何やら大げさなタイトルをつけちゃったけれど
この町に来てみて、様々なことを考えたので
覚書程度にいくつかまとめてみようと思う。

■定義・前提 
経費を最小限にとどめる。
地産地消を原点とする。
永年にわたって継続できる可能性を追求する。
町外からの来訪の増加を目指す。
既存における環境、及び、土地・建造物等を破壊しないものとする。
(不足している情報の追記あり)

書き出すときりがないほど、 条件や注意事項があり
現実に何か始めれば、必ずと言っていいほど
地元と観光の行き違い、すれ違いも生じ
現在の美瑛・富良野などと同様の問題も抱えることになる。

しかし、これは
事前に検討を繰り返し、地元の承諾をきちんと得ることで
ある程度回避できると考えている。

■石狩当別の地域性
その面積の多くは「道民の森」と「当別ダム」を含んだ豊かな自然となっている。
春から秋にかけて広大な田園・穀倉地帯として穏やかな風情がある。
晩夏には、多くの田畑が、地質改良のためのヒマワリ畑と変貌する。
春には、近くの自然林などから、希少な野生動物・鳥類などが住宅地まで訪れる。
冬には、伸ばした手の指先すら見えなくなるほどの激しいブリザードが吹き荒れる。
近年の気候変動により、品質の良い水稲生産が可能である。
各種野菜の生産量が多い。
各種観葉植物の生産が多い。
北海道最古の現役木造校舎がある。
ドライブ・バイクツーリング・サイクリングなどに、国道275号線や道々28号線などが多く利用されている。
町外からの、道民の森・一番地区・オートキャンプ場の利用者が多い。
広大で水量の豊富な「当別ダム」がある。
「当別ダム」奥には、入植当時の軌道跡などが残されている。
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陶芸に活用できる粘土が採取できる。
中生代から新生代にかけての化石が採取できる。
ヘイケボタルと、餌となるカワニナやタニシなどが生息している。
真っ白いエゾリスが生息している。
エゾモモンガが生息している。
数種類の山菜が豊富にある。
温泉がある。
幻の滝がある。
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個人で「祭り行燈」を作っている人がいる。
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個人で「木工家具」を作っている人がいる。
個人で「ヘイケボタル」の育成をしている人がいる。
個人で「陶芸」をしている人がいる。
個人で「蓮」と「ヒガンバナ」を栽培している人がいる。
医療大学がある。
酪農・畜産を行っている農家がある。
種苗販売を行っている人がいる。
果樹栽培している農家がある。
スキー場がある。
ゴルフ場がある。
自衛隊駐屯基地がある。
(不足している情報の追記あり)

まだまだ、探し出せばきりがないほどあると思うが
手前味噌なことも含め、今思いつくだけのことを記載してみた。

さて、では
これだけのことから一体何ができるのかを模索してみようと思うが
まずは、手前味噌的な「ホタル」や「陶芸」「蓮」「ヒガンバナ」などで考察してみようと思う。

■町興し構想
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① 
●タイトル 「灯の町・夏当別(仮)」 
●テーマ 様々な灯(ともしび)「ホタル・行燈・キャンドル・シェード」を利用した、穏やかな田舎時間を体験するイベント
●場所 当別ダム・サイト横(道々28号線を挟んで当別町側から見て左側の休耕田一帯)
●日時 7月15日~7月25日 午後7時~午後10時
●内容 
1.休耕田を利用したヘイケボタルの繁殖を行う。
2.駐車スペースから、ホタルが生息している池までのアプローチ(おおよそ100メートル)の足元を、並べて置いたキャンドル・シェードで照らす。
3.町内の陶芸家や学生、老人会、町民などにキャンドル・シェードの製作をボランティアで依頼する。
4.キャンドル・シェードに使用する粘土は、できる限り、当別町内で採取したものを使用する。
5.日本国内の陶芸を趣味とする人々に、ボランティアで制作依頼する。
6.駐車スペース近くに出店スペースを設け、野菜や加工品などを販売する。
7.出店スペースに、「当別神社祭」に使用される「手造り行燈」の展示を行う。
8.ホタルの生息する池に「蓮」や「睡蓮」を、池以外のスペースに様々な宿根草を植え、日中も来場可能にする。
9.ここで使用した「行燈」及び「キャンドル・シェード」は、厳冬期の2月のイベントで再利用する。
10.展示スペース、イベントスペースなどを設け、アート作品の展示や販売、音楽演奏、DJイベントなどを並行開催する。
11.それぞれの運営、管理などは、有識者の指導の元、ボランティアにて賄う。
(不足している情報の追記あり)


●メリット
①上記内容での実現が可能であれば、少ない経費での運営ができ、半永久的に継続が可能となる。
②元となる「ヘイケボタル」は私が所有しており、無償提供する心づもりがある。
③キャンドル・シェード制作にあたり、多くの人が関わることで、性別・世代・地域を越えた交流が深まる。
④野菜などの即売所を設けることで「地産地消」につながる。
⑤販売者の意欲が高まれば、新たな「当別名物」が産まれる可能性がある。
⑥子供たちの記憶に「故郷」を印象づけられ、将来的なリピートを齎せられる。
⑦ご老人の方々の遠い記憶を呼び覚ますことができる。
⑧札幌市や石狩市、当別町近隣などからの来訪者が増える。
⑨音楽イベント、アート展示などを同時開催することにより、若い世代やジャンルの違う人々の来場を見込める。

(不足している情報の追記あり)

●デメリット
①上記地域の所有権が不明であり、利用できる可能性が不明である。
②交通事故や防犯のために当別町内の警備、交通誘導などが必要となる。
③簡易的なトイレ設備が必要となる。
④ホタル飼育施設への電源供給が必要となる。
⑤駐車スペースや出店スペースの整備が必要となる。
⑥昼夜を通して管理者が必要となる。(私自身が携わることは可能)
⑦ホタルの餌となる「カワニナ」や「タニシ」などの初期供給が必要となる。
⑧キャンドル・シェードに使用するロウソクの購入。
⑨キャンドル・シェードの火の管理。
⑩ご老人などへ向けた無料送迎バスの使用。

(不足している情報の追記あり)

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② 
●タイトル 「灯の町・冬当別(仮)」 
●テーマ 様々な灯(ともしび)「行燈・キャンドル・シェード」を利用した、穏やかな田舎時間を体験するイベント
●場所 当別町阿蘇公園
●日時 2月中旬 
●内容 
1.夏に使用した「行燈」と「キャンドル・シェード」を公園内に配置し、雪と灯と音楽の共演を行う。
2.町内の陶芸家や学生、老人会、町民などにキャンドル・シェードの製作をボランティアで依頼する。
3.キャンドル・シェードに使用する粘土は、できる限り、当別町内で採取したものを使用する。
4.日本国内の陶芸を趣味とする人々に、ボランティアで制作依頼する。
5.展示スペース、イベントスペースなどを設け、アート作品の展示や販売、音楽演奏、DJイベントなどを並行開催する。
6.「支笏湖 氷濤まつり」同様の規模にし、当別町外からの来訪者の増加を検討する。

●参考 
毎年行われている「あそ雪の広場」への併合も可能。


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③ 
●タイトル 「花の町・春~秋当別(仮)」 
●テーマ 特定の花の大量な栽培による観光スポット
●場所 当別町 中小屋スキー場
●日時 春~秋
●内容 
1.国道275号から臨むことのできる小高い丘の斜面に、特定の宿根草を植える。
2.必要があれば、夜間もライトアップする。
3.必要があれば、管理などを老人会、園芸会にボランティアで依頼する。
4.展示スペース、イベントスペースなどを設け、アート作品の展示や販売、音楽演奏、DJイベントなどを並行開催することも可能。
5.それぞれの運営、管理などは、有識者の指導の元、ボランティアにて賄う。

●備考 
長期にわたって花をつけるものか、季節によって花が変わるように数種類必要となる。
球根、または、こぼれ種で増える宿根草に限ることで、手入れなどの手間が省け、冬のスキーシーズンにも支障をきたさなくなる。(木質のものは弊害を齎す)

このスキー場は、冬の利用も殆ど無いことから、冬の利用方法として、「スノーボード専用」としてみる。
また、冬にのみ、近くの土地を無償にて借り受け、スノーボード用の「ハーフパイプ」の設置ができればと考える。


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④ 
●タイトル 「ブリザードの町・冬当別(仮)」 
●テーマ 最も激しいブリーザードを体験できるツアーの提案
●場所 当別町 
●日時 冬
●内容 
1.最も激しいブリザード体験できるスポットに佇んで、遭難を経験してもらうw
2.必要があれば、夜間もライトアップし行う。
3.必要があれば、避難場所、救急車、警察、自衛隊に待機してもらう。
4.豚汁、カレーライスなどを当別産のもので作り提供する。
5.②、③備考との共同開催も可能。

●備考 ツアー会社などとの提携があれば、海外からの参加者も見込むことが可能。

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⑤ 
●タイトル 「収穫の町・秋当別(仮)」 
●テーマ 様々な「おでん」のコンテスト・廃校を利用した複合イベント
●場所 当別町 旧東裏小学校校舎及びグラウンド
●日時 11月吉日 3日間 午前11時~午後4時
●内容 
1.出店者を全国に呼びかけ、個性的な「おでん」を提案し、即売してもらう。
2.販売店舗は、各教室の窓一つを1店舗とし、窓越しにグラウンドへ向けての販売となる。
3.「おでん」には定義はなく、販売店が「これはおでんだ!」と主張すれば、「おでん」とみなす。
4.「おでん」に使用する材料には、必ず当別町での産物を数品用いるものとする。
5.お客様には各店舗への投票をしていただき、「おでん・グランプリ」として1等から3等まで表彰する。
6.グラウンドにおいては、「ワンコの運動会」、「ディスク・ドッグ・デモンストレーション」などを共同開催する。
7.グラウンドにおいては、「DJイベント」や「音楽ライブ」などを共同開催する。
8.グラウンドや、教室、廊下等において、「アート・ギャラリー」、「フリー・マーケット」などを同時開催する。
9.それぞれの運営、管理などは、有識者の指導の元、ボランティアにて賄う。

(不足している情報の追記あり)

●備考 
テレビやラジオへの呼びかけにより情報の拡散を図る。
インターネットの利用により情報の拡散を図る。
開催日より3ヶ月前から出店者を募る。
出店者からは出店料を徴収し、会場使用料、グランプリの景品などに充てる。
出店者は必ずしも現飲食店だけではなく、一般の主婦や学生、サークルなどでも可能とする。
「朝の顔」小倉さんにお願いして宣伝してもらうwww
「ヨーヨーズ」と「タカトシ牧場」にも出店してもらうwww
当別町の産物の使用について厳しく巡回監視すると共に、保健衛生上好ましくない行為がないことを合わせて巡回監視する。
それぞれの店舗の売り上げは、その店舗のものであり、出店料以上の金額を請求しないものとする。
開催にあたり、出店者には事前に、野菜などの材料購入できる販売店をいくつか紹介する。
出店者など、当別外の地方からの参加者には、温泉や宿泊施設などをいくつか事前に紹介する。



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さてさて、この他にも
地産地消ということで、地元産の野菜を使って作った「ピクルス」や「パスタソース」、「ハーブの詰め合わせ」などの提案や
地元米を使った清酒の製造や、休耕田を利用した果樹園、ブドウ園の運営と
それに伴う「当別産ワイン製造」や「ビネガー製造」なども構想にはある。

また、豊かな自然に目を向け、「春のバード・ウォッチング」や「当別写真コンテスト」などの他
休耕田を再利用した山菜の栽培を行い、その「山菜摘み体験ツアー」や
地質改良のためのヒマワリ畑を、北竜町のようにして一般解放したり
「水田泥んこ祭り」、「自転車水田渡り」、「当別川川下り」、「犬ぞりレース世界大会」
「当別ダム・ワカサギ釣り大会(当別ダムへのワカサギ放流が必要)」
「牧草ロール転がし祭り」等の他
「レンタル農場」や、「空家・貸し家・売り家ツアー」などなど

笑っちゃうぐらい山ほど出てくるwww

この町は、明日に投票日を控えた町長選挙まっただ中だが
二人の候補者はいずれも70歳と71歳・・・

選択する基準をどこに見出したらいいのだろうか?

にもかかわらず、この高齢者に頼ろうとする声ばかりが耳につき
自ら行動を起こして、僅かずつでも、この町を変えようとする者は非常に少なく思わせられる。

非力ながら、少しでも役に立てるならと心に決めてこの町にやってきたのだが
少なからずとも、この町で商売を営んでいるその殆どが
当たり前のビジネスをしておらず、「いらっしゃいませ」も「ありがとうございます」も聞こえてこない。

お客様を迎える体制ができていない飲食店、物販店が殆どというこの町に
いかなる観光資源を齎そうとも、はたして、お客様はリピートしてくれるのだろうか?

この町には
札幌や東京へ定期的に出店している企業もあるが
きちんとした調理経験が伴っているのか疑問も多く
(私は実際に、生の料理を食べさせられた)
願わくば、悪評ばかりが独り歩きしなければいいのだが・・・

そのためには、観光で訪れる人や
当別産という認識を持つ人が、一人でも少ない方がいいということになりそうだ・・・
 
はてさて、私一人で、どこまで実現できるかな??? w



追記 (8月1日)
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新しいものなど受け入れたくない。観光客などあてにならない。移住者に好き勝手にされたくない。
などの意見も多いのが過疎化地域の現状でもある。

さて、では上記のような意見に対応するにはどうしたらいいのか?

女性自身 8月1日(木)9時0分配信の記事にこんなものがあったので参考になりそうだが・・・

平均年収2500万円“奇跡の村”で高収入男性が嫁募集

「レタス生産量日本一の村」として知られる長野県南佐久郡川上村。高原野菜の栽培に適した自然環境と、東京まで車で3時間という地の利を生かして都市部への農作物の供給基地としての地位を確立した。同時に、ブランドとなった川上村のレタスや白菜を作る農家の収入も上がり、人口4千759人の小さな村だが、世帯あたりの平均年収は2千500万円を超える。

 また、村の嫁たちの7割が東京など都会から嫁いできていて、若者たちの定着率も高い。こうして若い人が増え続けていることと、高収入もあって今、川上村は「奇跡の村」と呼ばれている。いったいなぜ、川上村にどんどん若い人が集まるのだろうか。それには以下のような理由がある。

・環境に不慣れな奥さんを助ける「若妻会」。
・濃密な近所付き合いで助け合う。
・生活にメリハリがある。夏場は仕事に集中し冬は遊ぶ。
・教員環境の充実。教員の数が多い。24時間開館の図書館。
・観光客がいない(観光に頼らなくていい)静かな環境。
・医療の充実、24時間訪問介護体制で在宅死が4割。
・外国人労働者も受け入れる開放的な村民。

「年収だけじゃなく、川上村にはいろんな魅力があることがわかったでしょう。県の天然記念物の川上犬もいます。村には、まだまだ独身の20代~40代男性がいます。お嫁さんはいつでも募集中です」

そう熱く話すのは、7期目を迎えた藤原忠彦村長(74)。藤原村長が熱くなるのには理由がある。ほとんど夏場は畑仕事に追われるため、川上村の男性が女性と知り合うチャンスも冬限定で、つまりは一般男性の半分!?

「冬場の出稼ぎならぬ“出遊び”で、スキー場で知り合ったりというケースもあるにはあります。村では、今年から村営の新婚住宅も建設しますので、若い夫婦にはますます暮らしやすくなります」(藤原村長)

 さらに注目されるのが、『2世帯敷地内別居』。同じ敷地内に、若夫婦の家を別に建てる生活様式が最近、川上村では急増中とか。これも、広い敷地と高収入があってこそ実現すること。ある農家のお母さんがこっそり教えてくれた。

「大自然の中でのんびり育っているせいか、川上の男性はやさしくて働き者ダヨ」

 2千500万円がきっかけでもOK。川上村役場に問い合わせると、村の独身男性との出会いの場を紹介してくれる。

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このような方向性すら見出せないとするなら
はてさて、この町はどこへ向かおうと言うのだろうか?

「いつか良くなる」、「その内誰かが・・・」、「現状維持こそが大切」などと
随分と無責任で、人任せ風任せな言葉が聞こえてきそうだが
「人口減少」、「高齢化」、「事業撤退」などなど深刻な問題を抱えた上での
今の時代において「現状維持」とは、「衰退」を意味することも再認識するべきではないだろうか?

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さて、何か新しいことを始めようとするとき
何の手本も無しに成功を導き出せるような天才は世の中にどれほど存在するのだろうか?

知識や経験、情報などを全く持たずには
そもそもが何をどうしたらよいのかすら、まさに暗中模索となり
そんな船に乗ろうとする乗員乗客はどれほどいるのだろうか?

最低限、向かうべき目的地と、その理由があり
かかる日数時間と料金ぐらいはわからないと不安で仕方が無いだろう・・・

「宝島に行くぞー!」と、終着点の見えない雄叫びだけでは
現代社会のアニメ好きな人ですら「ワクワク」も「ドキドキ」もしてこないのかもしれない。

今、苦しんでいる自治体は地方に限らず
日本が迷走を続ける限り、また迷走が終わったとしても、その後数年も続くことになる。

そんな中、もはや、昭和の知識、経験、情報だけでは賄いきれないと気付いた自治体などは
昭和では乱暴とも取られかねないような方法で行動を起こしているところもあるようだが
ここまで厳しい状況が続くなら、20年以上も「現状維持」を唱えることより
多少の「荒療治」が必要なのかもしれないと考える。

いつまでも情報ソースの少ない高齢者のみが主導する地方自治では
立派な志しすら錆ついてしまうことだろうと思うのは私だけではないはずだ。


東京都や千葉県における流山市と、札幌市における当別町では
そのまま全てを同じと考えることは難しいかもしれないが
一つの情報として参考にすることは重要だろう。




追記(8月2日)東洋経済オンライン 8月2日(金)6時0分配信
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30代人口急増! 流山市、"異端"の街づくり


30代人口急増! 流山市、
30代ファミリー好みの街づくりでにぎわう、つくばエクスプレス・流山おおたかの森駅周辺
「母になるなら、流山市。」――。ここ数年、都内の主要駅などでこのようなポスターを見掛けた人もいるのではないだろうか。子育てしやすい街をアピールし、移住を促したい千葉県流山市のイメージ広告だ。自治体がこのような広告を展開するのは珍しい。
流山市には広告の企画や作成などを担う「マーケティング室」という組織があり、この部隊が若い世帯にターゲットを絞り、誘致に奮闘しているのだ。
千葉県の北西部に位置する流山市は大きな企業や商業施設が少なく、住民の高齢化も進んでいた。ただ、最近は総人口が右肩上がりの状態。現在16万8000人と2005年に比べて1万人も増えている。特に、30歳代の若いファミリー世帯がグングン増加中だ。
流山市に何が起きているのか。民間シンクタンク出身者で、市の改革の原動力である井崎義治市長を直撃した。
 ――井崎市長は「日本一快適で住みやすい街にする」などの目標を掲げ、改革を進めてこられました。就任当時はどのような状況だったのでしょうか。


 就任当初は、流山市の人口が長い間低迷し、高齢化率が上昇していました。日本全体が人口減少時代に突入する時期でもあり、流山市もさらに高齢化が進むであろうことが想像できました。人口が増える街にするにはどうすればよいか。その考えから、マーケティングとブランディング戦略が必要、という結論になったのです。

■ 市役所内でのすさまじい反発

 幸いにも、当時の流山市は知名度が非常に低かった。地域イメージもまったくない。「よい」も「悪い」もない、いわば「白紙状態」でした。

 むしろ、これはチャンスだと。流山市はゆったりした戸建て住宅が多く、緑化資源(公園や緑地など)が豊富にあります。こういった実態を維持、強化しながらPRしていけば、地域イメージをプラスにすることができる。その可能性を大いに感じていました。

 そこで、まずSWOT分析やポジショニング、ターゲットの整理などのマーケティング戦略を遂行したのです。


 ――ただ、マーケティングという市役所には前例のないことを推進したわけですから、職員に理解不足や反発があったのではないでしょうか。

 就任と同時にマーケティング課を立ち上げる準備をさせた際、職員が用意したマーケティング課の所掌事務は、「企業誘致」としてありました。マーケティングと企業誘致の違いを理解していなかった、ということです。そこで、私が講師となり、「マーケティングとは何か」を理解するための勉強会を半年間開催しました。

 マーケティング課のリーダー(課長)は民間から公募しました。採用にあたっては、市内の著名なマーケティング専門家に審査してもらったのだが、採用が決定したリーダーには、「打たれ強いかどうか」を何度も確認した。市役所内の反発のすさまじさが想像できたので、「ぜったいに打ち勝つつもりでやってくれ」とお願いしました。

 実際、役所内のカルチャーショックは相当なものでした。稟議が部長のデスクで2カ月間も止まっていたこともありました。「こんなものやらせてたまるか」というような意識があったのだと思います。

 「行政がこんなことをしてよいのか」「何ということを自治体が始めるんだ」と、職員に言われたこともあります。

 ――「若い世代の誘致が必要」という結論に達した経緯は? 

 先ほども申し上げたように、流山市はゆとりある住宅が整備できる環境や、街全体に緑が多いという強みがあります。さらに、2005年8月に「つくばエクスプレス」が開通したことで、都心から移動する際の所用時間が20~25分に短縮されました。

 このような強みを考慮して、「都心から一番近い森のまち」と、都市のイメージを設定。さらに、メインターゲットとして、いわゆるDEWKS(共働きの子育て世帯)を設定しました。

 勤め先が都内にあったとしてもその都心に近くて、しかも子育てする住環境が充実している。これを訴求していこうと。ターゲットを決めて施策を展開していることは、自治体として特徴があると言えると思っています。


■ ”千葉の二子玉川”にしたい

 ――とはいえ、若い世帯に訴求することは容易ではないのでは? 

 首都圏の地域イメージだと、東京都の西側や横浜方面がいいのは確かです。ただ、若い方々が子育てするときに、流山を見に来てくださったならば、その方には迷わず流山を選んでもらえるようにしたい。

 そのために、子育てや教育環境を充実し、良質な住環境の整備に力を入れています。流山市は東京で例えるならば、渋谷区に対する二子玉川(世田谷区)のような位置づけにしたい。私は「ポスト浦安市(千葉県)」とも言っています。

 子育て世帯に選ばれる街になるための方針として、大きく3つの柱があります。

 ひとつ目は、財政健全化の実現。効率的、効果的な経営体に変える必要があります。市の財政状況が悪くては、都内で手厚い市民サービスを受けている人を誘導することはできません。

 2つ目は、良質な住環境の整備。2007年に「景観条例」、10年に「最小区画住宅面積の拡大」を規定した「開発事業の許可基準等に関する条例」、そして12年に街の付加価値を高める開発を誘導する「街づくり条例」。さらに、13年には「子育てにやさしいまちづくりの環境を整えるための大規模な共同住宅等の建築における保育所設置の協力要請に関する要綱」を策定しました。緑についても、「CO2吸収源倍増計画」などを進めています。

 3つ目は、子育て・教育環境の充実です。許認可保育園の新設・増設により、定員数を2009年度に比べて67%増やしました。これからもさらに増強し、定員数を09年度から14年度までの6年間で2.5倍に増やし、待機児童ゼロを目指します。

 教育については、昨年4月から市内中学全校にALT(外国語指導助手)を、全中学校8校に1名ずつ配置しました。小学校でも、ネイティブのスーパーバイザー(小学校英語指導員)3名が全15校をサポートしています。

■ 駅名の変更がターニングポイントに

 ――「送迎保育ステーション」というサービスは共働き世帯に人気がある、と聞きました。どのようなサービスですか。

 行政サービスがヒット商品になることもあります。行政が新しい商品を開発することで、人口誘導は可能です。そのひとつが、「送迎保育ステーション」。「このサービスがあるから流山市に引っ越してきた」という住民もいますよ。

 「送迎保育ステーション」は、市内2カ所の駅前送迎保育ステーションと各保育園をつなぐサービスです。駅前に一時預かり施設を併設しているため、親は出勤前に施設に子どもを預け、出勤後にその施設に迎えに行けばよい。1回100円と手軽に利用できることも人気の理由だと思います。


 流山市は「さくらんぼクラブ」や「子育てサロンコンサート」など、子供向けや子供教育向けなどのイベントも多数用意しています。「最近流山のイベントが多くて、それを楽しんでいると、東京に遊びに行く暇がない」という住民の声があるほどです。

 ――街のPRにも積極的ですが、これは市長がかつて民間企業に勤務していたことが影響しているのでしょうか。

 PRするにはおカネもかかりますが、マーケティングにはPRが必須。ブランド化の一環として、PR活動は不可欠です。

 私はかつて、アメリカに12年間住み、都市計画コンサルティング会社に従事していました。人口数10万人以上の都市では、自治体マーケティングが一般的で、それぞれがPR組織を持っていました。

 その後、日本に移り、民間シンクタンクで都市政策やマーケティングにかかわりました。ただ、日本では自治体がPR組織を持つことは皆無でした。PRしたとしても、観光か事業誘致に関することぐらい。自治体がPR活動をしないことを、むしろ奇異に感じました。

 ――マーケティング戦略が浸透し、流山市は人口が順調に増えていますが、戦略の行方を決定づけた決定的な出来事、というものはありますか。

 流山市にあるつくばエクスプレスの3つの駅のうち、2つは開通前、「流山中央」「流山運動公園」という駅名になる予定でした。開通の5カ月前まで、そう決まっていました。ただ、運営会社から、「本当にこれでよいのか」との確認があったこともあり、「流山おおたかの森」「流山セントラルパーク」という現在の駅名に変更したのです。

 これは重要なポイントでした。流山市のブランディング戦略の「出発点」だったと思います。この駅名がついたことで、街に比較的高級なイメージが涌くため、マーケティング戦略を進めることができたのです。住環境の整備を担うマンション開発会社も、こちらの条件提示に耳を傾けるようになるなど、関係者が街のブランド化に本気で取り組んでくれるようになりました。

 ――今後の展開も気になります。どのような施策を考えておられますか。

 今年6月に設置した「子ども・子育て会議」で、国に追随するのではなくて、地方自治体のモデルになるように効果的な施策や方針を提示していきたいです。

 高齢者の住み替え促進策も考えています。戸建て住宅の管理・利用ができなくなりつつある高齢者に、市内の集合住宅や高齢者住宅などに住み替えていただき、今まで住んでいた住宅をリフォームして若い子育て世帯に賃貸・分譲する仕組みを構築したいと考えています。自治体としては初めての試みですが、ぜひ取り組んでいきたい。

 流山市はようやく、マーケティングやブランド戦略の成果が出始めたところ。これからが真価を問われるときだと思っています。

梅咲 恵司

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ザ・当別