音の話で、音叉の発するサインカーブのような綺麗な単一周波の音は、味気の無い音に聞こえる。
紙で言うと艶消しのマット紙だ。
それに比べて、いわば光沢紙のような艶を感じさせる弦楽器の音だとか金管楽器の音というのは、相当に倍音を含んでいるのだ。
それも、単純な2倍とか3倍とかいう倍音だけじゃなくて、ごちゃごちゃと細かいくらいに多種多様な音を含んでいるほうが音に表情が出てくるようだ。
とりわけ、その中でも或るところにスパイクのような尖がった波高があるとき、人はどうもそういう乱れを聞いて音の艶というように聞きとっているのではないだろうか。
音の乱れ、要するに歪という事だ。「艶」=「歪」

ただ歪といっても、ただ歪んでいれば良いという訳じゃなくて、その歪を艶と感じさせるには何らかの法則が存在してるだろう。
それで、その法則を見つけ出さなくてはならないのだ。

実は、僕の声はオシロスコープで見た事があるのだけれど、アーと音を発してやると音叉の音に近い凄く単調な波の形をしていて、これは音楽には向かないなと思った事があるけれど、まぁ、そんなことはどうでもよくて、さて艶というのはどういうものかというお話をするのだった。

画像で言うと、コントラストを上げてハイライトが飛び気味になっていたり、シャドーがつぶれそうになっているあたり、そういうところの周辺に歪が生じて、艶を感じたりするのではないか??? とか。

金属光沢とか言うものは、入射した光が表面で反射してくるのが光って見える訳だから、色を感じたり明るさを感じる光の反射に自由電子が重畳されて戻ってくる感じで、これも一種の歪、イメージでいうとオーバーシュートするとか増幅されてしまった光みたいな事じゃなかろうか。

だから、マットな表面にちょっと明度の歪(不均一な明るさ)を加えてやると艶のようにみえるのではないか、、、とかつまらぬことを考えているところなのだ。こういう仮説は理論よりも実物で見せるのが一番だけれど、まだそこまで手法が確立していないのが残念。

さてさて、別のところで、偶数倍の倍音は汚く、奇数倍の倍音は心地よく聞こえるという説を聞いた覚えがあるのだが、それは本当なのか、残念ながら適切な実験器具を持っていないので、確証が取れない。詳しくは音楽理論でも勉強するのが良いのだろう。そういうところにも艶のヒントがあるかもしれない。

それから音には「ゆらぎ」というのがあって、自然界には1/fのゆらぎが存在しているのだが、「ゆらぎ」というのは艶に関係してるのだろうか?

と、艶とは何かという問いに答えるアイデアはあったのだが、なんだか検証もなく取りとめの無い話になってしまった。でも、これは研究途中。どこかにヒントが隠れてるのじゃないかと探している最中なのだった。

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土肥温泉の近く 恋人岬にある重岡健治さんの彫像 (伊豆市土肥)

伊豆高原のアトリエがあるので、伊豆アートフェスティバルのときにお邪魔した事があります。