しあわせな読書時間 ―北欧スウェーデンの絵本・児童書めぐり―

スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマーク・アイスランドにゆかりのある作家の書いた絵本・児童書、むかし話を中心に紹介します。小学校や図書館での「読み聞かせ」の記録も。

カテゴリ:スウェーデンゆかりの作家 >  マリット・テーンクヴィスト

ファビアンのふしぎなおまつり (児童書)
マリット テルンクヴィスト
徳間書店
2017-09-13



きょうは、おまつりの日。
ファビアンはママが出かける準備をしている間、お祭りのことを考えてワクワクしていました。
車の代わりにゾウが走ってたら?
木の上に住んだら?
広場からはみ出しそうなケーキやキャンディのなる木があったら?
ようやく準備ができて外に出て見ると、、、おやおや!?


想像がしたことが次々と起こる不思議なおまつりを、大きく広がるページを使って色彩豊かに表現。


人々のパワーが渦巻いているお祭り、大好きです。
お祭りのキラキラした楽しさが絵本一杯に広がっていて、以前、出かけた時のワクワクがよみがえってきます。
それはまるで魔法にかかったよう。


何度も見返したくなる絵本です。
 

小さな小さな魔女ピッキ小さな小さな魔女ピッキ
著者:トーン テレヘン
販売元:徳間書店
(2006-12)
販売元:Amazon.co.jp
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魔女のピッキは目に見えないほど小さくて、だからその姿は絵本には描かれていません。
そんなビッキは魔女らしくするのが苦手で自分に魔法が使えるのかもわかっていません。
でも自分の力を「ためしてみなくちゃ」とほうきにまたがって「飛べ!」と叫びます。
それから犬の頭の中に入りこんで「くさりをちぎるのよ」と言います。
自分に魔法が使えることがわかったビッキ、次は見世物のくま、迷子の男の子の頭の中に入りこみ、ついには人々を苦しめてきた悪い王様を追い出してしまいます。


時に無邪気で残忍だったりするビッキ。
子どもには読ませたくないようなシーンもあります(絵では表現されていませんが)。
最後は人々はみな幸せに暮らすようになるハッピーエンドですが、ビッキはまさに魔女。
ビッキって何者なんだろう?


誰しも長所と短所があるんですよね。
必ずしも、長所がハッピーエンドに結びつくわけではなく、短所が悪い結果につながるわけでもありません。
いろいろ考えさせられ、私は少し困惑してしまいました。


マリット・テルンクビストさんの絵は明るく端整でありながら、一方で得体の知れない怖さが潜んでいるように感じました。


彼女はスウェーデン人の父とオランダ人の母の間に生まれました。
5歳からオランダで育ち、現在もオランダにいる女性です。
スウェーデンにゆかりのある画家さんなので、本ブログのカテゴリでは彼女をスウェーデンの作家にしています。
このブログでも以前、下記の作品を紹介しています。

おうしのアダムがおこりだすとおうしのアダムがおこりだすと
著者:アストリッド リンドグレーン
販売元:金の星社
(1997-06)
販売元:Amazon.co.jp
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こうしはそりにのってこうしはそりにのって
著者:アストリッド リンドグレーン
販売元:金の星社
(1997-12)
販売元:Amazon.co.jp
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おじいちゃんとのクリスマス

著者:リタ テーンクヴィスト
販売元:冨山房
(1995-10)
販売元:Amazon.co.jp
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愛についてのちいさなおはなし (世界の絵本コレクション)
愛についてのちいさなおはなし (世界の絵本コレクション)
著者:マリット テーンクヴィスト
販売元:小峰書店
(1998-08)
販売元:Amazon.co.jp
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赤い鳥の国へ赤い鳥の国へ
著者:アストリッド・リンドグレーン
販売元:徳間書店
(2005-11-19)
販売元:Amazon.co.jp
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夕あかりの国夕あかりの国
著者:アストリッド リンドグレーン
販売元:徳間書店
(1999-03)
販売元:Amazon.co.jp
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だいすき―そんなきもちをつたえてくれることばだいすき―そんなきもちをつたえてくれることば
著者:ハンス ハーヘン
販売元:金の星社
(2003-03)
販売元:Amazon.co.jp
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小さな少女の目から見た日常生活や四季、心の移り変わりを23編の詩で表現。
ちょっとしたつぶやきを詩のように表現した、といったほうが正確でしょうか。
幼いなりに、物事の本質をとらえているような言葉に、結構ドキッとします。

私は「おおきな あし」という詩が好きです。

「おおきな あし」
わたしの あたらしい くつは
とっても おおきい
あるいてちょうだいって
せかいじゅうが まってるの

そして、マリット・テーンクヴィストさんの絵が繊細で美しいんですよ。
光の明るさ。
闇の暗さ。
どちらもあわせ持つ子どもの世界がそこにあって、愛しい気持ちになります。

愛についてのちいさなおはなし (世界の絵本コレクション)愛についてのちいさなおはなし (世界の絵本コレクション)
著者:マリット テーンクヴィスト
販売元:小峰書店
(1998-08)
販売元:Amazon.co.jp
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女の子は、いつも海の上に座っています。
昼も夜も、どんなに天気が悪くとも、海に突き出た1本の杭の上に。
いろいろな船が通り過ぎていきます。
そこへ、ある日、若者を乗せた船が通りかかります。
女の子は
「海が からっぽになった。
ひろい ひろい海が からっぽになった。」
と感じます。
やがて……。


突き動かされるような思いを知った女の子が透明感のある絵と文で描かれています。
シンプルでストレートなだけに、心が揺さぶられました。

「待っているだけではダメ、自分から動き出そうよ!」という恋する女性への応援なのでしょう。もしかしたら、恋愛に限らない、普遍的なメッセージでもあるのかな。

子ども向け、ではなく、読んだ人の数だけ感想がありそうな本です。

一方で、こんな思い、懐かしいというか。
自分が年取ったとこんな形で知るなんて。

おじいちゃんとのクリスマス
著者:リタ テーンクヴィスト
販売元:冨山房
発売日:1995-10
おすすめ度:5.0
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スウェーデンでは1月6日までクリスマスツリーを飾っています(1月8日に空港に行ったらまだクリスマスの飾り付けをしていましたが)。なので、もう少しだけクリスマス本の紹介が続きます。

これはチェコのクリスマスのお話です。チェコではクリスマスにコイを食べる習慣があるとのことです。

おばあちゃんを亡くしたばかりのおじいちゃんと、マーケットにコイを買いにきたトマス。一番元気のいいのを選び、それにペッポと名前をつけます。トマスはペッポを大事に家に持って帰り、だんだんかわいく思うようになってしまい、コイをご馳走として食べることを考えると悲しくなってしまいます。おじいちゃんはそんなトマスを見て……。


妻夫木聡さん主演の『ブタがいた教室』を思い出しました。食べる予定のものに名前をつけてはなりませんね。

でもきっと、2人にとってはよいクリスマスを迎えられたのだと思います。心があたたかくなるお話です。


リタはスウェーデン人と結婚したオランダ人。マリットはリタの娘で、アストリッド・リンドグレーンの作品の挿絵を書いています。原著はスウェーデン語で出版されています。

ブタがいた教室 (通常版) [DVD]ブタがいた教室 (通常版) [DVD]
出演:妻夫木聡
販売元:NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
発売日:2009-04-10
おすすめ度:4.0
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こうしはそりにのってこうしはそりにのって
著者:アストリッド リンドグレーン
金の星社(1997-12)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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クリスマスの近づいたある日、ヨハンの家で買っていた、たった一頭のめうしが釘を飲み込んで死んでしまいました。ヨハンも、お父さんもお母さんも悲しくてなりません。近くの農場経営者のベックフルトさんは、町でめうしの子どもを買いますが、酔っ払って、家に帰る途中、こうしを放り出してしまいます。そのこうしを拾ったのはヨハン。さて、……。

よく飲みすぎて酔っ払ってしまうベックフルトさん。実はやさしくて子どもが大好き。でも優しいだけでなく、経営者としてしっかりもしていて、という性格が、この本に魅力を与えています。

タイトルがストーリーとはちょっと合っていないような気がしますが、寒い季節にぬくもりを届けてくれるお話です。そして、写実的で北欧らしさを表した色彩の美しい絵は飾っておきたくなります。

夕あかりの国夕あかりの国
著者:アストリッド リンドグレーン
販売元:徳間書店
発売日:1999-03
おすすめ度:4.0
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病気で歩くことのできなくなってしまった男の子、ヨーラン。ずっとベッドで過ごすことになりました。でも、夕あかりのころになると毎日、チェックの服を着て山高帽をかぶったリリョンクバストさんが迎えに来て、空を飛んでお散歩するのです。ヨーランはそこで……。

子どもにとって(大人にとっても?)もっとも大切なのは、想像力。それさえあれば、乗り越えられないことはない。そう、読む者を励ましてくれるようです。

ヨーランたちはストックホルム中を訪れます。お城、スカンセン、クララ教会に……。そのほかの公園や通りの名前も、口に出せば懐かしさで胸がいっぱいになるところばかり。

個人的な感慨は横に置いておくとしても、この本に描かれている夕焼けに照らされた街の光景は、ことのほか美しいです。

おうしのアダムがおこりだすとおうしのアダムがおこりだすと
著者:アストリッド リンドグレーン
販売元:金の星社
発売日:1997-06
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おうしの名前が「アダム・エンゲルブレクト」という名前であるのにまずびっくり。といっても、名前はあまりストーリーには関係ありませんが。

イースターの日、アダムは突然怒り出してしまい、その怒りはなかなか静まりません。ところが小さな男の子カッレがアダムに近づいていくと……。

子どもと動物はどうしてすぐに仲良くなれるのでしょう。利害関係がないからなのかな。そういえば今でも付き合いのある友人は学生時代を一緒に過ごした人が多いかもしれません。もちろん大人になってからも、年齢にかかわらず、いろいろな人と親しく付き合ってきました。でも短い付き合いに終わった人は、やはり、利害関係だけでつながっていたのかなあ。

この絵本、絵がすばらしいです。牛も人も風景も、どのページをとってもくっきりとしていて、でもやわらかく、スウェーデンらしさも味わえて、飾りたくなります。

ブログネタ
児童書 に参加中!
赤い鳥の国へ赤い鳥の国へ
著者:アストリッド・リンドグレーン
販売元:徳間書店
発売日:2005-11-19
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むかしむかし、両親を亡くして、働き手として農家に引き取られた幼い兄妹マティアスとアンナ。つらいことばかりの灰色の日々を送っていた2人でしたが、ある日、雪の森の中で2人は、真っ赤な鳥を見かけました。その鳥を追いかけ、たどり着いたところは緑あふれる美しい国……。

訳者あとがきに「物語は悲しいままで終ってはいません。(中略)リンドグレーンは、つらい状況にある子どもにも、心の中は幸せであってほしいと願っていた」とあります。

確かに作者のまなざしはあたたかくて優しいです。けれど、兄妹の置かれている暗い灰色の毎日を描いた挿絵に対して、光に満ちた明るい春の国の色のあふれた挿絵が明るすぎて、私にはアンデルセンの『マッチ売りの少女』を思い出させる、美しいけれど悲しくて切なすぎる物語だと思いました。

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