しあわせな読書時間 ―北欧スウェーデンの絵本・児童書めぐり―

スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマーク・アイスランドにゆかりのある作家の書いた絵本・児童書、むかし話を中心に紹介します。小学校や図書館での「読み聞かせ」の記録も。

カテゴリ: ノルウェーの作家

うちってやっぱりなんかへん?
トーリル・コーヴェ
偕成社
2017-02-16



親友ベネディクテのおうちはとってもすてき。
でもうちはちょっと変わってる。
ベネディクテのお父さんは格好いいし、お母さんはいつもうちにいてくれる。
うちのお父さんは口ひげを生やしていて左目がほとんど見えないし、お母さんとは服の趣味が合わない。
でも、突然、ベネディクテのお父さんがおうちを出ていって…。



考えさせられる絵本です。

人は人、自分は自分。
比べないで、って。

ううん、違うね。
比べること自体は悪いことではないの。
それによって向上心が持てたり、直した方がいい部分を見つけたりできるから。

でも、比べることで自分にないものを他人に求めて自分が持っているものの価値に気づかなかったりします。
自分はこんなに持っていると、時には人を見下してしまうこともあるかもしれない。

だからあえて言います。

目は自分の中に向けよう。

町のパンやのブラウンさんは、大きくて茶色いものが大好き
見たことのないほど大きなパンが焼けるよう、どの家よりも高いえんとつのついた石がまを作りました。
ブラウンさんは張り切って大きなパンと菓子を焼きました。
でも、ある朝、ブラウンさんが起きてみると、自分の体は真っ白に、パンも焼き菓子もコーヒーもミートソースも、茶色かったものは全部白くなってしまいました。
おまけに味もしません。
ブラウンさん大きなパンや焼き菓子を作ったせいで、町中の茶色がなくなってしまったのです。
でも、あとちょっとだけ茶色が残っていることが分かって、ブラウンさんは、、、。



ブラウンさん、残った茶色はパン屋さんらしく使っていますよ。

この絵本は茶、黒、白の3色しか使っていません。
赤も青も白で表現してるんです。
それで成り立ってしまうんですね。
びっくりです。

色に限りがある、という発想がユニークですし、絵本も茶、黒、白しか使わないところが、色で不自由している様子をうまく表していると思いました。

下記は出版社サイトです。

http://shop-wl.jp/products/detail.php?product_id=84

あけましておめでとうございます。
今年もこのブログ、細々と続けていきます。
よろしくお願いします。


今年最初にご紹介するのは、その発想に「おっ」と驚かされる1冊です。


オイヴィン・トールシェーテル
ワールドライブラリー
2014


引っ越してきたばかりの部屋のドアに穴が開き、向こう側が見えることに主人公は気が付きます。
驚いた主人公はドアの反対側に行きますが、なぜか穴がありません。
不思議に思いながら元いた部屋に戻ってくると、主人公はつまづいてしまいます。
なんと穴は床に移動していていたのです。
主人公はなんとか穴を捕まえて箱に入れて研究所に持っていきます。
そしてまた部屋に戻ってくると・・・・・・。

絵本の表紙の真ん中に穴が開き、その穴は裏表紙まで貫通しています。
穴の位置は同じなのに周りの絵(構図)が変わることで穴が動いているように見えます。
また穴は、鼻の穴、信号機と形を変えていきます。



この本、発想がユニークすぎです。

きっと子どもばかりでなく、大人もこの絵本の世界に引き込まれるんじゃないかな。

絵本の詳細は下記でどうぞ。

http://www.worldlibrary.jp/library/408

10まで数を数えられるようになったこやぎが、うしや、うまや、ぶたたちを次々と数えて、「勝手に数えた」と怒らせ、追いかけられてしまいます。
こやぎは船に逃げ込みますが、追いかけてきた動物たちも乗り込んできます。
すると船長のおんどりがこわくなって言います。
「船に何匹乗っているか数えて。この船は10匹しか乗れないんだ」
そこでこやぎが数えると、、、



林明子さんのイラストですでに翻訳されているお話ですが、こちらは、自分を数えたと言って怒る動物たちの表情がユーモラスです。

何で数えられたぐらいで怒るのか、という疑問がわいてきますが、個性を無視して物体として管理されているという感覚を持つからなのでしょうか。

もしそうだとしたら驚くほど深い内容のお話ですね。



下記は林明子さんが絵を描いたバージョンです。





昔々、雨がやむ気配もなく降り続けました。
そこでノアという男が大きな箱舟を作り、あらゆる生き物を舟に乗せました。
最後に乗りこんだのは、風変わりな一匹のイヌ。
舟は大海原を進みますが、海のまんなかで、舟に穴があいてしまい、水浸しになってしまいました。
ノアはどうしたらよいのか考え、やがてひらめきました。
ノアは「おまえの力を貸してくれ」とイヌを抱き上げると・・・・・・。



イヌの鼻が濡れているのは「ノアの箱舟」が大いに関係ある、というナンセンスなお話です。

イラストもすっとぼけた味わい。

しかも舟の中での動物たちの生活は現代風でユーモアと皮肉がちりばめられていて、くすっと笑えます。

だけどね、イヌの鼻が濡れているって、犬を飼うなど犬と親しむ機会がなければ、意外と知らないもの。

イヌの鼻が濡れているのを知らなければ、そもそもタイトルが「?」な感じです(次男がそうでした)。

中身はそれなりに楽しめるようですが(それから『ノアの箱舟』を知らなくても楽しめます)。



ノルウェー文化省最優良絵本賞受賞だそうです。

キュッパのおんがくかい (福音館の単行本)
オーシル・カンスタ・ヨンセン
福音館書店
2014-10-15


『キュッパのはくぶつかん』の続編が出ました!


音楽隊に入ってトランペットを吹くことになったキュッパ。
練習しても少しも上手にならず、音楽隊を追い出されてしまいます。
心配していたおばあちゃんのところで、パンを食べ、そのあとお皿を洗っているとき、キュッパは気が付いたのです。
いろいろな音が聞こえるって!
キュッパは家中を歩き回って音の出るものを探し出し、楽器を作って音楽会を開きました。


音を出すのが楽しい、って思い、音楽の原点ですよね。

この思いさえあれば、誰でも音楽を楽しむ方法をみつけられるし、逆にこれがなければ、技術をどれだけ身につけても楽しめないのかもしれませんね。




ある日、女の子の親指の先にテントウムシが止まります。
自分の指先からテントウムシが飛んでいくときに願い事をすると、その願いごとはかなう、と聞いていた女の子が
「赤いなわとびがほしい」「お金がほしい」「お母さんの腰の痛いのがよくなりますように」「お父さんの仕事が見つかりますように」と願うと、テントウムシは指先から飛び立ちます。
そしてその日の夕方、女の子が家に帰ってみると……。

テントウムシが女の子の願いをかなえる表題作の他、互いの立場を入れ替えて相手の子どもにプレゼントを渡しにいく「大工のアンデルセンとクリスマス小人」、いつも忙しくみんなのくつを直し続けるくつ屋さんのところに人形がやってきてくつ屋さんを助ける「くつ屋さんの人形」、他に「小さい男のことクリスマス小人の列車」「おはなしの男の子」「王さまにおかゆのたべかたを教えたむすめ」など6編の小さなお話が収められた童話集です。

作者は「スプーンおばさん」のシリーズで知られるノルウェーの作家です。
そんなにうまくコトが進むわけではありませんが、不思議なお話、場面を想像すると笑ってしまうお話など、内容はさまざま。
でもどれを読んでも、悪人が出てこなくて、読後、じんわりと心が温かくなりそうです。

まいごのフォクシー (大型絵本)
イングリ ドーレア
岩波書店
2002-06-21



飼い主の男の子が持っている骨につられて、キツネによく似た犬のフォクシーは外に出ていきますが、きれいなプードルに気を取られたり、音楽隊の奏でる演奏に苦手な音楽に気分が悪くなったり……。
走行しているうちに雨が降ってきて、男の子のにおいも消え、フォクシーはまいごになってしまいました。
偶然通りかかったおじさんに家に連れて帰られ、おなかいっぱいご飯を食べてから家を見て回ると、そこにはしましま模様の大きなオスネコやおんどりがいました。
フォクシーは彼らと一緒に音楽の演奏や芸を練習することになり、やがてステージに立ちます。
すると客席にフォクシーの飼い主だった少年の姿が見え……。


昔(私が小学生だった頃)、我が家で飼っていた犬が脱走して姿が見えなくなりました。
近所中探して回りましたが、見つからず。
ひょっとしたら、と心配していたものですが、半年ほどたったある日、ひょっこり帰ってきました。
しかも丸々と太り、毛もつやつやになって。

脱走してから、どんな生活を送っていたのかな。
かわいがってもらっていたんだろうな。
世話してくださった方は、犬がいなくなって悲しんでいるのではないかな。

などと気になりました。

フォクシーの愛らしい姿から、そんな昔のことを思い出しました。

ひよこのかずはかぞえるな (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
著者:イングリ・ドーレア
販売元:福音館書店
(1978-02-10)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
めんどりの産んだ卵を売りに出かけたおばさんは、道々「このたまごが売れたら、そのお金でめんどりを買って、またたまごを産んで売れたら今度はがちょうを買って、次はこひつじを買って……」と妄想にふけります。でも、落としてバシャン、割れてしまいました。

息子に日本のことわざに似たようなのがあるが知っているか尋ねると
「知らない」。
そこで「捕らぬ狸の皮算用」について説明すると
「狸の皮って高いの?」
……。

キュッパのはくぶつかん (福音館の単行本)キュッパのはくぶつかん (福音館の単行本)
著者:オーシル・カンスタ・ヨンセン
販売元:福音館書店
(2012-04-11)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


キュッパは丸太の男の子。いろいろなものを集めるのが大好きです。
森にお散歩にいって落ちているものを拾い、集めたものを分類しましたが、引き出しはどこもいっぱいでしまうところがありません。
そこで博物館を作って展示することにしました。
開館するとたくさんの人たちが見に来てくれ、キュッパは張り切ってお客さんを案内しますが、自分の家なのにトイレにいくのも並ばなくてはならず、うんざりして博物館をやめることにしました。
展示物を写真に撮り、アルバムに貼って説明をつけたりして図録を作りました。
拾ってきたものは石や葉っぱなどは元の場所に戻し、使えそうなものはりサークルショップへ、金属やプラスチックでできたものはごみ置き場へ運びました。
割れた花瓶やお皿、車輪などは接着剤でくっつけたら飾りに変身。
今度は美術館を作ろうかな……。


収集して名前を付けて分類して展示して記録に残す。
そんな情報の収集・整理・管理の方法をわかりやすく説明した絵本なのですが、キュッパが素朴でかわいい!
どうやらキュッパは作者自身を投影しているのかな?

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