2005年09月14日

『遺書』を読んで

遺書―5人の若者が残した最期の言葉

先日、書店で『遺書』という本を見つけた。中高生を中心に大きく広がる、ベストセラーという見出しにつられ購入し読んでみた。

副題にあるように5人の若者が「いじめ」や「鬱」が原因で「遺書」を残し、若い自らの命を絶った衝撃の内容の本である。

「いじめ」というものに実体験のない私が、中途半端にブログで紹介することはどうかと思い記事にはするまいと決めていた。

しかし、今日ブログ「THE義務教育」の中で、「『いじめ』と『暴力』に対する学校側との温度差」という記事を拝読しているうちに、やはり「いじめ」という悲惨かつ陰湿な出来事が少なくなること、いやできればなくなることを願い、記事を書いてみた・・・


この本を編集したのは当時20歳より23歳の若者7人である。

また、この本の構成は、若者5名の「遺書」およびその5名の遺族の方に対する取材から成っている。遺族の方の悲痛な叫びの中に、学校側や警察を含む行政側との事件に対する取り組み方の「温度差」を感じることができる。また、この「温度差」については、ご紹介させていただいたブログでも管理人さんが指摘しているとおりである。

私は、今この場でその「温度差」についてあれこれ言うつもりはない。しかし、子どもの自殺を救うのは、あくまでも最終的には家族の力であることを、この本は示唆していることを知っていただきたいのである。

この本を読むと、自殺を決意した子どもたちは、事前にそれなりのメッセージやサインを残していることがわかる。遺族の方は、どうしてそれを事前に察知してあげられなかったのだと、後悔と自責の念にかられている。もちろん、私はその遺族の方を責めるつもりなど毛頭ない。

しかし、このような不幸な事態を防ぐのは、普段からの親と子の積極的なコミュニケーション以外にないのではなかろうか。そんな豊かなコミュニケーションが子どもの些細な変化にも気付くことができ、また対処することも可能となるのではあるまいか。

この5人の子どもたちは、私たちにその重要性を教えてくれていると思う。

できれば皆様方にも、この本を一読いただき、今一度「いじめ」について考えるきっかけとなっていただければと思い記事にした次第である。

 

この5人の子どもたちのご冥福を祈ります。

 


この記事へのトラックバックURL

この記事へのトラックバック
verb 遺書―5人の若者が残した最期の言葉 いじめや鬱による自殺をした若者の遺書が原文で掲載され、その後の遺族の様子などを一冊にまとめた本。 著者たちは端々で、「なんで死んでしまったの?」という問いかけをしていたが、死を選んだ人間の気持ちは痛いほどわ
遺書【乱読日記】at 2005年12月11日 21:15
この記事へのコメント
難しい問題ですね。

いくら親が気を付けて育てても、子供の自己が形成されていくとても傷つき易い時期に、子供に刻み込まれる心の傷を親でも防ぐことはできない・・なんて、最近ふと考えていたところです。

逆境に立ち向かい、サバイバルしていける強い子を育てる・・これはどうしたらいいのでしょう。子供が小さい頃は親が守ってあげればそれで済んだかもしれませんが、ティーンエイジャーになって、ホルモンが変化していく壊れやすい時期は親にとっても難しい時期だと、13歳の息子を持つ親としてヒシヒシと感じている今日この頃です。

うちは今は何の問題はありませんが、親もセンシティブにならなければいけない時期だと、肝に銘じていたところです。
Posted by マミ〜 at 2005年09月16日 04:15
マミーさん
コメントありがとうございます。

いくら親が云々ですが、仮にそのような事態になった場合、心の傷は親でも防ぐことは難しいでしょうね。親とすればそのような状況に陥らないようにサポートしてあげることでしょうか。それと、逆にそのような傷を負ったことを将来プラスに考えることができるように子どもに教えていくことが必要なのではと思います。

逆境に云々ですが、マミーさんのお子さんは心配ないと思いますよ。今の子育てのままで、充分逆境に立ち向かっていけますよ。マミーさんもそれだけの自信は持っていらっしゃると思いますが。


続く
Posted by kitamarty at 2005年09月16日 21:20
私の子育て経験からお話させていただきます。(一応先輩ですから。子どもの出来にはかなり差がありますが。それとアメリカの事情はわかりませんが、日本ではという前提のもとで)

お子さんはこれから(高校時代、15〜18歳)が人間としてすごく成長する時だと思います。今まで以上に加速度的に成長します。中学校時代までは親の影響力が圧倒的なんですが、高校時代に子どもの成長に一番影響を与えるのは優秀なクラスメイトと優秀な先生方だと思います。

続く
Posted by kitamarty at 2005年09月16日 21:37
お子さんは、周りの優秀な人間から非常に多くのことを学んできます。そして、お子さんの人生に影響を与える人間関係を構築する人脈づくりも始まります。

このような中で、確固たる自己が形成されていきます。そのような状況市下で、「あれっ」と思うようなことが起こると思います。なぜなら、今までは自分たちが子どもの自己形成に大半を関与してきたわけですが、この時代からは親以外の力の方が大きくなってくるからです。しかし、心配はいりません。それが正常なのです。

今は何の問題もありませんが。云々。

これからも多分問題はないと私は確信します。
なぜなら、今までに素晴らしい子育てをしてきたからです。

素晴らしいお子さんですよ。

Posted by kitamarty at 2005年09月16日 21:48