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ここへ越してきて、何度目かの夏がやって来る。


大都市では無いので、この土地に住んでいる日本人はそう多くないだろう・・・と初めから思っていたのだが、月日が経つほどに、そんなに少なくもない事に気づく。

びっくりな発見!


たまたま見つけたひとりの日本人女性から始まり、そこから交流がどんどん始まった。


故郷日本からの同士たちは、まるで蜘蛛の糸を紡ぐがごとく、どこかしらで細く長くつながっていたり、太くがっちりと固まっていたりする。その隙間を縫うように、自分の糸を緩やかに結う。時には友人の手を借りながら、解けない様に・・・しかし他の糸を引きつらせないように気を使いながら。


そんな風に育てていく友情には、何か掛け替えのない無い価値がある。


住み慣れた日本に居ても、新しい友人を作るという事は、そんなに容易い事ではない。しかも、自分が人見知りをしてしまう性格ならば尚更。


そんな自分をふんわりと受け入れてくれる人達は、たぶん自分自身の心の中にも同じような思いがあるのだと思う。だからこそ、友情の織物に他人を受け入れる事をためらわない。


お互い一大決心をした後に故郷を離れ、家族や親友に別れを告げてこの土地にやって来て、寂しさも不便さも何もかも、皆がどんな気持ちでこの土地に住んでいるのかわかっているからだ。


だから、ここにいる同郷の人達・・・日本人たち・・・は、皆とても優しい。


大げさでなくとも、ほんの小一時間でも空き時間があれば、お茶に呼び合い世間話をする。


機会があればランチに招待したり、近くのフェアへ出かけたり、誕生日のお祝いをしたり、目的は何であれ、集まって故郷の話をしたりする。


今日はまたランチに呼ばれ、一緒に御呼ばれした方が親子でピアノとバイオリンをご披露してくださった。いっぺんに午後のひと時は特別なミニ・コンサートになり、得をした気分で帰宅した。


車の運転をしない私だが、気を使って毎回送り迎えを誰かしらが申し出てくれる・・・。


そんな思いやりが本当に有難いと感じる。


その代わりにパンを焼いたらおすそ分けしたり、花が余計に手に入れば株分けしたり、そんな風にして感謝を伝える。


受け身なだけではキャッチボールは成り立たないー、それだけを心に留めておけば良い。後は"Give & Take"、お互い様だから。


越してきてから何度か目の暑い夏がまたやって来るが、私達が友情の糸を細く長く紡ぎ続ける作業は、これからもずっと終わらない。


いつか気がつけば、大きな美しいタペストリーが出来上がっているのかもしれない・・・。


将来人生をふと振り返る時が来て、過去を静かに思い馳せることがあるのなら、それでも完成作品にはならないはずの友情の織物を、その時にじっくりと見つめてみたい。


そしたら・・・、故郷を離れた事だって、家族や親友達といつも一緒に居られなくなるという道を選んだという決心を、きっと後悔せずにすむのだろう。



今年の夏もきっと暑くなる・・・、もう何度も経験しているが、それだけはどうも慣れないー。