日日保谷通信

Daily Hoya Commnications 日々思いついたネタを世情とは別次元で綴る私的日記サイトです

PAA展 撤収

日曜日でPAA展が終了し、今日は撤収に行ってきました。

今回の展示は通常の6日間よりも一日短く5日間での開催でしたが、通常の期間と同じくらいのお客様に来ていただきありがたく存じます。また、お客様の滞在時間も長く、作家とのお話もはずんだようでした。
自分の作品についても、いろいろな感想を伺いそれがモチベーションに繋がってくるように感じました。
また、来年の展示にむけて新たな制作に力をいれていこうと思います。

まぁ、でも今日は疲れも出てきたので少し休んでからノンビリ始めようかと思います。

ラストにもう一度、ありがとうございました。

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次回もよろしくお願いします。

筆触分割

「富士山伝説」展の作品の話ばかりで恐縮ですが、今回はPhoto Collageでトライしたもう一つの目論見の事について書いてみます。

色を表すというと光の三原色や色(物体の色)の三原色とがあり、光の三原色はRGB(Red, Green, Blue)で物体色の三原色はCMY(Cyan,Magenta,Yellow)になります。
このとき、光の色は重ねるほど明るく(明度が上がる)なり、すべてを重ねると白(無彩色)になります。
物体色のほうは重ねるほど暗くなり、すべてを重ねると黒(無彩色)になります。
このことは昔に習っていたので、当たり前の事だと思っていましたが、実は気が付いていなかったことにぶち当たったのでした。

それはデジカメのエラー画像で、RGBがエラーを起こして出現したという事だったのですが、これをプリントすると、どうしても色がくすんでしまいイメージに合いません。
デジカメのエラー画像を見ているのはPCのモニターですから、モニターとプリンターのキャリブレーションか?と考えましたが、そうではありませんでした。

三原色を表す3つの色円盤の重なりのイメージがありますが、実はRGBの赤・緑・青とCMYの重なりで作り出される赤・緑・青の色は同じではありません。端的にいえばRGBの色(原色)は明るく彩度の高い色でピュアな感じがします。一方CMYから作り出される赤緑青の色は暗くくすんでしまいます。

これはもうAdobeRGBがどうしたとかsRGBがどうしたとかいう範囲の話では無くてRGBとCMYK(CMY+K:黒)の色域の違いの話でした。

CMYKを混ぜて作る色はくすんだ暗い色になってしまうという事です。
こういうのは普段、カラー画像をプリントアウトしてもあんまり気にならなかったのですが、それはベタな赤色や青色で壁を塗るみたいな事が写真の上ではあまり登場してこないからかもしれません。
色の原則に戻って考えれば当然の事だった訳ですが。

でも、どうにかモニターでみたRGBエラーの色を出したいなと考えました。
そこで思い出すのは印象派が提唱した「筆触分割」です。曰く、色は重ねると暗くなるから、自然の光を再現するために、絵具は混ぜないでそのままキャンバスの上に置く。隣に違う色を置いて、離れてみるとそれらが混合してイメージした色を作り出す。

そこで今回のPhoto Collageは原色ではないけれども、幾多の色のエラーをプリントしたものから、明るく彩度の高い色を選んでコラージュしていき、筆触分割にチャレンジして全体を作り出したのです。

春 - 青色の山
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夏 - 赤色の山
夏


Photo Collageの作品解説は何度も続いたので、この項 了とします。


富士山伝説 展のテーマ 四季の図

最初に「不二山」というエラーデータのコラージュ作品を制作して、いろいろアイデアがまとまり始めました。次はコラージュによる「山」の形を明確にした作品を作ろうというものです。

前稿でも書いてるように、富士山というと思い浮かぶのは葛飾北斎であったり片岡珠子です(私の場合)、そして横山大観だとか写真界では岡田紅陽とか出てくるわけですが、独自性というところでは前者2名が強いでしょうか。そして北斎はあまりにベタなので、敬遠しました。神奈川沖浪裏図に挑戦した作品も見かけた事はありますが、成功したんだろうか?と思う部分はあります。

そこで競合を避け(そういう事か?)私のイメージは片岡珠子の富士です。片岡珠子の魅力は自在な形と強烈な色彩にあると思いますが、今回のエラーデータは当に画像が無くて色だけなので、そのなかでも強いソリッドなカラーになってエラー画像を選んで、画面を構成したのでした。

春は、青い山体と白い雪、桜と菜の花のイメージで色の配置を考えました。
夏は、金色の背景(空)に赤い山体。山頂に残る雪と濃い色の裾野の取り合わせ。
冬は、白い山体と濃い青の空に浮かぶうろこ雲。
秋ができなかったのですが、秋のかわりに「不二山」を入れる4点を並べて四季の壁面を作りました。



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夏




不二山

不二山





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春と夏はそれぞれ銀屏風と金屏風のイメージにしたてました。
金屏風は夏の暑い日差し=日光を象徴しています。
銀屏風は春の宵、夜をイメージしていますが、穏やかな春の陽射しとも見えそうです。

富士山伝説 展のテーマ

今週12日で『富士山伝説』展も終わり、漸くノンビリしています。でも暑いので殆ど家で過ごしています。今日は台風の雨だというのでこもりっきり。でも既に雨は上がったみたいだね、この辺りは。
それでちょっと展示のテーマについて振り返りをしているところ。

まぁ、なにしろ、このblogで以前にも書きましたけど、『富士山』というテーマは大変なもので、それというのも、これまでに富士山の写真てそれこそ嫌になるほど世に溢れているし、日本人だと誰の頭の中にもしっかりとイメージが出来上がっていて、それにヒットしないとダメだからだ。だから写真やるとき「花」と「富士山」はやっちゃだめwというくらいなのだけど、それを敢えてやるぞとなった時から苦行が始まった訳です。

で、そうなると、私はもともと臍曲がりだから、これは富士の写真なんか撮ってちゃダメだなというか、富士の写真なんか撮ってどうだ!なんてみせても失笑買うだけとしか思えない訳で、じゃぁどうするとなったのでした。
何しろ富士と言えば誰さんのアレとか誰誰のこの作品とかが目白押しな訳で、そこに入って行ってもいい事無いというか生産的ではない。ならば誰も見たことの無い新しいフジを見せられるか、あぁこういう解釈があったのか?みたいな発見がないとダメだろうと思う訳ですよ。
でも、それはそうだけど、やはり言うは易く行うは難しで、じゃぁ一体どうするんだというところを考えるのに一番時間がかかったのでした。
「富士山」というテーマを決めたのが前回の展示会のときだから、今回の展示会までの間、ほぼ1年間が準備期間。

その時、デジタルカメラ画像のエラーデータというのを、これは前々から溜めていて、何かの折に使えないかと考えていたのですが、まさに前回の展示では、そのエラーデータの画像による作品を展示したのでした。でも、その時はRGBがズレたようなエラーの画像で、まだ何かが写っているというのは見て取れた。そして残ったエラーの画像はほぼ色だけ、そこに縞がはいったり色のグラデーションがあったりというくらいで、何が写っているかは全く分からないというエラーでした。この2種類のエラーの違いはカメラメーカーの違いで、センサーと画像エンジンというファームウエアの違いってところにあるのでした。で、その使えなくて残したほうのエラーデータをどうにか使えないかと考えてたどり着いたのがエラー画像によるフォトコラージュ(Photo Collage) という手法なのでした。

要するにエラーデータ画像の切り貼りという事になるのだけど、いったいどうやって富士山を表すのか。それがまた一苦労。

富士の山の姿を描くのにも、イメージとして浮かぶのは誰(の作品)だろう?
富士の写真作品を撮るのに、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」をイメージしたようなのは見かけたことがありますが、どれも迫力不足。それはそうで北斎はえらくデフォルメしてるから、写実の写真じゃ難しい。でも。デフォルメなら北斎にも負けない片岡珠子がいるのだけど、写真でこれをやろうとした人は私は知らないw やるなら片岡珠子だなと思っていました。

いろいろNETで探したり、調べるうちに面白いものを見つけたのでした。
それが本阿弥光悦作の「銘 不二山」という茶碗の写真。それには何故「不二山」と名付けられたのかの由来が載っていたので、なるほどと閃いた訳です。

白釉のかかった楽茶碗ですが、下半分が焦げて灰黒色に火変した失敗作ですが、その景色を面白いと感じて富士に見立て、しかも失敗で二つと無いというところから「不二山」と銘々したというのです。

この茶碗の写真を見て、やはり日本の文化は「見立て」にあると感じいった訳です。
ならば、その茶碗の「富士山」たるところをお借りしようと思って作ったのがフォトコラージュによる「不二山」だったのです。

光悦の白楽茶碗は元は失敗作だったのに、一番有名な作となり、そして国宝となっています。
エラーデータを使ったフォトコラージュも失敗作を新たに見立てたという感慨がありました。

「不二山」 - Photo Collage


不二山

Photo collage 冬

愈々来週から始まる『富士山伝説』展

今回の展示作は先に紹介したChemigramシリーズと後半のPhoto collageシリーズに分かれています。

展示会のお題は『富士山伝説』ということでフジヤマをモチーフとした作品にチャレンジしたのですが、いったいこれはphotographyなのかという質問を頂きそうです。そこで解説を試みますと、印画紙に現像液で絵を描くという手法のchemigramはphotographyの一分野として認知されており、同手法で作品を制作している作家の方も居ます。またphotograpyの欠片を切り貼りするというphoto collageも目新しいものでは無いでしょう。目新しいものとすれば、何が写っているか判別のできないエラー画像の欠片をcolllageしているところかもしれません。それはAIに真似のできないところを提示する事とPhotograpyかpaintingかの境界を模索するチャレンジをしたというものです。
そんなつもりで作品を見て頂ければ幸甚です。

フォトコラージュ作品 四季シリーズのラストは「冬」ということで季節の命名に戻りました。

冬 - Photo collage, 4 from Four Seasons

冬

Photo collage 不二山

『富士山伝説』展に展示するフォトコラージュ 四季シリーズの3番目。
季節の名前で行くと「秋」に相当するところですが、これはタイトル「不二山」としました。
その訳は色々あるのですが、それを考えながら作品を見て頂くのもまた一興でしょう。

不二山 - Photo collage, 3 from Four Seasons, 73x105cm


不二山

Photo Collage 夏

続けての作品は「夏」
四季と銘うったので、春の次は夏です
シンプルな矩形の欠片をコラージュして、どうやって季節を表すのか。色と形の組み合わせというのを模索しました。
強い日差しの下では色のコントラストも強く出ることを意識しています。

夏 - Photo collage, 2 from Four Seasons


夏

Photo Collage 春

今日ご案内するのはPhoto Collageの作品です。
ちょっと、フォトコラージュの説明から始めます。
フォトコラージュ(Photo collage)は、同一画面内に、異なった二つ以上の映像を合成し、異質なイメージの衝突を期待する手法です。
キュビストたちのコラージュ技法を発展させ、写真を切り抜き、新聞の断片やデッサンとともに、非論理的に貼り合わせます。『写真を写真のままで作品にするのではなく、写真を素材として作品を制作する方法の一つです。』⇐ ココに注目
フォトモンタージュと呼ばれることもありますが、複数の画像を合成する方法の点で異なります。
今回のフォトコラージュの作品ではデジタルカメラの映像からエラーを起こした画像データを選び、それらを貼り合わせて作品を構成しています。何が写っているか判別できなくなった、いわば抽象的な素材を利用して具象的なイメージを生み出しています。
このように、一つ一つは意味無いものを組み合わせて新たなイメージを創出し、それは見る人に共通のイメージを与えるものとなりました。
本出展作のCollageで特異なのは、素材とする写真が通常の画像ではなく、エラー画像であるという事。なので素材の画像に何が写っているのか判別できない事。いわば抽象化した画像を集めて具象的な全体を描き出すという試みをしました。

春 - Photo collage, 1 from Four Seasons

春

不二 Not Two Alike

不二 No Two Alike - Chemigram prints

不二という言葉を英語にすると、二つと無いという意味からNot Two Alikeとなる。
Photo collage での制作を考えるヒントとなった作品
画面を分ける、その最初は2つから始まった。

Chemigramでプリントを作る時に、2枚の紙で1つの絵を描こうとする試みはしたことがあった。けれども、それは単純な描画で、まあ練習という程度のものだった。より複雑な画面構成を考えると一枚の紙にすべてを盛り込むのは難しく、また絵を描くという事が現像の進む具合に負うというか、現像の進み具合が全てであるから、短時間のうちに処理しなければならない。
そういう具合で、Chemigramでの作品制作には即興性、迅速性が必要となるから、大きな画面にいろいろ微細なディテールを設けるには難しい。そこで画面を分けて別々の時間軸で制作する事により細部のニュアンスを作り出す方策を考えたのだ。

FUJIBRO WP 2X"5x"7


不二 No Two Alike

不二曼荼羅

『富士山伝説』展の作品紹介 その2

不二曼荼羅
曼荼羅とは本質を有するものということ。
大きな画面でも一枚で表すのは困難な主題を、フォトコラージュの手法を用いて、被写体の持つ多面性に踏み込んで表現しようと試みた。
B&W RC Fujibro WP/FM2, 25X35 ("5X"7 x 25) 不二曼荼羅
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