現代鍼灸

現代医学的に鍼灸というものを考えます。 中医学的なものと合わせてることで、 一層理解が深まると思います。

2014年01月

現代医学的に鍼灸というものを考えます。
中医学的なものと合わせて、一層理解が深まると思います。
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高血圧(成人病)

高血圧症(成人病)

1.正常値血圧

①血圧 正常値 一覧表
 血圧 正常値 一覧表 上の血圧 下の血圧 自宅測定時
    至適血圧 119まで 79まで 125/80未満
    正常値 120~129 80~84
    正常高値 130~139 85~89
    Ⅰ度高血圧 140~159 90~99 135/85以上
 単位mmHg
    Ⅱ度高血圧 160~179 100~109
    Ⅲ度高血圧 180以上 110以上


 年代別一覧表


40代 血圧 正常値 30代 40代 50代 60代 70代
     女性114/71123/77133/81140/82145/79
     男性124/79130/84138/85142/84146/80

といういうことになっています。

②血圧決定因子
・心拍出量や大動脈の弾性→最高血圧(収縮期血圧)
・末梢動脈血管抵抗性→最高血圧と最低血圧(拡張期血圧)

一般に、最高血圧が高くなると、最低血圧も高くなります。
しかし最高血圧が高く最低血圧が低い場合、太い動脈が硬化していることを
考えます。これは心臓や腎臓の血管にも硬化があることを示していますので
死につながるような素質をもっていることになります。


2.高血圧の原因分類
〇本態性高血圧
〇症候性高血圧
    ・腎性高血圧:急性糸球体腎炎、腎不全など
    ・腎血管性高血圧
    ・内分泌性 → クッシング症候群
            原発性アルドステロン症
            褐色細胞腫

      ※クッシング症候群
          副腎皮質でつくられる副腎皮質ステロイドホルモンのひとつ、
          コルチゾールが増えすぎるために起こる病気。

  ※原発性アルドステロン症
     副腎皮質ホルモンのひとつ、
          アルドステロンが分泌が過剰になるために起こる病気。

     ※褐色細胞腫
         副腎や交感神経節にできる腫瘍。 
        

3.本態性高血圧
1)概念:老化に伴う細動脈硬化によって起こる高血圧。高血圧者の約8割。

2)病態生理・症状
  高血圧になると血漿成分が小動脈に浸透して細動脈が硬化。
  細動脈硬化によって、さらに高血圧になります。
    血圧が高いなりに一定値を持続すれば、あまり自覚症状はありません。

3)現代医学治療
  ①基礎療法
   食事療法:塩分制限、肥満防止
   運動療法:エネルギーを消費し、結果肥満防止にもつながります。
   ストレス、過労をさける(細動脈血管の痙攣が防止される)

  ②薬物療法
   a)利尿剤
    
   b)交感神経遮断剤
     心臓の仕事量を減らす(心臓を強く収縮させず、拍動数も減らす)

    c)末梢血管拡張剤

      d)精神安定剤


4.本態性高血圧の鍼灸治療
  本態性高血圧は、ストレス→交感神経興奮→末梢血管収縮→血圧上昇
  という 具合に起こります。
  この連鎖を遮断することが降圧の鍼灸治療になります。
  具体的には、ストレス改善、心拍出量と脈拍数の低下、
    末梢血管収縮防止で、目的とするところは薬物治療と同じです。

1)精神安定
  リラクゼーションを目的とし、交感神経の緊張を緩和させます。
  頸肩部のコリは、血圧中枢である延髄の血流を低下させる可能性が
    あるので、とても大事です。
    ツボとしては、頭部、項部、肩井、膏肓、身柱,、天宗など

2)心臓を強くは収縮させず、拍動数も減らす
    頚動脈洞では、血圧を動脈壁に加わる張力で感知しています。
    血圧が上昇して張力が増せば交感神経中枢を抑制して全身の血管を
    拡張させて、血圧と心拍数を低下させる方向に動きます。
    洞刺、膻中が効果的です。

3)末梢血液循環の改善
    上下肢とくに前腕以下と下腿部以下に存在する「冷え」の改善させます。
   冷えは末梢動脈血流低下で生じます。冷えのある四肢部に施術することが
  血圧を下げることにつながります。
 
  前腕 : 手三里、曲池、郄門、阿是穴
    下腿 : 中封、解谿、三陰交、照海、陽陵泉、阿是穴

  この鍼灸の意味は、動静脈吻合部位を刺激する意味で、
    指間刺鍼や指端刺絡があります。

    五指間刺鍼へ5分置鍼。拡張期血圧が下がったという報告があります。

4)鍼灸治療の効果
    他の治療法と同様に、動脈硬化が強いほど、
    高血圧になってからの期間が長いほど、
  鍼灸で血圧を下げるのは困難になります。
 
 

ほてり・のぼせ(末梢循環器症状)

1.定義
   ①ほてり:身体の全部または一部が、自覚的または他覚的に
    熱くなること。皮膚の血管が拡張して血液が多くなって生じる現象。
       血管運動反射(中枢は延髄)の異常。

     ②のぼせ:頭顔面のほてり。顔面や頭部の血管が拡張して起こる現象。

2.原因
     熱い風呂に長く首まで浸かっている時、誰でも顔がほてり、
     のぼせてきます。これは、首から下の身体が温められているため、
     顔や頭から熱を放散しようとして、浅層静脈の血流量が増加している
    状態です。 日常においても、身体から熱の放散は行われていますが
     身体全部から均一に放散されているわけではありません。
     熱の放散は、皮下脂肪の薄い部分や、衣服を着けていない部分から
    行うのが効率がよく、頭顔面部と手足関節の末梢(とくに掌・足底・指部)が
     これに 適しています。これらは、ほてりを生じやすい部分でもあります。
     体幹や大腿や上腕部は放熱効率は悪いです。

1)原疾患による二次的症状
    発熱疾患・・・・・体温の上昇を伴います。
    多血症(≒血熱)
   脱  水(≒陰虚火旺)

    ※多血症とは、体内に存在する赤血球量(循環赤血球量)が真に増加した
       状態のこと。

    ※陰虚火旺は、体内の水分が減少したため、冷却するための汗を出せず、
        体温が上昇します。

2)自律神経・ホルモンの機能異常
    〇婦人科系
   婦人科系で最も多いのが更年期に伴うものです。
    自律神経失調症や不定愁訴症候群では、更年期障害のそれと同様に
    多愁訴ですが、周期的発作的に生じるのぼせ・ほてり・発汗異常は、
    更年期障害特有です。

    卵巣・子宮摘出手術が原因となることもあり、術後に起こります。
  
    〇精神緊張状態に伴う自律神経異常
    精神緊張時に大脳は一度に多量の血液が流れ、脳内深部温が上昇し
   赤面したり、耳まで赤くなり熱っぽくなったります。

    ※このような場合、顔面部を冷やす手軽に出来る対処法として
    顔面部を冷たい水で冷やすというものがあります。

3.現代医学的治療
     更年期障害の、のぼせ・ほてりなどの血管運動神経症状に対して、
     婦人科では女性ホルモン(エストロゲン)注射を行います。
  
   ※ホルモン補充療法の副作用
       月経に似た出血や乳房が張ることがあるようです。
       また5年以上続けると乳癌の発生率がやや増加する
       という報告があります。
       この治療では、直接的にはイライラや抑鬱は改善されないようです。
   
     ※血管運動神経症状とは
    血管の収縮と拡張を起こす反射のこと。
    延髄にその中枢があります。動脈血圧上昇・下降、交感神経の興奮、
        血中の二酸化炭素量の増加といった刺激によって、
    末梢血管の太さが反射的に変化し、
    血圧と血液の体内分布調節に作用します。


4.のぼせ・ほてりの鍼灸治療
     鍼灸治療の効果は、一般的な自律神経失調症には期待できますが、
    比べて、血管運動神経症状に対してはそれほどではありません。

1)卵巣に働きかける
    更年期障害の、のぼせ・ほてりなどでは女性ホルモン注射が有効
    ということから、鍼灸でもこの考え方を応用した方法が考えられます。
   卵巣は交感神経優位で、副交感神経の影響はわずかです。

     脊柱起立筋 : 腎兪(後正中線・命門穴より外側1.5寸)
              大腸兪(第4.第5腰椎棘突起間の外1.5寸)

       腹直筋    : 大巨(天枢穴の下2寸、石門穴の外2寸)
             水道(天枢穴の下3寸、関元穴の外2寸)
                          帰来(天枢穴の下4寸、中極穴の外2寸)
              子宮(奇穴、中極穴の外側3寸)

2)上実下虚
   上実下虚の症状(頭痛、頭重、朦朧、眼充実、耳鳴り)
  
  取穴 : 崑崙(足の太陽膀胱経、外果とアキレス腱の間の陥凹部)
          立位の方が効果が高いようです。




          



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