。
    …ん?眼鏡を取って笑うとなかなか可愛いじゃないか。
    背は低く、まだつるぺたではあったが愛嬌のある顔立ちをしている。
    紅潮した顔にあるそばかすもチャームポイントといって良いだろう。

    俺はそのとき漠然とやっぱり女の子は怖い顔や泣き顔よりも笑顔がいいと思った。
    おっさんにもなると怒った顔も可愛いねぇなんて軽口も言えるようになるんだが
    それはもっともっと後の、汚れきった後の時代の話。

    俺は、いや俺たちは皆、本当によかったな、この子がもっとひどい目に合う前に
    気が付いてあげられてと心から思ってた。

    吉田さんは一言、

    「ハンカチは洗って返します。ほんとにありがとう」と

    小さく言って愛嬌のある笑みを浮かべひとつお辞儀をして帰って行った。
    出るときには夕暮れだった空がいつのまにか群青色に変わっていた。
    ソフトクリームは食べそびれたが、悪い気分ではなかった。



    162:1@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 15:09:50.12ID:EpMbwdaB.net
    俺たちも吉田さんの小さい背中を見送ってか途中まで一緒に帰ることにした。
    俺と奥山は横山さんを中心に挟み込むようにして並んで歩いた。
    それぞれの家路に通じる分岐路の手前で横山さんが思い出したように笑い、
    俺と横山の少々ごつくなり始めてきた腕に自分の腕を絡ませてきた。

    衣替えはすでに終わり夏服になっていた俺は横山さんの素肌に初めて触れた。
    どくん。と俺のちっぽけな心臓は跳ね上がった。
    もう夏だというのに横山さんの素肌は信じられないくらいさらっとしていた。
    俺はどきどきして奥山がどんな顔をしているか確認することもできなかった。


    彼女はそんな俺の気持ちを知ってか知らずかさらにぎゅっと抱きしめるように
    俺たちの腕を引き寄せ、こう言った。

    「あたし今日の事、一生忘れない。あんたたち、かっこよかったよ!」

    セェェェェェェフ!たち!俺も入ってた!!よっしゃぁぁぁぁあ!!!!
    小踊りしそうになる自分を必死に抑え、別に興味なんてないって顔を
    無理して作っていた俺は、そこであることに気が付いた。

    …当たっている。その、乳が。



    163:1@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 15:12:35.97ID:EpMbwdaB.net
    俺の全神経は、無意識のうちに肘の先に集中していた。
    幼稚園児のゆうちゃんとも、スケバンのおっぱいとも違う感触。
    100人いたら、100とおりのおっぱいがあるのか…と俺は顔を真っ赤にしながら
    そんな知能指数の低い真理に到達していた。
    俺はなんとか勃起しようとする息子を抑えるために円周率を数えようとした。
    しかし10ケタくらいしか知らないことにすぐに気が付いた。

    幸運にも分岐路はすぐそこだった。
    俺と奥山は、手を振って横山さんを見送った。
    それじゃ俺も、と言いかけたところで奥山が口を開いた。

    「よかったな…」
    「ああ、よかった」俺はそう返した。
    「ところでさ…当たってたな…」と奥山。
    「ああ、当たってた」と俺。

    あいつもだったんだ。さっきはすごく遠くに、大人に感じた奥山が
    俺と同じことで舞い上がっていたということに気が付き、嬉しく思った。
    俺たちはその後黙って別れた。同じ気持ち(と感触)を共有した漢たちに、
    それ以上の言葉は無粋でしかなかった。



    165:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 18:07:28.19ID:e3E6YLRL.net
    ここ最近の話は女難って感じはしないな


    166:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 18:20:09.11ID:xy3LcTMA.net
    まだあわてるような時間じゃない


    167:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 19:53:51.93ID:458UdftJ.net
    吉田さんは今の1の奥さんとみた


    169:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 00:02:36.05ID:WgAsFJWe.net
    >>167
    まぁよかったら最後まで読んでくれ。大人編は短めの予定。



    168:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/11(木) 20:41:41.07ID:663rPJ+j.net
    男はどうしようもなくバカになってしまう瞬間があるよな……。どうしようもねえよ本当。


    169:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 00:02:36.05ID:WgAsFJWe.net
    >>168
    だからこそかわいいじゃないか。

    さて、今日は短いけど投下します



    170:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 00:03:08.18ID:WgAsFJWe.net
    次の日か、そのまた次の日か。

    1学期の殆ど最後の、消化試合のような授業を受けるため俺は一応登校した。
    校門まで続く右側が住宅街で左側が茶畑の長いながい坂道を上る途中にある
    バス停のベンチにこないだの小動物が緑を背にして本を広げて座っていた。
    集中しているのか、至近距離に近づいても彼女はまったく気が付かない。

    本の背表紙を見ると
    村上春樹の「ノルウェィの森」だった。俺も大好きなタイトルだ。

    「吉田さん?おはよう。それ、春樹?」と声をかける。

    一瞬ビクっとした彼女は眼鏡ごしに上目づかいで恐る恐る俺の方を見る。
    そしてようやく認識したのか、ちょっとほっとしたように笑い、挨拶をかえす。

    「おはようございます。俺君。そう私この人の本大好きなの。」
    「俺もだよ。いつも本読んでるよね吉田さん。こんなところで何してるの?」
    「昨日のお礼を言おうと思って。教室だとみんないるから恥ずかしくって。」
    「そんなのいいのに。とりあえず学校行こう。遅刻しちゃうよ」
    「あ、そうだった!私本読み始めると時間忘れちゃって。」



    171:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 00:04:23.90ID:WgAsFJWe.net
    ぱたぱたと本を鞄に仕舞い、彼女は俺の後ろをちょこちょこと付いてきた。
    学校まで数百メートル。俺は彼女と村上春樹について語りながら登校した。
    頭の隅で、この子は俺が逆方向の家だったらどうするつもりだったんだろうと
    思ったがまぁいいやと放り投げた。

    「あ…そういえば…ハンカチ洗って来たんだけど…」と吉田さん。
    「そういえばそうだったね。後で一緒に行く?ほかのクラスだもんね」と俺。
    「そうしてくれると嬉しいな。私、人見知りだから…」可愛いこと言うじゃないか。
    「じゃあ、部活あるから授業終わったら体育館に来てくれる?」と俺は言った。
    「うん大丈夫。私美術部だから、早く終われるし。」実は初めて知った。

    彼女は学校に入ってからはまるで貝のように押し黙り全くの他人のように
    ふるまった。俺も気持ちは分かったから、わざわざ話しかけることもなかった。
    まぁ、昨日まで殆ど話したことはなかったから他人みたいなものだったが。

    しかし俺はいつもひとりでいる吉田さんを見ていたからわざと、誘ったんだ。
    ハンカチを返すだけなら簡単だったが妙な親心の様なものが湧いたんだよね。
    だって、俺も昔ずっとひとりだったから。



    172:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 00:04:47.25ID:WgAsFJWe.net
    約束通り、部活の終了時間の少し前に彼女は現れた。
    体育館の、いちばん端っこの両開きの扉の脇にちょこんと。

    ネットの片づけがあるのでバスケ部よりバレー部のほうが終了時間が遅くなる。
    先に終わった俺と奥山は吉田さんに声をかけた。

    「おつかれさまー。横山さんももう終わるから一緒に途中まで帰ろうよ。」と俺。
    「そうしよそうしよー。ソフトクリームでも食って帰ろうよ」と奥山。食い意地か。

    吉田さんは恥ずかしそうに、でも嬉しそうにこくんと頷いた。

    その日から、俺たち仲良し3人組は、4人になった。
    昨日食べそびれたソフトクリームは、甘く冷たい夏の味がした。

    彼女は言葉数は少なかったけど、微妙に天然でイジりがいがあったし
    俺と読む本の趣味がよくあった。横山さんもまるで妹ができたみたいと
    よく考えると結構失礼なことを言いながらも歓迎していた。
    奥山もまんざらではなかった。そりゃぁ、年頃の男の子だ。
    女子が増えて嬉しくない奴なんていない。
    それに俺たちはいじめを経験していたから、彼女の気持ちがよくわかったんだ。

    一学期が終わり、長い夏休みが始まる。
    それまでの少しの間に俺たち4人は随分打ち解けていた。
    吉田さんは勉強がよくできたから、ボンクラな俺たちは図書館や俺のうちに集まって
    宿題を教えてもらったり、みんなで映画を見に行ったりした。

    いつのまにか彼女はよく笑うようになっていた。
    それを3人とも、ほほえましく感じていた。
    本当に健全に、楽しく時間は過ぎて行った。

    仲の良い友達ができるってのは人生においてもっとも美しい瞬間だ。
    みんなにもあるだろう?少なくとも俺にとっては忘れられない夏だった。



    173:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 00:05:16.23ID:WgAsFJWe.net
    鳴いている虫の音が少しずつ変化してきた頃。

    俺の生まれた町では夏休みの最後の方に盆踊りが行われる。
    場所は俺と奥山が通っていた小学校だ。
    そこへみんなで行こうという話になった。もちろん断る理由はない。
    早めに俺のうちで奥山と集合し、ふたりで出かけた。
    夕暮れがすぎあんなに日中騒がしかった蜩もおとなしくなっていた。

    待ち合わせの時間に俺たちは懐かしくも苦い思い出のある小学校へむかった。
    校舎のの真ん中の時計の下にある歳をとった大きな桜の樹。そこが目的地だった。
    その下に彼女たちはいた。俺たちは予想もしていなかったが二人とも浴衣を着ていた。

    祭りのために青々とした葉はライトアップされていて
    それをバックに彼女たちはとても可憐に見えた。

    横山さんは白地にピンクの帯。その上にひまわりの花が咲いていた。
    いつものツインテールではなく綺麗な髪をひとつにまとめていた。
    吉田さんはシックな紺地に渋い紅帯。和風の文様が非常に彼女らしい。
    暗い印象を抱かせかねない眼鏡もかけていなかった。

    一瞬俺と奥山は言葉を失い、何かとても崇高なものでも見たように息をのみ、
    そして彼女たちに声をかけた。正直人違いかと思った。

    「おっっおす」俺は間の抜けた声をかけた。
    「おーふたりともいいね~。すごくよく似合ってる。」奥山ぁぁぁぁぁあああ!

    これはあれじゃないか?人生初の。だっ…ダブルデートってやつか?
    いつも気の置けない友人に徹していた俺はこの時異常に異性を意識した。
    もちろん横山さんの事は好きだった。でもそれは子供の淡い憧れにすぎなかった。



    179:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 03:49:02.34ID:kKixBPmO.net
    季節の描写が心地良いな
    完走楽しみにしてるぜ



    180:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 12:37:57.51ID:hrhdJogf.net
    そろそろ再びパンツを脱ぐ時かな?


    184:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 13:09:25.83ID:WgAsFJWe.net
    >>180
    そんなに脱ぎたいなら、かまわんよ



    181:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 13:01:21.22ID:WgAsFJWe.net
    おそらく奥山もそうだったと思う。男同士だから言わずとも感じる。
    それまであたりまえのように付き合っていた女の子たちとの間に
    男以外にはわからないくらいのわずかなひずみが出来た。

    中学生とはいえ体は大人に近いた少年が異性を意識するということは
    極論ではあるがセ●クスを意識すると言う事だ。
    もう、性欲はあったし自慰も覚えてはいたがそれをぶつける相手として
    彼女たちを見ることに俺は耐えられなかったのかもしれない。
    ただ、一緒にいるだけでは満足できなくなってしまったんだ。


    もちろん、お祭りは楽しかった。わたあめもかき氷もおいしくて。
    祭りの最後に上げられた申し訳程度の花火も当時の俺には十分きれいで。
    屋台の暖かい色のライトに照らされた彼女たちを思い出すだけで
    今でも胸が躍るくらいだ。夏のひと時をすごすには魅力的な女の子たちだった。
    でも当時の俺にとって、それは非常に危険な感情でもあった。
    そのどちらかをきちんと選んで、自分から手をつなぐ勇気もないくせに。

    ずっと俺は横山さんに恋をしていた。していると思っていた。
    それがだんだんわからなくなってきてしまった。



    182:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 13:01:56.71ID:WgAsFJWe.net
    それでも表面上は今迄通りの関係を続けた。壊したくないという一心で。
    奥山の気持ちも気になってはいたが、思い切って言葉に出すことは出来ない。
    悶々とした気持ちを抱えたまま、いつのまにか木枯らしが吹いていた。
    それと同時に、俺の気持ちにもはっきりとした変化が訪れた。
    ひとりベッドでいるときにいつも頭を支配していたツインテールの女の子は
    いつしか思わず頭を撫でてしまった、おとなしくて控えめな眼鏡の女の子になった。

    どこにでもいる中学生の日常を過ごすうち、
    どうやら俺は吉田さんのことを好きになってしまったようだ。

    すこしずつ、でも確実に。

    読む本が、同じだった。
    話す言葉が、同じだった。
    孤独の種類が、同じだった。

    奥山といるときの楽しさとも、横山さんといるときとのドキドキとも違う。
    お互い話すことがなくなってからの沈黙でさえ心地よく感じたんだ。
    きっと彼女が男だったとしても俺は好きになっていたのかもしれないと思うほど。

    壊したくない。変えたくない。ずっとこのままいたい。
    そんな気持ちを全身を貫く激しい衝動が片っ端から破壊していく。



    183:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 13:04:36.76ID:WgAsFJWe.net
    ある日ついに俺は行動に移した。
    まずは奥山だ。あいつと話さなければならない。

    それが子供から少年、そして大人に至る過程にある俺が導き出した答えだった。
    あまり好きな言葉ではないけれど筋ってやつだとその時は思った。
    臆病で弱い俺の、精一杯の誠意でもあった。

    彼は俺の呼び出しにいつものように気軽に応じてくれた。
    俺の部屋に来た時にすぐに違和感を感じたのか、奥山は

    「どうした?」と短く聞いた。
    「俺さ、吉田さんの事好きになってしまった。」俺も端的に話した。

    ぐだぐだと長い話をする気はなかった。
    どこか気恥ずかしく、口調はぶっきらぼうになってしまった。

    「そうか。」と彼は一瞬考えてから絞り出すように言った。

    俺は勇気を絞って聞いた手前、すべてを明らかにしたいと思っていたので
    いままで気になっていたことを彼に聞いた。

    「お前は、どっちが好きなんだ?」

    奥山は今度はゆっくり考えそしてなんだか困ったような顔をして、こういった。

    「俺は、横山さんが好きだ。お前もそうだと思っていた。



    185:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 13:09:51.88ID:WgAsFJWe.net
    一抹の不安はあったが、予想通りの答えが返ってきて俺は内心ほっとした。
    こいつと一人の女の子を取り合うなんて、過酷すぎる。
    友情が壊れるのも怖かったが、情けない話こいつにはどうしても勝てないと
    心のどこかで思っていたからかもしれない。
    それでも俺は、一生懸命勇気を出して話をした俺に対して
    正直に答えてくれた奴に実直さを感じた。

    「告白するつもりなのか?」彼は言った。
    「ああ。」と俺は返した。

    もう彼は何も言うつもりはないようだった。
    言葉を探す代わりに、彼はにこりと笑ってくれた。

    応援するような、それでいてどこか寂しそうな。
    男の俺が見てもはっとするような笑顔だった。
    俺はやっぱりこいつにはかなわないな、と思い一緒に低く笑った。

    それから1週間くらいは無為に過ぎたのではないだろうか。
    俺は告白のタイミングを計ってはいたがなかなか切り出せずにいた。
    それでもこの心地いい関係を壊すことには変わりないのだから
    どうせなら堂々と4人でいるときに告白しようと思っていた。
    バレンタインデーの前には決着をつけるつもりだった。
    吉田さんから、俺だけのためのチョコレートが欲しかったから。



    191:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 17:33:11.55ID:WgAsFJWe.net
    ある週末に、あの夏休みの時に待ち合わせた小学校の桜の木の元に
    みんなを呼び出した。青々とした葉はいつしかきれいさっぱり無くなっていて
    それをみていたらなんだか心の隅っこまで寒々しい感情に支配された。

    俺は一人でまっていた。気合いが入りすぎて、早く来てしまったんだ。
    空には雲一つなく、俺の吐く息はすぐさま白い蒸気になった。

    一番先に、横山さんが来てくれた。
    この時の俺はひょっとしたらものすごい顔をしていたのかもしれない。
    開口一番、彼女はあのはつらつとした笑顔を少し曇らせ俺に聞いた。

    「どうしたの?」奥山と同じ言葉だ。

    でも男同士の会話のように率直にというわけにはいかない。

    「みんな来たらちゃんと話すよ。大丈夫だから。」精一杯の俺の強がりだ。

    ほどなく吉田さんが現れたが、ただならぬ空気を察したのか押し黙ったまま
    その場に突っ立っていた。一度救いを求めるように横山さんを見たが
    彼女も何もいわず、重い沈黙だけがその場にべとっと張り付いた。

    ありがたいことにすぐに奥山もやってきてくれた。
    あいつは状況を知っていたから遠目に見てもひどく深刻な表情を浮かべていた。
    不思議と寒さはもう感じていなかった。

    全員がそろうと沈黙に耐えきれなくなった俺は口を開いた。

    「俺、みんなに話がある。みんなに聞いてほしい。」と。



    192:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 17:33:53.18ID:WgAsFJWe.net
    誰も言葉を発しなかった。俺を待っていてくれた。
    思い切って俺は吉田さんを正面に見据え、その眼鏡の向こうにある目を見つめ言った。

    「俺、吉田さんの事が好きです。」

    そこまで言って、落ち着くために一度大きく深呼吸して俺は続けた。

    「4人の関係を壊したくないとも思ったけど、何度考えても好きで。今言わないと
    一生後悔するって思ったから言います。本を読んでいる吉田さんも、
    人見知りな吉田さんも、そのそばかすも、俺たちだけに見せてくれる笑顔も全部好きです。」

    練りに練った言葉のつもりだ。何しろ初めての告白だ。
    一世一代の大勝負というと大げさかもしれないが
    中学生にとってはそれは非常にエネルギーのいることだ。
    おっさんが飲み屋で女の子を口説くみたいに、とはいかないのだ。
    純粋で、飾る気もない、心からの言葉だった。
    こんなにまっすぐに誰かに感情をぶつけたことが、俺はなかった。



    193:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 17:34:52.62ID:WgAsFJWe.net
    永遠にも思える静寂。


    皆が皆、木枯らしの吹く中空をみつめ、まるで時間が俺たちだけ動かすのを
    忘れてしまったみたいに、止まっていた。
    しかし突然沈黙を切り裂くように俺たち以外に誰もいない校内にチャイムが空々しく響いた。

    時間は動きだした。

    俺を含めみんなが吉田さんの方を見る。彼女は状況を把握するのに時間がかかるタイプだ。
    俺以外の2人もそっと見守る。誰も急かしたりなんてしない。

    しばらくして、呆けていた吉田さんはあの時のように一度はっと目を見開き
    その次の瞬間、ゆでだこのように顔を真っ赤にした。耳まで朱に染まる。

    「あっあの…私…えっと…」

    困っている。困っているぞ吉田さん。
    そんなところも大好きです。

    「うん…ありがとう…嬉しい…」

    来たか?コレ来たか?
    他の二人も息をのんで見守ってくれている。



    197:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 18:27:57.28ID:WgAsFJWe.net
    吉田さんは俯いてもごもご言っていたがついに何かを決心したような顔に変わり
    今まで聞いたことのないような大きな声で、こう言った。



    「でも、ごめんなさい!!私、横山さんが好きなんです!!!」


    「え?」
    「え?」
    「え?」

    ぽかーん。振られたことに気が付くことさえできない。
    奥山じゃないよな?横山さんっつったよな?
    横山さんって、確か女の子だったよな?
    その辺から脳みそをリロードするしかなかった。



    198:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 18:28:30.25ID:WgAsFJWe.net
    みんな、鯉のように口をぱくぱくしながら固まっている。
    おいコレどーするんだ。これまでの俺の徹底的だと思われた
    シュミレーションにも当然こんなのは入っていない。

    「気持ち悪いよね…女の子どうしなんて…でもあのときハンカチもらった時から私…」

    そこまで言って彼女は言葉を紡げなくなりぽろぽろと泣き出した。

    そんな事、頭をよぎったこともなかった。
    俺は必死に言葉を探したが、検索結果はゼロだった。
    あの奥山ですら、似たような顔をしていた。
    ただただ俺は、また泣かしてしまったことを後悔した。



    200:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 18:28:57.76ID:WgAsFJWe.net
    突如、横山さんが口を開いた。

    「うん…そんなことないよ…。」彼女は吉田さんの頭を優しく撫でた。

    「私も、みんなに話したいことがある。」あやすように撫でながら彼女は続けた。

    「女の子に恋をしてしまうのは、私も同じなの。」

    「え?」
    「え?」
    「え?」

    全員が横山さんの言葉にくぎ付けになる。
    この後決定的な一言を彼女は言うことになる。
    彼女らしく、きちんと目を見てはっきりと。

    「吉田さん。私もあなたのこと、好きよ。恋愛対象として。」

    えぇぇぇぇぇぇっぇぇっぇぇぇぇぇぇ…?



    201:1@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 18:30:00.11ID:WgAsFJWe.net
    言葉にならない。俺は耐えられなくなって、奥山の方を見る。
    あいつもやはり困惑と悲しみに満ちた表情をしていた。
    そうだ。あいつも同時に振られていたんだ。告白する前に。

    俺の告白は一体どこいちゃったんだよ…
    眠れなかった時の幾夜にもわたるシュミレーションに費やした時間も…
    俺のちっちゃな勇気も…奥山なんかすまんかった…

    二人の間には冬とは思えない桃色のオーラが包んでいる。
    俺と奥山はもう、ただの邪魔者でしかなかった。

    「俺も、気持ち悪いとは思わない。応援するよ二人の事。」

    そう言うのがやっとだった。どっちにしても友達であることには
    変わりないのだから。いたたまれなくなった俺は、
    茫然自失とする奥山の腕を引っ張り、その場を離れた。
    自分が振られた悲しみよりも友人が幸せになる喜びを優先させた。
    いや、無理やりにでもそうしようと努力した。
    本当は悔しくて悲しくて寂しくて。泣き出しそうだったのだけど。



    204:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 18:48:28.23ID:qQ4rvx9d.net
    レズはホモ


    205:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 19:05:31.60ID:ZHYF/fIg.net
    まさか1の嫁はオクヤ…


    208:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 00:45:35.69ID:ZifL36Mz.net
    >>204
    >>205
    変な流れにしないでくれwご想像にお任せする。



    206:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/12(金) 21:14:10.40ID:2tx/cBzi.net
    ちょっとこの展開は予想でしなかったw


    208:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 00:45:35.69ID:ZifL36Mz.net
    >>206
    俺もしていなかったよw



    209:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 00:46:27.63ID:ZifL36Mz.net
    俺たちはまた、あの小学校で仲良く玉砕した。
    帰り際、寂しそうに悲しそうにまた奥山がつぶやいた。

    「女って怖いよな…」

    その言葉には色々な成分が含まれていたが、俺は曖昧に頷いただけだった。
    本当は痛いほどその気持ちは分かっていたのだけれど。
    すまんという言葉を俺は彼の名誉のために飲み込んだ。


    その日の夜、俺は久しぶりに枕に突っ伏して泣いた。
    隣室の姉ちゃんにばれない様に声を殺して。
    しかし夕食の時の俺の空気から何か感じ取ったのだろうか。
    深夜、俺の部屋のドアが音もなく開いた。

    2番目の姉ちゃん。綾子だった。

    「…泣いてるの?」一言だけ。
    「だんっでもっ…だいっ…」と俺。バレバレではあるが強がった。
    「ウケる」そう姉ちゃんは言い残しまた静かにドアを閉めた。

    隣の部屋から二人の姉の爆笑が聞こえる。
    女なんて女なんてオンナなんて…
    俺は頭の中でそう呪文を唱えこの世のすべての女を呪った。
    逆恨みであることは十分理解していたよ、もちろん。
    でもそうしないと壊れてしまうような、そんなギリギリの気持ち。
    まさに泣きっ面に蜂だ。俺はさらに泣いた。体中の全ての水分が涙に変わった頃、
    俺はいつの間にかすとんと深い眠りに入っていた。
    不思議なことにまったく夢は見なかった。



    210:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 00:49:52.73ID:ZifL36Mz.net
    その後の俺たちは、仲違いしていたわけではないが少しだけぎくしゃくとした
    関係になってしまった。横山さんと吉田さんはどことなく二人だけでいたがっていた
    様な気がしたから俺と奥山はなるべく邪魔をしないでおこう、という立場をとった。
    もちろん学校の他のやつにはこのことは話していない。
    はた目にはただの仲の良い女子に見えていたことだろう。俺はそれで良いと思った。

    もちろん今でもこの話は同級生には内緒にしている。
    絶対に墓場まで持っていこうと俺は思っている。
    しかしついこの間、それぞれ普通に結婚し特に横山さんは2人の子宝に恵まれたと
    言う事を人づてに聞いた。

    一体あれはなんだったのだろうか?
    思春期の女子特有の一過性の得体のしれない何かだったのだろうか?

    俺はそれを聞いたとき一瞬そう思ったが、まぁ幸せになっているのならいいことだと
    すぐに思い直せるほどには大人になった。きっと答えはこれからも出ないだろう。
    出す気もない。今の俺は、直接会っても素直におめでとうと言えるだろう。

    それでも当時は、二人で帰る後姿を遠くから眺めながらちくちくと痛む心を
    なんとかなだめながら生活していた。応援すると言った手前、
    それ以上俺がどうこうするということはで不可能だった。
    かといって今までとまったく同じように接するほど器用でもなかった。



    211:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 00:53:11.06ID:ZifL36Mz.net
    そのままするりするりと時は流れ。

    3年生になり4人でべったりということは随分と減った。
    俺には高校受験が控えていたし部活だって追い込みの時期で結構忙しかった。
    恋愛なんてもうこうごりだと俺は思いながら暮らしていたから、
    忙しさで自分の心の痛みを押しつぶすようにしてひたすら頑張った。

    奥山は、中学を卒業したら働くことに決めたとある日俺に言った。
    ウチの親父と同じ、自動車メーカーの養成所の様な所にいくようだ。
    そこなら寮があるし、あの酔っ払いも手が出せない。
    一緒に高校に行けないのは寂しく思ったが、俺はいい考えだと彼の意見を尊重した。

    俺は何をやらせてもボンクラだったからとりあえずまぁまぁ学力の私立高校に決めた。
    中学の部活も特に強いわけでもなくインターハイなんて夢のまた夢だったが、
    最後の大会では思い出づくりに出場させてもらった。
    流川と同じバッシュと、奥山と一緒に円満にバスケ部を引退した。

    その大会の少し前くらいからちょくちょく試合や練習を見学に来ていた
    女子の集団の中に一年下の後輩の女の子がいた。名前をアヤコとしよう。
    そう、俺の2番目の姉の綾子と同じ名前だったから名字ではなく下の名前で覚えた。
    彼女は地域にある唯一のキリスト教会の牧師の娘だった。
    当時はよくわからなかったが牧師ということはプロテスタントだったんだろう。

    俺と同じように髪の毛が茶色がかっていて目も少しグレーがかった美人だった。
    誰かからイギリス系のクォーターと言う事を伝え聞いた。
    ロングのストレートの長髪に、いつも水色のカチューシャをしていた。
    贔屓目だったとしても彼女は学年は下なのに彼女はとても大人びて見えた。
    軟弱な俺なんかよりもっと透明な白い肌をしていて、手足もすらっと長かった。
    くちびるは化粧をしていないのにいつも紅を引いたように赤く、
    何よりも制服のスカートを短くして履いているのがとてもよく似合った。
    今イメージするJKファッションの流行はこの辺の時代からじゃないかと思う。
    とにかくおしゃれで異質な空気を彼女は持っていた。



    212:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 00:56:57.37ID:ZifL36Mz.net
    彼女が属していた団体はよく冷たいタオルやはちみつ漬けのレモン、
    スポーツドリンクなんかをよく差し入れてくれた。
    そのおおかたが文化部系の女子だったから彼女はその中でもよく目立った。
    俺はバスケ部のモテるランキングには入っていなかったし、激しい女性不審だったから
    基本的には無視を決め込んでいた。奥山は簡単に軽口を叩いて彼女たちをよく
    笑わせていたが。コミュニケーションの達人なんだよ。奴は。
    正直うらやましくなかったと言えば嘘になる。でも俺は意固地だったから。
    たぶん卒業まで二、三回しか話していなかったんじゃないかと思う。
    でも髪の毛の悩みについて話したことだけはよく覚えている。

    体育教師のゴリラがしつこいこと。
    持って生まれたものをかえる気はないこと。
    そういったいわゆる普通とされていることに違和感があること。

    俺は極力興味なさそうな顔をしたつもりだったが
    なかなか同意を得られることがなかったのでこの時はよく話したと思う。
    奥山はこの時、同じ体育館にいた横山さんと遠巻きにニヤニヤしていた。
    てめーはもう。人の事より自分の事心配しろよ。あと、俺で遊ぶな。


    話は飛んで、卒業の日。俺は学ランだった。
    胸には卒業生の証の白い紙でできた花飾り。
    それぞれが、それぞれの道を進む分岐点。
    最後のHRも終わり奥山や横山さん、吉田さんと別れを惜しんだ。
    なかなか会えなくなっちゃうねなんて言いながら。もうわだかまりはなかった。



    217:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 17:55:19.56ID:ZifL36Mz.net
    卒業式に出席してくれた母は、先に帰ってもらった。
    友達と話していくからと。

    校門を出るときに、俺はちょっと驚いたがアヤコは俺を待っていてくれた。
    学ランのどの中学校でもある第2ボタン文化を継承するためにだ。

    俺は自分のボタンが誰かにもらってもらえるなんて思ってもいなかったから
    少し驚いた。それもこんな美人が俺を待っているなんて。

    俺はこの日初めて異性から告白を受けた。

    「先輩。ボタンください。あと、先輩の事が好きです。」

    何かのついでのように彼女は明るく言った。
    彼女からは緊張のかけらも感じられなかった。
    ただ少しだけその透明感のある頬に赤みがさしていたような気がした。
    本格的な春を目前にした柔らかな日差しは彼女の色素の薄い髪の毛と
    瞳に反射しきらきらと弾けた。
    俺は情けなくも何を言っていいかわからなくなった。
    好きになるには情報が少なすぎた。信じられないという気持ちもあった。



    218:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 17:56:59.50ID:ZifL36Mz.net
    「去年からずっと先輩の事、見てたんです。」知らなかった。
    「あ…そうなんだ…ありがとう。」我ながら気のきかない台詞だ。
    「一度でいいんです。春休み、デートに連れて行って下さい。」と攻めの姿勢の彼女。
    「・・・・・」何か言ってやれよ。俺。でも心の準備ができていない。
    「これ、あたしの家の電話番号です。約束ですよ?」この子ぐいぐいくる。

    返答を待たずに、彼女は無理やり俺の手に可愛らしいピンクの便箋を押し付け、
    校舎の方に彼女は走って行った。手が触れたとき不覚にも俺はどきりとした。
    俺は茫然として見送ったが遠くのほうで女子が何人か彼女を受け入れ、弾けるような
    黄色い嬌声だけが俺の耳に届いた。よく体育館に来ていた集団だ。
    俺はぎりぎりの平静を保ったまま、後ろを向き帰ろうとした。

    そんな時だ。背後から声がかかった。



    219:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 17:58:31.29ID:ZifL36Mz.net
    「…青春ってヤツすか。いいですなぁ。」奥山だ。しまった。
    「…えと、どこから見てた?」俺は動揺を隠しながら振り向かずに聞いた。
    「大体全部」マジすか。お前ってやつは。
    「どどっどどっどどっどどうしよう奥山。」

    俺はあいつの方を見た。奥山の学ランにはボタンが一つもなかった。
    マジかこいつ。勝てないとは思っていたがここまで差が付くものか。
    でもいい。俺の結果も、ゼロではない。

    「おま、それ…」俺はだらしなく前が開かれた制服を指さし聞いた。
    「あぁ、ちょっとハイエナに襲われた。」なんてこと言いやがる。
    「おい奥山よ。俺はどうしたらいい?」もう一度聞き直した。
    「好きなようにすりゃいいじゃん。でも約束しちまったんだろ?」俺はしてないぞ。
    「ま、ちゃんと断らなかったお前が悪いよ。電話くらいしてやんな。」

    続けてそう言い奥山は手をひらひらさせながら帰って行った。

    初めて異性から向けられたまっすぐな好意に俺は照れていた。
    俺が吉田さんに告白した時のような切実さや喪失感みたいなものは一切なかった。
    ただふんわりと暖かく、柔らかい印象だけが俺の心に残った。
    確かに、礼儀として電話くらいはするべきかもしれない。

    家に帰り、便箋を開くと女の子らしい可愛い丸文字で電話番号と
    メッセージが書かれていた。ハートマークつきだ。
    この便箋はどこかに行ってしまったのでもう確認することはできないが、
    自分と同じ茶色い髪をもつ俺をどのように好きになったかが書かれていた。



    220:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 18:00:42.11ID:ZifL36Mz.net
    生まれて初めてのラブレター。嬉しくないわけなんかない。
    この年頃の男の子なんて簡単なものだ。すぐに彼女のことで頭がいっぱいになった。

    家に帰りドアを開くと、土曜で休みだった姉ふたり運悪く遭遇した。
    いつもこいつらは俺が会いたくないときに出てくる。
    ふたつの視線が俺のなくなった第2ボタンの位置に無遠慮に注がれる。

    ニヤリ

    魔物だ。魔物の群れに見つかってしまった。
    しかもとてつもなく旨そうな餌をぶら下げて。

    「あんたそれどしたん」ニヤニヤ長女
    「ちょっとこっちいらっしゃいお姉ちゃんに話してごらん」ニヤニヤ次女。
    「おかーさーん!ちょっと!イッチが第2ボタン喪失して帰ってきた!」増えるな!!

    やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇっぇええええええ!
    そっとしておいてよ…暇人すぎるだろ…女っていくつになってもこういうの好物だな。

    俺は逃げるように二階の自分の部屋に飛び込み、ドアが開かないように
    勉強机の椅子をつかってバリケードを作った。

    扉の外には魔物が三匹蠢いている。



    221:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 18:02:24.01ID:ZifL36Mz.net
    「げへへへへ…お姉ちゃん何もしないから話聞かせてごらんよ」と千賀子姉。
    「告白されたの?されたんだろ?もうネタは上がってるんだ吐けよコラ」と綾子姉。
    「そうなのイッチ?いつも来てた女の子?どっち?ねぇどっちなの?」母よエグるな。

    しかし俺の築いた結界は鉄壁だ。
    そのうち彼女たちはあきらめつまらなそうに捨て台詞を吐いて去って行った。
    しかしこれで終わりではない。腹はいつかは減る。
    休日出勤の親父さえ帰ってきてくれれば何とかなる。そう思っていた。

    その日の夕食は俺の卒業祝いと言う事もあり好物の手巻き寿司だった。
    俺は黙秘権を行使し、女性軍の攻撃をのらりくらりとかわしていた。
    援軍を期待していた親父は赤ら顔でビールを飲みながら嬉しそうに

    「ついにお前も色気づいたか」と一言だけいって後は彼女たちの好きにさせていた。

    卒業したことに誰も触れてくれないんですけど…おめでとうとかないんすか…

    俺は胸がいっぱいになって、好物だというのにいつもの半分も食べられなかった。
    それでもすべての攻撃はかわし切れたし、面白がっている反面俺の成長を
    喜んでくれていると言う事だけは伝わったので、嬉しくもあった。
    なんていうか、照れてるだけだったんだよね。



    222:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 18:03:45.06ID:ZifL36Mz.net
    俺はまた部屋にこもり彼女からもらった便箋を広げ、
    なんどもなんども読み返した。すぐに電話したい気持ちもあったが
    当時は家電しかない。お父さんとか出たらなんて言えばいいんだ。
    それにデートだ。デートって何すりゃいいんだ。

    吉田さんとも横山さんとも何度か2人っきりということはあったが
    デートというクエストは俺にとって初めての経験だった。
    何を着ればいい?どこにつれていけばいい?何を話せばいい?
    一つもわからない。ついに俺は意を決して姉の部屋に突入した。
    魔物のことは魔物に聞くしかない。奥山だって頼れない。

    「姉ちゃん。からからわないで聞いてほしいんだけど」

    ニヤニヤしている。ふたりとも。でも頼れるのはこの魔物たちしかいない。

    「やっと来たか。聞いてやるぞ可愛い弟よ。」と長女千賀子姉。
    「デートってどうすればいいんだろう。」覚悟をきめて俺は聞いた。
    「デート…だと?」次女綾子姉が息をのむ。



    223:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 18:04:42.41ID:ZifL36Mz.net
    そのあと根掘り葉掘り聞かれた。俺は断りきれなかっただけだとことさらに強調したが
    こいつらの耳にはまるで届いていないようだった。
    俺はあの可愛い便箋だけは見られないよう死守した。なんだか、悪い気がしたから。

    ぐだぐだするんで、この辺は箇条書きにさせてもらう。

    ・洋服は明日昼間に一緒に見に行ってやる。
    ・あまり彼女を歩かせない。気合い入れすぎて履きなれない靴で来るかも。
    ・女の子に出費をさせるな。お姉ちゃんたちがお母さんから資金を調達する。
    ・もう遅いから明日電話すること。昼間なら父親が出る可能性は低いかもしれない。
    ・彼女がいなかったら夕ご飯前の時間帯、もしくは夕食後を狙え。明日が勝負だ。
    ・とにかく話せ。なんでもいいから。スベッても相手が好きなら努力は買ってくれる。
    ・焦って襲うな。でも一応ゴムは持ってけ。

    そんなことをうやうやしく拝聴した。
    いや、ゴムいらんやろ。姉ちゃん。襲うような勇気ねぇって。
    あんたたちとは違うんだよ。コロコロ男変えやがって。ヤンキーばっかり。

    ともかく俺は映画に連れて行くことに決めた。
    姉はふたりとも最初のデートで映画かよ。と最初口々に文句を言ったが、
    まぁ、厨房なんてそんなもんか、と勝手に納得した。



    224:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 18:06:08.49ID:ZifL36Mz.net
    映画ならば会話に困る時間も少なくて済むし、歩いて疲れることもない。
    そのあと喫茶店にでも入って、なにか食べて帰るつもりだった。
    姉二人は映画館のある駅の近くにあるジャズ喫茶を教えてくれた。
    そこなら二人ともマスターと懇意にしているからよくしてくると言う事だった。
    人生初のジャズ喫茶。俺、大丈夫だろうか。

    村上春樹の小説で存在は知っていたが、怖い人とかいないのだろうか。
    姉は俺の不安を察したのか電話しといてあげるし、そこなら個室もあるから。
    と付け加えた。さすが姉。一生あなたたちには逆らえません。

    翌日、姉二人と共に手早く近くの古着屋でコーディネートしてもらった。
    俺の意見はもちろん無視だ。ああだこうだ言われながら着せ替え人形になった。
    子供のころを少し思い出した。違うのは男物の服ってことだけ。
    当時はちょうどアメカジが流行ってきていたから、リーヴァイスのジーンスと
    ネルシャツ、それに色を合わせたコンバースのオールスターとチームは忘れたが
    メジャーリーグの野球帽を買ってもらった。

    姉曰く、男はシンプルなのが一番、とのことだった。

    とにかくトロ臭い男にはなるな。女の子の喜びそうな映画を選べと
    姉がうるさいので、まずは映画館に電話をかけリサーチした。
    ネットでなんでも情報が手に入る時代じゃないからね。
    正直にそれを電話口で話すと、対応してくれたお姉さんは丁寧に教えてくれた。



    225:1@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 18:07:48.07ID:ZifL36Mz.net
    たしか、「めぐり逢えたら」という映画だったと思う。
    トムハンクスが出ていたことだけは記憶にある。

    兎にも角にも、準備は整った。
    午後の3時くらいだったか?俺はアヤコの家に電話をかけた。

    「はい。〇〇教会です。」2コールもしないうちに彼女が出た。声でわかった。
    「あ、俺です。」緊張しながら俺は名乗った。よかった、本人で。
    「あ!先輩!昨日からずっと待ってました。」と彼女。だから取るのが早かったのか。
    「昨日は色々あってね…ごめんね。」と俺。相変わらず気の利いたことが言えない。
    「でも約束、守ってくれて嬉しいです。」電話の向こうで彼女が微笑んだのがわかった。

    俺はつっかえつっかえではあったが軽く雑談し、彼女の休みの日にデートの約束をした。
    卒業生と在校生では少しだけ休みの長さが違ったからね。

    俺の最寄駅から、映画館は電車に揺られて数駅。
    田舎ではあったが、一応地方都市として最低限の盛り場はある。
    駅前の噴水の前で彼女と映画の開始時間の少し前に待ち合わせた。
    お昼ごはんを食べてから行けばちょうどいい時間だったと記憶している。



    230:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 20:21:36.08ID:lDCz5bnX.net
    今度はどんな女難が待ち受けているのやら……。
    脱ぐパンツ無くなったんだけどこれ以上なにを脱げばいいんだ!?



    240:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 01:37:48.50ID:OPhejNIB.net
    >>230
    すまんスルーしてた。一旦着たまえ。毛糸のパンツでも夜は冷えるぞ。



    233:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 21:27:56.60ID:G5aIQm0s.net
    青春ですなぁ


    237:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 01:12:49.99ID:OPhejNIB.net
    >>233
    若いっていいよね。



    236:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/13(土) 23:58:18.20ID:PVFe7dJ1.net
    おつカレー!
    初デートわくわく♪



    238:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 01:19:20.11ID:OPhejNIB.net
    今日は酔い過ぎていて、しかも明日親友と昼から競馬しながら
    酒を飲む予定があるんだ。書き溜めた分は少しだけあるんだが
    ちゃんとした時に読み返してから投下したいので
    今日はこのまま失礼する。何人かでも読んでくれて、おっさん嬉しい☆

    関係ないけど今日花火を見ていて、目の前の浴衣カップルが
    打ちあがるたびにちゅっちゅしていたことに俺は激しく感動した。
    ちゅうをするたびに浴衣女子がちょっとだけ跳ねるんだ。ちょんって。
    もういちいちブレたりしないけど、なんかいいな、夏だなとおもった。
    ちなみにおっさん目線で嫁がいたことは内緒な。



    239:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 01:25:35.43ID:QWHZUo18.net
    パンツ被った


    240:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 01:37:48.50ID:OPhejNIB.net
    >>239
    明日明後日には脱げる展開もあるだろうw



    241:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 02:11:02.80ID:UZAX4Lmh.net
    なんだかほろ苦く感じるな。
    自分もあの時違う展開をしていれば違う人生もあったのかもしれないな。

    同年代の1を応援する



    246:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:09:44.58ID:OPhejNIB.net
    前の晩、俺はドキドキしてなかなか寝付けなかった。
    好きとかじゃないんだ。俺は義務を果たすだけなんだ。一回だけのことだ。
    そう自分に言い聞かせても、簡単には落ち着くことができなかった。
    結局俺は夜明けごろにまどろんだだけでその日を迎えた。

    翌朝。

    大人たちにとってはたぶん平日だったと思う。
    起きると、ありがたいことに家には誰もいなかった。

    リビングのテーブルの上には一万円札が二枚。おかんのメモ付き。
    ガラスの大きな灰皿で、飛ばないように押さえつけてあった。
    当時の俺にとっては途方もない大金だ。
    きっと俺が恥をかかないよう、気を使ってくれたんだろう。

    メモには「余ったら返すように。がんばってね。おかんより」と一言。

    きっとお姉ちゃん達からすべてを聞いているのだろう。
    俺は気恥ずかしさも感じたが、素直に感謝することにした。



    247:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:10:47.23ID:OPhejNIB.net
    落ち着かないまま、適当に朝飯と昼飯を兼ねたペヤングを二つ食べて
    洗面所で顔を洗って生えてきたばかりのたいして濃くない産毛のようなひげも剃った。
    歯磨きも、歯茎から血が出るくらい念入りにやった。

    俺は玄関にある大きな姿見の前でこの間買ったばかりの服に着替えて
    自分に隙がないかどうかじっくりとチェックした。姉の忠告通り、ブルージーンズは
    下品にならないよう少しだけ落として腰のあたりで履いた。
    ハンカチもティッシュも持った。ゴムは用意しなかった。
    それでもまだ出発予定時間の1時間以上前だったと思う。

    勢い余って手持無沙汰になってしまった俺は、とりあえず駅に向かった。
    目的地について時計を確認したら、当たり前ではあったがまだかなり時間が余っていた。
    駅前をふらふらして、当時最先端でデパートでしか売ってなかったハーゲンダッツを
    ベンチで一人で食べて、待ち合わせ場所に戻った。それでもまだ30分近く前だった。

    駅前の噴水脇に所在なさげに座っていると横から声がかかった。

    「先輩?」彼女だ。まだちょっと時間には早い。俺は虚を突かれて、ビクっとした。

    彼女は春らしい、水色のワンピースを着て、姉の予想どおり少しかかとのある靴を履き
    うっすらとではあったものの化粧をして、耳には控えめで小さなイヤリングをしていた。
    いつもと同じなのは、洋服と同じ色のカチューシャだけだった。お気に入りなんだろう。
    一瞬うっとりとしてしまうほど、よく似合っていた。彼女の白くすらりとした足が、
    とても眩しく俺の目には映った。制服とのギャップもあったと思う。



    248:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:12:43.02ID:OPhejNIB.net
    「待たせちゃいました?ひょっとして。」彼女は小悪魔っぽく笑いかけそう聞いた。
    「いっいや…ちょっと駅前に用があったから…」俺は彼女に初めての優しい嘘をついた。

    間が持たない俺はとにかく映画館へ行こうと彼女と連れ立って歩き出した。
    途中ではっと思い出し、姉に仕込まれた言葉をなんとか繰り出した。

    「…そのワンピース、よく似合ってる。いつもとなんか雰囲気違うね。」
    「そうですかー?嬉しいです。先輩も、かっこいいですよ。」彼女はくすくすと笑った。

    しかし次の手は俺にはない。映画館までのほんの数分が永遠にも感じられた。

    「つぎは『めぐり逢えたら』が始まるね。これでいい?」偶然を装って俺は聞いた。
    「あ、これ気になってたんです。いいですね!」純粋に嬉しそうだ。

    姉!魔物とか言って正直すまんかった!あと映画館の名前も知らないお姉さん!感謝!

    チケットを買い、映画が始まるまでパンフレットやグッズを見ながら時間をつぶした。
    アラジンだったか何だったか、彼女はディズニー映画のぬいぐるみに食いついていた。
    見る予定の映画とは違ったが、随分欲しそうな顔をしていたので
    せっかくだから記念に買ってあげる、と俺は言った。もちろん姉の入れ知恵だ。



    249:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:13:47.49ID:OPhejNIB.net
    彼女は可愛いらしく、目を大きく見開いてまるで子供みたいに

    「ほんとに?ほんとにいいんですか?ほんとに?」と何度も俺に聞いた。

    そんなに大きくなく値段も安かったから俺は迷わずプレゼントした。
    また彼女は何度も何度も繰り返し俺に呪文のようにつぶやいた。

    「ありがとうございます。嬉しいです。大切にします。」

    きゃっきゃっきゃ。そんな感じ。大人びて見えてもやはり年下なのだな。
    美人で魅力的な女の子にこんなに喜んで貰えれば、男としても本望だ。

    買ったばかりのぬいぐるみを袋ごと胸のところで抱きかかえ、ぴょんぴょんと跳ねる。
    本当に嬉しそうにするものだから、俺までちょっといい気分になった。
    映画が始まる前に俺は大きなポップコーンと飲み物を二つ、ついでに買った。

    シアターデートにおいてのお約束の様なものだと俺は思う。
    映画館で映画を見るときには、片手にポップコーンが無ければならない。
    ちなみにこの習慣はいまでも変わらない。
    バターもキャラメルも無い、シンプルな塩味。それがいいんだ。

    「あ、あたしもお金出しますよ。」彼女はそういって財布を出したけど、
    俺は受け取らなかった。年上だし、今日はその、一応デートだからと。
    いつもいつもは無理だよ?と念を押すのは忘れなかったが。
    まだバイトもしてないんだ。いつもじゃすぐに破産しちまう。



    250:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:15:32.77ID:OPhejNIB.net
    この時点ですでに、一度きりのデートで終わらす気がなくなっていた。
    それでも今日だけは精一杯背伸びをしたかった。
    ファーストキスは目も当てられないような悲惨な目にあったんだ。
    初デートくらい理想を求めたっていいじゃないか。俺は心の中で神様に言った。

    たしか、「めぐり逢えたら」という映画だったと思う。
    トム・ハンクスが出ていたことだけは記憶にある。
    舞台は冬で、よくあるラブコメだった。
    とにかく俺は緊張で映画を見る余裕もなかったよ。

    ラストで、ヒロインが車から降りてニューヨークの街を走って行くシーンだけ
    克明に覚えている。その時彼女に暗闇の中できゅっと手を握られたから。
    俺はここまですべて後手に回っていた。スクリーンの光が彼女の感動の涙に反射して
    きらりと輝いた。その横顔が、まるで聖母マリアのようで。純粋に美しいと俺は思った。

    映画がエンドロールまで終わり、場内が明るくなっても彼女は泣いていた。
    その手はまだ俺の掌に重なったままだった。やっぱり暖かくて、柔らかかった。
    誰かが作った虚構の物語でここまで感動できるなんて、なんていい子だと俺は思った。



    251:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:16:17.46ID:OPhejNIB.net
    そのまま、初めて俺は女の子と手をとりあいながら街を歩いた。
    といってもジャズ喫茶までのほんの数分だったが。
    恋人繋ぎじゃない、子供の様なつなぎ方。緊張で俺は掌に汗をかいていたのに、
    彼女は嫌がることもなく何度かきゅっきゅと俺の存在を確認するように軽く力を入れた。
    そのたびに俺は彼女の方を見た。それに合わせるように彼女も微笑みを返してくれた。

    からんからーん。ジャズ喫茶のドアに設置されているカウベルが鳴る。
    姉に報告されるのは恥ずかしいので、入る直前に俺は彼女の手を放した。
    俺はアヤコがちょっとだけ、ぶすっとした顔になったのを見逃さなかった。
    その顔はまずいよ君。可愛いすぎるよ。

    「あの、イッチです。いつも姉がお世話になってます。」とりあえずのあいさつ。
    「あぁ、聞いてるよ。いらっしゃいませ。」とマスター。

    …顔が怖い。年のころは40代だろうか。スーパーマリオみたいな髭をたくわえている。
    白いシャツに、蝶ネクタイ。その上から黒いエプロンをしている。
    店内にはコーヒーのいい匂いがした。カウンターにはサイフォンと様々なカップが並び、
    年代物の古い木製のスピーカーからは会話の邪魔にならない程度の音量で
    サックスが主体のジャズが流れている。いいぞ、いい雰囲気だ。
    どうやら他にほとんど客はいないようだった。



    252:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:18:56.30ID:OPhejNIB.net
    「こちらへどうぞ。可愛い彼女つれちゃってまぁ。個室用意してるよ。」

    どうやらこの一言で彼女の機嫌は一瞬にして治ったようだった。
    さすがヒゲ。さすが大人だ。スーパマリオだけのことはある。
    俺はころころと変わる彼女の表情が面白くてしょうがなかった。
    この子と付き合ったら楽しいだろうな、と俺はぼんやり思った。

    個室と言っても、木製のついたてで仕切られただけのスペースだったが、
    人目を避けるには十分だ。革張りの重厚な一人掛けソファーとアンティークと思われる
    濃い飴色のテーブル。脇には観葉植物が飾られている。

    席に着くと彼女は内緒話をするように小さく言った。

    「先輩、あたしこんなお店初めて。」と目を輝かせている。
    「俺もだよ。ねえちゃんに教えてもらったんだ。」俺は正直に言った。
    「そうなんですか?ちょっと緊張します」彼女はそう言ったが、

    いつものように緊張感の無い顔をしているので俺はそれに突っ込み、
    二人で声を出さずに笑いあった。こんななんでもない会話で十分楽しかった。



    253:1@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 19:21:00.78ID:OPhejNIB.net
    俺はハンバーグのセット、彼女はオムライスを注文した。
    食事が来ると少しだけ胸の前で手を組み口元でお祈りのようなものを唱えたのが、
    とても印象的だった。怪しい宗教の勧誘なんかとは違う、自然な振る舞いだった。

    彼女はほんとうにおいしそうに食べる。そしてたくさん食べる。
    ひとくちずつ、ハンバーグとオムライスを交換した。
    両方食べたかったらしい。それでもまだ食べられそうな顔をしていたので
    俺は彼女のためにチョコレートパフェ、自分にはウィンナーコーヒーを追加で注文した。

    たわいもないおしゃべり。くだらない会話。
    最初こそ緊張していたが、いつのまにか話は弾んでいた。
    人生で最初のデートの相手がアヤコでよかったと心から思った。
    窓の外に夕闇が迫りくる頃、俺は思い切って聞いた。

    「ねぇ、またよかったらなんだけど。どこか二人で遊びに行こうよ。」

    ちょっと焦ったせいで話を切ってしまうような形になったから
    彼女は一瞬きょとんとしたが、すぐに満面の笑みを湛えて即答した。

    「はい。是非。今日はとても楽しかったです。」と。

    すぐに付き合うとか告白するとか言う気持ちはなかった。
    ただちょっと時間をかけて彼女の色々な顔を見てみたいと思った。
    どんな風に育って、何が好きで、何がきらいで。何になりたいのか。
    そんなことすら、まだ知らなかったから。



    255:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/14(日) 20:11:01.36ID:QEEMUuCo.net
    いい雰囲気ダナ~
    女難の相発揮しないでほしいけどゆっくり見守ろう..



    261:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 13:04:24.40ID:WaoDva9A.net
    >>255
    ありがとう!見守って入れくれ。



    258:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 00:14:00.24ID:3CvcQNmU.net
    なんか>>1に感情移入してるのか
    幸せな話を期待してしまうなw

    続き待ってるぞ



    261:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 13:04:24.40ID:WaoDva9A.net
    >>258
    そういってくれると嬉しいよ!



    259:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 00:42:54.16ID:VGiR82RZ.net
    クリスチャンだから、婚前交渉は、、、駄目か


    261:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 13:04:24.40ID:WaoDva9A.net
    >>259
    あまり関係なから書かなかったけど、プロテスタントは
    大人になって自分の意思で入信するんだ。彼女はまだ洗礼を受けていない。
    ただ、家が家だからちょっとした習慣みないのはあったが。



    269:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:18:51.44ID:WaoDva9A.net
    俺は遅い時間にならないように彼女を家まで送ることにした。
    彼女の最寄駅は、俺の駅より一つ手前だったからそこで降りて、
    送ったら俺はそのまま一駅分、そのまま歩いて帰るつもりだった。

    彼女の家は、教会とはいえそこまで特別な建物ではなかった。
    普通の日本的な家の脇に、簡単な公民館のような礼拝室が寄り添って建っていた。
    窓から暖かな明かりがもれ、焼き魚のような夕食のかすかな香りが漂ってくる。
    普通の家庭となんら変わりない、優しい匂いだった。

    本当はもうちょっと一緒に過ごしたい気持ちもあったが、
    初デートはがっつかず、紳士であれという姉の教えを俺は守ろうとした。

    「それじゃまた。楽しかった。今度はアヤコちゃんの行きたい所行こう。」

    とだけ俺は言い、クールに立ち去ろうとした。そんな俺を彼女は背後から呼び止めた。

    「先輩。ちょっと待ってください。」

    俺は驚いて立ち止まり振り向いた。声に棘がある。何か怒っているようだ。



    270:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:19:43.36ID:WaoDva9A.net
    「どうしたの?」と俺。
    「どうしたのじゃないです。ちゃんてなんですか。呼び捨てにしてください。」と彼女。

    彼女は頬をいっぱいに膨らませ、目を潤ませて。強い口調なのに、可愛いと俺は思った。
    俺はその天真爛漫な陽の気と、勢いに押されこう言った。せめてもの仕返しも兼ねて。

    「…アヤコ。じゃあ君も敬語はやめてくれ。緊張する。」
    「はい。…じゃない。うん。イッチ、大好き。」

    彼女は俺に飛びついてきた。たいして厚くない俺の胸に顔を埋める。
    一切穢れていない純粋な、シャンプーのあまくてさわやかな香りに包まれる。
    まるで陽だまりの中でもいだオレンジのような。もう月が出ているっていうのに。
    うるうると輝きを秘めたそのグレーの上目づかいに、俺は完全にヤラれてしまった。

    俺たちは、そっと、おでこを一度合わせはにかみあい、その後照れながらキスをした。
    最初の一回はとても短く、そっと小動物どうしが親愛の情を確かめ合うような触れ合い。
    あのババアに穢された俺のくちびるは、神の家のすぐそばで赦しを得た。
    そのあと何回も、俺たちはなにか大切なものをついばむようにキスを重ねた。

    地球上、いや宇宙のすべてが、俺たちの為に動きを潜めているように思えた。
    いままでの何もかも、彼女に出会うために仕組まれた巧妙な仕掛けではないかと思えた。
    あくまで自然でいて誰にも、神ですら邪魔が出来ない至上の瞬間。
    永遠に、この時間が続いて行ってその果てに死があれば満足だと俺は心から思った。



    そのときだけは。



    271:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:21:28.35ID:WaoDva9A.net
    短い春休みが過ぎ、俺は高校に進学した。
    あの苦い思い出しかない小学校の桜も例年通りきれいな花を咲かせていただろう。

    たいした高校ではなかったが、その学校を選んだのには俺なりの理由がある。
    俺は、外の世界を見てみたかった。その学校には留学制度があった。
    中学校にはかろうじて友達は居たし、悩みながらもそれなりに楽しかった。
    しかし正直、物足りなさを感じていたのも事実だった。


    俺は「ふつう」というものに違和感を感じざるを得なかった。性格的に。
    地方都市にありがちな我慢して枠内にいれば何とか食えるというだけの安心感と閉塞感。

    言い訳をするわけじゃないが、進学を決めたときにはアヤコはいなかったんだ。
    「ここ」以外の世界へのあこがれと彼女への恋心との間で俺は揺れ、胸を焦がすような
    苦しみが、まだまだ青い俺の心臓を蹂躙した。

    あの日から、俺と彼女は恋人同士になっていた。俺にとって初めての「彼女」だ。
    高校は住んでいる所からバスで片道1時間程度かかったが、俺は時間を見つけては
    彼女と会った。会うたびに、彼女とキスをした。彼女の為に部活はやらなかった。
    一緒に歩いているときは、いつも手を繋いでいた。



    272:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:22:35.86ID:WaoDva9A.net
    折りしもポケットベルが中高生に普及してきていたから、
    会えないときも毎日連絡を取り合った。俺たちはお互いのためだけにそれを買った。

    『084』(おはよ)
    『0833』(おやすみ)

    まだ数字しか送信できなかったけど、それでも彼女の存在を近くに感じることはできた。

    手の繋ぎは子供の手の繋ぎ方から、恋人繋ぎに変わった。
    一緒にいるときは汗ばむような陽気の日でも、小指だけは常にからめ触れ合っていた。
    触れ合うだけだったキスも、もっと濃厚にお互いを貪るようなキスに変わった。
    俺は拡声器で、この子が俺の彼女です!と世界に宣言したいくらい舞い上がっていた。

    何度か家に連れていったから、家族にはすぐにばれた。
    不器用な俺は自分なりに誠実に彼女を大切にしていた。
    ある日、下の姉の筆跡で「ちゃんとつけろよ」と書かれたコンドームの小箱が
    ベッドの上にそっと置かれていた。なんだかわからないなりの愛情を俺は感じた。

    しかし、現実は無残にも俺の選択を求めてきた。
    留学のための願書の提出日が迫ってきたんだ。
    倍率は高かった。高校受験なんかよりもずっと、努力が必要だった。
    このままじゃだめだ。そう思った俺は観念して、彼女に相談した。



    273:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:24:01.43ID:WaoDva9A.net
    ある日、俺は彼女を家に呼び出した。期限まであと3日と言う所だった。
    家には誰もいないタイミングを選んだ。季節はすでに、梅雨を目前としていた。

    「俺、留学の試験を受けたい。受かるかどうかも怪しいけれど。」とおそるおそる。
    「えっ…期間はどのくらい?」と彼女。不安げな視線。長いまつげが揺れる。
    「一年。行くとしたら来年の夏から。」俺は事実だけを伝える。
    「………うん。イッチ、行きたいんでしょ?あたし、待ってる。」

    長い沈黙の後、彼女は俺の目を見ないで言った。言葉とは裏腹に表情に不満があふれた。
    こういうときの彼女の顔色の変化は、俺にとってとても心苦しいものだった。

    「ごめん。行きたいんだ。どうしても。」俺は続けて突き放すように言った。
    「イッチが頑固なのは、知ってる。」彼女は俺の知らない儚げな笑顔を浮かべて言った。

    アヤコはもう何も話したくないようだった。
    どのみち、何か言おうとしたとしても俺がくちびるを塞いでしまったのだけれど。
    少しだけ現実感を増した別れというものの存在が俺たち二人を衝動的にしていた。

    そのままお互いの欠損している部分を補い合うように俺たちは無言で服を脱がしあった。
    彼女は、俺が卒業した中学校の制服を着ていた。その短く腰元で纏めたミニスカートも、
    当時の流行の最先端であった、ルーズソックスも俺が脱がした。
    お返しにひきちぎるように俺の貧相な白いワイシャツもズボンも彼女に脱がされた。



    274:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:25:47.29ID:WaoDva9A.net
    下着だけになった彼女の白い姿はミケランジェロの彫刻よりも遥かに美しく見えた。
    偶像なんかよりももっと生々しく、リアルでその上中心に熱を持っていた。
    つんと上を向いた乳房。そのたもとには青い血管が走っていた。
    ちいさな白いショーツがつつんでいたやわらかなお尻も、重力に懸命に抗っていた。

    俺は戸惑いながらも彼女の全てを取り去り、また自分の最後の一枚は自身で取り去った。
    肉眼で初めて見る女性そのものの麓には、彼女の栗毛の髪と同じ色彩の茂みがあった。

    俺は爆発しそうになりながらもなるべく優しく彼女に触れた。
    彼女も少し涙ぐみながらも俺を求めてきてくれた。
    そこはすでにぐっしょりと潤っていて、俺の興奮を煽る官能的な香りがした。
    深くキスをしながら。淡いピンク色の乳首を指先に感じながらたくさん触った。

    ときたま目があい、恥ずかしそうに身をくねらせる彼女。
    はぁはぁと獣のように荒い息を上げる俺。時は満ちた。

    いままで、流されるまま他人に接していた俺が、
    はっきりとした愛情を彼女にあるがままぶつける。

    彼女と同じ名前の姉から貰ったコンドームを付けアヤコの中に侵入する。



    275:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:27:13.69ID:WaoDva9A.net
    姉と同じ名前を持った彼女の名を耳元で囁きながらゆっくりと動かす。

    彼女は最初痛がったが、暖かいと言うよりは熱く無限に柔らかいその部分は、
    俺をちゃんと受け入れてくれた。慣れていない俺は多少時間がかかったものの、
    なんとか頂点に達することができた。ほんの少しだけ朱く、初めてのしるしがあった。
    お互いの初めてが重なったその後は、呼吸を整えるように抱きしめあった。

    彼女の事が好きで、好きで、しょうがなかった。
    でも窮屈な世界から外に出たくて、出たくてしょうがなかった。
    相反する感情と、目的とが胸の内でせめぎ合ったとしても、
    俺はやるからには精一杯、闘いたかった。

    それが彼女への礼儀であるとも思った。
    彼女の言うとおり、俺は頑固だったのかもしれない。

    受験勉強よりも数段激しい、キツキツの毎日が始まる。
    どこの国に行くかはわからなかったが、試験は英語メインだったから
    重点的に勉強した。範囲はセンター試験と同程度の難易度だった。
    それでも俺は寝る間を惜しんで彼女ともしょっちゅう会った。



    276:1@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 16:28:33.91ID:WaoDva9A.net
    「3341」(さみしい)
    「11101」(あいたい)

    彼女からのポケベルが鳴ると俺は深夜に家を抜け出し
    走って出かけたこともあった。アヤコはそんなとき、
    いつも車道に面した2階にある自室のカーテンを開け、俺を待っていた。

    もちろん侵入するようなことも女の子を深夜に連れ出すこともしない。
    姿を確認し、手を振りあうだけの一瞬のデート。
    彼女は俺の帰り際にはいつも投げキッスをくれた。
    アヤコの中にある外国人の血のせいだろうか。
    嫌味なしぐさに感じたことはない。あくまで自然にそういうことが彼女はできた。


    毎日、2~3時間程度しか寝ていなかったと思う。
    若いからできたもいまは思う。
    実際それから現在までの人生の中で俺はここまで頑張ったことはない。



    283:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 18:14:16.07ID:4sSLX+oy.net
    すごく文学的


    288:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 22:48:00.75ID:axUT+JkC.net
    今回ばかりはどういう災難に会うのかわからんなぁ。とりあえずちゃんとパンツ穿いて待つか……。


    289:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/15(月) 23:50:23.41ID:s99DUq4v.net
    わあああ
    胸がキュッとするよぅ
    続き待ってるからなー



    294:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:00:08.00ID:zOnzGAL0.net
    >>289
    いくつになってもキュンキュンしたいよな。



    292:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 01:32:59.70ID:hIdJZwzz.net
    浮気されたのかな?


    295:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:01:21.60ID:zOnzGAL0.net
    夏が過ぎ、秋がすぐそこまでやってくる。

    俺は試験の準備に追われ、彼女をお祭りにも連れていってあげられなかった。
    そのあいだ、デートは近所か、俺のうちばかりだった。
    俺のうちにいるときには、何度も何度もお互いを貪りあった。
    いくらしても、満足することはなかった。姉にもらったコンドームはすぐにつきた。

    堂々と買うほど度胸はなかったから俺は早朝にこっそり、薬局の脇の自販機で
    無くなるたびに補充した。ひと箱三百円で、6個入っていたかな。たしか。
    この数か月の猿のような性生活のなかで、アヤコもオーガズムを覚えたようだった。

    するたびに、気持ちがよくなる。
    するたびに、愛おしくなる。
    するたびに、別れが来るかも知れないと言う事を意識してしまう。
    その感情が余計に、俺たちを燃え上がらせた。

    アヤコは何度絶頂に達しても、さらに求めてきた。
    俺が限界に達するといつも彼女は俺のももにまたがり自分で腰を振ってさらに果てた。
    彼女は自分の気持ちや欲求に忠実で、奔放で自由な魂をもっていた。
    俺はその熱意の対象が自分に向けられていることを自覚し、全力でそれに応えた。
    イッたあとの彼女のからだは熱く、汗ばんでいたが不快に思ったことは一度もない。
    俺はいつもそんなぐったりとした彼女を頼りない腕で抱きとめ、頭を優しくなでた。



    296:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:02:11.13ID:zOnzGAL0.net
    時間は、誰の事も待ってはくれない。
    そこに愛があろうと、事情があろうと。
    残酷なまでに均等に、平等に流れる。

    試験の日程が決まった。
    英語と、一般常識と、面接の3科目だった。
    俺は、アヤコとの関係を維持しながらも限界まで自分の能力に挑戦した。


    試験の日。それは東京で行われた。


    ウチの学校だけではなく、全国の高校、高専から優秀そうなやつらが集まっていた。
    正直言って、俺がいることが場違いだとも思った。
    しかし勝負は始まっている。ここで逃げてもしょうがない。

    できることを、全力でやるだけだ。沙汰は1か月もかからず出るだろう。
    特に行きたい国があるわけではなかったから、
    俺は留学可能なすべての国のチェック欄にレ点を入れ、その日を待った。
    35か国ほど候補はあった。まったく聞いたことのない国まで。



    297:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:03:43.05ID:zOnzGAL0.net
    それから、留学団体からの分厚い書類が届くまで、
    おれは学校以外の時間をすべてをアヤコに費やした。
    すでに社会人になっている奥山にも会わなかった。いままで寂しい思いもさせてきたから
    少し遠出して遊園地や動物園、電車で一時間半の大都市にも連れて行った。
    流行していたメロコアのライヴにも行ったし、できるだけの埋め合わせをしたつもりだ。
    幸せな時間を過ごしているうちにすでに冬の頭の澄んだ空気が忍び寄ってきていた。


    その分厚い書類には「合格」という文字と共にこれからのスケジュール、
    オリエンテーションの概要、外国へ行くことへの注意点などが書いてあった。

    俺が行くことになった国は身バレしたくはないので伏せるが、とある発展途上国だった。
    家にあった分厚くて何巻もある百科事典で調べても
    その国についての記述は、1ページの10分の1もないような小国。
    使われている言語も、普通の書店では会話帳はおろか辞書すら見つからないような。

    日本には絶対にありえない高さを誇る山と、きれいな海辺と大きな島がある国。
    俺が得た情報はたったそれだけだった。
    世界地図で見ても、自分の行く町の名すらない。
    不安もあったが、それ以上に未知に対する好奇心の方が勝った。



    298:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:06:38.23ID:zOnzGAL0.net
    俺は黙っていてもしょうがないので彼女に報告した。
    また、自分の部屋だったと思う。

    「受かった。すごく遠くて、貧しい国みたいだ。」俺は言った。
    「……そう。受かるとおもってた。」彼女からはそれだけ。

    言葉にせずとも彼女の気持ちはわかった。
    行かないで、の一言をかろうじて我慢しているようにしか見えなかった。
    あいかわらず、わかりやすい子だなぁと俺は思ったが、
    言葉では、伝えきれない気持ちを伝える為、俺はまたそっと彼女にキスをした。

    ひとこと、「ごめん、待っててくれ。」とだけ付け加えて。

    そのあとまた俺たちは野獣のようにまぐわった。
    彼女はすでに俺のツボを心得え、入念にフ●ラチオまでしてくれるようになっていた。
    俺も、彼女のどこを舐めれば悦ぶか、きちんと心得ていた。俺たちは貪欲だった。

    何度も
    何度も
    何度も。

    回数は覚えていない。しかし今までで一番激しいセ●クスだったのは間違いない。
    彼女の門限が迫る時間になるまで、俺たちは裸のまま布団にくるまり
    無言のまま、くちびるがかさかさになるほどキスを続けた。
    遠くに離れてしまう前に、そのすべてを自分の体内に取り込んでしまいたいと
    言わんばかりだった。



    299:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:08:14.10ID:zOnzGAL0.net
    その後の説明会で出国の日は、ちょうど俺の高校二年の夏休みが終了する頃に決まった。



    しかしそのことはあまり口に出さずに、俺たちは過ごした。
    クリスマスも、年末も、バレンタインデーも。ゴールデンウィークも。
    口に出したら、何かが終わってしまうような気がしたから。
    時間があればいつも二人で過ごした。一緒にいるときはいつも体のどこかが触れていた。
    彼女が帰宅するために身を離す度、俺は身が引き裂かれるような気持ちになった。

    夏休みには、取っておいたお年玉でふたりで一泊の小旅行に出かけることにした。
    ひょっとしたら、これが最後になるかもしれないという気持ちもどこかにあったから。

    鈍行で3時間程度かかる、海辺の小さな温泉地。
    予算はあまりないから安めの民宿の様なところに決めた。海の家付きの。
    子供のころ家族と行ったことがあって、あまり人気が無くゆっくり出来そうだったし。

    彼女はおそらく生まれて初めて俺の為に親に嘘をついた。
    うまくアリバイを偽装してくれる友人がいたんだと思う。
    今のようにスマホで写メ送ったりとかはできなかったから
    出かけてしまえばこっちの物、という感覚もあった。



    300:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:09:47.56ID:zOnzGAL0.net
    普段いい子でいた彼女は無事に疑われずに、一泊でこんなに荷物がいるのか?
    夜逃げでもするのか?というくらいの出で立ちで朝早く待ち合わせ場所に現れた。
    俺はリュックサックひとつの軽装だったからその荷物のほとんどは当然のように
    俺が持っていくことになった。

    彼女は明るい黄色の夏らしいノースリーブのシャツと、
    デニム生地のホットパンツ姿だった。本当に彼女の曲線はきれいだ。
    足元は動きやすいようにか、コンバースのスニーカーだった。お揃いだ。
    電車に乗り、何度か乗り換え途中でお菓子や駅弁なんか食べながら海へ向かう。

    青い海。白い雲。ベタな表現ではあるが、それが一番しっくりとくる。
    砂浜と水面に反射した夏の強い日差しは、俺達の白い肌を容赦なく焦がす。

    一度民宿に荷物を置きにいくと、その大きさの理由がよくわかった。

    いるか型をしている大きな浮き輪、それを膨らませる為の器具。
    シュノーケリング用具一式、日焼け止め。水着やビーチサンダルも何種類も出てくる。
    その近辺のガイドブックだって3冊はあった。そりゃかさばるわけだ。
    なぜだか小さな折りたたみ式の釣竿まで彼女は荷物に潜ませていた。

    彼女はバッグから出した海グッズをすべて一列に丁寧に並べると、
    俺のほうを向き両手を腰に当てて可愛らしく、満面の笑顔を湛えてこう言った。


    「さぁどうしましょう?」にっかり。夏の太陽よりもまぶしいよ君はもぅ。



    301:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:11:56.18ID:zOnzGAL0.net
    着てほしい水着と、遊び道具を俺に選べと言うのだ。何故か彼女は得意げだ。
    その顔は命尽きるまで全力で遊んでやるぞ。さぁ来い。と言ってるようにも見えた。
    俺はくすっと笑って週種類のなかからカラフルな色のビキニを選んだ。
    だって、その水着だけちょっと前に出ていたから。本当にわかりやすい。

    俺たちはさっそく海に行くことにした。といっても海は目の前。
    あとはいるかの浮き輪とシュノーケリング用具も一応持っていくことにした。
    ビーチパラソルと砂浜に引くビニールシートは海の家で借りた。
    真夏の、でかくて真っ赤な夕日が水平線にかかるまで俺たちは海で遊んだ。

    宿に帰り温泉に入ると、やわな俺の肌はピリピリと痛んだ。
    いくら日焼け止めをしていてもその効果は限定的だ。
    浴衣に着替え、部屋に戻るとすでに夕食が用意されていた。
    値段の割には、豪華な食事だった。なにしろ、獲れたての魚はうまい。

    夕食の後には花火をやろうとアヤコが言い出した。
    当然のように彼女が用意していた。花火用のバケツは宿で借りることができた。
    すでに日の暮れた海沿いに続く、堤防の脇を浴衣のまま手を繋いでそぞろ歩く。
    昼間よりは幾分涼しい、磯の香りを含んだ風が俺たちの火照った頬をくすぐる。



    302:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 13:15:23.64ID:zOnzGAL0.net
    ふたりだけの、ちいさな花火大会。

    夜の浜辺はとても静かで人気がまったくなかった。ここを選んでよかったと俺は思った。
    持ってこれる量が限られていたので、1時間くらいで残すは線香花火だけとなった。

    線香花火の、ちりちりとした弱い光を、二人で身を寄せるようにして眺める。
    必然、ふたりとも無言になる。片手はもちろん繋いだままだ。

    ぽとり。

    線香花火が尽き、最後の炎のかけらが白い砂の上に落ちる。
    あたりの闇が、さらに濃さを増した瞬間、彼女が口を開いた。

    「この夏が終わったら、イッチは居なくなっちゃうんだね。」
    「…大丈夫。すぐ帰ってくるよ。」俺は根拠のない慰めを口にする。

    この世代の1年と、今の俺の1年の長さは圧倒的に違うと思う。
    この時の俺は、1年後の二人の未来を予測することも出来なかった。

    俺たちは浴衣のまま、誰もいない暗い浜辺で、長い長い大人のキスをした。
    そのあと、初めて外で声を殺しながらする立ったままのセ●クスも経験した。
    別れの予感と、誰かに見られたらという不安が逆に俺たちの興奮を誘った。
    宿に戻ってからも俺たちはセ●クスを、飽くることなく繰り返した。



    305:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 14:30:43.86ID:ub/k30iH.net
    ネタか実話かしらんが、面白い


    306:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 16:50:27.17ID:zOnzGAL0.net
    >>305
    話の大筋は事実だ。楽しんでもらえるように多少はいじってある。
    ただ、その時感じた気持ちだけは嘘偽りないとだけ言っておくよ。

    読んでくれた人、みんなにありがとう。
    さて、続きを投下します。



    307:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 16:55:06.10ID:zOnzGAL0.net
    次の朝。

    隣に彼女がいない。どうやら俺よりも早く起きだして朝風呂に行っているようだった。

    俺が寝癖のままボーっとしていると、彼女が帰ってきた。
    すでにうっすらと化粧をしていたが、風呂上がりの髪の毛を頭の上でお団子にしてある。
    普段出さないおでこが、新鮮で俺はそれを見て嬉しくなった。
    父親を除く他の男が見たことが無いであろう、彼女の姿を独り占めできたから。

    「まだ寝てたの?早くしないと朝ごはんの時間きちゃうよ。」と彼女。
    「うぅ…日焼け痛い…」と寝ぼけ眼の俺。
    「寝癖可愛いw目覚ましにお風呂入ってきなよ。」情けないところを見られてしまった。

    彼女に促され、さくっと風呂に入り朝飯をかっこむ。
    今日も、柔肌と時間が許す限り遊ぶつもりだ。
    チェックアウトは10時だったので先に荷物をまとめ、海の家で預かってもらう。
    砂の城を作ったり、シュノーケルを使って岩場の魚を観察したり。
    結局、あの釣竿は使うことはなかった。なんだったんだろ、あれw

    まるで昨日の夜の切ない会話はなかったことにされているみたいに、
    明るく若々しく、健全に俺たちは午後まで夏の海を楽しんだ。
    彼女と海の家で食べた焼きそばがとても美味しかったことを覚えている。
    たぶん今食べたら、がっかりするほど普通なんだろうけど。

    帰りの電車で、彼女は疲れ果てたのだろう。俺の肩に頭をもたげて眠りこけた。
    いつものシャンプーの香りと、海と、太陽の匂いが重なっていた。
    日焼けで赤くなった肌を見つめていたら、暖かい気持ちでいっぱいになった。
    ほっとしたのか、いつしか俺も覆いかぶさるように眠ってしまっていた。



    308:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 16:59:42.03ID:zOnzGAL0.net
    夏は、もうすぐ終わる。どんなにやめてくれと願ったとしても。

    愛おしさが募る一方で、俺の出国は着実に近づいていた。

    出発の1週間と少し前だったか。


    週末に俺の激励会をやろう、と奥山が電話をくれた。あいつと話すのも久しぶりだ。
    彼女と、奥山と、横山さんと吉田さん。それとせっかくなので当時付き合いのあった
    高校の友人何人も呼び、お菓子を持ち寄って俺のうちでの開催に決まった。
    友人たちも彼女も、喜んで参加表明してくれた。単純にありがたいと思った。

    わいわいと楽しく、宴は無事に進行した。はじめましての人もいたから
    少々心配していたが、男気のある奥山が盛り上げ係をかって出てくれた。

    前に好きだった女の子2人から、今の彼女とのなれそめを根掘り葉掘り聞かれるという
    羞恥プレイ以外は。奥山?助けてくれる訳ないじゃないか。

    むしろ、唯一の目撃者としてどれだけ俺が緊張していたか、そのあとどれだけ
    俺の付き合いが悪くなったかなどを熱弁した。余計なことをするなお前は。

    アヤコはそんな話を聞きながら女子らしくきゃっきゃと笑っていた。
    でも、横山さんと吉田さんが中学校の時の4人の話を始めると、
    一瞬俺の方をじろっと見て、ぷいっと横を向くしぐさをした。
    もちろん本気じゃなかろうが。俺は悪い事もしてないのにオロオロしてしまった。



    309:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:01:19.17ID:zOnzGAL0.net
    出発の前日。

    俺は彼女とと会い、いつものように過ごした。
    今考えるとクサくてこっぱずかしいが、俺は彼女に気持ちを伝えるために
    シングルCDを一枚プレゼントした。あの細長いヤツな。今の子は知らないか。

    MIYA & YAMIの「神様の宝石でできた島」だった。懐かしくて涙が出るぜ。


    https://www.youtube.com/watch?v=nOPneda5xpA


    満月の夜にはきっと見えるだろう
    遠く離れてても世界のどこにいても

    君と歩き共に生きたかけがえのない時間だけが
    今もなお星をたたえかがやいているね
    さよならは言わないでいつかまた会えるはずさ
    神様の宝石で出来たこの島で


    この歌詞が、俺の心境を完全に表現してくれていた。
    俺のベッドに並んで一緒に聞いて、二人で一緒に泣いた。
    しかし彼女はいつもの時間に帰って行った。名残惜しそうに。
    俺は、彼女のいなくなったベッドの上で、さらに泣いた。



    311:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:11:31.43ID:zOnzGAL0.net
    自分で選んだ道だってのにね。


    その日の深夜。彼女からポケベルが入って、俺は是非もなく走って会いに行った。
    いつもと違い、彼女は家の外で待っていた。彼女も俺も、泣きはらした
    赤い目をしていた。アヤコもあのあと家で泣いたんだろう。

    「どうしたの?こんな時間に危ないよ。」と俺。
    「どうしてももう一度にイッチに触れたかったの。次は、一年後なんだもん。」と彼女。

    俺たちは初めてキスをした場所で、二人がひとつになってしまうのでないかと
    思うほど、強くお互いを抱きしめ、また濃厚で長いキスをした。
    最後に俺に、彼女が言った言葉だけは、今でも鮮明に思い出せる。



    「イッチは、あたしだけのものだからね!」



    312:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:12:22.22ID:zOnzGAL0.net
    出発日は平日だったから、彼女は見送りに来れなかったんだ。
    奥山も仕事があったし、ほかの同級生も学校があった。
    母親だけが、泣きながら俺を見送ってくれた。

    一年分の荷物の入ったスーツケースと段ボール箱をひとつ抱え、
    俺はその日、この国から脱出した。一緒の国にいく、ほんの少数の仲間たちと共に。
    眼下に広がる「日本」という故郷を見下ろしながら、俺は心のなかで
    すぐ帰ってくるさ。何も変わらないさ。そう言い聞かせるようにつぶやいた。



    留学期間のことを書き始めると、また長くなるし
    本筋と離れてしまうので思い出深いエピソードをいくつかかいつまんで書く。
    ひょっとしたらこの時のこともいつかスレ立てするかもしれない。
    その時はまた、みんな読んでくれよ。



    313:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:15:20.76ID:zOnzGAL0.net
    向こうに行ってもアヤコとは週1ペースで文通をした。エアメールな。
    べらぼうに高かったが、たまに国際通話をすることもあった。
    その声は遠くてその上音がズレて話しにくかったが、変わらないように聞こえ安心した。

    数分だけの会話が終わるたびに、「待ってるから」と彼女は言ってくれた。
    今みたいに、メールとかSNSでタダでいつでも話せるようにはいかなかったんだよ。

    しかも発展途上国だったから、すべての手紙が届くわけではなかった。
    大体3分の1程度は届かなかったと思う。届いたとしても航空便で
    最低でも1週間かかった。送った順番が前後することも普通にあった。

    奥山から一度だけ小包が届いた。日本で流行っている音楽をダビングした
    カセットテープと、男らしくてあいつらしい、短い手紙を添えて。

    手紙には、彼の親父さんが亡くなったことが簡単に書かれていた。
    アル中をこじらしての、肝臓がんだったようだ。

    そんな大変な時に、こいつは俺の為に日本の「今」を届けてくれたんだ。
    現在と違って、曲をコピーするにはその曲の長さだけ時間がかかる。
    あいつの人間の大きさに、再度俺は尊敬の念を覚えた。
    手紙の最後は、葬式には誰も来なかったよ。とだけ書かれていた。

    俺は子供の頃永山さんを泣かせた時と、中学生の時吉田さんを助けたときだけに見せた
    あの奥山の悲しそうな顔を思い出して少し胸がくるしくなった。
    親父さんには申し訳ないが、あいつもこれでやっと自由になれたのだろうかと
    半分はなぜか、ほっとしたような感覚が残った。



    314:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:16:48.03ID:zOnzGAL0.net
    少し話を留学に戻そう。


    俺が行った国は、多民族国家だ。
    肌の色も、髪の毛の色も、目の色も皆違う。まさに人種の坩堝だ。
    その国の人たちにとっては「普通の容貌」というものがなかった。
    ひとりひとり違う。それが当たり前。多様性を受け入れなければ成立しない世界。

    あのゴリラがこだわっていた「ふつう」とは一体なんだったのだろうか?
    俺はこの国に来て、ひとつの回答を得た。ただのバカバカしい思い込みだったんだと。

    俺は今でもそういう事が本当にバカらしく思える。
    髪や肌の色がすべてではない。大事なのは一人一人の人間の中身だと俺は信じる。
    ネットで色々見ていると、いろんなことを言う人がいる。
    在日朝鮮人の方や、障害がある人や、LGBTの人たちの事を悪く言うやつもいる。

    もちろん発言の自由はあるが、そういう書き込みを見ると、
    俺には彼らがいかに狭い世界でものを考えているのかがよくわかる。
    もちろん、俺の意見が絶対に正しいなんて思わないよ。悪く思わないでな。
    ただ、もっと心を開いてほかの世界を見てきてほしい、と切に願うだけだ。

    どこにいっても旨いものはあるし、まずいものもある。
    いい奴も嫌な奴もどこにでもいる。ただそれだけのことなんだ。
    俺の行った国は、差別は激しかったし、暴力や貧困も目に付く所に転がっていた。
    そういう事もこの目で確かめての俺なりのあくまで個人的な意見だ。



    ちょっと話がずれたな。ごめん。



    316:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:19:20.84ID:zOnzGAL0.net
    その国で俺は初めての言語とセットで、お酒とたばこを覚えた。
    そういった物への年齢制限がその国にはなかったんだ。教師と校内で飲んだこともある。
    もちろんちょっとしたパーティの様な集まりの時に、たしなむ程度だよ。
    これは、アヤコには内緒にしていた。たぶんすっごく怒られるから。

    俺は自由を満喫し、毎日のよう学校が終わると旧市街に通った。
    現地の複雑でいい加減なローカルバスも、言葉と共に自由に使えるようになっていった。
    市場で、様々な人種の生活の匂いを嗅ぐことがとても楽しく、飽きることは無かった。
    もちろん現地でできた友人たちともめいっぱい遊んだ。
    ディスコで踊る事やビリヤードもあいつらに教えてもらったな。そういえば。

    俺の属していた留学団体は勉強だけではなく色々な娯楽も提供してくれた。
    その国にある大きな島にいったり、高い山の途中まで遠足に行ったり。
    内陸部に広がる、ジャングルに連れて行ってくれたり。
    三か月が過ぎる頃にはホームシックよりも楽しさの方が勝っていた。

    初めての国境も、この国で目撃した。
    ただ橋の真ん中に、消えかかった白線と橋の両側にそれぞれの国旗があるだけ。
    こんなものを奪い合って、人は殺しあうのか、と俺は正直あきれた事を覚えている。

    その街には、もう落ち着いてはいたが昔国境紛争があってその時に埋められた
    地雷のせいで手足の無い人がたくさんいたから。それでも皆逞しく懸命に生きていた。
    彼らの強さと、底抜けの明るさと、生きるエネルギーに心から敬意を表したい。



    318:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:23:29.40ID:zOnzGAL0.net
    楽しい時間はすぐに終わる。少しだけ、アヤコとの文通のペースも落ちた。
    いろんな国の人間と、色んなことを話しているうちに
    こいつらは俺と何も変わりはしないという感覚だけが強く残った。
    多少の民族的、文化的な差があったとしてもだ。

    腹が減れば飯を食うし、恋をすれば悶々とする。
    どの子が一番かわいいか?なんていう話題だってまったく一緒だ。言語が違うだけ。
    俺はケツがいいだの、いや俺はやっぱり乳だ。だの。
    年頃の男の子というのはどこに行っても似たようなものなんだ。実際の所。



    帰国の日は、あっという間にやってきた。



    319:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:24:54.99ID:zOnzGAL0.net
    飛行機が出るときにその国を象徴するような山の山頂が雲の切れ間から見えた。
    俺は不覚にも色々な思い出が込み上げてきて、思わず泣いてしまった。
    隣に座っていた、アメリカ人で腕にタトゥの入っているでかい白人の男の子が
    黙って優しく、俺の背中を撫でてくれた。アヤコと離れてから実に1年ぶりの涙だった。


    帰ってきたとき、日本はちょうど夏休みに入っていた。
    俺にとっては1年以上の長い長い、夢のような夏休みだった。
    色んな物を見て、色んなものに触れて。いろんなことを考えた一年だった。
    待っていてくれたアヤコに恥じない、一回り大きくなった自分を認識していた。

    彼女は手紙で、事前に無事志望校に合格できたと報告してきてくれていた。
    俺が帰国日を伝えるために電話したとき、彼女は泣いて喜んでくれた。
    それが、俺はすごくうれしかった。遠く離れていても、彼女はそこにいる。
    さよならを言わないで離れて、正解だった。と俺は実感した。



    320:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:27:46.25ID:zOnzGAL0.net
    わざわざ俺に見せる為だけに、彼女は高校の制服で空港まで出迎えに来てくれた。
    1年ぶりの彼女はすこしだけ背が伸び、さらに大人っぽくきれいになっていた。
    俺は彼女の制服姿を褒めちぎり、彼女は俺の成長した姿を褒めてくれた。

    空港での、人目をはばからないキスとハグ。もちろん母親にも見られたよ。
    おかんは咎めもせず、見なかったことにしてくれているようだった。

    今日はまぁ片づけもあるからとその日は家の車で彼女を送って解散した。
    その日の夕食はやはり俺の好物の手巻き寿司だ。
    このときはもりもりと食った。粘り気のあるゴハンなんて久しぶりだ。生の魚もノリも。
    遺伝子が知っているおしょうゆの味。それだけで食は信じられないほど進んだ。

    いつの間にか母から伝わったのか、お姉ちゃん二人には死ぬほどイジられた。

    「まるでドラマみたいだったんだって?」パパラッチ長女。
    「若いっていいなぁ。いいですなぁ。甘酸っぱいなぁ。」おっさん次女。

    …やっぱりおかんは全てを克明にかつ、盛大に盛った上で喋ってやがった。
    俺はこれからアヤコとの幸せな時間がいつまでも続く…と思っていた。



    321:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 17:29:15.86ID:zOnzGAL0.net
    彼女とのズレは、ひと月もしないうちに現れた。
    何度か彼女を抱くうちに、俺は違和感を感じていた。
    セ●クスの最中、目を合わせると、視線をそらすことが多くなっていたのだ。


    逆カルチャーショックって言えばわかるだろうか?
    日本自体に前よりも違和感を感じていた俺は最初あるいはそのせいかと思っていた。
    しかし何度抱いてもキスをしても、それとは異質な違和感を俺は感じていた。

    ある日、俺は彼女に唐突に訊いた。

    「何か、悩みでもあるの?アヤコなんかヘンだよ。」

    しばらくじっと俺の目を見つめていた彼女は諦めたのか、突然わっと泣き出した。

    「ごめん…ごめん…寂しかったの…あたし…ごめんなさい…」

    それを聞いて、俺はすぐに察した。
    落ち着かせてから詳しく聞くと、なんてことだ。
    信じられない告白が、初めての俺の「彼女」の口から明かされる。



    327:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 20:10:12.67ID:43AH9FWe.net
    あっ…(この流れは)


    326:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 20:10:09.18ID:gbFyf4I4.net
    待ってる側の1年は長いよなぁ...


    329:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 20:59:15.97ID:CsbnYZHT.net
    おつおつ
    パンツ脱いでたけど、読んでたら切なくなってパンツ履いたわ



    330:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:22:24.97ID:4YdzrkrO.net
    うわーーー辛い
    胸が苦しいですおじさん



    332:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:29:39.54ID:zOnzGAL0.net
    彼女の浮気相手は、あろうことか奥山だった。

    あの出発前のパーティの際、二人を引き合わせたことを俺は激しく後悔した。
    タイミングとしては奥山の親父さんが亡くなった直後あたりからだったそうだ。
    二人とも、寂しかったのだろう。大人になった今は男女のそういう割り切れない
    感情を少しは理解できるようになったが、当時の俺はその時、完全に壊れた。

    自分にとって世界で一番大切な女が、世界で一番信用していた男に奪われた。



    333:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:30:20.29ID:43AH9FWe.net
    悲しいなぁ…


    335:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:31:44.58ID:zOnzGAL0.net
    >>333
    今思い出しても泣けてくるぜ☆



    334:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:30:50.95ID:zOnzGAL0.net
    他の男であれば、まだ許すことが出来たかもしれないのに。
    なんでよりによって奥山なんだよ。俺は彼女の神を、心の底から恨んだ。
    ちらっと外国で暮らして、すべてをわかったつもりになっていた俺の、ちょっと
    調子に乗ったいけすかない精神を崩壊させるには十分すぎるほどの衝撃だった。

    もちろん付き合っていたわけではなかったらしい。今でいうセフレみたいなものだ。
    彼女は性欲が強く、奔放な性格をしていたから多少の心配は確かにしていた。
    年頃の魅力的な女の子を1年も放っておくんだ。可能性だけは視野に入れていたよ。
    ちょっと間違いがあっても気にしない事に決めていた。それが俺なりの覚悟だった。


    ほんとに、言葉もないというのはそういう時の為の言葉なんだろう。


    俺は別れ話もきちんとせずに、彼女を家から追い出した。
    奥山に文句を言う気も起きないくらい俺は落ち込んでいた。
    受け入れることは絶対にできなかった。悔しくて、情けなくて。人間不信で。
    一気にどろどろとした黒い感情が燃え上がり、俺を支配していくのが分かった。



    336:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:32:19.37ID:zOnzGAL0.net
    その後、彼女と奥山から何回も電話があったが、
    俺は声を聴いても無言で受話器を置いた。心は揺らがなかった。悪い意味で。
    言い訳なんか聞きたくもない。話し合って解決する気もない。
    もう視界に入らないでくれ。そういう気分だった。

    アヤコとはその時以来、会っていない。今どうしているかも、全く分からない。
    出来れば幸せになっていてくれと願う事しか今の俺にはできない。


    ともかく俺は、最愛の彼女と親友をいっぺんに失った。


    俺はその後学校をサボりだした。その辺でたむろする女の子を片っ端から引っかけ
    とっかえひっかえ遊びまわる、汚れた最低の人間に転落していった。



    337:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:34:03.96ID:zOnzGAL0.net
    外国を見てきたからこそ出るオーラと、壊れた精神を持つ人間からしか出ないオーラが
    混ざり合い、それが言葉は悪いが一種の魅力となって俺を包んでいたのだと思う。

    ある意味、人生で最強のモテ期が到来した。
    出来るなら、もっと良い状態で出くわしたかったが。

    まるで復讐をするように、今まで毛嫌いしていたビッチ共を俺は抱いた。
    駅前でたむろしていた小汚いパンクス達ともつながりが出来てしまった。
    この頃の俺は、自分の矮小な心をできるだけ汚す為に生きていた。
    片っ端からやってはいけない事をする行いの悪さが、そういう奴らには皮肉にもウケた。

    得物を使ったケンカ、愛の無いセ●クス、未成年飲酒、かっぱらい、無免許運転。
    よく捕まらなかったものだと今は思う。あんなにキレッキレだったのに。

    しかし銃を持っている奴がそこらじゅうにいるあの国に比べたら、怖いものはなかった。
    実際、死んでも別にかまわないと思ってた。むしろ誰か撃ち殺してくれという心境だ。

    元不良の二人の姉も、そんな俺の状況を察したのか、何も言わずにいてくれた。
    親だって能天気なもので「そういう時期も人生にはあるよね」というスタンスだった。
    あまりの急変に、手が出せなかっただけなのかもしれないが。



    338:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:36:12.88ID:zOnzGAL0.net
    留学に行ったおかげで、推薦枠でほぼ確実に大学にいけることはわかっていたから
    先生も何も言わず、放っておかれた。通信簿には不思議なことに殆ど出席して
    いないにもかかわらず、欠席日数ゼロと書かれていた。
    俺は、それを見たときこの国の大人は本当にバカだなと、危険な勘違いをしてしまった。

    一応、受験のときだけは染めていた髪を戻し、少しだけまともを装ってふるまった。
    試験官の大人たちはまんまと騙されてくれ、ある地方都市の大学に俺は合格した。


    そういえば、一度だけ、大学に進学する前に奥山と遭遇したことがある。


    俺の地域は18になるとみんなこぞって運転免許を取得する。
    交通の不便な田舎ならではの光景だ。その自動車学校でのこと。

    俺が建物の外へ出ると、あいつはすでに免許を取っていたのだろう。何の用かひとりで
    自分で運転する車に乗って駐車場にいた。奥山は見る影もなくガリガリに痩せていた。


    俺は無視したが、車の傍らを通り過ぎた時にシンナーの強烈な匂いがした。
    今となってはもうどうすることも出来ないが、ひょっとしたらあのときちゃんと
    和解していれば…と今でも思い出す事がある。しかし許してやるには俺は若すぎたんだ。
    そして、アヤコに言われた通り、頑固すぎた。この部分は今でも治っていない。


    鬱展開ですまないが、彼はその後数年たってから、自殺したと聞く。
    あいつに何があったんだろう。それはやはりわからないままだ。



    339:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:40:23.16ID:zOnzGAL0.net
    話は変わって。



    パンクス達はクズだったが、ひとつだけいい影響を俺に及ぼした。
    音楽や楽器への興味だ。俺はこの時期、ベースを練習し始めた。
    シド・ヴィシャスにあこがれちゃったんだよね。恥ずかしい話だが。
    大学では一人暮らしの予定だったから、暇つぶしにもいいと思ったんだ。
    たいして上手くはならなかったけど。シドもベース弾けなかったからまぁいいかw



    大学編も話せばキリがないんだが、このままでは終わりが見えないので、
    スピードアップして話すことにする。後で要望があればスピンオフでも
    書こうかとは思う。機会があれば。


    とにかく新天地への船出だ。いつまでも引きずってばかりはいられない。
    俺は一旦すべての想いをリセットし、大学デヴュウをすることに決めた。
    簡単にいうと、調子こいた。今思うと、若いって暴風雨みたいなものだよね。
    この頃はもう傷を癒す為と理由をつけて、ただモテたいだけだったようにも思う。

    大学で、俺は軽音サークルに入った。新入生を集めてバンドも組んだ。
    ハイハイ、ありがちだよね。ちゃんと自覚している。反省はしていない。



    340:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:41:54.60ID:zOnzGAL0.net
    そこで同じ学部の友人もできた。彼も同じく留学の経験があった。国は違ったが
    彼はいいとこ育ちで真面目なくせに、完全なるロックマニアで、
    俺に色々な時代の音楽を教えてくれた。しょっちゅう一緒に遊んでいた。
    いまでは伝説の、第一回フジロックだってこいつと行ったんだよ。
    初のフェスだというのに、とんでもない目にあったけれど。今となってはいい思い出さ。

    並行して、サークルの先輩関係のつてで、クラブ遊びも覚えた。(踊る方ね)
    二年生の頃だったか、そこの店長に気に入られてバイトをすることが決まった。
    ひとつ年上でバイト長のバーテンダーとも仲良くなった。彼ともよく飲んだな。
    それこそ血を吐くまでさ。2回くらい救急車乗ったもん。イッキのせいで。

    一応彼らにも名前をつけておこう。


    同じ学校の友人はヨウジ。
    黒服はトモさん。



    341:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:44:23.18ID:zOnzGAL0.net
    この時期友人関係が爆発的に増えるのだが、あくまで中心にいたのはこの二人。
    俺の2重生活とも言うべきハードな毎日がこの頃始まる。
    二人は気が合わなかったのか、3人で一緒に遊ぶことはあまり無かった。
    別々の時間帯に会う、別々の友というところか。まるで二重人格者のように俺はなった。


    アヤコと別れた直後ほどではなかったが、俺の遊び癖は完全には治らなかった。
    適当にバーに群がる女の子と遊んだり、学校では何人かとぱっとしない恋もした。
    でもアヤコに感じたような、体中から吹き上がるような感情はなかった。
    まあ、スレちまったんだと思う。恋に恋していたあの時とは違って。


    今回は女難の相がテーマだから、この辺は割愛しておく。
    俺、荒んだあげくチャラくなっちゃいました。で済んじゃうからねw


    印象的だったのは、2人だけかな。



    342:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:45:45.01ID:43AH9FWe.net
    黒服ってどいつだ?


    344:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:46:35.72ID:zOnzGAL0.net
    >>342
    すまんな。バイト先のバーテンダーの彼だ。



    343:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:45:53.05ID:zOnzGAL0.net
    一人は俺のバイトしている箱の系列で、夜の蝶のお店の女性。かなりの高級店だ。
    たまに人手が足りずに送りみたいな事もやっていたから知り合ったんだ。
    お姉ちゃんのおさがりの車を持っていたしね。今思えばずいぶんと利用されたもんだ。
    でも彼女達は可愛がってくれたし、飯なんかもよく奢ってくれたから感謝もしている。

    彼女の名はヨーコとでもしよう。めんどくさいから源氏名と本名は同じ表記にする。

    彼女はとても痩せてはいたが、ショートカットがよく似合う色気のあるタイプだ。
    今まで見たことない種類の空気を纏った5つ歳上の彼女に俺はすぐ夢中になった。
    なんていうか、端整な顔立ちなのにいつも寂しそうに笑うんだよ。
    俺はそんな彼女からもっと明るい表情を引き出すため送るたびにピエロに徹した。

    彼女の着ている服やメイクも、とてつもなく大人っぽくてそれも憧れの一端にあった。
    コムデギャルソンとか、ジャンポールゴルティエとかを上品に着こなす天才だった。
    スレンダーな彼女にはそういうスタイルがよく似合っていた。
    クールビューティって言葉がとってもしっくりくる、女性。もう女の子とは呼ばない。



    345:1@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 21:48:34.59ID:zOnzGAL0.net
    ある寒い時期の送りの日。最後の乗客はヨーコだった。
    彼女を送ったら直帰が許されている。車から降ろす時にふいに、彼女が俺に声をかけた。

    「ねぇ、あったかいコーヒーでも飲んでいかない?」ついに来た。

    彼女の事を狙っていた俺は、本当は飛び上がらんばかりの喜びようだったが、
    表面上はあくまで冷静を装って、こう言った。

    「…そんなこと言って、いいんですか?オオカミかもしれないですよ?」
    「いいわよ。いらっしゃい。」間髪入れず、彼女はにこりともせず言った。

    正直彼女の方が一枚も二枚も上手だと思った。
    しかしすでにスレ切っていた俺は、据え膳食わぬは…とのこのこついて行った。



    それがあんなことになるなんて、この時は思いもしなかったよね。



    350:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 22:32:28.05ID:EbYEO72M.net
    連ドラ化決定!


    351:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/16(火) 23:56:48.97ID:43AH9FWe.net
    ホラー
    いじめ
    熱愛
    NTR
    ヤリチン
    夜遊び←今ここ



    353:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 00:44:10.41ID:MBngfG+d.net
    >>351
    GJ だいたいそんなとこw
    読んでくれてありがとな。



    354:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 04:46:14.10ID:pP5PCGRe.net
    彼女に浮気されると勢いで女遊びするのはどの年代でも同じなのね
    22だけどなんか共感出来る部分が多いわ



    359:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:14:16.91ID:MBngfG+d.net
    >>354
    若いなぁいいなぁ。俺もこのころ君より若かったからな。
    それに、結局は人間だから世代が変わってもそんなに変わらないと思うぜ
    読んでくれてありがとな。



    360:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:14:45.22ID:MBngfG+d.net
    マンションの重いドアが閉まった途端、俺は彼女を後ろから抱きしめた。
    コーヒーなんて別に飲みたくなかったし。暗黙の了解もあったし。
    スリリングな方が燃えるじゃないか。情事ってやつは。
    言っとくけど半分はもう立派なクズだったからな。この頃の俺は。


    「あったかいでしょ?」耳元で俺は言った。彼女の胸の方に手をゆっくりと滑らせる。
    「ふふ。せっかちね。」背中越しでも彼女が怪しく微笑んだのが分かった。


    彼女は俺の手を胸に一旦押し付け、次にその指を口元に運び軽くキスをしてから舐めた。
    二人の脳内で何かがばちんと音を立てて弾けるのがわかった。俺は食らいついた。
    そのまま玄関で動物の様な一回。シャワーを浴びて、今度はベッドで人間的なもう一回。
    肉欲や情念をぶつけるだけではない、大人のゆっくりと愉しむようなセ●クス。


    真っ赤な口紅の彼女が俺のものを咥える姿はそれまでの誰よりも、エロティックだった。
    痩せていて胸は全然なかったけど、それでも俺は彼女のテクニックに骨抜きにされた。


    もう俺の心のなかにアヤコはいなかった。ヨーコに完全にほだされてしまって



    361:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:15:43.42ID:MBngfG+d.net
    そのまま雪崩れ込むように、俺と彼女は半同棲状態となる。
    店には内緒の禁断の恋仲。その障害が逆に俺たちを刺激した。
    順序は完全に逆になったが、一応は告白して付き合う事となった。
    合鍵を交換しても、会うのは殆ど彼女の家。俺の一人暮らしのアパートは狭かったから。

    告白は、ひどく簡単なものだったと記憶している。何度めかの彼女の家。
    VHSのビデオを見ながら、簡単なつまみとお酒。ソファーで二人並んで。

    「なぁ。俺とちゃんと付き合ってみないか?」
    「それもいいわね。」

    たったそれだけ。そのあと横並びのまま、彼女から優しいキスをされた。
    俺を見る彼女はすごく妖艶に見えた。そのくちびるの間から赤い舌がちろりと覗いた。


    今思うと俺は、こうなる前に彼女の弱さや脆さにもっと気付くべきだったんだ。
    俺が惹かれた寂しそうな笑顔にはちゃんと理由があったんだよ。



    362:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:16:48.64ID:MBngfG+d.net
    それでも数か月は安寧な毎日を送ったと思う。
    エロい事ばかりしてた訳じゃない。きちんとした恋人同士の時間もあったんだよ。
    たまには買い物に行ったり、俺の車でドライブに出かけることもあった。
    バイト代が出たときには、奮発してちょっといいレストランにも連れて行った。

    店には内緒だったから派手には動けなかったが、
    はた目から見たら普通のカップルに見えたと思う。

    そういえば、彼女が作ってくれた手料理を今ふっと思い出した。
    炊いた大根にエビしんじょを乗せて和風の餡をたっぷりとかけたやつ。旨かったな。
    彼女は店が休みな日曜日の夜にはよく、手の込んだものを作ってくれた。
    えんじ色の、地味なエプロンをしている彼女の後姿が俺は大好きだった。

    店とは違う家庭的な一面。そのギャップも、とても心地いいものに感じられた。
    俺はよく、料理を作っている彼女を後ろから抱いて、邪魔をした。

    しかし彼女の影を作ってる理由が、明らかになる日がやってきた。
    悪夢を見るのか、寝ているときにたまにガバっと起きるんだよ。彼女。
    震えながら玉の汗をかいて。その時のヨーコの目は、ちょっと恐ろしかった。
    俺は、そんなときは彼女を抱きしめ、再び眠りにつくまで背中をさすってあげていた。



    363:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:18:48.48ID:MBngfG+d.net
    ある日、俺は思い切ってヨーコに訊いた。


    「ねぇ、悪い夢、よく見るの?」と。
    「うん。あなたには話さなきゃとは思ってた。」と彼女。あの寂しそうな顔をする。


    要約するとこういう事だ。彼女は、父親から性的虐待を受けていたことがあって、
    高校を卒業した後、故郷の街から家出同然にこの町に来たというのだ。
    特につてがあったわけじゃない。電車に乗っていて、ある程度大きな町だったから
    女なら何とかなるかと思って電車を降りて、そのまんま夜の街でヨーコは蝶となった。

    彼女の実家はかなり距離のある場所だった。俺が行った事のない山の中の小さな町。
    俺の大学のある街に来る為には一度東京を通らねばならなかったが、
    高校を出たばかりの彼女は恐怖を感じたらしい。田舎者だから俺も気持ちはわかる。
    怯んだ彼女は次に来た別路線の電車でこの土地にたどり着き、数年後俺と出会った。



    364:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:22:18.02ID:MBngfG+d.net
    それまでの事は知らないが、彼女は俺と出会ってから優しくなれたと言ってくれた。
    生活の為の道具だったセ●クスも、気持ちよさをやっと感じられるようになった、
    演技ではなく、本当の性欲に目覚めたと。男にとってはこれ以上の褒め言葉はない。


    「あなたのおかげで生きてる実感がわいたわ。」ある日彼女はぽつりとそう言った。


    声は小さかったが、彼女はそのときいつもの寂しげな影を引きずってはいなかった。
    天使のような子供の様な、全開の笑顔。俺は、これが見たかったんだと思った。
    俺は嬉しかった。どんな過去があろうとも、彼女を幸せにしたいと自分に誓った。
    荒んでいた俺の傷も、傷ついていた彼女の壮絶な過去もこれですべてチャラになると。


    その時はまだ信じていた。しかし因果はめぐる。



    365:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:23:40.80ID:MBngfG+d.net
    彼女はそんな俺の無責任で無邪気な優しさにだんだんと依存するようになった。
    そんなに簡単に人を救えるなんてことは無い。俺はまだ世間知らずだった。
    しょせんは大学生。してあげられる事なんてたかが知れている。
    彼女は少しずつ、でも確実に狂っていった。歳の差は、すぐに逆転してしまった。


    当時買ったばかりの携帯にもちょっと目を離すと物凄い数の着信が残るようになった。
    便利なのはいいけれど、それはそれで困りものだなとこの時俺は思った。


    掛け直して今日はトモさんが飲みに付き合えと言うから泊まれないというと拗ねる。
    ヨウジとのバンドの練習があるから会えないとなると、鬼のように怒り出す。
    2日くらい会わずにいて、おそるおそる彼女の部屋に行くと、しくしくと泣いている。
    気に食わない事があるとひどいヒステリーを起こして物を投げつけてくる。


    俺は殆ど、自分の部屋に帰れなくなった。俺はその重さを支えきれるか不安になった。



    366:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:27:11.68ID:MBngfG+d.net
    彼女は生理が重なると更にもの凄かった。正直言って、命の危険を感じた事もある。


    原因は覚えていないが、たいした事じゃなかったと思うよ。ある暑い夜の事だ。
    別に浮気をしていたわけじゃない。俺には学生生活も付き合いもあったってだけのこと。
    彼女は庖丁を振り回して暴れた。あの暖かい手料理を作ってくれた時に使った庖丁を。
    どこまで本気かは分からなかったが、俺を傷つけるために彼女はそれを振りかざした。

    今考えると、彼女には本当に俺しかいなかったんだと思う。
    友人も家族もいない本当の意味で孤独で、寂しく厳しい人生だったんだと。

    それにしてもこれはさすがに度が過ぎた。崩壊はすぐそこまで迫っていた。
    それを押しとどめる力を、俺は持っていなかった。もちろんヨーコも。



    367:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:29:17.64ID:MBngfG+d.net
    俺は彼女の一振りで腕にぱっくりと傷を作った。
    着ていたシャツごと。その瞬間、すべてがスローモーションに見えた。
    深い傷ってその一瞬は血が出ないんだよね。少しずつじわりと染みてくる。
    でも一旦出始めると止まらないんだ。傷口に白い脂肪の層まで見えて俺は青くなった。

    「このままじゃ殺される」本能がそう言っている。
    簡単に人が死ぬ、あの国ですら感じたことの無いほんものの恐怖が俺を襲う。
    彼女もあまりのことに、一瞬言葉を失ってしゃがみ込み、泣き出した。

    「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」念仏のように彼女が唱える。


    そんな彼女を一人残して俺は飛び退くように逃げ出してしまった。
    怪我した手で車を運転しながら、無事な方の手で車内にあったティッシュを使い、
    必死に止血したが、いくら上から重ねても血は止まらなかった。
    よくあの状況で事故らなかったと思うよ。



    368:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:31:09.33ID:MBngfG+d.net
    警察沙汰になると場合によってはお店に迷惑がかかって俺はこの街にいられなくなる。
    夜の世界はそういう所だ。俺が学生だからとかそんな甘いことはない。

    何度もチャイムを鳴らす。彼は眠たそうな顔をして扉を開けたが、
    俺の様子を見て、一瞬で目つきを変えた。大学デビューの俺とは違う。
    言い換えれば誇り高い野生の獣のようなものだ。

    「…誰にやられた?」と凄味のある一言。

    俺はすべて話した。できるだけかいつまんで。つっかえながらも必死に。
    その間にもぽたぽたと血が流れる。このあたりでやっと痛みを感じ始めた。
    彼は黙って俺の話を聞き、とりあえず男同士のきな臭い話ではないと理解すると、
    俺を救急病院に連れて行ってくれた。

    結果から言うと、4針縫った。その傷はいまでも俺の腕に残っている。
    医者にはずいぶんと詮索されたが、俺はふざけていての事故だと言い張った。
    すべての処置が終わって、帰宅を許された頃にはすでに空が白んでいた。
    俺の気分とは真逆の、青々とした晴天に逆に俺は腹を立てた。八つ当たりだ。



    369:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:41:55.69ID:MBngfG+d.net
    自分の部屋にいると、あの狂気を孕んだ彼女が襲ってくるような気がしたから、
    その日はトモさんの家に泊まらせてもらった。携帯の電源を落としたまま。

    少し仮眠を取り、昼過ぎに俺はトモさんを伴って自分の部屋に戻った。
    部屋には、荒らされた跡があった。ディスカウントショップで買った、安物のブルーの
    2人がけソファーが刃物で大きく切り裂かれていた。斜めに、まっすぐ一本ざっくりと。

    一度このソファーで彼女が冬眠中の小動物のように眠りこけながら俺の事を待っていて、
    俺が帰ってくると普段見せない甘えた表情で抱き着いてきたことを思い出した。
    自然と涙が出てきた。どうしてこんなことになってしまったんだろうと。

    「イッチ、おそーい。」記憶の中の彼女はこう言っていた。

    俺は、彼女を一人で置いてくるべきではなかったのかもしれない。
    しかしあのまま、あそこにいたら俺は一体どうなっていたのだろう。

    俺の人生に答えのない問いが、またひとつ増えた。



    370:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:44:18.87ID:MBngfG+d.net
    というのも、彼女はその日から行方不明になってしまったのだ。
    俺は心配したが警察によると肉親以外では捜索願が出せないとのことだった。

    店に借りていた部屋も、ほとんどの衣服や二人で座ったソファーもそのまま。
    二人で見たTVも、抱き合ったベッドも。俺の流した血も。庖丁だけがその場になかった



    その話は後始末を任されてくれたトモさんに訊いた。もう部屋にはいなかったと。
    それでも俺は彼女の部屋にはもう戻りたくなかった。携帯には不思議と着信はなかった。
    トモさんは短く、ちょっと悲しそうに「たぶん、トンだな」と俺に言った。
    それが、彼女がいなくなったことを俺が実感した言葉。急にいなくなると寂しいものだが
    半分はホッとしたことを覚えている。

    俺はトモさんに言われるまま不動産屋に連絡し、鍵を取り換えてもらうよう取り計らった。
    着替えだけを持ち、交換が終わるまで、今度は同級のヨウジの家に泊まった。



    371:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:46:41.28ID:MBngfG+d.net
    しばらく、夜の世界とは縁を切りたかった。店の方も、トモさんのとりなしで
    休みを貰えるようになった。俺に下ったのは、「沙汰なし」
    ペナルティはなかった。その代り、俺が彼女を訴えない事が条件だった。
    そんな気は毛頭ない。俺は、急に消えてしまった彼女に思いをはせる。

    彼女は荷物も持たずにどこに行ってしまったんだろう。
    また、電車に乗って遠い街で降りて、寂しく笑いながら働いているのだろうか。
    それとも、あの庖丁で命を絶ったのだろうか。それは誰も知らない。

    俺は自分の無力さに怒りを覚えた。俺は、彼女を幸せにできなかった。
    そんな圧倒的な事実だけが重く俺の心に残った。

    今でいう、メンヘラって奴なのかもしれない。そんな言葉で簡単に片づけたくはないが。
    彼女を追いこんでしまったのは、俺の弱さのせいだとも思うから。

    ヨウジは話を聞いてくれて、2日ばかり学校を休んで一緒にいてくれた。
    傷はずきずきと痛んだが、俺は構わず一日中彼と酒を飲んだ。
    一度話を聞いた後は彼は努めて明るくもうその話をしなかった。
    心地いい、大学生らしいバカ話。そんなとき、携帯に一本の電話があった。



    372:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:49:22.54ID:MBngfG+d.net
    俺は彼女かと思い一瞬びくっとしたが、それは母からの電話だった。
    悪いことは、立て続けに起こるものだ。

    「お父さんが、がんになっちゃった。」母は前置きも無しに言った。

    俺は耳を疑った。なんだって?親父が?ガン?色々ありすぎて、頭がもう真っ白だ。
    話を聞くと、俺が生まれた病院に入院したというのだ。
    それをヨウジに話すと、彼も同じく言葉を失った。
    さすがに、バカ話もできなくなった。心配そうな目を俺に向ける。

    「ちょっと実家帰ってくる。」

    俺はそれだけ言い残し、電車に乗った。
    その街から、苦い思い出のある生まれた町までは半日あればつく。
    向こうについてから携帯で、トモさんにも連絡をいれた。
    駅からはタクシーを飛ばし、病院へ急いだ。

    トモさんは冷静に「一緒にいてやりな。店の事は心配ないから」とだけ言ってくれた。

    親父は、ステージ3の肺がんだった。



    373:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:50:59.36ID:MBngfG+d.net
    今まで風邪の一つも引いたことの無い親父。無口だったが優しい親父。
    怒るとすぐに俺の事を殴ったが、結局はいつも味方をしてくれた親父。
    留学だって、大学だって、結構な金額が必要だったのに黙って出してくれた親父。
    母や姉に内緒で、いつも俺だけにいい店の鰻や蕎麦をご馳走してくれた親父。

    「お母さんには内緒だぞ」

    そんな時はいつもそう言って悪戯っぽく口に一本指を付け、しーっという仕草をした。

    俺は彼がずっと欲しかった男の子として生まれたから
    彼なりの溺愛をもって育てられた。

    実際俺が生まれたとき、親父は腰を抜かして喜んだらしい。
    真ん中の姉などは、「アタシが生まれたときは病院にもこなかったのに」と
    今でも恨み言を言う。綾子姉は女の子では二番目だったから
    着るものから何からすべておさがりだったみたいだし。



    374:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:54:57.69ID:MBngfG+d.net
    俺も小さなころは本当に親父になついた。
    ちょっと連休があると、親父は俺を色々な所に連れて行ってくれた。
    身体の弱かった俺は風邪をひいて熱を出すと、そのたびに
    「おとうさんのおかゆがたべたい」とねだった。

    別に特別なおかゆだったわけではない。
    でもたっぷりと、おばあちゃんの漬けた梅干しを叩いて入れてくれた。
    頭の固い昭和の親父が台所に立つのはその時だけだった。
    親父が作ってくれる。それだけで俺は嬉しかった。

    親父との思い出がぐるぐるとまわる。
    こんなことってあるものか。さっきひとり失ったばかりだって言うのに。
    医者に止められているのにもかかわらず飲んだ酒のせいで
    縫ったばかりの傷がじくじくと痛んだが、それすらどうでもよくなった。



    375:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:57:18.29ID:MBngfG+d.net
    病室に入ると、親父は意外にも元気そうだった。

    「ちょっとした検査入院だ。わざわざ帰ってくることはなかったんだぞ」

    親父はそんなこと言いながらも嬉しそうだった。
    本人には、告知をしていなかった。
    後で医者から説明を受けたが、手術をしても5年生存率は30%を切ると。
    親父の肺にはグレープフルーツ大の腫瘍が出来ていた。

    何日か俺は生まれた街に滞在したが、どこかに行く気を無くしていた。

    また俺は失うのか。掌の隙間から砂がこぼれるように、さらさらと幸福が逃げていく。
    それも大切なものから。後にはいったい何が残るのだろうか?と
    俺は自分に問うたが、そんなことを応えてくれる便利な存在はやはりいない。
    それを神と呼ぶならば、俺は無神論者だ。神は、俺なんかに興味はないのだ。

    そのときは、本気でそう思った。21歳になる直前の暑い夏のことだった。
    陽気に鳴く、せみしぐれの声が、俺には単なる皮肉に聞こえた。



    376:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 18:59:53.12ID:MBngfG+d.net
    抗がん剤の治療を経て、1か月ほど後に手術をすることが決まった。
    俺は学校もあったので、ヨーコのいないあの街に一旦帰った。
    部屋に戻るときに、俺は新しい鍵を貰いに行った。

    受け取るときに不覚にも不動産屋のカウンターで涙を流してしまった。
    スタッフは怪訝そうな顔をするだけで、誰も慰めてはくれなかった。


    単位を落とさない程度に授業にはかろうじて出席したが、
    それ以外の気力を俺はすべて失ってしまった。

    切り裂かれたままの、安物のソファーに転がり、毎日浅い眠りにつくまで酒を飲んだ。
    服も着替えず、髭もそらず。何も食べず、アルコールを摂取し続けた。
    縫われた腕は殆ど癒えてきたが、抜糸にもいかなかった。バイトにも、バンドの練習にも




    377:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 19:02:36.46ID:MBngfG+d.net
    そんなやさぐれたある日曜日の夕方。

    何度も何度も部屋のチャイムが鳴った。俺は居留守を決め込んだ。
    そのあと、ドンドンと扉をたたく音。俺はしょうがなくドアを開けた。
    トモさんだった。コンビニ袋を手に提げている。
    黒服ではない彼を見るのは久しぶりだった。

    彼はその袋を俺の胸元に押し付けてくる。

    「まず食え。次に風呂に入って、髭を剃って着替えろ。」命令するように彼は言った。

    有無を言わさぬ表情。袋の中身はサンドウィッチとミルクだった。
    俺はどきどきしながらとりあえず急いで詰め込み、身を清めて服を着替えた。

    ひょっとしてヨーコに何かあったのではなかろうか?頭をよぎる。

    その間彼は何も言わず俺の事を待っていたが、着替える時に俺の腕を取り、
    その辺に転がっていたはさみで器用に抜糸をしてくれた。痛みはなかった。


    「よし。消毒しにいくぞ。」彼はそれだけ言うと、さっさと俺の家をでた。



    378:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 19:06:00.33ID:MBngfG+d.net
    俺はあわてて追いかけてそのままよく利用していた、年中無休で24時間営業の
    安くてまずくて便利で有名な居酒屋に連れて行ってくれた。消毒って酒のことか。

    そこにはいつも、店の名前で入れてある安焼酎のガロンボトルがあった。
    ボトルのネームには、店の名前と共に「LOVE IS LIFE」と書かれていた。
    アースウィンド&ファイアのファーストシングル。店長の趣味だ。

    https://www.youtube.com/watch?v=IwOc2gjHEUE


    「今日は、店長のツケでいいそうだ。好きなもの頼め」彼はにかっと笑い言ってくれた。

    さっき、サンドウィッチを食べたのに、その顔をみたら急に食えそうな気持になった。
    その日は、失ったものを全て取り戻すかのごとく、食って、飲んだ。
    体中にまだ若い、でもちょっとだけ不健康な血液がめぐるのがわかった。

    完全に俺は出来上がっていたが、トモさんは2軒目に俺を連れて行った。
    そこには、バイト先の店長がいた。名前をシマさんとしよう。
    いつもポマードで頭をオールバックにして、ブレイクダンスが上手な遊び人。
    彼が躍るといつも俺は目を丸くして、一体関節が何個あるのだろうと不思議に思った。



    379:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 19:08:33.58ID:MBngfG+d.net
    そこは店長の友人のマスターがやっているオーセンティックなバーだった。
    知らずに座ったら、大学生ではとてもじゃないが払えないようなお店。
    それでも、今日は日曜日。店は休みのはずだ。

    「今日は、お前らと飲もうと思って、開けてもらったんだよ」とシマさん。
    「アンタが俺と飲みたかっただけでしょ?あ、鍵閉めちゃって。」とマスター。

    高そうなバーボンのボトルから、細長いぴかぴかのグラスに琥珀色の液体が注がれる。
    その場にいる全員分。4本のショットグラスが薄暗い照明に浮かび上がる。

    「よし、吐くまで飲め!」シマさんが号令をかけた。

    グラスを合わせ、俺はいつも店でテキーラショットをやるように一気飲みする。
    焼けつくような、生暖かい液体が喉を通る。…くそ強い。胃がぽっと熱くなる。

    周りを見ると、一気したのは俺だけだった。
    そればかりか、皆、肩を震わせて笑いを押し殺している。

    「おまえ、それ50度だぞwこういうのはちびちび飲むんだよ。ほれ、水。」

    シマさんがこらえきれない、といった顔で俺に教えてくれた。
    マスターとトモさんもそれを聞いて爆笑している。
    吐くまで飲めっていったのアンタじゃないか。だましやがったな。
    俺はそう思ったが、何故かそこに深い愛情を感じた。



    380:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 19:11:09.83ID:MBngfG+d.net
    場は一気に和んだ。しばらくはいつものようなバカ騒ぎが続いた。
    俺はこのとき久しぶりに腹を抱えて笑った。そして色々な話をした。

    店の事、お客の事。学校の事。バンドの事。
    そして話はいつしかヨーコと親父の話まで。

    そのあたりになると、皆、黙って俺の話を聞いてくれた。
    マスターなんて、いい年こいて一緒に涙まで流してくれた。
    後で聞いたら泣き上戸で有名だったようだけど。

    俺は、大人にも色々な種類がいることをこの時に思い知った。

    荒れて学校に行かなくなった俺を、保身のために放っておいた「ふつうの」大人。
    ぶっきらぼうで荒いけど、優しく受け止めて励ましてくれる「ふつうじゃない」大人。

    俺は思った。幸福はまだ全部逃げちゃいない。まだ若くて弱くてバカだけど、
    最後のひと粒がなくなるまであがくことで、どんな大人になるかが決定すると。

    この後の記憶は無い。気が付いたらトモさんのベッドの上で寝ていた。
    彼は逆に、ソファーで。悪いことをしてしまった。
    どこでぶつけたのか俺は尻に大きなあざを作っていた。
    どうやらずいぶんやらかしちまったらしい。二日酔で頭もガンガンする。



    381:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 19:15:33.16ID:MBngfG+d.net
    トモさんも、目を覚ました。そして俺にタオルを渡すと、

    「風呂入れ、行くぞ」と。え?どこに?俺はきょとんとした。

    「バイトだよ。欠勤は許さない。」彼も青い顔をしていたが、そういって笑った。

    その日から俺は通常運航に戻れた。店に行くとシマさんはけろっとしていた。化け物だ。
    彼からは、酒の飲み方、ダンス、そしてDJのやりかたから嫌らしくない女のケツの
    触り方まで、様々なことをこれから学ぶことになる。

    俺はこの街のこの店で、社会に出てから武器になる全てを授かった。
    大学での知識よりも遥かにその存在は大きい。彼らには本当に感謝をしている。

    バイトもバンドも学校も。めまぐるしく時間は過ぎる。
    俺はヨーコの事を忘れるためにも忙しさに自分をおしこめた。
    ひとりで暇にしているとロクな事は考えない。
    頑張った、とは少し違うが、若さにまかせて殆ど眠らずに過ごした。



    383:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 19:16:39.91ID:MBngfG+d.net
    書きダメはここまで。
    次号

    「2人目の彼女」

    またあとできます。
    読んでくれた方、みなにありがとうを。



    389:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:00:28.49ID:PWIy2t60.net
    気がはやいかもやけど、全部終わったら質問タイムよろしくな
    あんたの書く文章、好きだわ



    390:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:04:52.66ID:MBngfG+d.net
    >>389
    そういってくれると、とてもうれしいよ。
    質問タイムか。あと1日程度で終わりたいと思う。
    その後に、いくらでも時間が許す限りな。



    394:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:49:40.19ID:MBngfG+d.net
    親父の手術も無事終わり、安定期に入って俺は安心して過ごすことが出来ていた。
    彼は背中からざっくりと手術痕を残してはいたが一旦は退院して復職も果たした。

    そんなとき唐突に俺はまた、恋に落ちることになる。
    大学のある街で強く印象に残っているもう一人の彼女だ。

    彼女は、俺バイトしていた店に平日友人とふたりでひょっこりやってきた。
    クラブと言っても、週末以外はそんなに人はいないから、バーのような形での
    営業をしていた。イスやテーブルを出し、簡単なつまみも出せる。

    彼女の名前はミヤとしよう。友人はそれ以来会ってないから名無しでいいと思う。

    ミヤは、童顔で背も小さいのに、大きなギターケースを背負っていた。
    どうみても、バンドガール。興味をひかれた俺は、声をかけた。

    話をしてみると、共通の知り合いがたくさんいることが分かった。
    俺と同じ学校のヨウジの事も顔だけは知っていると言った。俺のバンドの事も。
    しかも得物は俺と同じ、ベースギターだった。
    その話をすると、彼女も俺に興味を持ってくれたようだった。



    395:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:52:08.87ID:MBngfG+d.net
    彼女は、その外見に見合わず、俺のひとつ年上だった。

    俺は気のいい店員として、彼女たちにできる限りのサービスをした。
    といっても、好きなバンドを聞いてリクエストの曲をかけてあげた程度。
    平日のこの時間に若い女の子達が来てくれて、店長のシマさんも嬉しそうだった。
    俺はその日、礼の代わりに彼女のバンドのライブのチラシを貰った。

    同じ街にある、50人も入ればいっぱいの小さなライブハウス。
    何回か、大学の先輩たちのライブで使ったこともあった。

    ライブは、2週間後だった。出番は金曜の夜8時。
    俺はその日バイトがあったが、客が集まる始める時間よりは早かったので
    店長のシマさんに頼み込んで少し中抜けさせてもらうことにした。

    トモさんにもシマさんにも、十分に冷やかされた。
    でも浮かれ始めていた俺には効かなかった。

    バンド関係で女の子もいるにはいたが、だいたいがキツめの子が多かった。
    パンクで、可愛らしいなんて当時珍しかったんだ。



    396:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:53:41.60ID:MBngfG+d.net
    当日、俺が外出を許されたのは2時間。夜の10時までには店に帰らなければならない。
    いつも週末は11時には客でいっぱいになってしまうから。
    俺がそのライブハウスへ行くと、彼女のバンドがすでにマイクチェックをしていた。
    純粋なスリーピースバンド。メインヴォーカルはギターの女の子で、ベースの彼女は
    サポートヴォーカル。3人とも可愛らしかった。でもミヤが一番な。

    客の中には、やはり何人か顔見知りがいた。ヨウジも。
    クラブのバイトを始めてからあまりバンド関係に顔を出す時間がなかったから、
    ちょうどいい機会だと思って、ビールを買って一回り挨拶を交わした。
    大体入りは30人ちょっとというところか。

    ギターのつんざくような轟音が鳴り響く。顔に似合わず激しい音を出した。
    続いてベースとドラムが乗る。ジャンルで言うと、ガレージパンクかな。

    ギィィーーーン…ディストーションのかかった残響音が落ち着いたそのとき。



    397:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:55:44.18ID:MBngfG+d.net
    「SXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXx!!!!!」


    俺は茫然とした。放送禁止用語の嵐。あんなに可愛い顔してるのに。
    瞬間的にモッシュが起こる。客の殆どは男だったが、なかなかの人気者だったようだ。
    ほんの数分で汗だくになる。とにかく彼女のバンドは面白かった。
    このギャップ。これは男にはできない。

    彼女の出番が終わり、俺は汗を拭く間もなく話しかけた。

    「すげぇ楽しかった!!」正直な感想だ。

    彼女はきらきらと額に汗をにじませ、笑って言った。

    「引かなかった?」と。

    「いや、ウケた。」と俺は返した。爆笑した。



    398:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:57:11.90ID:MBngfG+d.net
    演奏は下手くそ(俺もだが)だったが、それがまたよかった。
    何より、去年女性の暗部に触れてしまった俺にとってはセンセーショナルだった。

    明るく、可愛く、ぶっ飛んでる。

    今迄にいないタイプ。俺はすぐに彼女の事が好きになった。
    おかげでその日は遅刻してしまい、だいぶ絞られたのだけど。

    ライブの日に俺は彼女と電話番号を交換していたから、翌日電話をかけた。
    その日のうちに、デートすることが決まった。
    彼女は、俺の住んでいるアパートから歩いて5分くらいの実家に住んでいたから。
    僥倖。棚から牡丹餅。そう思った。久しぶりに、神様ありがとうと。

    デートと言っても、特に何をしたというわけでもない。
    電話代がもったいないからという理由で近くの河原でたわいもないおしゃべり。
    俺のバイトまでの数時間を、音楽の話をして過ごした。心地いい適度な距離感。
    ちょうどお互い付き合っている相手がいないとわかったあたりでその日は解散。



    399:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 21:58:13.03ID:MBngfG+d.net
    翌週、学校でヨウジがニヤニヤしながら近づいてきた。
    こいつは笑うとにゅっと歯が前に出る。ちょっと気持ち悪い。

    「君、正座ね」なんだ急にこいつは。
    「君は、この街のロック界すべての男を敵にまわしたのだよ」話が見えませんが。

    つまりこういう事。前から人気のあった彼女は先月、彼氏と別れたばかり。
    その偶然ぽっかりと空いた穴を、皆がまごまごしているうちに俺がかっさらった。

    …しらんがな。

    すぐに彼女は俺の部屋に上がりこむようになった。
    近かったし、CDもたくさん持っていたから。半分はヨウジのだったけど。
    でも俺はすぐには手を出さなかった。
    ヨーコの事で、臆病になっていたのかもしれない。

    久しぶりに感じる、自然な恋心。中学生に戻ったみたいだった。
    それに彼女はまるで少年みたいで、話をしているだけで満足できたんだ。
    話が盛り上がると、お約束のようにハイタッチをした。
    恋人になるまえにまず、俺たちは親友になった。



    400:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 22:00:47.47ID:MBngfG+d.net
    初めてのキスは、あの河原だった。出会ってふた月ほどはたっていたかな。


    俺とミヤは二人で石きりをしていた。なるべくひらべったい石を選ぶのがコツだ。
    ふたりで無邪気に遊ぶ。夕暮れが来る。帰ろうとしたときに偶然、手が触れた。
    俺はそのまま彼女の手を取って土手を歩き始めた。
    ずっとそうしていたかのようにふたりで手を繋ぎ、目が合えば笑いあった。

    そして、別れ際にチュっと軽いキス。
    男女のドロドロに疲れ切っていた俺は、この時完全に癒された。

    過剰な照れもなく、過剰な緊張もなく。
    すべてが適度で、自然だった。

    彼女が初めて俺のうちに泊まった時も、不思議とお互い裸になってから
    笑ってしまった。くすぐりあうような、可愛いセ●クス。

    それは性的な行為と言うよりも、子猫同士のじゃれあいみたいなものだった。



    401:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 22:02:15.05ID:MBngfG+d.net
    俺は初めて、付き合っている女性の両親にも会った。
    そういえば彼女の親父さんも、なかなかにファンキーだったよ。
    サラブレッドって中には本当にいるんだよな。
    60年代、70年代と、長髪でパンタロンを履いていたような、猛者だった。



    ゆるゆると、時間は流れる。何のストレスもない毎日に突然それは起きてしまった。

    俺の親父のガンが、再発したのだった。
    体中にそれは転移し、亡くなるまではあっという間だった。
    俺が大学4年生の、またくそ暑い真夏の事だった。

    かろうじて、死に目には会えた。
    親父は抗がん剤の副作用で禿げ上がり、がりがりに痩せていた。
    でもむくみがひどく体の水分が代謝されないので、もものあたりは
    たぷんたぷんになっていた。

    この辺りは、あまり描写したくない。
    とにかくその時は来た。

    その後初七日がすむまで、システマチックにすべてが過ぎ去る。
    仏教ってすごいよね。悲しみを分散するシステムが出来上がってる。



    405:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 23:29:15.38ID:MBngfG+d.net
    一旦学校の為にあの街へ戻る。一刻も早くミヤに会いたかった。
    電車に乗る前にそれを携帯で彼女に伝えると、駅まで当時乗っていた
    ヴェスパで迎えに来てくれた。もうあたりは暗くなっていた。
    俺は彼女の少年のような背中にだきついて、泣きながら帰った。

    その日はいつも明るいミヤもあまり話さなかった。
    ただただ泣きじゃくる俺を、抱きしめながら一緒に寝てくれた。
    小さな体で、精一杯受け止めてくれた。
    俺は、彼女とずっと一緒に居たいと、切に願った。



    406:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 23:29:51.38ID:MBngfG+d.net
    しかし俺には一つ大きな問題があった。
    折しも就職氷河期。俺は就職浪人となることが濃厚だった。
    実家に帰るつもりもなかった。もう通り過ぎた場所に感じていたから。
    先へ進みたい、でも進む場所が無い。焦燥感だけが募る。


    このままではこの街に居る理由がなくなってしまう。


    ヨウジもまわりも、何かしら次のステップに足をかけている中、
    俺だけが宙ぶらりんだった。

    ミヤはスーパーでバイトしながらバンドを続けていた。
    実家だったし、それで十分といったところだった。
    俺は彼女に訊いてみた。俺が就職できなかったらどうする?と。

    彼女はとてつもなく軽く言った。

    「バンドができて、イッチがいれば、それでいい。」と。



    407:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 23:30:57.75ID:MBngfG+d.net
    俺は悩みに悩んだ。この街で、彼女と生きていけるのか。
    でも周囲の状況は厳しく、このままではいけないと言う気持ちもあった。
    夜の街ではいろいろ教わったけど、これから死ぬまでそこでやっていくと言う
    覚悟は無かった。楽しい代わりに、給料安かったし。学生だからできたんだ。


    結局俺が選択したのは、東京に出ることだった。
    大都会なら、正社員じゃなくても派遣の仕事がたくさんあるし、
    地方都市と比べてチャンスの総量がちがうと思った。
    それに、やはり一度は自分の力を試してみたいという青少年ならではの欲求もあった。

    俺ならやれる。あの街のおかげで自信もついた気がした。甘かったけど。

    でも彼女のバンドは、この街にある。
    東京までは、電車で数時間。
    俺はアヤコとの、遠距離恋愛をちょっと思い出して暗い気持ちになった。



    408:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 23:31:47.27ID:MBngfG+d.net
    俺はある日、思い切って自分の考えをミヤに切り出した。

    「俺、卒業したら東京行こうと思う。」

    彼女はちょっと小首をかしげ、考えてから言った。

    「じゃ、ついていく」と。

    ここまででお気づきの方もいると思うが、彼女は少々、バカだった。
    ミヤは高らかに宣言した。

    「東京でバンドやる!」と。

    そう来るとは思ってなかった。でもそれも悪い考えではない気がした。

    彼女が言うと、なんでもできそうな気がしたんだ。
    若気の至り、といえばそれまでかもしれないが。



    410:1@\(^o^)/: 2016/08/17(水) 23:33:02.51ID:MBngfG+d.net
    単位はなんとか足りて、卒業の日。

    親は来なかったが、代わりにミヤがヴェスパで来てくれた。
    そのおしゃれなバイクはこれから売って、引っ越し代に充てることとなる。

    でもこの日だけは「これで迎えに行きたかった」と彼女は言ってくれた。


    俺たちはまったくの無防備で、恐ろしいコンクリートジャングルに放りだされた。
    東京についてすぐ、仕事を探しながら日雇いのバイトをした。
    とても恥ずかしい話なんだけど、何回か親に借金もしてしまった。


    無軌道で、無計画。でもなんだか楽しかった。
    お金も時間もなかったけど、家に帰れば彼女がいた。
    自由にお酒も飲めなくなったし、肉だってなかなか食えない。
    ごはんともやししかない食卓が続くこともあった。でも別に苦しいとは思わなかった。



    413:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 00:54:17.42ID:SQTSZaqi.net
    おっさんの半生せつない
    続き楽しみにしてる



    416:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 01:20:00.38ID:4skXIOg4.net
    >>413
    どのおっさんにも、みんな一つくらい切ない記憶があるんだろうな。
    読んでくれてありがとうな



    414:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 01:12:27.61ID:ArMTHvYG.net
    おつカレー カツカレー!
    いよいよラストか‥



    416:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 01:20:00.38ID:4skXIOg4.net
    >>414
    君はいつの間にかカレーにカツが乗っていたな…。ほんとうにありがとうだぜ。
    俺はカレーの事、忘れないぜ

    まぁこっからはずばっと飛んで結局俺は何を言いたいのかってとこに行こうと思う。



    415:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 01:14:11.36ID:McaAh+vF.net
    お疲れ!
    続きまってるぜ。



    417:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 01:22:54.24ID:4skXIOg4.net
    >>415
    本当にありがとうな。大学時代はちょっと重くてつかれたろ?
    俺も書いててつかれたよw
    でも君らのおかげでなんとか完走できそうだよ。

    重ねて、皆にありがとうだぜ。



    419:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 14:20:10.00ID:/RrFEJIE.net
    毎日楽しみに見てる。
    バイト先のみんなの優しさでちょっと感動したw

    書くの大変だろうけど見てるからがんばって!
    あと飛ばした部分も全部最後でもいいから見たいな!



    420:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:12:44.59ID:4skXIOg4.net
    >>419
    不良はほんとは優しいんだよ。クズでもあるがなw
    あとで、要望があればなんか書くかもしれない。
    ありがとうな!



    422:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:13:53.91ID:4skXIOg4.net
    ほんの2か月ほどで、二人とも仕事が決まった。
    俺は派遣ではあったが一応会社員。彼女は、コンビニのバイト。

    でも、彼女はなかなかやりたいバンドに出会えないまま時間だけが過ぎた。
    俺も、今までのバイトとは違う働くという本格的な経済行為に疲れが見え始めた。

    だんだんと、行き違いが増えた。
    少しずつ、ケンカをするようになった。

    彼女も俺も、大都会のストレスにやられてしまったんだろう。
    東京は、容赦なく、弱者の力を削り取り、吸い尽くす。

    それでもなんとかやりくりしながら1年ほどの時間が流れた。
    ある日、彼女は俺に言った。

    「もうやっていけそうもない。」初めて見た彼女の涙。

    あの彼女からは想像もできないくらい、弱弱しい声だった。
    俺は必死に説得したが、ミヤの決心は揺らがなかった。
    これからなのに、俺たちは。その時はそう思っていたのに。



    423:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:14:16.81ID:4skXIOg4.net
    でも結局。

    彼女は、出て行ってしまった。
    俺は、追いかけることができなかった。

    一度だけ、別れてすぐに手紙が来たことがある。

    「東京にいるイッチを愛せなくなってしまいました。ごめんなさい。」

    そう書いてあった。俺は彼女からの唯一の手紙読みながら、泣いた。
    あのままあそこにいればよかったのか。また出ない回答を俺は求めた。


    それからしばらくして。俺はなんとか自分の生活だけはできるようになっていた。
    お酒を飲んだり、昔から好きだったフェスに行ったり。そういう自由も手に入れた。
    音楽関係の友達も増えた。段々と都会の中で地盤が出来上がっていく。
    でも俺は、ある意味では一人のままだった。


    確固とした目標があるわけでもなく、それでいて後戻りはもうできない。
    孤独を遊びで塗りつぶすような、ただただ惰性で怠惰な享楽的な毎日。



    424:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:15:56.41ID:4skXIOg4.net
    変化が起きる。

    ある日大学の同級生のヨウジが、何を思ったか東京にやってきた。
    地元での就職を辞め、彼も夢を追って都会にやってきた。


    俺たちはまた、当然のようにバンドを組んだ。
    東京で知り合った俺の友人たちとともに。


    当時は小さなフェスがそこらじゅうでやっていた。
    俺たちはそういうマイナーな所でライブをやらせてもらった。

    そんな孤独から少しだけ解き放たれ、またちょっと調子に乗っていたある日。

    大きな野外イベントでのことだった。俺はこの時は客として参加していた。
    当時は雨が降ろうが槍がふろうが基本的には強行するのがあたりまえ。
    そんなものは知ったことかと、みんなずぶ濡れになりながらも楽しんでいた。
    もちろん俺も、泥だらけでも気にせずに遊びまわっていた。



    425:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:17:02.40ID:4skXIOg4.net
    俺は、一休みさせてもらおうと友達のバンガローに厄介になった。
    そこで前髪ぱっつんで黒髪の異様に見力のつよい、同じ年の女性に出会った。
    彼女は話をするときには人の心に入りこむように、瞳をまっすぐ射抜くように見るんだ。
    こんなにパワーのある視線を、俺は見たことが無かった。

    意思の強そうな、大きな目とはっきりとした顔つき。まつげが長い美人。
    おれはちょっとこの子、なんだかわからないけどすごいという印象を持った。


    そう、この女性こそ、後の俺の嫁だ。


    そのバンガローでありとあらゆる種類の袋ラーメンを
    ごちゃ混ぜにして煮込み、みんなで暖を取ったことを覚えている。


    結構混ぜちゃっても旨いんだ。真夏とはいえ、雨で冷えた体には沁みる。


    その時は彼女とはみんなと一緒にバカ話をしただけ。
    実は俺はこのとき別の女友達を連れていたが、その子とは進展はなくその日で終わった。



    426:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:19:31.91ID:4skXIOg4.net
    彼女との再会は2週間くらい後の小さな別の野外フェスで果たされた。
    こないだのバンガローを借りてくれた友人の車にたまたま同乗したんだ。
    確かヨウジが別で組んでいるバンドが出演する予定だった。

    初めてのキスはこの時。前回とはうって変り、快晴だった。

    キャンプ場の木々の隙間にヨウジ達の奏でる音楽が遠くで聞こえていた。
    それはとてもエモーショナルで、ロマンティックなサウンドだった。
    一緒に聞こえる蝉の声も、深い森の緑も、俺たちの背中を押しているように感じた。

    俺たちは、テントサイトの一番隅っこの人目につかないタープにならべた
    キャンプ用のベンチに二人で並んで腰をかけ、そっと手を繋ぎながらキスをした。

    彼女があの強い印象のある目で、俺の中心を貫くように見つめる。
    俺はその時の目を、感覚を、一生忘れないと思う。
    雷にうたれたような、とよく表現されるがそういうことは本当にあるんだ。

    帰りの車も一緒だったけど、行きとは状況が一変していた。
    もう、二人ともデレデレ。もう人目なんか気にするつもりもなくなっていた。
    車を出してくれた友人が照れてしまうほど。徹底的に冷やかされながら
    帰路に就く。彼女は、俺の家に一緒についてきて、そのまま帰らなかった。



    427:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:21:31.08ID:PD9RjfLl.net
    女難は過ぎ去ったのかな


    436:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:36:21.39ID:4skXIOg4.net
    >>427
    過ぎ去ったともいえるし、まだ最中ともいえる。
    なかなか嫁もめんどくさいやつなんだ。
    でも、女難とともに生きて行こうと思っている。



    428:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:22:17.34ID:4skXIOg4.net
    特に頑張って口説いたとか、そんな記憶はまったく無い。
    気が付いたら、出来上がってた。運命なんてそんなもんだろう。


    それから10年後、俺たちは結婚した。
    もちろん、この間が平坦な道というわけではなかった。

    ケンカも数えきれないくらいしたし、最低な話だが俺の浮気がばれたこともあった。
    彼女はその目の力と同じで我が強くて焼きもちやきだし、俺は頑固のくせに弱くて
    格好つけたがり。まさに山あり谷あり。

    俺の仕事がなかなか安定しなくて心配させたり、彼女のその重くてまっすぐな
    性格についていけないと感じたことも多々ある。それでもなんとか10年過ごした。

    彼女は親友であり、恋人であり、姉であり、母であり、面倒くさいやつでもあり。

    ただひとつだけ今まで好きになった女の子達と決定的に違う所がある。
    俺は、彼女からだけは、最終的には逃げなかった。彼女の元へ必ず帰ってきた。
    面倒くさくても、重くても、逃げ出したくなっても。必ず。必ず。これからも。

    情けない俺が、ひとつだけ自信を持って言える事だ。
    彼女も、同じようになんだかんだあっても、俺と一緒にいてくれた。

    「つがい」この言葉の本当の意味を俺は知ったんだ。

    ある時期俺は結婚を見据え、正社員の仕事に就くようになった。
    彼女はその間派遣の仕事をして、俺を支えてくれた。



    429:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:23:22.27ID:4skXIOg4.net
    しかし入籍して数年後。つい先々月のこと。



    俺は、鬱病を発症してしまった。



    430:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:24:07.24ID:4skXIOg4.net
    今まで楽しいだけで過ごしてきてしまったツケなのか、結婚という責任感のせいなのか。
    とにかく急に、会社へ行くことができなくなった。というか何もできなくなった。
    外へ出ようとしても、脂汗をかき動悸や眩暈がしてどうしようもなくなる。
    過呼吸で救急車を呼ぼうかと思った事もあるが、彼女に背中をさすって貰ったら
    不思議な事にすぐにおさまった。

    俺は覚悟を決めて、病院で詳しく原因を探ってもらうことにした。


    非常にショックだったんだが、俺の脳に障害があることがこの時わかった。


    ガラガラと、色々なものが崩れ落ちていく。目の前が真っ暗になった。
    だって、根本的な治療ができないなんて言われたんだもの。

    でもなんだか、腑に落ちた気もしたんだ。
    社会で何とかやってはきたものの、生きにくさは切実に感じていたし。
    物忘れや、衝動性や極端な行動。その兆候は昔から確かにあった。
    ただ、それを就職してからはなるべく押し殺して暮らしていただけなんだ。



    431:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:25:08.74ID:4skXIOg4.net
    正直、死にたい、殺してくれと何回言ったかもわからない。
    今までの、俺が先頭に立って旗を振ってきた関係が逆転した。

    仕事面でも。彼女は派遣から正社員になるほど頑張ってくれた。
    それも、かなり大きな会社。とても忙しくなってしまったが、おかげで経済的にも
    余裕ができた。でも俺のプライドはうじうじと自分を責めることを選択した。


    情けない。男のくせに。生きている価値もない。死んでしまえ。


    頭の中のもう一人の俺が四六時中俺を追い詰める。
    人に会う事も拒絶し、太陽すらうっとうしく感じて暗い毎日を過ごす。
    もう、テレビのバラエティをですら苦痛に感じていた。人の気配がするから。
    活字と、2ちゃんねるだけの生活。廃人寸前。彼女の目を見ることも出来ない。


    しかし、そんなときに最終的に俺を赦してくれたのは彼女だった。



    432:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:27:02.14ID:4skXIOg4.net
    もちろん葛藤もあったろう。このことでひどい喧嘩をしたこともある。
    「死ねよ!」と言われたことも、別れる寸前までいった事ももちろんある。
    生活への不安。女性なりの打算。色々あったろう。仕方がないと俺も思う。
    でも落ち着いてから、あるとき彼女は言ってくれた。

    「ごめんなさい。あなたがいないとあたしも生きていけないのに。ひどいこと言って。」

    俺は心から感謝した。もう言葉もない。一生足を向けて寝ることが出来ない。

    そしてもう格好つけずに自分に出来ることをやりながら「生きよう」と決めた。
    得意な事、苦手な事。それをきちんと選り分けて少なくとも彼女と共に。

    今までつもりに積もったさまざまな問いへの、回答があった。



    434:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:33:01.49ID:4skXIOg4.net
    今、俺は休職しながら、これを書いている。


    これからどうするのか、結論はまだ出ていない。
    自分の人生を振り返って、結論を出すためにこれを書いたともいえる。

    でも情報をインプットしていただけの俺は、アウトプットに転じた。
    誰かが読んでくれたら、最後まで書けるのではないかとここを選んだ。


    時間もお金も余裕があるわけじゃない。


    俺は、愛する嫁と、今まで出会ってきた人たちとのたくさんの思い出共に、
    今を生きている。障害をもった俺のことを簡単に受け入れてくれた最高の友人も、
    かわいいワンコだっているんだぜ。それにこれを読んでくれたお前らもな。



    435:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:34:11.66ID:4skXIOg4.net
    俺は幸せ者じゃないか。女難なんてまやかしだったぜ。
    女に苦しみ、女に泣かされ、女に救われた男がここに一人いたってだけだったんだ。


    俺は今この世の全ての人間を。この世のすべての性別を。
    この世のすべての出会いと別離を。この世の全ての人生を。物語を。

    愛している。生きている。心からの感謝と共に。


    特に嫁さん。愛してるぜ。

    おしまい。



    438:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:38:44.18ID:4skXIOg4.net
    とりあえずの完走をさせてもらいました。
    本当に、読んでくれた人には感謝しかありません。
    スレの残りがあるので、なにかあればお答えします。

    ありがとうございました!!!!!



    433:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:32:22.61ID:bybadmuj.net
    ADHDかな?


    437:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:37:10.53ID:4skXIOg4.net
    >>433
    広汎性発達障害に、ADHDが混ざってるって言われた。



    445:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 18:59:37.86ID:+fT/niWB.net
    >>437
    なんだ、発達障害&ADHDかよ
    うちは嫁さんが発達障害&不注意型ADHD、子供も多動型ADHDだ
    周りにゃ迷惑かかる事もあるけどなんとかなるもんだぜ
    いい嫁さん貰ったんだし、どーんといこうや

    ところで、スレ建てたのこれが初めてかい?
    情景やら季節の表現に見覚えがあったんやけど



    446:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 19:37:42.42ID:4skXIOg4.net
    >>445
    今までなんとかなってきたのが不思議でしょうがないw
    うん、今は悲観してないよ。子供もいないし。
    スレは初立てだよ。でも書く前に電車男からまとめ読みまくったから
    影響受けてるかもしれん。とにかく読んでくれてありがとな!
    かっこいい旦那だな!



    452:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 20:25:16.19ID:+fT/niWB.net
    >>446
    そうか、スレ建てたのは初めてだったか
    もうスレタイも忘れたけどぱっと読んで情景が浮かんでくる印象が似てたお気に入りのスレがあったんだよ
    すまんかった
    改めて完走乙!



    453:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 20:44:19.69ID:4skXIOg4.net
    >>452
    長文自体が初だ。
    ありがとうな!



    440:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:43:19.84ID:Wsd+Y8J5.net
    その後、ヨーコさんの消息は?


    441:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:49:26.23ID:4skXIOg4.net
    >>440
    ヨーコは、あのまま消えてしまった。
    携帯もつながらなかったし、大学生の俺には探しようがなかった。



    442:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 16:53:50.42ID:4skXIOg4.net
    ヨージのその後についてだけ書こうと思う。
    これはハッピーな話だから。

    彼は数年間東京で暮らしたが、まったくモテず、バンドも売れず。
    その後実家に帰り、就職していつの間にかすっごく可愛い嫁さんを貰い
    果てしない性欲を発揮して、今では3人の子持ちでありながら
    地元でまだバンドマンをしている。
    FBによく上がるんだが俺と同じサイズで服の貸し借りまでしていた彼は
    ぶくぶくと太ってはいたが幸せそうだ。

    もちろん結婚式のスピーチは俺がしたぜ。
    もうちょっとで言わんでもいいこと言いそうになったがな!



    447:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 19:40:09.50ID:4skXIOg4.net
    ちなみに全然関係ないけど、俺的一番ヒットの
    読み物系スレは「痴漢男」だ。
    あいつ元気かなぁ。あのころのVIPPERたちもw



    450:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 19:54:14.75ID:ArMTHvYG.net
    カレー!
    毎日楽しく読ませて貰ってたよー 終わってしまってサビシイ



    451:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 20:04:59.43ID:4skXIOg4.net
    >>450
    お、カレーの人だ。書けたのはほとんど君のおかげだw
    ありがとうなオツカレー!



    444:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 18:55:15.88ID:4R5Z9NOr.net
    完結おつかれ。スピンオフ書くならまたパンツ脱いで待ってるわ。
    おっさんとおっさんの嫁さんの幸せを願っておくぜ。



    446:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 19:37:42.42ID:4skXIOg4.net
    >>444
    ありがとな!なんか思いついたり要望あったら書くかもしれん!



    454:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 21:18:08.70ID:oNrVp64g.net
    完走乙っす
    仕事場で見て泣いたw
    いっちに幸あれ



    456:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 21:55:19.30ID:fa52v9/g.net
    いい話をありがとう!(_´Д`)ノ~~オツカレーー


    457:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 21:59:00.77ID:4skXIOg4.net
    >>456
    こちらこそありがとう!



    458:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 22:08:54.81ID:WJxxJw9R.net
    お疲れ様でした


    459:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:12:12.88ID:4skXIOg4.net
    >>458
    読んでくれてありがとう。



    460:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:14:01.83ID:4skXIOg4.net
    さて、ちょっとだけ本当に最後に書かせてもらおうと思います。

    エピローグってとこか。



    461:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:16:19.10ID:4skXIOg4.net
    こんな俺でも、近所に何人かフェス仲間や飲み友達がいる。


    その友人たちには、俺の障害の事や元気がないことなどは伝えた。
    これは、格好つけたがりの俺にはとても勇気のいる作業だったんだ。
    でも考えてみれば、俺も彼らが元気がない時には同じ事してたんだよね。
    そんな当たり前の事さえ俺は気がつかなかったんだ。

    彼らは俺の事を、かわいそうだとは思わないし、変な奴なのは知ってた。と
    口々に言ってくれた。皆一様に笑って。
    ありがたかった。変に構えて、引きこもっていたのは俺自身。たったひとり。
    自分からドアを開ければ、わかってくれる人はいるんだなって思った。

    そのおかげで、俺は外に出ることができた。
    タイミングよく、花火大会に誘ってくれた先輩がいたと言う事もある。

    久しぶりに電車に乗った。
    不思議ともう圧迫感を感じないことに気が付いた。

    嫁と、友人と見る花火はとてもきれいで。
    特別扱いを受けないお酒はとても愉快で。
    花火の爆発音が俺の腹に響いて。
    なんだか、久しぶりに音楽を聴きながら暴れたいって思ったんだ。


    この間、友人たちがフジロックに行こう!と誘ってくれたのに
    拒絶してしまったことがひどく悔やまれた。


    花火を見ながらそれをポツリと俺は嫁に言った。

    「モッシュ、したいな。野外で、ロックが聞きたい。」
    「うん、行こうよ。フジはもう終わっちゃったけど。」嫁は言ってくれた。

    今、俺達の手元にはあるロックフェスのチケットがある。
    久々に、ボロボロのドクターマーチンも下駄箱から出した。

    そのフェスには花火に誘ってくれた、先輩の子供が出演する。
    俺は華々しく、彼のバンドでモッシュをするだろう。


    おわり。



    462:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:18:02.90ID:SQTSZaqi.net
    おっさん最後泣いちゃったよ
    色々ショックだったろうがいい嫁さんもらってよかったな
    俺も嫁さんには頭あがらないぜ
    スピンオフこのままこのスレで続けてくれよ



    464:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:26:40.93ID:4skXIOg4.net
    >>462
    おおサンクス。ほんと嫁含め、すごい周りには救われてる。
    俺は、今は自分の障害を憎いとは思っていない。
    この多動性のおかげでたくさんの友人に恵まれたから。
    スピンオフ、需要あんのかな。どの辺が聞きたいとか誰か
    書き込んでくれれば明日書くかもしれん。週末はモッシュしてるんでな。



    467:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:57:34.98ID:T6W1vR0G.net
    これだけ読ませる文章書けるし、コミ力あるんだから、大丈夫だろう。


    470:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 00:17:20.67ID:Obwn9Rag.net
    >>467
    すごくうれしいよ。ありがとう。
    プライベートはいいんだが、仕事となると…ね。



    468:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 00:00:48.47ID:0G5afnK4.net
    あんまり発達障害っぽくないね
    まあ大人になるまで気づかなかったくらいだし自身持ちなよ



    470:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 00:17:20.67ID:Obwn9Rag.net
    >>468
    いい時と悪い時の能力の差が激しいのよ。
    あとやりたいこととやりたくないときの集中力の差も。
    自信はここのおかげでだいぶ復活してる。ありがとな。



    463:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:21:34.00ID:UtsHfdh8.net
    奥山の呪い…


    464:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 23:26:40.93ID:4skXIOg4.net
    >>463
    今でもたまに夢に出てくるよ。



    469:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 00:08:16.59ID:sa8Mhbrj.net
    奥山が夢に出てくるってせつないな
    俺も自殺した同級がいるけど、特に何か関わったわけではなくてもなんだか歯がゆいしな
    過去をああだこうだいっても仕方ないってこういうことだと思うよ
    あの頃には戻れないし助けてもやれないしよ
    >>1のエピソードだと奥山の自死は関係ないと思うがな



    470:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 00:17:20.67ID:Obwn9Rag.net
    >>469
    うんわかってるんだ。でも救えたんじゃないかって、思う時がある。
    夢に出てくるあいつは決まって、痩せた姿なんだ。
    親友だったころの姿じゃなくてな。



    473:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 01:27:01.39ID:aFK2CisB.net
    同年代のって書き込んだ俺がまた来ましたよ。
    何となく同年代であることが誇らしくなる文章だったよ。

    文章構成なんかを見てみると、障害の有無が何なのか少し考えさせられたよ。その差異は、病院で病名を告げられたかどうかの差でしか無いんじゃ無いかと。

    楽しい文章をありがとう。



    475:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 02:32:39.70ID:Obwn9Rag.net
    >>473
    お、おっさん来てくれたかありがとうな。
    俺も、そこんとこはすごくて考えた。
    でも今は、左利きのようなもんだって思ってる。単なる区別だって。
    病院で~のくだりは友人にも言われた。



    474:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 02:20:43.62ID:7gMG1upR.net
    ラストスパートは読みやすくて終わりよければすべて良しだな
    レズのくだり以降はありふれてるがそれ以前のはかなりの女難だ
    奥さんとわんこと自分を大切にな



    475:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 02:32:39.70ID:Obwn9Rag.net
    >>474
    そうだなー途中でちょっと俺も悩んだんだ。中々維持するのが難しいもんだな。
    でも最後まで見てくれてありがとうな。
    >>474
    正直女の子に襲われた経験は結構あるんだが飛ばした。
    ハッピーエンドだけは決めてたけどね。とにかくありがとうな!



    476:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 06:46:02.84ID:nn9pzwzF.net
    発達障害=マイナスじゃないもんな
    飛び抜けてるとこがある代わりに、足りて無いとこもある
    それが一般人の平均を基準にして、だからそもそもが曖昧なんよね
    俺から見たらその瞬発力が羨ましいわ
    いろいろ苦労する事もあるやろけど、いい嫁さんもろたアドバンテージはデカいで
    末長くお幸せに



    478:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 08:28:59.17ID:Obwn9Rag.net
    >>476
    それもみんなに言われたよ。
    瞬発力はあるけど持久力がないのが玉に瑕w
    読んでくれてありがとうな



    477:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 06:46:54.42ID:R4ZGxUzy.net
    読み直すとラストはこっちが励まされるような文だったわ。ありがとう。おっさんの人生に幸あれ。


    479:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 08:31:51.36ID:Obwn9Rag.net
    >>477
    読み直してまでくれたんだ。ありがとうな!
    実は。裏テーマがそれなんだ。伝わって、とても嬉しい。
    ありとあらゆる違和感を感じながら生きている人たち全てに幸あれ。
    こんな俺だって幸せになれたんだからな!



    480:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 13:56:22.77ID:5+jA72Lk.net
    完走おつかれ!
    楽しく最後まで見れたよー いい奥さんに出会えてよかったね!

    またほかのエピソードとかもっと砕いた場面とか見たいからスレ立てしたらここでおしえてな!



    481:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 17:09:51.74ID:Obwn9Rag.net
    >>480

    ありがとう!
    ほんと、いい嫁です。

    いま、ちょっとしたスピンオフ書いてるから夜にでも投下するよ。
    じらしはなしでW



    482:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 18:39:09.17ID:QhpPlxYr.net
    無駄に伏線作らないところが良かった
    別れた友達とか彼女がどうなったとかね



    483:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:33:09.90ID:Obwn9Rag.net
    >>482
    読んでくれてありがとう!
    わからないことは、わからないとそのまま書いてあります。



    484:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:35:19.16ID:Obwn9Rag.net
    ではスピンオフを投下します。
    これで、たぶんしばらくは書きません。

    パンツ脱ぎたい人と、旅に出たい人だけ読んでください。

    嫁さんに会う、東京にでてからの空白期間のお話です。

    「シュっとしたおっさん、昔沖縄旅したんだってよ」



    504:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 22:09:00.59ID:Obwn9Rag.net
    >>484
    ごめんなさい
    嫁さんに会う前の、空白期間でした



    485:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:35:50.92ID:Obwn9Rag.net
    俺は、ある日沖縄を訪れた。とある離島だった。
    季節は冬だったが、そこは南国。暖かいと言うよりすこし暑かった。


    数週間の長旅だ。バイトも兼ねて。

    泊まる場所はゲストハウスと言う形態のいわゆる安宿だ。
    朝、夕の食事付きで一泊1500円。激安である。

    宿といってもそこはドミトリー形式、つまり
    雑魚寝というか2段ベットがいくつか並んでいるだけ。
    一応、男と女のスペースが茣蓙のようなもので仕切られている。
    風呂桶もない。簡易的なシャワーがふたつあった。

    バイトは過酷なものだった。

    朝8時から夕方5時までさとうきびをひたすら刈り取り、トラクターに積み込む。
    ひたすら重い収穫物を背負っているうちにすぐに全身から汗が噴き出す。
    すぐにTシャツが塩をふき、べたべたと体にくっついて気持ちが悪い。
    俺はそのシャツを脱ぎ捨てるが、沖縄の日差しは強い。日焼け止めも汗で流れてしまう。

    最初は背中の皮がやけどのようになってひどく傷んだが、
    そのうちなれ、いくら白い俺の柔肌とはいえ、適応するようになる。

    そのゲストハウスには、様々な人がいた。



    487:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:36:31.54ID:Obwn9Rag.net
    まずは宿主の名前はヨリタさんとしよう。
    なかなかにクレイジーな親父さんだった。年のころは当時40すぎたあたり。
    真っ黒に日焼けし、いつもタイダイ染めの服を全身に纏っていた。
    原色の、柄on柄。中途半端なセンスではできない。

    俺がその宿に決めたのは、入って値段を確認しようとしたところ

    「うむっ…君からはパワーを感じる…はぁっ!」

    みたいなことを言われて俺のツボにハマってしまったからだ。
    なんだか、ここにいたら非現実的な楽しいことが起きるような気がしたんだ。

    宿の他の主要メンツは、まずデブで眼鏡のイトウさん。(仮名)
    彼は原付で、日本一周を済ませ、これからそのまま船で台湾に渡るそうだ。
    とはいえ、もう3か月もこのゲストハウスに居ついてしまっている。
    年齢不詳、言ってはなんだがあまり沖縄の似合うタイプではない。

    次に、見事なドレッドのおじさんで、ボンゴさん。(あだ名のさらに仮名)
    彼はこれからその島でバーを経営する予定で、準備の間泊まっていた。
    ジャマイカ帰りの、イカス親父だった。50歳くらいか。
    いつも宿の共有スペースで太鼓を弄んでいた。開店を急ぐ気は、ないようだ。

    それから、俺のひとつ年下の女性。名前をミユキとしよう。
    彼女はスキューバダイビングの為にこの島に滞在していた。
    もともとは黒髪なのだろうが、わざと染めたわけではなさそうな茶色く日焼けした髪と、
    褐色の美しい肌、なにより星空がその中に全部おさまってしまいそうな、
    ぱっちりとした潤んだきれいな目をしていた。

    南国少女、という言葉がぴったりとおさまるだろう。



    489:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:37:49.30ID:Obwn9Rag.net
    ヨリタさんは少々酒乱の癖があった。たまに、すごく乱暴になる。
    深夜に俺が皆を起こさぬようトイレにそっと行ったとき、
    別室の彼の部屋でミユキと喧嘩をしていることに気が付いてしまった。
    あの太陽のように明るいミユキが、啜り泣きをしている。

    かわいそうにも思ったが、俺が手を出せる問題ではない。

    しかしその亀裂は、深夜だけではなくだんだんと皆の見れるところまで
    忍び寄ってきた。ある夜、宴の最中にヨリタさんはミユキを平手打ちしたんだ。
    女の子になんてことを。さすがにそれはないだろう。

    場が一瞬で凍りつく。ヨリタさんより年上のボンゴさんですら何も言えず、
    イトウさんに限っては何故か、そこにまるで重要なものが書かれているかのように
    カレンダーをじっと見つめていた。オイオイおっさんら、しっかりしてくれよ。
    しょうがないので、俺は暴れるヨリタさんをタックルで止めた。

    「わかりましたから、大丈夫ですから。飲み直しましょう、ねっ?」俺は言った。

    飲み屋で経験した酔っぱらいに対するスキルを総動員。おだてて潰す。

    「くぁwせdrftgyふじこlp」ヨリタさんはもう何を言っているかわからない。

    俺はとりあえず落ち着かせ、引きずって彼のベッドに寝かせた。

    共有スペースに戻ると、イトウさんとミユキはいなかった。
    ボンゴさんがぽつんと、寂しそうに太鼓を小さく叩いていた。



    490:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:38:13.80ID:Obwn9Rag.net
    「ミユキちゃんは?大丈夫ですか?イトウさんは?」俺は聞いた。

    「ミユキちゃんなら、外に出てったよ。イトウは、寝た。」あのバカ野郎。

    とりあえず俺は心配になったので、外へ出た。
    海が好きな子だったから、すぐそばのビーチまでの暗い道を探した。

    街灯なんかもほとんどない、小さな島。
    それだけに夜はハブも出るし、危険がたくさんある。

    彼女は、サンゴ礁のかけらで出来た白い浜辺にひとりでしゃがみ込んで泣いていた。
    月の出ていない夜だったから、東京では絶対に見ることのできない満点の星空。
    とてつもなく美しい風景のなかで、とてつもなく可愛い女の子が泣いている。
    放っておけるわけがないじゃないか。そんな奴は男ではない。

    「…大丈夫?」俺は驚かせないように彼女の隣に座る。
    「……大丈夫。」ミユキは洟をすすりながら答えた。

    無理している。そんなことは誰の目にも明らかだ。

    「なんていうか…俺なんかが口出ししていいことじゃないけど…」口ごもってしまった。
    「…………………」星と星との間にある闇と同じ色の沈黙が二人の間に沈殿する。

    …困った。心配して飛び出てきたはいいものの、ノープランだった。
    彼女も、誰かに慰めてもらいたいなんて思っていなかったのかも知れない。
    余計なお世話だったか、と俺は一瞬思ったが、もう遅い。
    しばらく、波の音だけがその空間を満たす。生ぬるい風が、頬をかすめる。



    491:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:38:49.38ID:Obwn9Rag.net
    「…ありがとう。」彼女がぽつり。
    「気の利いた事も言ってあげられなくて…ごめん。」と俺。
    「イッチ君、優しいよね。」彼女の涙はもう乾いていた。
    「そんなことない。何も考えてないだけ。」ふたりでちょっとだけ笑いあう。

    彼女は遠い海の向こうの、俺には見えないものを見ているような目をしていた。

    無限にも思われる空の向こうで、きらっと星が瞬いた。

    その時、俺たちは見たんだ。
    こんなことを書くと、笑われるかもしれない。
    でも、絶対に、見たんだ。酔っぱらってなんかいなかった。

    未確認飛行物体。UFOが3機。

    最初は三角座のような、3つの大きめの星かと思った。
    でも、確実に動いていた。点が入れ替わるようにくるくると回る。
    シュっと消えたり、点滅したり。自然のものでも、飛行機でもない。

    「…見た?」と俺。
    「…うん、見た。」と彼女。

    そのあとはなんだかさっきまで悲しいことがあったなんて忘れてしまって
    二人できゃあきゃあと騒いだ。白い砂をあちこちにくっつけながら。

    「絶対にUFOっしょ!」
    「間違いない!あたし見た!!初めて見た!!」
    「俺も!俺も初めて!!」

    いつの間にか、ミユキはいつもの楽しそうな表情に戻っていた。
    あー、その顔はずるい。と俺は思った。

    小麦色に日焼けした肌。笑顔の隙間から、白い歯がのぞく。
    うん、やっぱり女の子は笑っていた方がいい。

    帰り道、俺たちは手を繋ぎながら帰った。
    どちらからと言う事もなく。俺は久しぶりにそれだけで、少し緊張してしまった。



    492:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:39:10.52ID:Obwn9Rag.net
    その夜俺は、なかなか寝付けなかった。
    だって、ミユキは宿に着くとヨリタさんの部屋に行ってしまったから。

    1週間ほどあとだったか。
    俺のバイトが終わるころ。

    あとは、バイトして稼いだ金が尽きるまで近くの島を回る予定だった。
    俺は、夕食の時それを皆に伝えた。明日、出ていくと。

    みんな名残惜しそうにしてくれた。
    その日は、何のトラブルもなく穏やかに、でもいつも通り騒いだ。
    島唄が、泡盛と一緒に俺の身体に沁みる。
    陽気で、愉快で、それなのにどこか切なさを誘う調べ。

    なぜだか、ミユキだけは少しぶすっとしているように見えた。

    俺は次の日、船の時間より少し早く宿を出た。
    給料をもらい、ここで過ごした間に世話になった近所のおじいとおばあに挨拶するため。
    ほとんど何を言っているか分からなかったけど、島の人たちはみんな優しかった。
    遥か昔に戦争があったなんて信じられないくらいに明るく生きていた。

    港に行くと、大きな荷物を抱えた見慣れた姿があった。
    バックパックに、テントや寝袋までくくりつけている。


    …ミユキ?



    493:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:39:40.23ID:Obwn9Rag.net
    「何してんの?」と俺。バカ面も甚だしい。
    「一緒に行く。」と彼女。

    「え?」
    「え?」

    顔を見合わせる。彼女はにっこりとほほ笑んだままだ。

    「なんで?」と俺。他に言葉はないのか。
    「なんでも。」と彼女。なんだよ、これどういうことだよ。

    俺は激しく混乱した。

    「…だめ?」上目使いはやめなさい。
    「だめじゃないけど…でも…」と優柔不断な俺。

    そんな困った俺を見かねてか、彼女はちょっとだけ強めに言った。

    「あたしが乗りたい船に、あなたが乗るの。それでいいでしょ?」と。

    …そうですか。断る理由が見つからなかった。

    「うん。わかった。そうだね。」そう言うしかない。



    494:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:40:05.82ID:Obwn9Rag.net
    船に乗る。ほんの近くの、さらに小さい島だ。
    時間にして30分くらいだったか。
    波は結構あったが、彼女は平然としていた。
    さんさんと降り注ぐ太陽と真っ白い雲と、真っ青な海とミユキ。


    まるで一枚の絵のようだった。風に煽られ彼女の長い髪がさらさらとなびく。


    バックパッカーというものは、基本的に予定を立てない。
    この日も、俺は一人のつもりだったし宿の予約なんかしていない。


    港というにはあまりにもお粗末な、ただの堤防の様な所に降ろされる。
    俺たち以外は、ほとんどこの島の住人。中には民宿の客引きもいたが、
    船を降りるなり、彼女は言った。

    「おすすめの場所があるの。イッチ君と行きたい。」

    特に異論はない。彼女はこのあたりの島をよく知っている。
    もう、毒を食らわば皿までだ。

    とぼとぼと、彼女の後をついていく。
    赤茶けた、乾燥した大地の上に、収穫手前のさとうきびが連なる。

    15分も歩いたら、島の反対側に出た。それくらい小さな島だ。
    ビーチの手前にマングローブだろうか、茂みがあって、
    一か所だけ人ひとりが通れるような道が作られている。
    樹木の切れ間に白い砂浜と海と空が口を開けている。

    彼女はさくさくと音を立てながら迷いなくその道を進む。
    俺も後からついていく。5メートルほどでバッっと視界が開けた。


    なんっっっっっっにも、ない。



    495:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:40:35.36ID:Obwn9Rag.net
    でもよく見ると、ずっと端っこの方に東屋と、トイレらしきものだけは見えた。
    あとは、砂、死んだ白く変色したサンゴ、防風林、貝殻、うみ、そら、くも。以上。
    ちょうど引き潮の時間帯だったのか、岩場が見えて映画「アビス」に出てきそうな
    軟体生物の様な、何色だかもわからない生物がそれを覆っている。地球の素肌だ。

    「ここ、いいでしょ?何にもなくて。」彼女は言った。頭の中覗いてるんじゃないか。

    でも確かにいい。文明の香りがほとんどしない。その上水場はちゃんとあるし。

    「ここで、キャンプしようよ。」え?泊まるの?ここ。

    彼女は俺の返答も待たずに東屋まで歩いて荷物を降ろし、テントを立て始めた。
    そんなにいいテントじゃない。くすんだオレンジ色の、昭和の林間学校みたいなテント。

    でもあれですよね。テント、ひとつしかないですよね。どうすんの?一緒に寝るの?

    俺はぽかんとしたまま戸惑っていた。

    「ちょっと、手伝ってよ。」えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。

    なんか色々と解決しなきゃいけない気もしたが、とりあえず手を出す。
    さすが手慣れたものだ。ものの10分もかからずにベースは出来た。
    建てているときに東屋の傍らにたき火の跡があることに俺は気が付いた。
    結構、こうやってキャンプする人いるのかもな。



    496:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:40:53.69ID:Obwn9Rag.net
    「買い出し、行こうよ。」彼女は言った。そういえば日も傾いてきている。

    またとぼとぼ彼女の後を追って、島にある唯一の商店へ向かう。
    日用品から簡単なアウトドアグッズ、なんだかすごい色した魚の切り身なんかの
    生鮮食品やお酒が所狭しと並ぶ。ガソリンまで売っていた。全部割高だが。

    謎の魚、たまねぎやじゃがいも、冷えたオリオンビールと氷、パッションフルーツ、
    ついでというわけじゃないが一升瓶の一番安い見たことの無いラベルの泡盛を買った。
    たいして大きくもない折りたたみのクーラーボックスがいっぱいになる。

    バイト代出たばかりだから、と俺が払おうとするとミユキはピッタリと半額
    俺によこした。いいよと言っても彼女は譲らなかった。

    「そういうのは、フェアじゃ、ない。」そう言われては受け取るしかなかった。

    キャンプに戻る。日が暮れる前に枯れ木を集めたき火の準備をしなければならない。
    あと、生命線の真水だ。これもトイレでやはり折りたたみのタンクに汲む。

    俺がそういった力仕事をしていると、彼女はバックパックの中から
    何種類ものビンや袋を取り出し、野菜を刻み始めた。

    「今日はフィッシュカレーにしましょう」軽やかに彼女は言う。何の魚か知らないが。

    あっというまに夕暮れ時になった。とてつもなくでかい、真っ赤な太陽が沈む。
    米を炊き、いい香りを放つカレーを煮込みながら、思わず言葉を無くしてしまう。

    「うわぁ……」と俺。こんな声しか出てこない。
    「港の方からは、朝焼けもみえるのよ。それも、とても素敵。」と彼女。

    そうか。島だもんな。当たり前のことではあるが、なんだかすごく納得した。



    497:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:41:09.89ID:Obwn9Rag.net
    たき火と、ちいさなオイルランプだけで二人きりの食卓。
    いままでみんなで毎晩騒いでいたから、何をしゃべっていいのかわからない。

    でも別に、それでいいかとも思った。
    優しく波が引いては寄せる。
    カレーは思いのほか、美味しかった。
    魚は色だけは奇妙だったが、淡白な白身でクセもなかった。

    ふたりだけで、オリオンビールを開けて、乾杯。3本ずつ。

    そういえば、俺は彼女の事を殆ど知らなかった。
    年齢と、下の名前だけ。みんなで騒いでいる時も、彼女は自分の事はあまり話さない。
    なんとなく突っ込めずに、ここまで来てしまった。
    俺は彼女の、笑顔の反対側に何か暗い過去があるのではと勝手に想像した。

    ビールは無くなった。すると彼女は買ってきたパッションフルーツを二つに割り、
    それを器にして氷を入れ、直接泡盛を注いで俺に手渡してくれた。…なかなかいける。
    空洞になっているそれはグラスの代わりにちょうどよかった。
    内側についているつぶつぶの果肉と混じり、酒臭さが消える。

    ふいに、彼女があっちへ行こう、と俺を誘った。
    火をけし、やはり彼女についてゆく。誰もいない、ビーチの真ん中。足元は真っ暗だ。
    片手に、グラス代わりのパッションフルーツ。泡盛をなみなみ。
    もう片手には、彼女の小さな手。



    498:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:41:32.01ID:Obwn9Rag.net
    二人で。仲良く砂浜に直接腰を下ろす。
    まだ、日中の太陽の熱が残っていて、少し暖かかった。

    「この島はね、星がとてもきれいなの」彼女は言った。

    上を見上げる。今日までいた島もすごかったか、確かに言うだけある。


    圧倒的。星空というよりは、宇宙。手が届きそうだ。


    「ほんとだ…」俺は思わず見とれてしまった。こんなきれいなものがあったのか。

    「イッチくんて、おもしろいね。子供みたい。」褒めてるのか?それ。

    「…なんで、ついてきたの?」俺は無視して気になっていることを聞いた。

    「…あなたについて行ったら、楽しそうだったから。」にこりと、彼女は言った。

    よくわからない。彼女はいつも、肝心なところを口にしない。
    それでもじっと、俺の目を見る。そこにも圧倒的な星空があった。



    499:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:41:52.89ID:Obwn9Rag.net
    思わず俺は、彼女にキスをしてしまった。
    嫌がることもなく、彼女は俺を受け入れてくれた。
    ちくりと罪悪感が心を刺したが、俺は抗えなかった。
    そんな目で、見つめられたら、しょうがないじゃないか。

    ひとしきり小鳥のさえずりのようなキス。リップクリームの甘い香りがした。
    これは、ココナッツか。南国らしい香りは彼女のイメージにぴったりだった。

    「…しちゃったね。あーあ。」彼女が言った。それはないだろ?
    「うん。しちゃった。」俺は彼女から目をそらしながら言った。

    きまずさを消すように泡盛を口に運ぶ。彼女とパッションフルーツの味がした。

    しばらく月が高く上るまで、無言で星をみつめた。
    さっきよりも、二人は距離を詰めて座っていた。
    手を、繋いだまま。静かで、おだやかで、でも危険な夜。

    唐突に彼女が口を開いた。
    これは簡単にまとめよう。

    彼女の両親は、彼女が二十歳の時に事故で亡くなったと言う事。
    その保険金を倹約しながら、旅を続けている事。
    実家は他人に貸出し、戻るところは無いと言う事。
    学校もあまり好きではなく、大学には行かなかった事。

    俺には、何も言えなかった。代わりに、彼女の手をちょっと強く握った。



    500:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:42:10.70ID:Obwn9Rag.net
    「ねぇ、しようよ。」と彼女。え?なんつった?何の準備もないよ?

    彼女が俺に、しだれかかってくる。俺はよろけそうになり、思わず抱き留める。
    あーこれ、ずるいわ。もうどうしようもない。

    「大丈夫。この浜辺は、夜には人、こないから。」そういうことじゃないよ君。

    でも彼女が俺のくちびるを押し分けて舌を絡めてきたときには、
    俺の中の最後の理性も木端微塵に吹っ飛んでしまった。

    きっと何千年もほとんど変わっていないであろう風景の中で俺たちは睦みあった。
    砂まみれになりながら、月と星に、覗かれながら。

    荒い息を整えた後、俺たちはそのまま裸で海に入った。
    海に反射する月明かりの元で見る彼女のしなやかな裸体には、神々しささえ感じた。
    沖縄とはいえ、この時期の海は少し肌寒く感じたが、彼女がぴったりと身を寄せて
    くれたので、震えるほどではなかった。海の中で、また俺たちはキスをした。



    501:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:42:31.42ID:Obwn9Rag.net
    そのまま、彼女と俺はしばらく旅を続けた。
    ある時は、違う島の違うゲストハウス。ある時は、また違う島の、民宿。
    あの島には経路として一度だけもどったが、ヨリタさんに顔を出すことはなかった。

    那覇でのこと。俺は彼女に切り出した。もう金が尽きかけていた。

    「そろそろ、帰らなきゃならない。東京に。」と。
    「そう。あたしは、いかない。東京は嫌い。」と彼女はまた簡単に言った。

    あっさりしたものだった。きっと彼女はそうやって、一人で強く生きてくのだろう。
    まるで野生の猫のような独立心。俺とは生きる世界が違ったのだろう。

    でもひと時でも一緒に居られて俺は幸せだった。
    今でも彼女は旅を続けているのだろうか。
    できるならば、彼女が安住の地を見つけていることを願う。
    つきあうとかつきあわないとか、そういう尺度で生きていない自由な女性だった。



    502:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:42:44.72ID:Obwn9Rag.net
    余談であるが、その後噂ではヨリタさんは酒でトラブルをおこし、
    もうその島にはいないとのことだ。
    ドレッドのボンゴさんは数年前までは確実にその島で酒場を開いていたらしい。
    あのイトウの野郎が台湾に無事にたどり着いたのかは、知ったことじゃない。

    人生において何回かした旅の、忘れられない思い出のひと粒。
    それを文字に起こせる幸せを感じながらも、俺は同時に年齢を感じざるを得ない。

    もし若いひとがこれを読んで、旅に出てくれたら、俺はとてもうれしいと思う。
    歳をとったら、なかなかできなくなるから。



    おわり。



    503:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:43:37.82ID:Obwn9Rag.net
    ありがとうございました。


    486:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 21:36:10.58ID:rztvWGGe.net
    完走おつ!!
    仕事始まってなかなか読めてなかったけど、やっと追いついたー
    連休中はここ読むのが楽しみだった
    色々大変だとは思うけど、良い嫁さんも居るし頑張れるでしょ!
    読んでて俺も頑張ろうと思ったよ



    506:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 23:29:18.11ID:hnEBBlv+.net
    フィッシュカレー!
    番外編も楽しかったー

    フェス思いっきり楽しんできてね!



    507:1@\(^o^)/: 2016/08/19(金) 23:42:39.57ID:Obwn9Rag.net
    >>506
    そう、カレー氏のおかげで思い出したんだこの話W
    ありがとうな!

    今、入念にストレッチしてるぜ!
    モッシュでギックリになったら目も当てられないからな。



    448:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 19:43:14.97ID:lBJCKUHh.net
    これ読むのが毎日の楽しみだった!
    完走してくれてありがとう!お疲れ様!



    449:1@\(^o^)/: 2016/08/18(木) 19:46:06.58ID:4skXIOg4.net
    >>448
    そんなこと言われると照れるぜ///
    毎日読んでくれてありがとうな!
    スレ立ててよかった。




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      コメント

      1.気になる名無しさん2016年08月20日 10:08  ▽このコメントに返信

      わかりにくいから誰かこれ原作で漫画化

      2.気になる名無しさん2016年08月20日 10:13  ▽このコメントに返信

      24ページと知り断念、どなたか感想待ってます!*\(^o^)/*

      3.気になる名無しさん2016年08月20日 10:14  ▽このコメントに返信

      豊丸「イグ~イグ~」

      4.気になる名無しさん2016年08月20日 10:25  ▽このコメントに返信

      読んでないけどタイトルが既にキモい

      5.気になる名無しさん2016年08月20日 10:25  ▽このコメントに返信

      ゲームボーイ発売の年がおかしい
      なめ猫とゲームボーイは流行が被ってない
      よって釣り決定

      6.気になる名無しさん2016年08月20日 10:40  ▽このコメントに返信

      なげーよ

      7.気になる名無しさん2016年08月20日 10:44  ▽このコメントに返信

      ※5
      読んだのかよ
      すげーなw

      8.気になる名無しさん2016年08月20日 10:51  ▽このコメントに返信

      よくまとめたねお疲れ
      描写が詳しすぎる小説家志望か何か

      9.気になる名無しさん2016年08月20日 10:53  ▽このコメントに返信

      3Pで諦めました☆

      10.気になる名無しさん2016年08月20日 11:01  ▽このコメントに返信

      誰か産業でまとめて

      11.気になる名無しさん2016年08月20日 11:06  ▽このコメントに返信

      高学歴の人、要約たのんます

      12.気になる名無しさん2016年08月20日 11:11  ▽このコメントに返信

      出だしで小説ってわかるタイプ

      13.気になる名無しさん2016年08月20日 11:13  ▽このコメントに返信

      この頃は記憶に無いが→オンナの顔をしていた
      えぇ...(困惑)

      14.気になる名無しさん2016年08月20日 11:13  ▽このコメントに返信

      だめだ12まで読んだけどもう無理だ
      せめて7くらいにしてほしいわ

      15.気になる名無しさん2016年08月20日 11:19  ▽このコメントに返信

      自分の兄弟を美人だとかグラマーだとかキモすぎて草

      16.気になる名無しさん2016年08月20日 11:31  ▽このコメントに返信

      小さい頃に精神的なダメージを受けた人は記憶を鮮明に持ちやすいんだよね〜。家庭環境に問題があった俺の友達もそうだった
      仮にこれが実話だとして、もちろん文に起こす段階で脚色が入ってるだろうことを加味しても、さほど不思議ではないね

      17.気になる名無しさん2016年08月20日 11:48  ▽このコメントに返信

      みんなすごいな
      俺は最初の家族構成紹介あたりで読むのやめたわ

      18.気になる名無しさん2016年08月20日 11:53  ▽このコメントに返信

      絶対37歳じゃないわ
      塩沢ときなんて今年40のオレの女房だって知らねえよ
      時代背景もちょいちょい間違ってるし
      へんなの

      19.気になる名無しさん2016年08月20日 11:53  ▽このコメントに返信

      1/24が見えて心が折れた

      20.気になる名無しさん2016年08月20日 11:56  ▽このコメントに返信

      スマホで24ページはキツいな。園長だかにキスされて、大作の予感がするのに。あとでパソでみっか。

      21.気になる名無しさん2016年08月20日 11:58  ▽このコメントに返信

      なんやコイツ
      どこが女難なんや
      喧嘩してーんか?
      人の傷口えぐって楽しいんか?
      じゃ喧嘩するんだなコラ

      22.気になる名無しさん2016年08月20日 11:58  ▽このコメントに返信

      米18、俺35だけど塩沢ときは分かるぞ。頭(髪型)のゴツくて籐椅子に座ってるイメージしかないけど。

      23.気になる名無しさん2016年08月20日 12:04  ▽このコメントに返信

      浮気された反動で女遊びってのはみんなやるもんなんだな
      安心した

      24.気になる名無しさん2016年08月20日 12:07  ▽このコメントに返信

      3つ上か。
      まぁジョーダン5買えない事もないが、俺が中坊の頃でナンバリングは5、6万したな。しかも中古で。

      25.気になる名無しさん2016年08月20日 12:13  ▽このコメントに返信

      面白くて一気に読んじゃった。

      26.気になる名無しさん2016年08月20日 12:16  ▽このコメントに返信

      文章うまいし、きちんと推敲して本にしたら売れそう。

      27.気になる名無しさん2016年08月20日 12:26  ▽このコメントに返信

      ※10纏めるのが
      めんどくさかったので
      丸写し
      こうだろうなあ

      28.気になる名無しさん2016年08月20日 12:45  ▽このコメントに返信

      でも1の気持ちすごいわかるわ。途中から感情移入してた
      誰だってこのなかの1つや2つは経験あるでしょ。なんでも創作って決めつけるのは冷めないか?

      29.気になる名無しさん2016年08月20日 12:53  ▽このコメントに返信

      素敵なお話ありがとう
      その行動力、見習いたいものですねぇ

      30.気になる名無しさん2016年08月20日 13:02  ▽このコメントに返信

      読むのだるいから誰か簡潔にはよ

      31.気になる名無しさん2016年08月20日 13:07  ▽このコメントに返信

      同年代のはずなんだけど所々言葉の選び方が爺臭いという違和感は拭えなかった

      32.気になる名無しさん2016年08月20日 13:11  ▽このコメントに返信

      ※21
      女難の意味はき違えてるよね。女難って何??って思ったわ、自逆風自慢うぜーってなって途中から飛ばした。

      33.気になる名無しさん2016年08月20日 13:13  ▽このコメントに返信

      ※28
      全くない奴もいるんだよ?そういう奴らからは創作だと思われてもしょうがないね、だって創作やろコレ。

      34.気になる名無しさん2016年08月20日 13:17  ▽このコメントに返信

      全然女難じゃなくてアレだけどええんじゃねーの
      むしろモテ人生自慢にしか見えんが

      35.気になる名無しさん2016年08月20日 13:26  ▽このコメントに返信

      留学以降が胡散臭すぎ

      36.気になる名無しさん2016年08月20日 13:40  ▽このコメントに返信

      好色一代男 昭和編 面白うございました

      37.気になる名無しさん2016年08月20日 13:44  ▽このコメントに返信

      展開の波瀾万丈さはケータイ小説と変わらん

      38.気になる名無しさん2016年08月20日 13:54  ▽このコメントに返信

      面白かったが9ページ途中区切りの良い所で断念

      39.気になる名無しさん2016年08月20日 14:02  ▽このコメントに返信

      作中にも出てきたけど村上春樹の書く女癖の悪い主人公っぽい

      40.気になる名無しさん2016年08月20日 14:03  ▽このコメントに返信

      村上春樹乙

      41.気になる名無しさん2016年08月20日 14:23  ▽このコメントに返信

      ※32
      だよな
      これはお惚気話か自虐風自慢だよ
      それと長すぎて全部読めない

      42.気になる名無しさん2016年08月20日 15:00  ▽このコメントに返信

      ※5
      別に発売した年に買ったわけじゃないだろ…とマジレス

      43.気になる名無しさん2016年08月20日 15:02  ▽このコメントに返信

      おれならこれを4ページでかきあげられる

      44.気になる名無しさん2016年08月20日 15:02  ▽このコメントに返信

      全部読んだ
      このひと文かくのうまいねスラスラ読める
      例のSSみたいに書籍化できそうだ

      45.気になる名無しさん2016年08月20日 15:05  ▽このコメントに返信

      設定だけで疲れた

      46.気になる名無しさん2016年08月20日 15:16  ▽このコメントに返信

      ※26
      小説よく読むけど、あんま引き込まれなくて途中で放り出したよ俺は。

      47.気になる名無しさん2016年08月20日 15:27  ▽このコメントに返信

      女難の相とかいうから、今まで起きた女に関する災難を書いてるのかと思ったら、糞長い自分語りだったから途中で読むのやめた。
      けど話は面白いから、1冊の本にして欲しいな。
      スマホだと何故か読むのめちゃくちゃめんどくせーんだよ

      48.気になる名無しさん2016年08月20日 15:42  ▽このコメントに返信

      ※5
      俺もそれ思った
      完全に釣り

      49.気になる名無しさん2016年08月20日 15:45  ▽このコメントに返信

      中々楽しんで読めた。が、典型的な無計画の末っ子でイライラした。
      経験豊富なのは分かった、障害あるのも分かった、だがそれを学習せず自分の頭が堅い事を理由に自分の弱点である現実逃避の本質を見抜けていない。
      それがわからなければ、ただ生涯学生の股間を制御出来ない馬鹿野郎だ。

      50.気になる名無しさん2016年08月20日 15:45  ▽このコメントに返信

      モテ人生自慢
      俺とは真逆だよ

      51.気になる名無しさん2016年08月20日 15:51  ▽このコメントに返信

      1はイケメンなんだろうな
      普通こんなに簡単に好きな相手と恋人には慣れない
      1なりに人生大変そうだけど経験豊富で羨ましいよ

      52.気になる名無しさん2016年08月20日 15:58  ▽このコメントに返信

      寝起きで読みはじめて何回泣かされたことか
      おっさん責任とって嫁さんと末長くしあわせにな!あとフェスでケガすんなよ!

      53.気になる名無しさん2016年08月20日 16:32  ▽このコメントに返信

      こういう長いのは読む気しないから読まない

      54.気になる名無しさん2016年08月20日 16:34  ▽このコメントに返信

      よかったね
      現実の出来事だったらもっとよかったね
      お薬ちゃんと飲もうね

      55.気になる名無しさん2016年08月20日 17:15  ▽このコメントに返信

      読む気しない

      56.気になる名無しさん2016年08月20日 17:49  ▽このコメントに返信

      まとめ
      妄想乙

      57.気になる名無しさん2016年08月20日 18:48  ▽このコメントに返信

      アヤコが中学浪人しちゃってる件

      58.気になる名無しさん2016年08月20日 18:56  ▽このコメントに返信

      久々に現れたな創作屋さん。
      でも随分上手くなったと思うよ。

      まだくさいけど。

      59.気になる名無しさん2016年08月20日 18:59  ▽このコメントに返信

      作品が進むにつれ、少しずつ主人公の年齢が上がっていくのが切ない

      60.気になる名無しさん2016年08月20日 18:59  ▽このコメントに返信

      留学
      大切な人の死
      人生の愉しさ


      おもしろかった。
      ありがとう。

      61.気になる名無しさん2016年08月20日 19:24  ▽このコメントに返信

      面白かった🎵

      62.気になる名無しさん2016年08月20日 20:36  ▽このコメントに返信

      釣りかどうかは別として、俺はこの1という人間が嫌いだと思った

      63.気になる名無しさん2016年08月20日 20:41  ▽このコメントに返信

      なんか古臭い文章だなーって
      セリフとか気持ち悪かった
      途中で読むの辛くなった

      64.気になる名無しさん2016年08月20日 20:54  ▽このコメントに返信

      俺は1が死にかけていても絶対に助けない

      65.気になる名無しさん2016年08月20日 20:57  ▽このコメントに返信

      なんかダセェ…

      66.気になる名無しさん2016年08月20日 21:22  ▽このコメントに返信

      ぜってぇ嘘だわ

      67.気になる名無しさん2016年08月20日 22:39  ▽このコメントに返信

      女難と呼べるのってメンヘラのヨーコくらいじゃね
      他は人間関係上のミスマッチくらいにしか感じないというか、女難は言い過ぎだろ

      全体的に半生録としては面白かったけど、DQN気質が強いから同情とか感情移入はできなかった

      68.気になる名無しさん2016年08月20日 22:40  ▽このコメントに返信

      自分語り楽しいンゴおおおおおおおお!!!!

      69.気になる名無しさん2016年08月20日 22:46  ▽このコメントに返信

      長い。途中で読むのやめた。

      70.気になる名無しさん2016年08月20日 23:14  ▽このコメントに返信

      なかなか良かったぜ、マジで。

      71.気になる名無しさん2016年08月20日 23:24  ▽このコメントに返信

      面白かった!

      特に対人関係に関して、真っ直ぐ前を向いて、時には挫折したり、それでも一生懸命考えて生きているのだなと、清々しさを感じた。青春は、全力疾走してる人間にだけ与えられるのだなぁ。

      72.気になる名無しさん2016年08月21日 00:10  ▽このコメントに返信

      所々に自演コメントがわいてる

      73.気になる名無しさん2016年08月21日 00:53  ▽このコメントに返信

      悲しみを分散するシステムって捉え方を知れて為になった

      74.気になる名無しさん2016年08月21日 01:35  ▽このコメントに返信

      >62>64
      まさにそう思う。

      75.気になる名無しさん2016年08月21日 02:02  ▽このコメントに返信

      留学とアヤコの高校入学のくだりで時系列が破綻しているけど、おもしろエロかったから次もたのんます。

      76.気になる名無しさん2016年08月21日 02:42  ▽このコメントに返信

      全部読むのに一時間くらいかかったw
      けどとても面白い話でした!
      僕まだ18だけど、なんもすることなくて不安だったけど、元気がでた!

      77.気になる名無しさん2016年08月21日 02:43  ▽このコメントに返信

      なんだかんだ読むのに3時間くらいかかってしまった
      疲れたけど後悔はしていない
      しかしモテすぎだろ

      78.気になる名無しさん2016年08月21日 02:47  ▽このコメントに返信

      腹立つ

      79.気になる名無しさん2016年08月21日 02:58  ▽このコメントに返信

      スレタイだけで読むのやめたわ、シュッとしてるって自分で言うかね

      80.気になる名無しさん2016年08月21日 05:45  ▽このコメントに返信

      いじめ、レズ、親友がシンナー中毒かつ自殺、初体験の14そこらの彼女がすぐに絶頂に達せる、青姦(15.14のカップル)、性的虐待を受けたメンヘラとの情事アンド傷害
      自身は鬱からの脳障害?

      携帯小説でもこんなんないわ、流石に
      逆に潔いわ

      81.気になる名無しさん2016年08月21日 06:46  ▽このコメントに返信

      浮気した女の人どうなったのか気になる···

      82.気になる名無しさん2016年08月21日 07:07  ▽このコメントに返信

      女側からの感想。

      男がいないと幸せになれない女ばかり好きになるから苦労するのだと思う。
      物憂げな表情を見て「俺だったら幸せにしてあげられる」と思うのは「この女の前ならカッコイイ俺になれる」ということだからね。

      「幸せにしてやりたい」と言う男ほど、無意識に見返りを求めて女に甘えるようになるので、幸せを相手に委ねる者同士ぶつかりあって破綻するのでは。(愛情は濃厚に見えるけど、破壊的になってしまう)

      女性に対して過干渉すぎるのがイッチのモテ要素なのだけれど、長期的な交際ではトラブルの素(女難の相)になるので、どんなに仲良くても、上手に距離を取るようにしないと人間関係重くなる一方なので、注意して欲しいな。今のお嫁さんとうまくいってほしい。

      83.気になる名無しさん2016年08月21日 11:05  ▽このコメントに返信

      低レベルな人間だね まさに類は友を呼ぶ

      84.気になる名無しさん2016年08月21日 11:05  ▽このコメントに返信

      このオッサン低レベルな人間だね まさに類は友を呼ぶ

      85.気になる名無しさん2016年08月21日 12:15  ▽このコメントに返信

      言葉のチョイスがいちいち古臭いんだよな
      オレは50歳だが、同世代かもう少し上な気がする
      たとえばこのあたり
      >しかも得物は俺と同じ、ベースギターだった。
      >いつもポマードで頭をオールバックにして、ブレイクダンスが上手な遊び人。

      86.気になる名無しさん2016年08月21日 15:10  ▽このコメントに返信

      キモ

      87.気になる名無しさん2016年08月21日 15:31  ▽このコメントに返信

      事実かどうかなんてどうでも良くて
      単純に読み物として面白いかどうか
      俺は面白かったよ

      88.気になる名無しさん2016年08月21日 17:14  ▽このコメントに返信

      終盤読み飛ばしたが、こいつ奥村だか山だかの死をさらっと流して理由が分からないとか言ってるがどう考えても浮気のゴタゴタが理由だろw
      つーか女難がどうとかいうよりこいつが単に惚れやすいヤリチンが招いた結果じゃねぇのw

      89.気になる名無しさん2016年08月21日 19:00  ▽このコメントに返信

      一気に読んだ
      すげー面白かったわ

      90.気になる名無しさん2016年08月21日 19:54  ▽このコメントに返信

      24ページって、しかま長文・・・

      無理!

      91.気になる名無しさん2016年08月21日 20:35  ▽このコメントに返信

      時間かけて全部読んだけど後悔しないくらいには楽しめたよ
      でもコメでもつっこまれてるけどアヤコ中学浪人しちゃってるのとか自分より少し年上な割りにはすごく年上っぽい言い回しだったりとか気になった
      それと女難ってほどか?ってとこも

      個人的にはスピンオフの沖縄の話が好き
      あとアヤコの親友との浮気が一番きつかった

      92.気になる名無しさん2016年08月21日 21:21  ▽このコメントに返信

      5ページで諦めた
      こんな超大作おすすめするか?

      93.気になる名無しさん2016年08月21日 22:37  ▽このコメントに返信

      酷評多くてワロタw
      キニ速童貞多すぎやろ....

      94.気になる名無しさん2016年08月21日 23:23  ▽このコメントに返信

      95.気になる名無しさん2016年08月21日 23:24  ▽このコメントに返信

      96.気になる名無しさん2016年08月22日 01:14  ▽このコメントに返信

      女難のヤリチン不良男
      さまざまな女とパコパコ
      色々あったけど今は嫁と犬と幸せ!

      長ぇーよ。創作だよ。
      他のまとめブログにあった金髪外国女と留学男がオタク文化で意気投合した話の二番煎じ。

      読む価値無いよ。くっそ暇ならどうぞ。
      今の嫁じゃない女との生々しい猿交尾描写とか気持ち悪すぎて笑えるわww
      過去の栄光思い出してマスッてんすかね。
      キンモー。

      97.気になる名無しさん2016年08月22日 01:26  ▽このコメントに返信

      面白かったけど言うほど女難なのかこれ…

      98.気になる名無しさん2016年08月22日 02:04  ▽このコメントに返信

      幼稚園の待機児童には誰も突っ込まんのか

      99.気になる名無しさん2016年08月22日 02:19  ▽このコメントに返信

      明日模試の浪人生だが読んじまった…
      若いから時系列のズレは分からんが、釣りでも釣りじゃなくても読み物として面白かった。
      が、今この時に読むものではなかったのは確かだ

      100.気になる名無しさん2016年08月22日 09:55  ▽このコメントに返信

      最後まで読ましてもらいました。
      これで気持ちよく寝れそうです。

      101.気になる名無しさん2016年08月22日 10:02  ▽このコメントに返信

      細くて美人
      グラマー
      登場人物紹介で読むのを止めたよ

      102.気になる名無しさん2016年08月22日 11:16  ▽このコメントに返信

      拭いきれない創作臭
      留学あたりで釣り確定

      103.気になる名無しさん2016年08月22日 13:23  ▽このコメントに返信

      シュッとしたとかキモすぎんだよ

      104.気になる名無しさん2016年08月22日 19:39  ▽このコメントに返信

      襲われた話スピンオフで是非

      105.気になる名無しさん2016年08月23日 02:27  ▽このコメントに返信

      漫画とかそういう小説とかの類だと思ってみれば面白い

      かもしれない

      106.気になる名無しさん2016年08月23日 22:11  ▽このコメントに返信

      最初の方は面白く読んでたけど、パンクスってwwwwこの辺から飛ばしたwwww

      107.気になる名無しさん2016年08月24日 00:38  ▽このコメントに返信

      読んでないけど、気持ち悪いです…

      108.気になる名無しさん2016年08月25日 06:09  ▽このコメントに返信

      タイトルが無理

      109.気になる名無しさん2016年08月25日 10:11  ▽このコメントに返信

      永井つまらん創作だろ

      110.気になる名無しさん2016年08月25日 15:59  ▽このコメントに返信

      ヨーコに刺されてからがなんだかドロドロしてて読む気失せた…。

      111.気になる名無しさん2016年08月25日 17:25  ▽このコメントに返信

      途中までは頑張ったよ、途中までは…横山の乳当たったよな辺りでコメ欄に退却…長過ぎる…w

      112.気になる名無しさん2016年08月25日 20:23  ▽このコメントに返信

      創作かどうかはさておき普通に良作

      113.気になる名無しさん2016年08月25日 20:24  ▽このコメントに返信

      面白かったけど自慢はウザかったからタイトルに注意書きしとけ

      114.気になる名無しさん2016年08月26日 02:53  ▽このコメントに返信

      シュッとしたっていうスレタイがもう無理。キモい。

      115.気になる名無しさん2016年08月26日 18:46  ▽このコメントに返信

      姉2人のその後が気になる

      116.気になる名無しさん2016年08月27日 16:15  ▽このコメントに返信

      40代の姉のことを美人だとかグラマーだとか気持ち悪くね

      117.気になる名無しさん2016年08月27日 18:56  ▽このコメントに返信

      女難って言ってるけど、イッチが女好きで自分から飛び込んでるだけじゃん。

      118.気になる名無しさん2016年08月28日 04:13  ▽このコメントに返信

      なんでこんなんまとめた

      119.気になる名無しさん2016年08月28日 07:22  ▽このコメントに返信

      24時間テレビ乙

      120.気になる名無しさん2016年08月28日 07:53  ▽このコメントに返信

      コメント欄みてる方が
      真実味ある

      121.気になる名無しさん2016年08月28日 08:04  ▽このコメントに返信

      青色一色は目が痛い

      122.気になる名無しさん2016年08月28日 08:23  ▽このコメントに返信

      ウツで休職中に村上春樹読んでしまって自分の半生ソレっぽく脚色してたら楽しくて筆が止まらないでゴザルンゴォォォ

      好かれる為に話を盛る典型的な末っ子気質ですね、俺自分大好き!なのは解った。

      123.気になる名無しさん2016年08月28日 15:54  ▽このコメントに返信

      びっぷららしい臭さだった
      最初の1レスでお腹一杯
      釣りじゃなきゃ30代後半でこんな拗らせたよく文章かけるな

      124.気になる名無しさん2016年08月28日 17:48  ▽このコメントに返信

      釣りなのか記憶があやふやなのか知らんがこれは女難ですわ

      125.気になる名無しさん2016年08月28日 20:41  ▽このコメントに返信

      流石にここまでせんめ

      126.気になる名無しさん2016年08月28日 20:42  ▽このコメントに返信

      いに覚えてるやついないんじゃないか?

      127.気になる名無しさん2016年08月29日 07:03  ▽このコメントに返信

      今年も
      6次元で集まるんだろな

      128.気になる名無しさん2016年08月31日 20:34  ▽このコメントに返信

      最後の質問コーナー
      質問皆無

      129.気になる名無しさん2016年09月02日 19:01  ▽このコメントに返信

      まぁ正直面白かったな 人の人生って

      130.気になる名無しさん2016年09月03日 15:07  ▽このコメントに返信

      なんでもかんでも創作って決めつけるやつは読んでて楽しいんかねぇ
      そもそも創作だったとしても面白かったからいいと思うよ。俺は

      131.気になる名無しさん2016年09月03日 15:14  ▽このコメントに返信

      やり取りも含めて
      自作自演はドン引き

      132.気になる名無しさん2016年09月05日 19:55  ▽このコメントに返信

      たかが24ページが長いってやばいお前らwww

      133.気になる名無しさん2016年09月05日 20:55  ▽このコメントに返信

      ただのイケメンリア充のはなし

      大して苦労もしてない

      おまえらからもっとも遠いところにいるタイプの人間

      134.気になる名無しさん2016年09月05日 21:15  ▽このコメントに返信

      w

      135.気になる名無しさん2016年09月07日 00:30  ▽このコメントに返信

      女難の相を持った→浮気とかってことか?
      シュッとしたおっさん→うわなんかキモ
      って感じで読むの止めた。シュッとしたとか自称されると得も言われぬキモさがあるわ。

      136.気になる名無しさん2016年09月07日 07:10  ▽このコメントに返信

      このくらいの文章も読めない奴がいるのか…

      137.気になる名無しさん2016年09月08日 02:01  ▽このコメントに返信

      女難どころか女に縁が無いアラフォー公務員の俺が通りますよ⊂(^ω^)⊃

      138.気になる名無しさん2016年09月08日 21:28  ▽このコメントに返信

      自作自演でもわかりにくい文章の所があっても話自体は面白かったっ

      139.気になる名無しさん2016年09月09日 02:53  ▽このコメントに返信

      おっさんがよく幼稚園、小学、中学の頃覚えてんな^^

      140.気になる名無しさん2016年09月09日 19:31  ▽このコメントに返信

      凄い!そして...ありがとう(((o(*゚▽゚*)o)))

      141.気になる名無しさん2016年09月10日 04:43  ▽このコメントに返信

      吉田さんに告白する辺りから文体が急に気持ち悪くなったと感じたのは俺だけなのか。

      142.気になる名無しさん2016年09月10日 11:35  ▽このコメントに返信

      最初は女難だと思ったが、
      途中から女難はどっかいって、
      村上春樹風のキザでスカしてて小金持で自覚ない自分語りになってて、キモくて読むの止めた。

      143.気になる名無しさん2016年09月11日 13:59  ▽このコメントに返信

      わりと読みやすかった。
      女難(リア充)な半生

      しかし同世代でもこんな派手なやつが居るんかw
      ゲームボーイとなめ猫の誤差は年の離れたヤンキー姉なら持ってそうだけど
      そこはファミコンかPCエンジンにしとくべきだった

      144.気になる名無しさん2016年09月11日 16:39  ▽このコメントに返信

      ネタを適当に100作って
      メモ用紙に書きなぐって
      ただ並べただけ。
      ネタとネタの前後が噛み合ってない
      名前のパターンが片寄り過ぎ
      だから読み手の脳内再生が出来ない
      物語とは程遠い

      145.気になる名無しさん2016年09月15日 19:28  ▽このコメントに返信

      底が浅いよ 創作、実話、どちらだとしても つまらない人間 詐欺師の虚言に限りなく近い故 終盤に近づくにつれ不愉快 後に不快 物書きにすらなれないよアナタ

      146.気になる名無しさん2016年09月16日 13:31  ▽このコメントに返信

      まとめだとそれなりに楽しく読めるけど、これ小説の形式で書かれてたら実に陳腐で読めた代物じゃなくなるな。
      不思議。

      147.気になる名無しさん2016年09月17日 01:14  ▽このコメントに返信

      ただのイケメンのモテ話だった。

      幼稚園から嫁もらうまでモテっぱなしやんけ!!なんやこいつ!
      学生時代にカップルになれるとか嘘やろ…?嘘だと、創作だと言ってください。羨ましす……

      148.気になる名無しさん2016年09月19日 00:24  ▽このコメントに返信

      ざっと読んでわかったことは、村上春樹に感化された人の創作だということ

      149.気になる名無しさん2016年09月19日 09:28  ▽このコメントに返信

      村上春樹って
      この程度なんだ

      150.気になる名無しさん2016年09月20日 09:39  ▽このコメントに返信

      >>1は発達障害か何かか?
      めちゃくちゃ気持ち悪いんだが。

      あと、これを村上春樹とかマジかw昔流行ったケータイ小説並みだぞ?www


      ラノベしか読まない層からしたら、村上春樹もケータイ小説も一緒かw

      151.気になる名無しさん2016年09月22日 07:07  ▽このコメントに返信

      後半~は
      書くのに飽きたんだろな
      扱い雑だし
      …おしまい…おわり
      って作文でも書かないよ
      読み返すーなんて人居ない

      152.気になる名無しさん2016年09月23日 19:58  ▽このコメントに返信

      完全創作だったら面白く思えた

      153.気になる名無しさん2016年09月24日 22:08  ▽このコメントに返信

      履歴欄→一貫性なし
      志望動機欄→テンプレート丸出し
      そんな履歴書みてる感覚
      気持ちが入っていない文章って
      一瞬でわかるよね

      他人に見せるって意識ない文章
      は時間のムダ
      日記風な履歴書最近多過ぎる

      154.気になる名無しさん2016年09月25日 23:52  ▽このコメントに返信

        ー 診断書 ー
      アルツハイマー型妄想癖

      せめて下書きして
      読み返せば多少はマシな
      内容に修復できたか

      155.気になる名無しさん2016年11月13日 23:01  ▽このコメントに返信

      コメントも
      長編だね

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