紀尾井文学会

上智大学紀尾井文学会の公式ブログです。日々の活動報告から書評なぞまで。

江國香織

『きらきらひかる』 江國香織


世間からすると異常と見られる。そして本人達もそれに気付いている。
気付いているけれど、いつまでもこうしていたいと彼らは考える。

『きらきらひかる』は、そうした人たちの物語です。

ゲイの夫と、アル中で精神病の妻。それでも、睦月と笑子の結婚生活は穏やかで明るい。
睦月の恋人である紺、同僚の柿井(彼もまたゲイだ)、笑子の親友の瑞恵、そして元彼の羽根木。

彼らとの朗らかな関わりをまじえつつも、平和な生活は続いていく。
しかし、止まった水の中でよどみが溜まるように、二人の間にも静かなよどみがいつしか積もってゆく……。


最初から最後まで、この小説は一つのメロディーのように続いてゆきます。

一本調子というか、一つの構想から全てが出発しているためなのか、
余計な展開が入らないんですよね。

最初から読者に全てが提示されている分だけ読みやすく、
頭の中に風景が浮かびやすい。

設定からスタートして、設定で終わっている、だから強い。という気がします。

なんとなく
繊細に味付けされた肉じゃがを味わったような気分です。


江國さん自身はこの小説を「ごく基本的な恋愛小説」と評しています。

それは、睦月と笑子の恋愛は確かに風変わりだけども、
恋愛の基本要件を満たしすぎるほどに満たしている、
というところから来ているんですかね。

深読みしすぎか(・ω・)

きらきらひかる (新潮文庫)きらきらひかる (新潮文庫)
著者:江國 香織
販売元:新潮社
発売日:1994-05
おすすめ度:4.5
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『神様のボート』 江國香織

この本は、
一人の人を愛しすぎてしまった結果、周囲の人間を孤独にする女の人の話です。

かつて体験した「骨ごと溶けるような」恋に
とらわれ続ける母葉子と、その宝物である娘の草子。

消えた恋人を待って、二人は引越しを繰り返す。
それは、「あの人のいない場所になじむわけにはいかない」
と信じる葉子の静かな決意からだった――


中学の頃に読んだ記憶があったんですが
あらためて読み返してみるとこれは……

なんて重いんだ/(^o^)\


江國香織さんの作品の中で、
「いちばん危険な小説」とご本人が言っているのもうなずける。

ゆるい言葉で書かれているのに、なぜか読んでるこっちは凄く緊張してしまう。
そしてそれは多分、この作品がかもしだす「危うさ」なのではないかと思います。

「あの人」のことを愛し続け、娘と共に閉鎖された人生を送る葉子が
美しく見えると同時に、怖い。

なんて重いんだ\(^o^)/

これを解説では、“狂気”というふうに解釈しているけれども、
そうするとやはり

愛と狂気ってのは紙一重……なんですかね?

神様のボート神様のボート
著者:江國 香織
販売元:新潮社
発売日:2002-06
おすすめ度:4.0
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