こっぱもちの読書日記

2011年08月

小川一水さん『青い星まで飛んでいけ』を読みました。 地球の人間の末裔を自認するエクスが、その内向的性向に反して、地球外知性を探して接触していく、 その過程と結果。 また、それを観察し続けていたオーバーロードによる評価などを描いたものが、この表題作です。 私が一番好きなのは「都市彗星のサエ」でしょうか? 自給自足ができ、貿易も通信もできるけれど、宇宙空間では孤立している都市の物語です。 短編集は「フリーランチの時代」もありますが、私はこの本の方が好きです。

1ヶ月前から痛かった腰痛のため、整体に行ってきました。 背骨が歪んでいるだけでなく、ねじれているとのこと。 1時間かけて、いくらか修正してもらいました。 次に行くまでに続けておく体操を教えてもらい、決して痛いからといって、 揉んだり押さえたりしたいようにと注意されました。 また、姿勢も常に真っ直ぐを心がけるように言われました。 頑張って治したいです。

柄刀一さん『ペガサスと一角獣薬局』を読みました。 心臓移植によって生き延びることができた南美希風が、‘‘世界の伝説と奇観’’をテーマに フリーのカメラマンとしてヨーロッパを巡り、様々な殺人事件に出くわし、解決していく。 表題作も、美希風自身がユニコーンの写真を撮るなど、華やかでいいのですが、 私が一番好きなのは「チェスター街の日」です。 また「読者だけに判るボーンレイク事件」も、表に現れなかった犯罪を明らかにしてくれて、 面白かったです。

宮部みゆきさん『おそろし 三島屋変調百物語事始』を読みました。 おちかは、自分のせいで起きてしまったと思っている事件を心に病み、 それを癒すために、江戸の神田三島町で袋物を商う叔父夫婦のもとに預けられる。 罪悪感を忘れるために、女中として身を粉にして働くおちか。 人に会うのも避けていたおちかだったが、 叔父・伊兵衛がやんどころない事情で外出するために、 来客の応対を任されることとなった。 曼珠沙華の花を恐れる客の話す昔語りによって、おちかの心は次第に溶かされ、 少しずつ心持ちが変わっていく。 その後、伊兵衛の計らいによって聞かされる様々な人々の身の上話と おちかに起きた出来事は、どのように彼女に影響していくのか? 「あんじゅう」の前日譚です。

津原泰水さん『11eleven』を読みました。 幻想的な短編が、11編収録されています。 中でも印象的なのは「五色の舟」「延長コード」「手」「テルミン嬢」「土の枕」で、 3作品が既読のアンソロジー集の収録作品だったのは、偶然ではないでしょう。 ただ「五色の舟」の結末が、記憶と微妙にずれているのですね。 読んだ後、少しずつ物語の記憶を改変していったのかと思います。 どの物語も、読者を現と幻の狭間に連れて行ってくれます。

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