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お隣のシャム猫さんはとても人懐っこく、会う人会う人に「にゃ~・・・」と怖がることなく挨拶をする。その後必ず足元につきまとい、そばにごろんと転がって『撫でていいよ。』のアピールをする。

結構何をしてもやさしい猫さんなので、頭もお腹もしっぽも撫でても怒らない。かえって撫でる手を休めると、自ら一番撫でられたいおでこをぐっと突き出してくるのだ。

この猫さんは、お隣に住む家族の猫なので、もちろんえさをあげたりはしない。家族には家族のルールがあるのだろうし、きっと猫の好き嫌いも食べ物のアレルギーの有無も承知だろう。それに、無責任に親切と思ってえさをあげて、病気になってしまったらそれこそ大変だ。だけど、少々暑い日にはお水だけ飲めるようにはしている。

その猫さん、最近どうやら私と夫を「アダプト」したようで、家にご飯を食べに帰る以外はたいていうちの裏庭に居る。それも裏庭に続くスライディングドアのすぐとなりに植えてある"Ninebark"の下に常に居る。そこでひんやりとした土の上に転がって、昼寝をするのが大好きなようだ。

我が家の裏庭はぐるっとフェンスで囲われているし、犬も居ない(逆側の家には大きな犬がいるが、吠えられても中には入れないことをすでに知っている。)その上きれいな花や草や芝生があって、木の実の生る木も植えてあるので鳥が沢山訪れる。猫さんにとっては楽しい庭なのだ。

少し前までは昼間暇になるとやってくるのかと思っていたが、ここ何日かは夫の出勤時間の朝4時少し前にはドアの外にすでに待っている。「中に入れて~」とアピールしつつ。

しかし、いつも外で鳥を追いかけたり、大きな鳩をしとめるべく屋根に上ったり、農薬などを使用しない草木の下をあっちこっちとくぐり抜けたりを一日中しているそんな猫さんは、可哀想だけれど家に入れる事は出来ない。何しろ私は「猫アレルギー」。それにムシツキ猫さんはちょっと困るのだ。

猫好きなのにね。

夫のいとこの家には猫が2匹いる。初めて彼女の家を訪れたとき、私はアレルギーの薬を飲んでこなかったことを後悔した。くしゃみと鼻づまりに悩まされてしまったからだ。幸いにも家が近かったので、「ちょっと行ってくるね。」と何気に家に戻り、薬を飲んで再訪した経験がある。

いとこの旦那様が後で、「自分もアレルギーだったけど、慣れちゃったよ。」というが、どうだろう?そういうもの?

一度は夫が裏で庭仕事をしていると、異様な臭いに気がついたそうだ。そして、臭いの元を突き止めるべくあちこち歩いていたら、ぼわっとしたグレーのしっぽが、紅葉の枯葉の下から覗いていたそうだ。猫さんに仕留められた哀れなリスの死骸がそこにあった。



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お隣のシャム猫さんの目は、とてもきれいなブルーだ。うらやましいくらい美しい青。

もしいつかこの家を離れる事になったら、お隣の猫さんの事を一緒にさらって行ってしまいたい!・・・なんてジョークをよく言っているが、そうは行かない事は承知している。何せこのかわいい、二人にとても懐いている猫さんは、所詮お隣の猫さんだ。

きっと私達が居なくなったら、もちろんその変化には気づくだろうけれど、次に入居する人達にも同じように慣れてゆくのだろう。怖い犬さえ居なければ。

今も「家に入れろ~」のアピールに疲れたのか、裏のドアの前を塞ぐように伸び切って昼寝をしている。

子供の頃に猫なんて飼ったことなどなかったし、特に興味もなかった私だが、猫がこんなにもかわいいものだとは知らなかった。その上この猫さんは特別懐いてくれているし、それだけ気持ちの入用も違う気がする。

しかし・・・所詮はお隣の猫。

いつかはさよならだ。

それまでは夫と共に、秘かに可愛がってあげようと思う。

いつの間にか裏のドアの網戸を爪とぎに使われて、あちこちぼろぼろになってしまったが、家を売るときには外せば良い。猫さんに「止めて」と言っても聞かない事はわかっているし。

いや・・・きっとわかっているのかもしれない。猫は頭がいいから、きっと知らないフリがうまいのだ。

かわいいから許してあげるけど、やっぱり家には入れてあげないよ。