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ものは単純で、船からサイダムの死体を奪った者たちはサイダムを家におくりとどけたのである。この連中はついに見つからず、というよりは少なくとも身元をつきとめられず、船医は警察の単純な断定にまだ満足していない股票投資
 住居に通じる運河も、あたりに広がる地下水路やトンネルの一つにすぎなかったため、サイダムは明らかに広範囲な不法入国をくわだてる組織の頭目だった。この住居から伸びるトンネルはダンス・ホールとして使われる教会の地下納骨堂に通じていて、その地下納骨堂へは教会の北の壁に設けられた秘密の狭い通路を伝ってしか近づけず、いくつかある部屋ではことのほか恐ろしいものが発見された。かすれた音をたてるオルガンのほか、木製のベンチや奇怪な意匠で飾られた祭壇を備える、広大な迫持《せりもち》造りの礼拝堂もそこにあったのだ。壁という壁には小室がならび、そのうち十七室では――あまりの恐ろしさに記すのもはばかられるが實德――完全な白痴となりはてた犠牲者が一人ずつ鎖につながれているのが見つけられ、そのなかには慄然《りつぜん》たる異様な外見をした幼児を抱く四人の母親の姿まであった。これらの幼児は光にあたるとすぐに死んでしまい、医師たちはこのありさまをむしろ慈悲深いことだとみなした。た者のなかで、老デルリオの暗澹《あんたん》たる疑問を思いおこしたのはマロウンだけだった。
 
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そもそも男夢魔あるいは女夢魔なる悪鬼は存在するのや否や、よし存在するにせよ、かかるものどもとの同衾《どうきん》より仔《こ》は生まれ得るのや否や。
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 運河は埋められるまえに徹底的にさらえられ、あるいは鋸《のこぎり》で引き切られあるいは縦に割られた、ありとあらゆる大きさの白骨がおびただしく見つけだされた。頻発していた誘拐事件は鮮やかにその根源まできわめられたわけだが、生き残った逮捕者のうち、何らかの状況証拠によって事件と関係づけられたのはわずか二名だけだった。その二人がいま拘留中になっているのは、実際の殺人における従犯として有罪の決定にいたらなかったためである。密儀において最大の重要性をもつものとしてマロウンがしばしば口にした、彫刻のほどこされた黄金の台座もしくは玉座は、ついに日の目を見ることがなかったものの、サイダムの住居の地下のある場所では、運河の下にさらえることもできな實德いほど深い井戸のあることが認められた。この井戸は新しい住居の地下室が造られたときに、開口部がふさ