二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9)
二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9)
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谷川俊太郎のデビュー詩集。内気な少年は言葉と戯れ、宇宙を見つめ、何かを得て、一冊のノートに書き表した。「生長」という詩には、まだ十代だった彼が、大人になるにつれて、自分の生きている時間だけが歴史ではなく、また教科書に載っている事柄だけでもなく、無限の過去が広がっていることを知るという。表題作「二十億光年の孤独」は、「万有引力とは ひきあう孤独の力である」というフレーズで有名だ。小さな地球の上でひしめきあう人間たちが、宇宙に仲間を欲しがる。宇宙のどこかで生きている生命もまた、どこかの星で生きている仲間に出会いたがっているかもしれない。無限の時間の中に、無限の宇宙の中にぽつんと横たわる自分という存在。それは微弱な一つの生命体でしかない。一人きりで眠る夜などにこの詩集を読むと、「永遠」に抗おうとする孤独な人間の非力さをはかなんでしまう。(A)