カナシヤル (新しい詩人)
カナシヤル (新しい詩人)
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なぜ生きなくてはならないのか。生まれてしまったことを幸せに思い、無条件に生きることの善さを讃えるだけの人間精神の幼年期とは、とうに訣別して久しい。ひとに傷つけられ自分も誰かを酷く傷つけ、醜いエゴとエゴのぶつかり合いを目の当たりにして、思うようにならない自分の身体を抱えたまま、双の腕をだらりとさげて人は立ち尽くしてしまう。愛なぞと呼ばれるものの不確かさとそれに比して僕たちを嘲笑うようにして聳え立つ裏切りと欺瞞と不実の確かさと。三角はそのような極限の地点からの言葉を通じて、僕たちに語りかける。それだから、その姿は痛ましく、彼女は傷だらけである。「わたし/もう傷なんてつけん/あなたまで切りつけてしまうから/だから/もう、せんよ」「わたしたち/本当は/おらんひとなのかもしれんけど/それでも/このひとが大好きだ」。しかし、絶望の果てには一筋の光が見える。彼方の欠片ほどの希望。まだ生きて、いける。(O)