こんにちは。一年坊主のYです。
 前期はお疲れ様でした。サークル内の皆さんに刺激されたこともあり、四〜七月はなかなか充実した読書生活を送れたような気がします。
 八月はまるで読書に向かぬ季節だと、猛暑にうだって頁をめくりながら痛感する今日この頃ではありますが、負けずに読んで参りたいと思います。

 さて、今回初めてレビューを書かせて頂きます。
 最初は軽やかなジャブのような気持ちで、洒脱な短編集でもさらっと紹介してみようかと思っていましたが、丁度今日読み終えたばかりなので、三島由紀夫・豊饒の海シリーズについて書くことにしました。
 いきなり渾身の右ストレートといった趣ですが、それも青春と思って頑張って書きます。


春の雪 (新潮文庫―豊饒の海)春の雪 (新潮文庫―豊饒の海)
著者:三島 由紀夫
販売元:新潮社
発売日:1977-07
おすすめ度:4.5
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 『豊饒の海』は、それぞれ独立した『春の雪』、『奔馬』、『暁の寺』、『天人五衰』の四部からなる大長編小説です。完結まで五年を要したこと、第四部『天人五衰』を脱稿したその日に三島が自決したことなど、しばしばライフワークというような呼び方をされているようです。
 作品全体を貫くのは「輪廻」という思想、あらゆる秩序を超えて人間存在を導く「運命」というものが、果たして本当にあるのだろうか? という自問自答だと思います。そのような重厚なテーマを、物語のダイナミズムの中に丁寧に編み込んでゆくような筆致・構成に愕然とします。

 (1)物語として面白いこと
 (2)読後、いつまでも反芻するようなテーマ性・思想を内包していること
 この二つが傑作の必要十分条件だと思っている僕は、文句無しの傑作としてこの作品を推したいです。

 以下、各部のあらすじと簡単なレビュー。

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