現代鍼灸

現代医学的に鍼灸というものを考えます。 中医学的なものと合わせてることで、 一層理解が深まると思います。

現代医学的に鍼灸というものを考えます。
中医学的なものと合わせて、一層理解が深まると思います。
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http://www.kirindoshinkyu.com/

息切れ(胸部循環器症状)

第2節 息切れ
1.息切れとは
息切れとは運動等により息が苦しくなり、短い呼吸を繰り返す状態のことで、
症状が強いと呼吸困難となります。息切れではまず、肺疾患を考えます
(しかし肺は心臓との関わりが密接なため、進行すると心臓も悪くなり、
肺性心となります)。ちなみに動悸は心疾患を考えます。

 ※循環経路
 肺 → 左心 → 体循環 → 右心 → 肺

左心不全は肺の症状(肺うっ血、息切れなど)を呈し、
右心不全は体循環の症状(足の浮腫、門脈圧亢進→腹水)を呈します

2.原因分類
息切れの原因には
1.空気が十分に肺胞まで入らないもの(気道通過障害・閉塞性障害)と、
2.空気は十分肺胞まで入ってくるが酸素の取り込みが不足する
     もの(拘束性障害)とがあります。

1)空気が十分に肺胞まで入らないもの
〇気道通過障害(閉塞性呼吸障害)
 慢性気管支炎気管支喘息肺気腫など

2)空気は十分肺胞まで入ってくるが酸素の取り込みが不足するもの
〇肺の伸展性低下(拘束性呼吸障害)
 肺炎気管支拡張症、気胸、肺線維症

※1)(慢性気管支炎、気管支喘息、肺気腫)と2)(肺炎、気管支拡張症、気胸、
肺線維症)については「下気道症状」を参照のこと。


〇心臓障害による肺うっ血
 心不全、心臓喘息

〇血液成分が悪い
 貧血、アシドーシス

①心臓喘息
心臓がうまく血液を押し出せないために、血液が肺に溜まり、
その血管の水分が血管から器官に染み出てきて、
その結果呼吸困難が起こります。左心不全の症状です。
睡眠時に仰臥位をとると、心不全の結果、身体下部に浮腫として
存在する組織液が血液中に入り心臓に負担をかけます。
そのため夜間睡眠中に発作性呼吸困難を生じます。

②肺性心
心臓自体に原因疾患はありませんが、肺疾患のため肺動脈の抵抗性が増して
肺動脈圧が亢進し、右心室の加重負荷となり右心不全を起こします。
最も多い原因疾患は長期の気管支喘息で起こる慢性肺気腫
(肺が膨らんだままの状態。
咳などで肺胞同士がつながり大きな空間となる)で、
肺症状として咳嗽・息切れ・右心不全。
体循環うっ血症状として、足の浮腫・静脈怒張・門脈高血圧症による
肝腫大・腹水などが起こります。

③貧血
血液中のヘモグロビンの酸素飽和度が100%であっても、
ヘモグロビンが減少していれば、血液全体として酸素含有量は低下
し呼吸困難となります。

④アシドーシスとアルカローシス
血液中のペーハーが酸性に傾いた状態をアシドーシス、アルカリ性に
傾いたものをアルカローシスといいます。
血液中のペーハーの正常値は、7.35~7.45。
アシドーシスになる代表的なものの一つに、
呼吸不全による血液中の炭酸ガスの溜まり過ぎがあります。
もう一つは、ケトン体増加です。糖尿病でインスリン不足のため、
血液中の糖を組織がエネルギーとして利用できない状態です。
代償として脂肪を分解してケトン体を産生し、
身体組織はこれをエネルギーとして利用するようになります。
このケトン体は最終的に、CO2と水になるので、炭酸ガスが
血中に増加することになり、アシドーシスになります。

アシドーシスの原因
呼吸器性:CO2排泄障害
代謝性  :ケトン体増加(糖尿病)

アルカローシスの原因
呼吸器性:過呼吸
代謝性  :塩酸の消失(嘔吐)

胸痛(胸部循環器症状)


                       
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胸痛とは胸部に起こる痛みの総称です。

胸痛は、胸壁からのものと内臓からのものとに分けられ、
胸壁からのものには筋肉・筋膜・骨・骨膜などに由来するものと、
胸神経に由来するものがあり、内臓からのものにはそれぞれ交感神経興奮、
迷走神経興奮、体性神経興奮によるものがあります。

1.胸壁からのもの
〇皮膚、深部感覚(筋、筋膜、骨、骨膜)が関係。
・筋筋膜痛
・胸神経痛
  後枝痛 : 椎間関節痛
  前肢痛 : 肋間神経痛

※肋間神経痛
肋骨に沿って走る神経が痛むもののこと。
つまり筋筋膜痛も肋間神経痛の一つ。
またもっとも多い肋間神経痛は、不自然な姿勢をとる、
運動不足・疲労などによって神経が筋肉や骨に挟まれて、というもの。

2.内臓からのもの
・交感神経興奮 →         心疾患
・副交感神経興奮→         食道上部、気管疾患
・体性神経(肋間神経)興奮→     胸膜炎、気胸

胸痛を起こす主臓器は、心臓・肺・食道・腹部臓器などです。

胸壁からのものは部位が明確で、痛むところを指で示すことができるのと、
体を動かしたときにひどくなるなどの特徴があるのに対して、
内臓からのものは部位が不明確で、体を動かしたときに痛みが強くなる
ということはあまりなく、安静にしていても何となく痛む、違和感がある
といった特徴があります。 

1.胸壁からの痛み
・痛みの部位が明確
・体を動かしたときに痛みがひどくなる
・背中の骨の中心(脊椎棘突起)を圧迫したり、 
 叩いたりすると痛みがひどくなる

脊椎局突起の圧痛・叩打痛がひどい場合(これ自体は胸痛ではない)は、
胸椎の圧迫骨折や胸部変形性脊椎症、
肋間神経(肋骨)に沿った痛みであれば、
肋間神経痛・帯状疱疹後神経痛が考えられます。

それ以外のものには、肋軟骨炎・肋骨骨折・筋筋膜痛があります。

①胸椎圧迫骨折
骨粗しょう症などによって起こります。

②肋間神経痛
原因がわかる続発性のものと、原因のはっきりしない原発性のものがあります。

続発性のものには、帯状疱疹の後に出るもの、脊椎の変形によるもの、
内臓の病変からのものなどがあります。

水疱瘡に掛かると1週間ほどで症状は治まりますが、
その後も水疱瘡ウィルスは神経節(神経の集まっている部分)付近に
何年もの間潜み続けます。

疲れなどで抵抗力が落ちると、そのウィルスが再び活動を始め、
皮膚に帯状の水ぶくれをつくり、これを帯状疱疹といいます。
皮膚症状が回復しても痛みだけが残り、帯状疱疹後肋間神経痛
となることもあります。

他に、帯状疱疹後に起こる神経痛で多いものに、
三叉神経痛(第1枝支配領域)があります。

③肋軟骨炎(ティーツェ病)
肋骨と肋軟骨の接合部が肥厚します。
二十歳代の女性に多く原因不明ですが、自然治癒することが多い疾患です。


2.内臓からの痛み
・痛みの部位が不明確
・体を動かしたときに痛みがひどくなるということはない

①狭心症や心筋梗塞などの心臓症状によるもの
(交感神経興奮)
  心筋が虚血することによる痛みです。

②内臓からの胸痛には、
  食道上部疾患など消化器症状によるもの
(交感神経興奮)、
  胸やけが主症状です。

③気管支疾患・気胸といった肺や気管支などの
  気道症状によるもの(迷走神経興奮)、
があります。
    しかし、咳が長引いて胸の筋肉が炎症を起こすことによる筋肉痛や肺癌、
  肺結核などによって、胸膜が刺激されることで起こる胸痛
  といったものはあります。また自然気胸の場合、突発的に呼吸困難が生じます。

※肺には知覚がないため、肺そのものが痛むということはありません。
  (下気道症状を参照して下さい。)

 
※消化器症状については消化器症状を参照ください。


胸痛を引き起こす急性疾患
胸痛を引き起こす急性疾患には、心筋梗塞・狭心症・解離性大動脈瘤・
急性心筋炎などがあります。

急激に強い胸痛が起こったら、速やかに病院に行ってください。

①心筋梗塞
冠状動脈の閉塞により、支配下の壊死が起こります。
再発作が起こりやすく、
左胸部痛で左上肢尺側(小指側)に放散痛が出たりします。
発作時間は30分~1時間。

②狭心症
一過性の心筋虚血により、左胸痛を起こします。
左胸部痛で左上肢尺側(小指側)に放散痛。
発作時間は5~15分くらい。
ニトログリセリン舌下錠服用で効果があり、
治療および心筋梗塞との鑑別に使われます。
ニトログリセリンには強力な血管拡張作用があります。

・労作性狭心症 : 労作による血管需要増大に、供給が追いつかない状態です。
・安静時狭心症 : 早朝4時前後に冠状動脈の痙攣が起こり、
           内腔が狭まります。
・不安定狭心症 : 心筋梗塞や突然死に至る狭心症のこと。

③心臓神経症
心臓は悪くないのに悪いと思い込みます。数時間から数日感にわたる左胸痛。
生命に異常はありませんが、本人は重篤感を訴えます。

④自然気胸
上胸部、側胸部、背部に突然痛みを生じ、息苦しさを伴います。

⑤その他の心血管系疾患による胸痛
・解離性大動脈瘤
・急性心膜炎・心筋炎
・大動脈炎症症候群

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はじめに

鍼灸治療の、背景にある理論や考え方は様々あります。
それを現代医学的に考察・実践しようというものが
「現代医学的鍼灸」です。

鍼灸学校在学中に、
一つのカリュキュラムとして学びましたが、
理解をより深めようと、このブログをはじめました。
プロフィール

ローザかあさん

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