BLイメージソング! 聴いてより萌えBL読書日記のmiru-haさんとの連動企画、ついに私の番となり本格始動でございます!
ウチでは第一回なので、さらっとルール説明を。
◆マンガしりとり・ルール
・第2日曜担当:わにこ 第4日曜担当:miru-ha マンガのタイトルでひたすらしりとる。
・必ず自分が読んだマンガとする。ジャンルは不問(雑誌・同人は不可)
・続けることが目的なので最後が「ん」でもよし。(例:「ドラえもん」⇒次回「も」)
・同上理由で 濁音・拗音はあるなしどちらもOK。(例:「しょうこうじょ」⇒次回「しょ」か「じょ」か「よ」)
・同作家の作品は各人1回ずつ。2回目は罰ゲーム

◆前回までの流れ
真空融接→月に狼→

てな感じで今回のお題は『み』です!

「み」とくれば「みんな」とか「未来」とか「水」とか「ミスター」とか色々なタイトルが思い浮かぶわけですが、今回はBLではなく少女マンガから選んでみました。

ミルキーウェイ (白泉社文庫)ミルキーウェイ (白泉社文庫)
著者:清水 玲子
販売元:白泉社
発売日:2000-09


え?ニアですか?きにしな〜い♪

初期の清水さん作品には、スターシステムで同じキャラが複数の作品に登場していました。 そのキャラは見た目が同じだったり名前まで同じだったりパターンは色々ですが、現在連載中の超人気作品「秘密―トップ・シークレット―」の主人公・青木のルックスや性格の元であると言っても過言ではなく、清水作品の主人公の基本形(優しくてちょっとヘタレ、押しの強い女に弱い)で一番登場回数が多いキャラが「ジャック」です。
彼のキャラが主人公になった作品は以前にもあったものの、初期の傑作集「ノアの宇宙船」に収録された短編「メタルと花嫁」は、作品そのものが傑作であるだけでなくその後も長く続く事になるジャック&エレナシリーズの最初の一歩でした。
以前は「メタル〜」と「ミルキー〜」を読むには単行本2冊を買わなくてはならなかったのですが、今は素晴らしいですね! こ洒落た装丁の文庫版でシリーズ初期の分がまとめて読めちゃいます。(ウチのはヤケまくった旧版ですが…)

「メタルと花嫁」はネタバレなしで読んだ方が感動もひとしおなのだけれど、残念ながらこれをネタバレしないと「ミルキーウェイ」は語れず…というわけでさくっとメタルの内容をご紹介。

暗殺者のジャックは暗殺対象の男の娘エルに近づくが、天真爛漫な彼女に恋をしてしまう。 彼女が本当に愛しているのはボディーガード用ロボットのJであると知りながらも、エルにプロポーズをするジャック。 しかし、とある事故からジャックは自身もロボットで幼い頃の記憶も全て仕組まれた嘘であると知ってしまう。 ジャックとエルの結婚式の日、式場に現れたのはジャックの協力で彼に扮したJで二人はかけ落ちする。 数十年後、変わらぬエルへの想いと孤独に涙するジャック、そして墓の前に一人跪くJの姿があった…。

「メタルと花嫁」のラストカットは泣ける…。 「ミルキーウェイ」はジャックが失恋してから170年後のお話。
初恋の人エルに良く似た人間の女性と付き合っているジャックは、自殺を繰り返す美しい無性ロボットのエレナと出会います。 エレナはジャックのモデルだった天竜という男性を愛していたけれど、彼は人間の女性と結婚して180年前に死んでしまい、それからずっとエレナは自殺を繰り返しているのに皮肉にも丈夫なロボットの身体はなかなか死ぬ事が出来ません。

ロボットであるが故に同じ孤独を抱える二人だけれど、決定的に違っているのはロボットに芽生える「愛」という感情をジャックは疑わないのに、エレナは自分の天竜への気持ちが「忠誠心」なのか「愛」なのか200年近く分らずにいるという事。 ジャックは自分が人間だと思っていたときからエルを愛していたし、Jとエルの愛を間近に見ていたから彼にとっては当たり前のこと。 でもエレナは愛し愛された事がない。 だから想い出に執着して生きていても、どこか不安定で死にたがりになってしまったのでしょう。

ロボットが出る作品では必ずテーマになる「ロボットに感情は芽生えるのか?」ってことですが、私は在りえなくは無いと思っています。 高度な設計図からロボットが作られる様に、人間だってDNAというとてつもなく精密な設計図から出来ているのだから、その人間が持ち得た感情は設計図の内にあるはず。 “魂”と呼ばれているものも、所詮はDNAの産物なんじゃないかと…。


無自覚なままにエレナに惹かれていたジャックが彼を連れて行ったのは、地球から203光年離れた惑星への旅行。 その惑星の天体望遠鏡からは203年前の…天竜がまだ生きていた頃の地球を見る事が出来るし、更に透視能力を持ったエレナなら普通なら見えない雲やドームの下の人間ひとりひとりまで見えるから…というジャックの優しさでした。

ここで、その話って変じゃない?と思ったそこのあなた!
あなたは正しい!
203年前の地球の表面の光が反射して見えているだけだから、雲の下だの建物の下だのは透視能力があったって見えません。(;^ω^)
初期の頃からSF作品が多くて、「月の子」「輝夜姫」から現在の「秘密」まで全てSF作品で大ヒットをとばしているから、本格SFマンガを描く人と思われがちですが、実は科学考証なんてしてないのが清水作品。 ロマンチックな設定の為ならば科学も曲げ、ましてや連載中に都合が悪くなったら「科学が進歩したから」という理由で済ませる、清水作品においての科学とはイコール魔法なんですよ。 この物語も、このエピソードが無いと全く意味を無くしてしまうので、優しくスルーしてあげてください。 少なくとも初期作品にはそんな魔法が許される、というか気にならない空気感があってそこが素晴らしい個性なのです。(「秘密」みたいな設定だとスルー出来ない事がしばしばあるような気が…)

かつて天竜の妻にエレナが言われた言葉…一人でずっと生きられる「完全体」の機械に人を愛する必要は無い。 その言葉に対応する様に、エレナが宇宙船墜落事故で死ぬかもしれないと思ったジャックの心は叫ぶ。 死ぬ事が出来ない機械だからこそ、人間よりもずっと誰かを愛したかった、伴侶が欲しかった、と。
天竜しか見ていなかったエレナがジャックの優しさに触れて徐々に心を変化させて、望遠鏡の事をきっかけに天竜を過去のものとして認識する…。 そしてずっと未来のジャックと自分の事を話す様になるほど、ジャックに心を傾けてゆく…この流れがゆっくりしていて美しく、ラストカットのSLのシーンともシンクロしていて素晴らしい。 つくづく清水さんはラストカットの上手い人だと思います。

この後、ジャック&エレナシリーズは初の長期連載作品「竜の眠る星 (白泉社文庫)」「天使たちの進化論 (白泉社文庫)」と続いてゆくのですが、「天使〜」はともかく「竜の眠る星」は今に至るまで続く清水さん最大の欠点である長期連載の下手さがモロに出てしまっているので、正直私はあまり好きではないのです。 当初から予定していたとはとても思えない迷走する物語、主要キャラなのに物語的にオチを付けずフェードアウトしてしまう登場人物、露骨に後付けとわかる設定、その他投げっぱなし風のエピソードや人物多数…。 ただ、ラストのジャックとエレナのエピソードや、物語の柱だった母子の関係の決着のつけ方なんかはやっぱり感動的で、ラスト1ページの上手さは健在だったりします。

このシリーズも含めて殆どの作品がそうなんだけど、すっきりしたハッピーエンドが少ない作家さんです。 人間の本質に迫る容赦ない残酷さ、恋愛においては想いが強い方が必ずしも報われるとは限らないという苦悩、生きることの不条理、これらは「秘密」ではより強調されてやっぱり上手いなぁ〜と思う。 願わくば「秘密」はこのまま傑作で、とまでは言わないけれどなんとか無難に着地した「月の子」レベルで結末を迎えて欲しい。 物語そのものが宇宙の果てにぶっ飛んでしまった「輝夜姫」の二の舞だけは勘弁…。

ちなみに、私にとって清水作品の最高峰はこれ。
22XX (白泉社文庫)22XX (白泉社文庫)
著者:清水 玲子
販売元:白泉社
発売日:2001-09

主役はジャックだけれども、エレナとのシリーズとは別のスターシステムのジャックさん。
メジャー少女マンガ誌でカニバリズムに真っ向から挑戦した、恐るべき傑作。 やはり清水さんは単行本1冊くらいのボリュームで描かせると、とんでもなく上手いと思うのです。 本当はいつか出るかもしれない「に」のお題の為に取っておこうと思ったんだけど、凄すぎて語れそうにないから今出しちゃいました。


とうわけでmiru-haさん、次回のお題は「い」です!
よろしくお願いしまっす!!