しあわせな読書時間 ―北欧スウェーデンの絵本・児童書めぐり―

スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマーク・アイスランドにゆかりのある作家の書いた絵本・児童書、むかし話を中心に紹介します。小学校や図書館での「読み聞かせ」の記録も。

カテゴリ: スウェーデンゆかりの作家

わたしも水着をきてみたい
オーサ ストルク
さえら書房
2017-10-04



ファドマはソマリアからスウェーデンにやってきた少女。
学校のプールの授業は服を着たまま見学しています。
ソマリアでは水着を着て男女一緒に泳ぐなんて考えられないこと。
でもみんなはとても楽しそう。
あるとき、見学しているのがつまらなくなったファドマは更衣室の床に落ちている水着を試しに着てみました。
鏡に写すと、とっても素敵!
でもドアがあいて、見つかってしまった。
入ってきたのはプールの監督をしている先生だ。
先生はファドマの様子を見て、女性向けの水泳教室の案内をくれました。
ファドマはお母さんやお父さんの許しを得て、教室に通うことになりました。
プール、何て気持ちいいんだろう。
付き添いできていたお母さんも拍手してくれました。
帰り道、「お母さんもやってみようかな」と言うお母さんの夢は自転車に乗ることなんだって。
いつか叶う日が来るといいな。


ファドマの住んでいたソマリアの人々はイスラム教を信じています。

イスラム教の女性には守らなければならない決まりがたくさんありますが、男女は一緒に泳いではならないというのもそのひとつです。

西洋の国々であれば当たり前にできることがソマリアではできない。

だけど簡単に女性差別とは言えないのかも。

文化を否定されたら、自分まで否定されたような気持ちになるのではないかな。

イスラム教の信者にもいろいろな考えを持つ人がいると思います。

新しいことに挑戦したいという気持ちも教えを守りたいという気持ち、どちらも尊重できたらいいですね。

言うは易し、だけど。
 

ファビアンのふしぎなおまつり (児童書)
マリット テルンクヴィスト
徳間書店
2017-09-13



きょうは、おまつりの日。
ファビアンはママが出かける準備をしている間、お祭りのことを考えてワクワクしていました。
車の代わりにゾウが走ってたら?
木の上に住んだら?
広場からはみ出しそうなケーキやキャンディのなる木があったら?
ようやく準備ができて外に出て見ると、、、おやおや!?


想像がしたことが次々と起こる不思議なおまつりを、大きく広がるページを使って色彩豊かに表現。


人々のパワーが渦巻いているお祭り、大好きです。
お祭りのキラキラした楽しさが絵本一杯に広がっていて、以前、出かけた時のワクワクがよみがえってきます。
それはまるで魔法にかかったよう。


何度も見返したくなる絵本です。
 

ある夏の日、グランドピアノが海に落ちてしまいました。
魚たちはピアノの奏でる音色とともに美しい時を過ごします。
やがて秋になり、嵐がやってくるとピアノは壊れてしまいますが、ピアノがくれた楽しい思い出はいつまでも心に残っている、そんなお話です。

スウェーデンの劇作家、ストリンドベリのはかなく切ない物語に藤城清治さんの幻想的な影絵がマッチして、素敵なハーモニーを生み出している紙芝居です。

大切なものは形ではなく心の中にあるもの。

たくさんの別れを経験した大人の心により響く作品かもしれません。

劇中、ポロンポロロンとピアノの音色が表現されていますが、どなたかにピアノを弾いてもらいながら演じたら、よりドラマチックで印象深いものになりそうです。

いつか実現したいな。



※残念ながらこの作品、今は絶版だということです。 
 

【大型判】わたしのせいじゃない せきにんについて
レイフ・クリスチャンソン
岩崎書店
2017-02-17



男の子が泣いている。
私は知らない、私のせいじゃない。
言い訳が続きます。


この絵本は友だち関係を題材に責任について書かれています。
みんながやってるから。
わたしには関係ないし。
何言っても聞いてもらえないし。
こんなふうに、直接は誰かを傷つけていなくても、放っておくことはよくあることです。
でもそれは事態を悪くするだけ。
ほんのちょっとの勇気でいい方に向かうかも。
でも、、、理想論だよね。
現実はそんなに簡単じゃない。
だからこそ、1冊の絵本を読むわずかな時間立ち止まって、自分の心に浮かんだ気持ちを見つめてほしい。
そして、その気持ち、大事にし続けてほしいです。


以前、このブログでも紹介したスウェーデン生まれの『わたしのせいじゃない』。
大型版が出ました。
機会があったら、ぜひみんなで読んでみてください。
 




スウェーデン出身の作者による日本国内旅行を綴ったマンガエッセイです。

出かけたのは、山形、宮城、会津、京都、広島、大川(福岡県)、沖縄。

私たちが当たり前だと思っていることを驚くエピソードがたくさん紹介されていて、私の方が「へー!そうなんだ!」の連続。

地域による文化や考え方の差も大きいことも、オーサさんを通じて知り、「日本の国土は狭いけれど、意外に広い!」と改めて感じたのでした。

オーサさんのどこへ行ってもその土地の文化に偏見なく誠実に接する姿勢が素敵です。

その姿勢がさまざまな感動や気づき、多くの人との出会いを呼んでいるのだと思います。

見習いたいです。
 




兄のカイと妹のカイサは森で見つけた枯れ木を馬やドラゴンに見立てて遊ぶのが大好き。

ある日、壊れた傘で枯れ木に羽を付けてやると、なんと、枯れ木は本物のドラゴンに大変身!

2人は空を飛んでお話の国へ。

王子様とお姫様を助け出すハラハラドキドキの冒険物語です。



ベスコフの絵本が新たに出版されるとは!

ちょっとした驚きでした。

時代が変わっても、何にわくわくするのかは、あまり変わらないんだなあ。

というのが率直な感想です(こんな内容のファンタジー、最近の外国映画にもありそうです)。



文章が多めですが、物語を聞く(読む?)楽しさを味わえる素敵な絵本だと思います。
 

2017年の最初に紹介するのは、よりよい世界にしていくための考え方のヒントを教えてくれる絵本です。






空に星が輝いているのはなぜ?
幸せって何?
どんなときでも嘘はついてはいけないの?
こんなことを自分に問いかけてみたことはありますか?
この世界には、わかりきってることはひとつもなく、自分の頭で考えることが大切。
でも考えるって何?
そこで、ソクラテス、デカルト、カント、サルトルら古今東西の哲学者たちが物事をどうやって考えてきたか解説し、自分について世界について考えようと説く哲学入門書です。

「フィンドゥス」の絵本で知られるスヴェン・ノードクヴィストさんのイラストが散りばめられ、文章もかみ砕いてあって読みやすいです。

とはいえ、考えるとはどういうことかを最近の脳科学の成果に至るまで、さまざまな観点から説明しているため、内容は簡単ではありません。

けれど、この本は自分を相対化し、多面的なものの見方ができるようになるなどのきっかけになるかもしれません。

さらに本書の一説にこうもあります(25ページ)。

―――
哲学者にとってたいせつなのは、「だれが”正しいか」じゃない。「なにが正しいか」だ!
よい哲学者は自分の考えを批判されても怒らない。
また哲学的議論をするとき、うそをつかず、本当のことを言う。
つぎにきみが友だちとけんかをすることがあれば、いまのことを思いだしてみるといいかもしれないね。
―――

自分の持っている価値観とは違うものがあると知るだけでも他人の文化を尊重でき、今より争いの少ない世の中になるでしょう。

多くの人に読んでほしい本だと思います。
 

のんびり村は大さわぎ! (児童書)
アンナレーナ ヘードマン
徳間書店
2016-05-19



10歳の女の子アッベは、ママと2人暮らし。
ママが宝くじに当たったので豪華客船の旅に出ます。
でも船の上はとっても退屈。
そこで、ママの携帯に去年の夏の体験を吹き込むことにしました。

そこで語られたのは、おじいちゃんたちの住むのんびり村で、ギネス世界記録に挑戦したこと!
友だち2人と始めたギネス記録挑戦ですが、もちろん最初はうまくいきません。
口にストローを何本入れられるか、鼻の穴にマッチ棒が何本入るかなど、お菓子を1分に何個食べられるか、など、簡単そうに見えても、試してみると意外に難しい。
そんなことの繰り返しでくじけそうになります。
でも、あきらめません。
周りの大人たちも巻き込んでいくうちに、薪積みの高さに挑戦することになります。
挑戦する日もごく身近な人が邪魔をしてくるなど、予想外のことが起こりますが、それを乗り越え、、、
という楽しい夏のお話です。

合わせて、ママとパパの離婚の理由、ママの今の恋人、養子であること、いじわるな同級生のことも、淡々と、時には感情的に語られます。
子どもらしく無邪気だけれども、難しい問題も抱える少女の姿が生き生きと浮かんできます。
共感したり応援したくなったりするんじゃないかな。

おもしろいお話でした。おすすめです。
 

おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本
カール=ヨハン・エリーン
飛鳥新社
2015-11-13




スウェーデンの行動学者が自費出版した本書を、著者自ら英訳。
するとイギリスでベストセラーに。
その後、世界各国で翻訳され大評判になり、日本でも人気沸騰した絵本です。

内容は「あなたはだんだん眠くなる、眠くなる、、、」との暗示を物語口調でかけてくる、というもの。

絵本の体裁ですが、リラックスさせて眠りに導く睡眠グッズといった方がピッタリきます。

この本が売れているということは、夜、なかなか寝られないお子さんがたくさんいる、ということ。

私もいつまでも泣く子を抱いたまま朝を迎えたことも何度もありました。

赤ちゃん、そしてママとパパががぐっすり眠れますように。
 

ある薄暗い秋の日、ペットソンさんはぼんやり外を眺めています。
なんだか元気がありません。
でもフィンドゥスは元気いっぱい!
一緒に遊びたくて、何度も誘ううちにペットソンさんは怒って余計に不機嫌になってしまいます。
ペットソンさんは釣りをすれば機嫌がよくなるので、フィンドゥスは釣りに誘い出そうとあれやこれや手を尽くします、、、。

ペットソンさんに元気になってほしくて釣りに誘い出す様子、おかしくて笑ってしまいます。

同時になんて健気で可愛らしいんでしょう!とフィンドゥスのことを抱き締めたくなります。

大事な人には笑っていてほしいです。

そして、大事な人たちに囲まれて過ごせることに感謝したい、と強く強く思いました。

出版社の書籍紹介のページ
http://www.worldlibrary.jp/library/1794
 

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