初日に来るよと声かけて貰っていた友人たちも来てくれたし、先日のクラス会でDM渡した高校時代からの友人も顔出してくれました。
今週はParis Photoの開催週となったので、日本を離れてしまう人たちも多いかもとちょっと心配もしたりでしたが、閉廊までに40名近くの方がお見えになられて、平日の初日は順調な滑り出しでした。
しかし、今日は暑かった。一日中半袖の麻のシャツ一枚で過ごせましたし、会場には人が増えると暑いのでエアコンの温度設定を下げてもらったりと11月とは思えない気候。家に帰ってTVのニュースをみたら100年ぶりの高気温で11月の最高温度の記録を塗り替えたと報じてました。ちょっと驚きの気温。
お客様から頂いた反応もHotで、なんじゃこれは〜と言われるかと思ってたら、面白いと言っていただけたのが多くて嬉しい事でした。
なにせ、今回は出展者が皆、攻めてると思います。私の作品も、画像のエラーデータを作品として展示するという試みで、写真会初だ!という意気込みでやってますから、評価はどうなるかというところでしたが、好意的な反応をもらって一安心というか凄く嬉しい。良し悪を言う感想ではなくて、面白いと受け止めていただいたのが嬉しいのです。
明日からの励みになります。
展示作品から小品の3点を一気にご紹介します。
Shout 11x14

A singer 11x14 DMに使った画像

Light sliver 11x14

今回の作品は殆ど実際のプリントをベースボードの上に切貼りしていくという手法のコラージュで制作していますが、この作品はPC上で画像を切り貼り合成して1枚のペーパーに印出したもの。画像の切り貼りとプリントの切り貼りでは見え方が違ってくるところも面白くて、どちらが好きかという好みも分かれるかもしれません。
4人の作品が揃ってみるのは初めてなのでしたが、なんか違和感なく、しかも見たことの無い作品ばかりが並んでおもしろい感覚でした。
自分の作品は、事前にレイアウト図を作っていたので(これは何時も設営の係りの方にお渡しするので事前に用意しておく)展示のイメージを持っていましたが、やはり実際に壁に掲げると微細な調整が必要になります。フレームの設置する高さとか、フレームとフレームの間隔や隣の壁際との間隔等々です。
壁クロスの色合いや天井高によっても目に入ってくる印象は違いますし、ライティングのセットの仕方でも変わってきます。そんな調整をしていただき、良い感じに収まりました。ちょっと破天荒な図柄かと思っていましたが、思っていたよりも大人しいというか場になじんでいるというか、そんな具合。
26 x 32 inchの大型作品4番目 Jazz singerのライブを撮った作品からの転成
Hallelujah - City of misinterpretation 誤訳の街
レナード・コーエンの同名の曲。ハレルヤと唄う部分には特別の意味はないそうだ。それもまた良しだ。

Quatre Sens Exposition 4は7日から始まります。
暖色調のトーニングでは画面の調子が柔らかく且つコントラストも上がった感じになって見た目良い感じだ。(私は好き)一方寒色調にするとシャドーが浮いてくる感じと非現実感みたいなものが醸し出されるように思う。
事程左様に色味というのは重大な効果を生むところだけど、さて今回の1点は、色々な場面を切り貼りして、蒼い色に揃えたコラージュ。重なったような画像によってもたらされる"misinterpretation"効果とあいまって非現実感が高まったようだ。
そして、青は記憶に残る色。記憶の中にある祝祭のイメージ。現実から記憶への昇華となる一枚。
Wedding song - City of misinterpretaion

展示の並びを考えるときは大きさや色合いだったりというところで、並べた時の全体の印象などを気にして行っています。今回の展示でも、後か先かという並べ方=見ていく順序にはあまり意味はありません。それよりもブロックに分けて類似性のあるものを揃えたりという具合です。それがサイズだったり、フレームの形(縦か横か、スクエアか)というところで構成しました。
でも、ストーリーが無いということは気楽なようでいて、結構考えるところでもあります。何故これが最初にくるのか?なぜこれが此処に並べられたのか?というような質問に俄かには答えられないからです。
まぁ、そこのところは大目に見て頂いて、それぞれの作品、パット見の印象とか全体のイメージから何かを発見していただければ(作者としては)大正解です。
Blue street
この作品は歩く人の下半身ばかりを並べた写真ですが、同じ大きさでズラッと並べたのでは面白くもなんともないので、大きさや配置に変化とリズムをつけて構成した画面です。Blueの光景に憂いのような情感は意識していませんが、非現実の雰囲気を醸し出すのにはふさわしかったかもしれません。
26 x 32 inch 横置き

画家が一枚の絵画に込めた思いって見る者に伝わるのだろうか?
解説文を読んでなるほどと頷くこともあるけど、それも100%正しいかどうかは分からない。
画家は言葉で伝えるのではなくて、絵画という作品で語るのだという認識もあるだろうし、作者が全部を説明してはいけないのだという戒め?のような教えもある。
それは音楽もそうだろうし、何千文字を費やして物語を構築していく小説でもそうだと理解する。
作品は何かを伝える しかし、それは必ずしも作者の意図したところと同じではないし、また読み取る側に自由裁量権を残すべきだと言うのに同意する。
だからきっと、作品は作者の心情や考えを表しているし、見る側(受け取る側)はそれを自由に解釈して良いのだ。
写真(photography)はずば抜けた描写力が武器であるけど、その写実性以外のところでもまだまだ開発の余地があるのではないだろうか?というところに気が付いたのが、今回のデーター・エラーに起因するCity of misinterpretation 誤訳の街シリーズなのです。
あぁ、長ったらしい説明になってしまった。
写真は披露宴の様子・厳かな緊張・幸せの騒めき
Happy wedding - City of misinterpretation 誤訳の街

普通であればエラーの画像はそのまま廃棄するところであるけれど、なぜエラーが起きたのか調べて見たら、これはRAWデータから現像するときに誤りを起こしているという事が分かったのでした。元のRAWデータが損傷したわけでは無くて可視化するプロセスでのエラーだったのです。すると幸運にも元のデータは壊れていませんでしたから、別のRAW現像ソフトで開けばちゃんとした画像が生成されました。
それで作品シリーズのタイトルに「誤訳」という言葉を持ってきたのです。
元のデータは壊れていない。という事はそこには元の情報が100%保存されているということです。情報の欠落はおきていない。
言い換えれば、誤訳されたエラー画像はそのままでは意味が伝わらないけれども、別の見方による光景の描写を提供しているという事になる。
「Alternative perspective 別の見え方 別の観点による景色の提示」という従来からの私の制作テーマがそこに実現しているのではないかと気づかされたように思いました。
そうして誤訳の程度も、色情報は混乱しているけれど形の情報(明暗の情報)は位相をずらして(おそらくはRGBデータのシフトによるズレ)もおぼろげに伝わってくるようでもありました。
これらをどうやって紡いで縫い合わせるのか(編集して仕上げるのか)、それも一つのチャレンジであるなと思ったのです。
形や色が崩れても伝わるものがあるかもしれない、だとしたらそこに残るものは事柄のエッセンスなのではないか。そう考えて誤訳の街シリーズを編纂しているのです。
Celebration - 誤訳の街 City of Misinterpretation
この作品は、上下2段で左右にズレて(食違い)展示される


でもまだ、レイアウト図を起こす作業が残ってる。それが一番肝心だし。
今回の展示に出す作品紹介でスクエアの作品が続いていいますが、これで3点目
今回出展するスクエア作品は3点です。
掲題のコラージュかモザイクかという問いは、いろいろ切り貼りして作った作品をコラージュとかモザイクとか呼んだりしますが、さてそれはどう違うのか、どっちと呼んだら良いのかと思って調べてみました。
するとコラージュというのは絵画の技法の一つでもともと「糊付けする」という意味だよとWikiにありました。以下Wikiの説明から引用
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コラージュ(仏: collage)とは絵画の技法の1つで、フランス語の「糊付け」を意味する言葉である。
通常の描画法によってではなく、ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法である。作品としての統一性は漸進的な並置を通して形成される。コラージュは絵画と彫刻の境界を消滅させることを可能にした。
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絵画でのコラージュを始めたのはキュビスムでピカソとブラックだよってWikiにありました。またしても、ピカソとブラックか。なんで彼らがコラージュを始めたのかという分析までは書いてないけど、きっと平面からの脱出、立体へ踏み出したという感じがあるかも。テクスチュアを強調し新しい造形空間を創ったというようなちょっと匂わせたことが書いてありました。
もう一方のモザイクもWikiから引用
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モザイク(英語: mosaic、フランス語: mosaique)は、小片を寄せあわせ埋め込んで、絵(図像)や模様を表す装飾美術の技法[1]。石、陶磁器(モザイクタイル)、有色無色のガラス、貝殻、木などが使用され、建築物の床や壁面、あるいは工芸品の装飾のために施される。この装飾方法は古くから世界的に見られ、宗教画や幾何学模様など様々なものが描かれており、歴史上、カテドラルの内部空間やモスクの外壁などの装飾手法として特に有名である。
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となるから、こちらは専ら装飾技法の一つで、古くからあると説明されている。建物の壁や床のタイル画など、すぐに思いつきます。キモとなるのは小片を寄せ併せ埋め込んだというところか。
すると今回の拙作品はコラージュというのが似つかわしいようだ。
狙ってるところも、平面から脱出して、多面的な解釈を与えるというところだから当に一緒。
で、実は以前にもCollage作品は作った事が合って、2017年に制作して渋谷HikarieのMOVに展示した作品もCollage作品でした。それ以外にも幾つか作りました。
このSQは4点の組み合わせなのでCollageとまでも行かないのかもしれないが。
Tokyo sketch - City of misinterpretation
50x50cm SQ
アチーブメントへのアプローチには2種類のやり方があると思う。
写真作品の成果としてなら、一つは撮りためてきたものからセレクトしてテーマを炙り出すようなまとめ方。もう一つはテーマやコンセプトを決めてそれを表すものを揃えていくという進め方。
今回の「誤訳の街 - City of misiterpretation」は後者のやり方だ。
そしてテーマを表すのにコラージュを多用している。一つの画面に幾つものシーンやシチュエーションを取り込むためだ。それはエラーデータで示された見慣れぬ街の光景という視点を、マルチな画像で同時多発的に提供するという目論見だ。
Swinging Tokyo - City of misinterpretation 誤訳の街

これで、出展作をフィックスしたという事で、準備作業も完了した。
作品の額装も出来てるし、あとは梱包して運ぶだけ。ちょっと、ほっとする瞬間です。
写真展というのは、グループ展でもこの4人展のように自分でテーマを作ってある程度まとまった数の作品を展示するような場合は、個展やるのとおなじように、アチーブメントの発表機会だと考えているので、テーマだけでなく完成度も重要だ。
今回は相当に追い込んだものになったと言える。
今回のテーマはエラーデータに端を発して、物の見方に新たな視座を持ち込むという実験的な作品群だ。
全ての人に理解してもらえるものかどうかは分からない。
ただ、理解してもらえないとしても新たな視座を提供できたとすれば目論見は成功したと言えるだろう。
だから、沢山の方に見ていただきたいと思います。
Quatre Sens Exposition 4
会期:2023年11月7日(火)〜12日(日) 11:00〜18:00
場所:千代田区一番町25番町 JCII B1F Club25
Kaleidoscope - City of misinterpretation
