新春を胸いっぱいに吸い込んで気球のようにどこまで行こう
HAPPY NEW YEARを脱退したAもちゃんと誰かと元気でいてね
花束のように短歌を抱きしめるよい一年でありますように
せき止めていたから見える底がありそうっとなでて始める仕事
人間は風邪をひいたらお布団になってしまうと早くよくなる
眠る子の頬をさわって神秘的ではないようにしてから眠る
やったことないけどクロスカントリーみたいに働いたと思う、今日
耳当てをつけて流線型になる 寒さのじゃまにならないように
輪郭を言葉でなぞり本当にあなたに伝えたいのは光
ざくざくと 性善説のほうが好き 数字の砂を踏み分けている
思い出をパレードみたいに引き連れてこの新しい脳は進むよ
虹が走ればモノレール 特別な女の子が幸せになるんだ
点と点をつないだら直線になる 手と手をつないだら丸になる
たくさんの色のなかから白にした世界のことを誇りに思う
本当は雪がなくても新しい道を作って歩いていける
真剣に生きるひとつの所作として野菜を新聞紙でくるみます
きみと手をつないでいると走ることと笑うことの境目があいまい
きらきらと溶けていく雪 大変なことは絶対いつか輝け
ハードルは少し時間がかかっても飛び越えられるのを待っている
たこあげを禁止するならまず空にそれから体に謝りなさい
電話では ドッジボールが強かったでしょう と思っていても言わない
昔から名前は宝物だから風に飛ばされないようにして
寝室で森が大きくなっていく圧力でときどき目が覚める
担当者という袋を蹴り上げて 頭を下げて 手は離さない
お母さんも昔は子どもだったって今は言わないことにしようね
うまくないけれどおいしい字が書ける夫を思い出すたび好きだ
楽しいの種をあなたは一瞬でバオバブの木に育てて 次へ
ベランダでうんと遠くにいる星と少し遠くにいる月といる
笑ったら笑っただけのあたたかい部屋が心に整えられる
焼き立てがいつもいちばんではないと知って大人を温め直す
保育園からの電話に出るときは何かがひゅうと吹き抜けていく