2018年01月

寒いのに咲いている

 本日はほんの少しですが降雪もあり、気温の低い一日となっています。

 さて、突然ですがこの花は何の花かご存じでしょうか。

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答えはビワです。
一部写る葉にその雰囲気を感じた方もおられるかと思います。

利用部位:葉
生薬名:ビワヨウ(枇杷葉)
薬効:消炎、鎮吐
漢方:辛夷清肺湯

 ビワヨウは日本薬局方にも収載されている生薬で、
葉の表面にある細かな毛を取り除いて乾燥させたものとなります。
ドラッグストアなどではビワの葉のお茶も販売されていますね。

 現在、薬用植物園ではサザンカも咲いています。

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 ヤブツバキの種子から採取した油は、
医薬品原料としての軟膏基剤のほか、
化粧品や食品に利用されているのですが、
サザンカ油も化粧品等に使われています。

 それにしても寒い時期に花を咲かせて
勝算(受粉し種子をつくること)はあるのでしょうか。
どうもこれらは鳥媒花で他の花が少ないからこそ、より目立って
鳥が蜜を吸ってくれるそうです(学術レベルでは調べていません)。
メジロが飛んでいるのを確認しているので、蜜を吸っているのかな?



 さて、今週は下の写真にあるような土壌改良をしました。
DSCN2081

 重要な薬用植物にはいわゆる林床植物
(園芸的に山野草と呼ばれるものの一部もそうで、直射日光を苦手とします)
も多く含まれ、ウスバサイシンやセリバオウレンなどもそれに該当します。
 
 これらは水はけ良くて水持ちも良い(相反するようですが、供給された
水の動きは速やかだが、空隙もあって一定量が安定的に残るような土壌環境です)
土を好み、さらに涼しさを求めるわがままな植物たちです。
 北海道では国道沿いにカタクリやオオバナノエンレイソウなどの貴重な山野草が
生えているのですが、土壌環境はまさしく水はけ良く、水持ち良いものです。
人工的に再現しようと思えばとんでもないお金がかかりそうな。

 サイシンやオウレンは市販の用土をきちんと選んで鉢植えで育てると
それほど難しくありませんが、地植えでは苦戦しています。
年数を経れば安定した土壌になるかと思いますが、しばらくは一部を鉢植えにして
より確実に生育させようと考えています。

 どこかにもっと良い資材があるかと思うのですが、
見つけることができていないのだとも思います。


最近の作業

ここ最近行っている作業をご紹介いたします。

・うね作り

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クワを使ってうね立てします
ヒモに沿って掘り起こしています
深根性種も多く、高うねにします
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植え込みできるものは植えてしまいます
堆肥混入後、3週間程度以上経過してから植えることにしています

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除草作業軽減のため防草シートを敷設しています
雨による土壌の崩落や硬化の防止にも効果があります


 防草シートは、「通気性に優れる」とされるものを使用しています。
雑草防止のメリットに対して、地温上昇というデメリットがあるので、
通気性に優れることは最低条件です。


 うね作りに見られるように、ここでは、言葉は良くないが原始的な業務が
どうしても多くなります。
除草はもちろんですが、生産性が低いと判断されかねないものは
できるだけ少なくしていかなくてはなりません。

・種まき

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 自家採種したものがメインとなります
 3~4月播きで良いとされる種類でも、
 念のため低温湿潤条件に遭遇させることもしています

 まく種類は年々増えており、2~5月にかけても順次行っていきます。
多くの薬用植物園と比較して保持数は少ないと思われるので、
もう少し種類を増やすべきかと考えています。

 種子は購入もしており、海外からも多いです。
以前に比べ、ネット上で容易に入手できるようになっており、
個人的に珍しいものを育てようとされる方もおられることでしょう。
しかし、原種(野生種)の場合は、発芽させることさえ難しい種類も多くあります。

 海外では不思議な本も売っていて、
下の画像は200ページ以上に渡ってひたすら発芽試験のデータが掲載された書籍です。
これから未知の植物を発芽させるための種々の条件を知ることができます。

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 また、インターネットで「Seed Germination Database」などと検索すると
たくさんの種類について、日本では考えられないような情報が出てきます。
「植物学名 Germination」では個々の種類について検索できます。
英語が面倒でも翻訳機能でおぼろげながらですが理解可能です。
慣れてくると一部の数値で理解できるようになります。

 今までうまくいかなかった種類についても重要なヒントを得られるでしょう。
興味のある方は調べてみてください。



アンズとダイダイの植栽

先週、アンズとダイダイの植栽を行いました。
アンズ様、ダイダイ様といった扱いです。

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 随分と高く植えましたが、もともとの土壌が良いとは言えないためです。
(ダイダイについては、何とか根の張れる土層が40cm程度、
その下の地盤は建設工事的に締め固められている、
アンズについてもせいぜい40~50cm程度でその下は重粘土層)

 樹木は根が十分張って有効土層を満たした3~5年後に一気に衰退することもあり、
草花以上に慎重に対処することが求められます。
特に実のなるものはきちんとした土壌改良をしたいものです。

 もちろん、予算面や材料を入手できないなどの制限要因がありますが、
どうしようか?と考えた時に、まず、理想的な土の状態を知ることは
アプローチ方法の一つかなあと思っております。

 農林水産省のホームページにある都道府県施肥基準等
内容も極めてシンプルで参考資料として利用させてもらっています。
例えば、ミカンなら和歌山県などのページを見るとざっくりですが
深さ60cm、主要根群域30cm、地下水位100cm以上などの情報を知ることができます。
(もちろん、売り物ではないので十分な条件でなくとも生育することが多いです。
ただ、衰退のリスクが高いだけです)

 深さが十分でないのなら、深い部分に無機質の土壌改良材を入れたり、
盛土してかさ上げするなど考えられます。
主要根群域の数値から堆肥類は深さ30cmまでに入れればよいとも推測できます。
本当にざっくりですが根拠に基づいた計画を立てることもできます。

 今回は黒い枠の部分には改良剤を混入した土を使い、
枠の下40cmも改良しました。
本当は枠の周囲も改良しなくてはなりませんが
キリがないので、数年後から徐々に範囲を拡大していくことにしました。
もちろん、この方法は悪くはないと思いますが、
どの程度良いのかはっきり申せません(科学的に証明できません=お金かかる)。

 もし、家庭菜園で野菜や果樹、花などを育てる予定で、納得したものを作りたい場合は
インターネットで良いので可能な限り調べられることをおすすめいたします。
(ただし、ほとんどの情報は使えないです)

アンズ
学名:Prunus armeniaca var.ansu
利用部位:種子
生薬名:杏仁(キョウニン)
薬効:鎮咳
漢方:麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、神秘湯(しんぴとう)
その他:杏仁豆腐の原料、果実酒は「杏露酒」

ダイダイ
学名:Citrus aurantium var.daidai
利用部位:果実、果皮
生薬名:枳実(キジツ) 橙皮(トウヒ)
薬効:健胃
漢方:四逆散(しぎゃくさん) 温胆湯(うんたんとう)
その他:正月の鏡餅などの飾りに使います
   (「代々」で縁起が良いとされる)

マドンナリリー

 マドンナリリーはヨーロッパに自生するユリの仲間です。

マドンナ2 - コピー
マドンナ1 - コピー
(薬用植物園で開花したものではありません)

 最も古くから栽培されてきた植物の一つとされ、
紀元前3000年前には扱われていたとの説もあります。

 薬用としての利用も古く、
ローマ軍が遠征の際「魚の目」等の治療を施す膏薬の原料として
生きた植物を運んだことからヨーロッパ各地に広まったともされています。
(そのためか明確な原産地は不明となっています)

 マドンナリリーはキリスト教において純潔の象徴とされ、
レオナルド・ダ・ヴィンチなどが描いた「受胎告知」や
サンドロ・ボッティチェリ「歌う天使と聖母子」
などの宗教画にしばしば描かれてきました。

 また、イースター=復活祭で飾られる花としてマドンナリリーが使われてきました。
(しかし、生産性は如何ともし難く、現在はテッポウユリが使われています)

 ユリの花は、その多くがお世辞にも良い香りとは言えない中、
マドンナリリーは香りよく、香水の原料としても利用されています。

 薬用植物園での現在の様子は下の写真の通りです。
2016年3月にタネを播きました。
恐らく、(それほどの輪数とはならないと思われるものの)5月下旬~6月上旬頃に
初開花を迎えるのではないかと予想しています。

DSCN2011
DSCN2013
(場所の関係で2球植えとなっています)

 花弁は野生種とは思えないほど純白で、香りも良い。
ご覧いただければ、いにしえの人々がこの花を純潔の象徴としたことに
納得されるかと思います。
 
 暖かくなりましたらお越しいただきいますようお願い申し上げます。
近畿大学薬学部薬用植物園
開花状況の他、行っている作業
など現在の様子をお伝えします

大阪府東大阪市小若江1-9-7
E-mail:yakuso@phar.kindai.ac.jp
(@を半角にしてください)
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