しあわせな読書時間 ―北欧スウェーデンの絵本・児童書めぐり―

スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマーク・アイスランドにゆかりのある作家の書いた絵本・児童書、むかし話を中心に紹介します。小学校や図書館での「読み聞かせ」の記録も。

カテゴリ: 登山・ハイキング

槍ヶ岳山頂
川端 誠
BL出版
2014-02


作者が10歳のお子さんと一緒に中房温泉〜燕岳〜大天井岳〜東鎌尾根〜槍ヶ岳〜槍沢〜上高地を歩いた経験をもとに描いた山登りの絵本です。

一日を通じて様々な表情を見せる山の姿だけでなく、山の中での心の動きまでもがリアルに再現されているように思います。

写真集ではなく絵本だからこそ可能になった表現と言ってもいいでしょうか。

これを読んだら山が恋しくなる、絶対に。


だけど、表紙の写真は槍ヶ岳ではないのです。
「槍ヶ岳山頂」というタイトルなのだから、表紙には他の山ではなく、槍ヶ岳がふさわしいと思うんだけどな。

ポレポレやまのぼりポレポレやまのぼり
著者:たしろ ちさと
販売元:大日本図書
(2011-12)
販売元:Amazon.co.jp
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あわてんぼうのやぎくん、お調子者のはりねずみくん、しっかりもののぞうくん、今日はみんなで山登り。
高い高い山に登ります。
張り切って登りますが、やぎくんが遅れます。
見れば、驚くほどの大荷物。
さてさて、みんな無事に頂上にたどり着いてキャンプをすることができるのかな?


登山口付近のうっそうとした森、さわやかな風を感じられそうな草地、険しい岸壁とそこからのぞむ雲海、そして闇夜……、。
山登りの魅力がギュッと詰まった1冊です。

やぎくんの大荷物の秘密はたくさんの食糧と便利グッズ。
登るのは大変だったけど、キャンプは他の登山客も巻き込んで、それはそれは楽しそう!

ああ、私も山登りしたい〜!

作者のたしろさんがキリマンジャロに登った経験をもとに作ったお話だそうです。
登山者の気持ちがよくわかっていらっしゃると思ったら、どうりで。

富士山にのぼる富士山にのぼる
著者:石川 直樹
販売元:教育画劇
(2009-12)
販売元:Amazon.co.jp
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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。


年の初めということで、まずは富士山に関連するものを集めました。
まず1冊目は冒険家・石川直樹さんのもの。
ある冬の日、一人で富士山に登ろうと思いたち、山頂をめざします。
誰の足跡もついていない雪原、星ふる夜空、富士から眺める朝日。
初冬の富士山が美しい写真で紹介されています。
一人きりだからこそ感覚が冴え渡っていく山の世界に私も引き込まれました。

富士山にのぼる (福音館のかがくのほん)
著者:菅原 久夫
販売元:福音館書店
(1987-06-30)
販売元:Amazon.co.jp
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こちらは夏の富士山に登りながら、その光景を描いています。
人の多さ、小屋が立ち並ぶ様子、ごつごつした山肌。
登ったことがある人なら、どのページにも「そうそう」とうなずくことでしょう。
今は品切れ(絶版?)になっているのが惜しいです。


富士山大ばくはつ (かこさとし大自然のふしぎえほん)富士山大ばくはつ (かこさとし大自然のふしぎえほん)
著者:かこ さとし
販売元:小峰書店
(1999-06)
販売元:Amazon.co.jp
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富士山の美しい形はどのようにしてできたのでしょう。何度もばくはつを繰り返しながら、現在の姿になるまで、そして、現在の豊かな自然や崩れゆく姿など、富士山を科学的に紹介した絵本です。子ども向けに作られていますが、ちょっと難しいです。


富士山とひめねずみのチロ (PHPにこにこえほん)富士山とひめねずみのチロ (PHPにこにこえほん)
著者:やなぎはら まさこ
販売元:PHP研究所
(2000-12)
販売元:Amazon.co.jp
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遠くから見ると姿かたちの美しい日本の富士山。でも、ひめねずみのチロが富士山のふもとの森で見つけたものは……。
以前、富士山の森は訪れた人たちの捨てたゴミ、トラックでわざわざ捨てにきたゴミで汚されていました。
今はどうなのでしょう。
著名人たちが先頭に立って富士山の美化を訴え、実際に清掃活動なども行われているようですが。

はじめてのキャンプ (福音館創作童話シリーズ)はじめてのキャンプ (福音館創作童話シリーズ)
著者:林 明子
販売元:福音館書店
発売日:1984-06-20
おすすめ度:5.0
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大きな子ども達がキャンプに行くことになりました。
小さな女の子のなおちゃんはそれを知り、私もキャンプに行く、と主張します。
泣かない、わがままを言わない、自分のことは自分ですると約束して、一緒にキャンプに行くことになりました。

大きい子達から「小さい子はできないでしょ」と言われて「できるもん!」と言い張るところ、我が家の次男にそっくりです。

昨年の夏、お友達と一緒に山でキャンプをしました。
重い荷物を担いで、長い距離を歩きました。
疲れて足がもつれて転んだりもしました。
でも、お友達と一緒だったからか、泣き言を言いませんでした。

我が家だけだったら、文句の一つや二つ、いいえ、一つや二つの文句ではすまなかったでしょう。
お友達の存在って大きい、と思います(いろいろな場面で感じることですが)。

本には子どもの不安や緊張、達成感がよく描かれています。
私はなおちゃんを自分の子のように応援しながら読みました。
子どもは尚ちゃんの体験を自分のことのように共感しながら読んでいたようです。

はるかな湖はるかな湖
著者:アレン セイ
販売元:徳間書店
発売日:1999-02
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夏休みに父さんの家に、遊びに行った少年。でも、父さんは仕事ばかり。あまり会話もない様子。そんなある土曜日の朝、父さんが「キャンプへ行くぞ!」そうして二人は、父さんがおじいちゃんと昔よく行ったという秘密の湖に向かって出発します。

二人の距離がだんだん近くなって様子がいい。

「家にいる、いつものとうさんとずいぶんちがう」
「そうか……どっちのとうさんがいい」
「いまのとうさんのほうがずっといいよ」
「どうしてだい?」
「たくさん話をしてくれるから」

自然の中、二人だけ、という環境におかれれば、互いの関係はいやでも近くなるもの。一人でいれば自分との対話が増えます。

他に何もない、という状態に身をおくことで見えてくるものはいっぱいありそうです。

私も山の中では自分とたくさん対話しているし、いつも以上に考えがクリアになっているような気がするのですが、下りてくると、きれいさっぱり忘れてしまっています。それでも(?)だからこそ(?)山の中にいる時間って貴重です。

絵本の作者アレン・セイさんは日系人だからか、父子は日本風の顔立ちです。でも、景色は日本のものではない明るさがあります。絵の中に漂う山の中の空気の透明さは必見です。

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ところで。

AERA with Baby という雑誌に「しあわせ読書時間」という連載があるということを知りました。

昨日「しあわせな読書時間」で検索したら、AERA with Baby 編集部のスタッフブログにヒットしたのです。

連載自体は2009年4月号(3月14日発売)からなので、それより前から立ち上げている当ブログがまねをしているわけではないのですが……。

気に入っている名前なんだけど、変えるべきか否か悩んでいます。

地球のてっぺんに立つ!エベレスト (児童図書館・絵本の部屋)地球のてっぺんに立つ!エベレスト (児童図書館・絵本の部屋)
著者:スティーブ ジェンキンズ
販売元:評論社
発売日:2001-09
おすすめ度:4.0
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世界一高い山、エベレスト。

でも、標高は知っていても、どんな山なのか具体的に知っている人はあまり多くはないのでしょうか。

この絵本では歴史、地理、気候、文化やエベレスト登山のあれこれ(登山史、用具、ルート、危険)を貼り絵を使ってわかりやすくまとめています。

空の青さと雪の白さのコントラストが美しい貼り絵にはたぶん和紙を使われていますが、雲や雪煙など、雰囲気が出ています。

マロリーの「そこに山があるから」の説明はちょっと違うんじゃないかな、と感じましたが、登山好きな大人も楽しめますし、世界一高い山に興味のある子どもが読んでもきっと楽しめるでしょう。

三つ穴山へ、秘密の探検三つ穴山へ、秘密の探検
著者:ペール・オーロフ エンクイスト
販売元:あすなろ書房
発売日:2008-11
おすすめ度:5.0
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6歳のミーナとその妹、いとこたち4人と犬一匹はおじいちゃんと一緒に、三つの洞窟のある三つ穴山へ探検に出かけます。けれど、もうすぐ山頂、というところでおじいちゃんが転落。絶体絶命のアクシデントが発生します。山に生息する野生の動物たちや密猟者とも出くわします。果たしてどうなる!?

ハラハラドキドキの展開が待っていますが、このお話はそれだけではありません。

野生動物とのふれあいもそうですが、おじいちゃんが子どもたちに、いつも正面から向き合う姿。これがこの本の一番の魅力だと思います。

子どもだからわからないだろう、と見下すことはありません。また、子どもが伝えることをあきらめそうになると、助け舟を出して励ましてくれます。言葉で自分を表現する大切さを子どもたちに理解させ、その手段を身に付けてほしいのでしょう。その姿勢には、大人である読者も励まされ、かつ我が身を振り返らずにはいられません。

それから。この本は作者と孫が実際に体験した経験を下敷きにしているそうです。私は子どもと一緒に山登りをしますが、やっぱり山はこわいよなあ、と改めて感じてしまいました。トラブルを思い浮かべたら、山には登れなくなってしまいます。トラブルを想定した準備をすることで、トラブルを減らすことはできるけれど、可能性を0にすることはできません。ということで、最近、山へ行く回数が減ってしまっています。

ブログネタ
内容が重たい本 に参加中!
ドキュメント山の突然死ドキュメント山の突然死
著者:柏 澄子
山と溪谷社(2008-06-27)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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最近、女性向けの雑誌などでもトレッキングの特集が組まれるなど、若い女性の間でも山登りをする人が増えているようです。が、実際に山に登ると、元気なのは中高年と呼ばれる世代の方々です。

それにともない、山での遭難原因に、転滑落、道迷いなどのほか、脳卒中や心筋梗塞などの病気が増えてきました。不幸にして登山中に発症し、迅速で適切な処置を受けられず、突然死にいたる例も見られます。WHO(世界保健機構)によれば、突然死とは、一般的に事前に明確な原因がないまま、症状が出現してから24時間以内に死亡に至ることとされています。

本書では突然死の5件の事例を取り上げ、発症にいたるまでの過程を日常生活、病歴と登山中の様子などから探り、突然死を防ぐために登山者ができることを検証しています。

登山中の突然死防止とはいえ、日常生活でそれを防ぐ心構えとほとんど替わるところはありません。肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病と喫煙が危険因子となるため、定期的な健康診断を受け、適度な運動や食事など、摂生に努めるべきとのことです。

なお、脱水に近い状態になると、血管はより詰まりやすくなるようですので、登山中は水分補給を意識的に行う必要があります。稜線でトイレに行きたくなったら困る、少しでも荷物を減らしたい、などの理由から飲料水の量を減らすのは言語道断。致命的な結末に至るかもしれないと知り、大いに反省しました。

登山を愛する人はぜひご一読を。

ブログネタ
児童書 に参加中!
ぼくらの夏は山小屋で (児童文学創作シリーズ)
著者:三輪 裕子
販売元:講談社
発売日:1986-08
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夏休みのほとんどを山小屋で過ごすことになった小学校低学年から高学年までのいとこたち。山小屋についてすぐに、お父さんが仕事の都合で下山してしまい、数日間、子どもたちだけで過ごします。掃除も食事の用意も、と張り切る子どもたち。

子どもたちだけで過ごしていたある日、3隊に分かれて登山競争をしていると、岩登りをしていた二人組の転落事故を目撃してしまいます。緊急の事態に、パニックになりそうになりながらも、自分がどうするのが一番いいのか、それぞれが判断して行動に移していくところは迫力があって一気に読ませます。

小学生を主人公にしたこんな作品が25年も前に生まれていたのには心底驚きました。著者は相当に山登りが好きなんだろうと感じられました。

今、一時の中高年の登山ブームは過ぎ去ったようですが、それでも山で見かけるのは中高年が多いです。達成感が味わえたり、冒険心を満足させてくれるものの1つが山です。そして人間も自然の一部に過ぎないと感じさせてくれるのも山です。たくさんの子どもたちが軟らかい土の上を歩く気持ちのよさを感じてくれるといいな。

登山不適格者 (生活人新書)登山不適格者 (生活人新書)
著者:岩崎 元郎
日本放送出版協会(2003-06)
おすすめ度:3.0
販売元:Amazon.co.jp
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ジーンズに運動靴で登る人、雨具もヘッドライトを持たない人。登山中の遭難件数はこの10年で倍増しています。背景に山への無知や過信があり、それへの危機感から本書が生まれました。この本は登山入門書としてはオーソドックスなものですが、著者の長年の経験で出会った人たちを例に引き、わかりやすく、時に厳しく登山における安全とは何にかを説いています。

今まで何もなかったのは運がよかっただけのこと。ガイドやリーダーにすべてお任せ、という状態をあらため、安全は自分で管理しなさい、ということは多くの登山入門書でも訴えています。だけど多くの「登山不適格者」は登山コースのガイドブックは読んでも、わざわざ本を読んで勉強しないでしょう。そういう現状があるからこそ「岩崎元郎」という名前と刺激的なタイトル、それから新書という手軽さは登山不適格者に本を手にとらせるには有効なのかもしれません。

でも、山に行くだけでも十分に楽しいのに、他のことならともかくテーマを持て、とか記録を残せ、と言われて実行に移す人ってどれくらいいるのだろう。

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