紀尾井文学会

上智大学紀尾井文学会の公式ブログです。日々の活動報告から書評なぞまで。

小川洋子

『アンジェリーナ』小川洋子

アンジェリーナ―佐野元春と10の短編 (角川文庫)
アンジェリーナ―佐野元春と10の短編 (角川文庫)
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ガラスのように繊細でありながら、そこはかとなく淫靡な雰囲気を醸し出す、小川洋子の短編集。80年代に人気のあった日本のミュージシャン佐野元春の曲を受けて作られた作品で、それぞれの小説の題名は彼の曲名にちなんでいる。小川洋子は「喪失」を描くのが上手い作家だと個人的に思う。『博士を愛した数式』は記憶を失う数学者の話だし、『薬指の標本』は薬指を失くした女性の話だった。『アンジェリーナ』もまた、何かを失う人々の話が多い。トゥシューズを失ったバレリーナの話(「アンジェリーナ」)、左足から始まり身体の各部の感覚が次々と失われていく女性の話(「誰かが君のドアを叩いている」)など。作品全体の雰囲気としては、生気があまりなく透明感があり、脆さを感じる。かといって弱いだけの人間は書かないのが小川洋子だ。人間ならば誰もが抱く欲望を無視せずに繊細なタッチで書き抜く。彼女ほど性描写をさらりと書く作家はめったにいないような気がする。(A)

『薬指の標本』小川洋子

ブログでははじめまして。Iです。

このたびは『薬指の標本』小川洋子より、
表題作『薬指の標本』のレビューをしようと思います。

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