しあわせな読書時間 ―北欧スウェーデンの絵本・児童書めぐり―

スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマーク・アイスランドにゆかりのある作家の書いた絵本・児童書、むかし話を中心に紹介します。小学校や図書館での「読み聞かせ」の記録も。

カテゴリ: デンマークゆかりの作家

あめ
イブ・スパング・オルセン
亜紀書房
2017-01-26



大粒の雨が降っているある日、シャロッテの目の前に雨粒の男の子が現れた。
バラバラとボトボトだ。
彼らは地面に落ちた雨粒が日の光であたたまると水蒸気になって空中に浮かび、空の上まで行くと冷えて水滴になって雲になり、また雨になって落ちてくる、と雨が降る仕組みを説明してくれる。
空から落ちるのはすっごく楽しいことなんだそうだ。
それだけでなく雷や雪、ひょうのふるしくみ、土の中に入って植物の根から吸収されること、川になって海にまで流れていくことまで説明してくれる。
そうしているうちにバラバラとボトボトは熱くなって空を上っていって見えなくなるが、それ以来、シャロッテはバラバラとボトボトが降ってくるのではないかと雨に時々手を振るようになった、というお話。


科学絵本です。
先日、同じ作者の『かぜ』を紹介しましたが、こちらの『あめ』の方が科学的な要素がより強いです。
でも、やっぱりただの科学絵本ではないんです。
雪のことを「もこもこの毛皮」、つゆになることを「宝石ごっこ」、夕立のザアザアという音を「おしゃべり」とたとえる説明をされると、不思議なことに、バラバラとボトボトがいる光景が目に浮かぶんです。
雨によって生きものはつながりあい、互いに生かされていると感じられます。
雨が楽しくなりそうな絵本です。
 

かぜ
イブ・スパング・オルセン
亜紀書房
2016-10-25



「風がどこからふいてくるか、みにいこう!」
マチルデとマーチンの姉弟が強い向かい風の中を進んでいきます。
息をするのもやっとな向かい風。
すいすい進める追い風。
絨毯を飛ばす「いじわるな風」
洗濯物を乾かす「うれしい風」
体を冷やす「つめたい風」
たき火を燃やす「しんせつな風」
種や花粉を飛ばし、風車を回す。
2人が風のいろいろな役割を思い浮かべているうちに風向きが変わり、風に飛ばされたマーチンの風船も戻ってきました。
最後は、風が運んできたおいしいにおいに誘われて2人はお母さんの待つ家に帰り着きました。


絵本の中から風の音が音楽のように聞こえてきて、イメージがどんどん膨らんで……。
そんな素敵な絵本です。
風を感じたくなりますよ。
 

ネコの住むまち
イブ・スパング・オルセン
ビーエル出版
2017-02-23



ラウラとラッセの姉弟は引っ越してきたばかり。
マンションの窓から外を眺めると、ねこのいる古いまち並みが広がっています。
ふたりがさっそく遊びに出かけると、ラッセが途中でいなくなってしまい、ラウラはラッセをさがしてまち中を探検!
ドアを開けると予想もしない景色が広がっていて……。



現実?
空想?
魔法にかけられた?
それとも夢?

想像を超える展開に、ラウラと一緒に驚きの声を上げそうになります。
こんな世界、あったらいいな。
いえいえ、あってほしい!



どちらかといえば渋い感じの絵なので、とっつきにくいと感じるかもしれませんが、心が躍る物語ですよ。
長いお話が読めるようになったお子さんにおすすめです。
 

ぼくのあかいボール
イブ・スパング・オルセン
ビーエル出版
2017-02-20



赤くてまるいぼくのボール。
いつもいっしょに遊んでいた大事なボール。
なのに、ある日ボールは逃げだした。
満員バスに飛び乗って、また飛び出して今度は公園へ。
ボールはころころ、ころころ、ころがって。
ボールはどこまで行くのかな?


躍動感とユーモアのある個性的な絵で読むものをひきつけるオルセンの絵本がテンポのいい新訳で再刊されました。

ボールは人を怒らせたり泣かせたりと大騒動を引き起こし、最終的に行きつくのは予想もしないところ。

えっ? これでおしまい? 持ち主の男の子はどうするの? 

と思ってしまいました。

予想を裏切る展開でした。

予想外だと感じたということは、悲しいかな、私の頭にはストーリー展開の王道パターンが刷り込まれてしまっているのでしょう。

頭の柔らかい読み手ほどおもしろがれる作品なのではないかと思います。
 

ちいさなかえる
ヤコブ・マーティン・ストリッド
ワールドライブラリー
https://www.worldlibrary.co.jp/library/2384


ある日、かえるさんちの屋根を突き破り、流れ星が落ちてきました。
その流れ星の中からちいさなかえるが現れました。
かえるさんの家族は大喜びでちいさなかえるを家族に迎えました。
けれどちいさなかえるは悪さばかり。
寝ている父さんがえるの顔にクレヨンで落書きしたり、本を全部、水洗いしたり、電話をオーブンに入れて焼いたり、あげくに先生の頭に火を着けたり、カバンにおしっこをしたり、もう大変!
お父さんがえるに怒られたちいさなかえるは家を出ていってしまいました。
するとお父さんがえるたちは、、、。


小さな子どもは、これをこうしたらどうなるのかな、と興味を持ったことをそのまま実行してしまいますね。

壊れる、使えなくなる、汚くなる、周りの人が悲しむ、怒る、がっかりする。

そんな様子を見ながら、自分はおもしろくても、他の人を不愉快にさせることがあると理解し、していいことと悪いことを区別していくのだと思います。



この絵本のちいさなかえる君は大人になって立派なかえるに成長したようです。

そうなれたのも、何をしても、「お前がここにいてくれるだけでとっても幸せ」と愛情で包んでくれる家族の存在があったからなのでしょう。

子どもに接する態度、教えられますね。
 

クマのラスムスクルンプは仲間たちと森の奥までクリスマスツリーにする木を探しにいきました。
ツリーにぴったりの木は見つかりましたが、激しい雪が降ってきたので、かまくらを作って避難します。
しばるくすると、そこに誰かがやって来ます。
ラスムスが外に出てみると、そこには妖精が立っていました。
雪もやんでいましたが、あたりは真っ白で帰り道もわかりません。
ラスムスたちは妖精の案内で妖精のおばあちゃんのおうちにいきました。
そこでクリスマスの準備を手伝い、クリスマスパーティーを楽しみました。
でも、明日はクリスマスイブ。
ラスムスが帰れるか心配していると、、、。


ラスムスクルンプ。

日本ではあまり知られていませんが、デンマーク国民の大半が知っているというクマのキャラクターで、絵本は21か国で発売されています。

このシリーズでは、ラスムスがアザラシのスケッグ、クマの女の子のミレ、ペンギンのピンゴ、大きなくちばしを持つペリカンのペレなどの仲間たちと一緒に冒険を繰り広げていますが、この冒険、こんなことがしたい、あんなことがしたいという子どもならだれでも持ちそうな夢そのものなんです(その内容を書いてしまうとネタバレになってしまうので、書かないでおきますね)。

だからこそ、言葉や文化の違いを超えて人気が出るんですね。

早く続刊が出ないかな。

期待しています。

グッズも充実していて、下記サイトをのぞくだけでもワクワクしちゃいます。

http://rasmusklumpstore.com/
 

のら犬ホットドッグ大かつやく
シャーロッテ・ブレイ
徳間書店
2011-11-16


一人っ子の小学生シッセは、学校の帰りに、胴の長いイヌに食べ残したサンドイッチをやるようになりました。
ある日、その犬が家までついてきてしまい、庭も家の中もしっちゃかめっちゃか。渋い顔をする両親でしたが、その犬に「ホットドッグ」と名前を付け、飼い主が見つかるまで預かることになります。
しばらくして、町のスーパーに泥棒が入ります。
それを見つけたのは……。

というノラ犬と少女の交流を描いた物語。

上に書いたあらすじだけでも、結末は見えていますが、でも、そこに行きつくまでに、予想外な展開もあり、大人でも結構楽しめる本です。

のら犬と女の子の交流を描くデンマークの物語。絵本・童話・児童文学・小説・詩集と60冊以上の本を出版している作者のシャーロッテ・ブレイの初邦訳。

作者から、震災後の日本の読者に向けたメッセージも書かれています。




1日1話、1年365日分のお話を集めた「読みきかせお話集」。
秋の巻は9月から11月まで3か月分のお話を収録しています。
日本と世界の民話・神話・古典名作の他、園児用月刊絵本を刊行している出版社らしく、創作絵本も載っていてバラエティに富んだラインナップです。

スウェーデン・北欧の民話では
「いうことをきかないぶた」(北欧民話)
「ものいうなべ」(デンマーク民話)
「魔法の帽子」(デンマーク民話)
アンデルセンの
「すずの兵隊」
「白鳥の王子」
が載っています。

「いうことをきかないぶた」
男の子がえさを食べさせるために飼っているぶたを森に連れていったところ、夕方になっても帰ろうとしないので、男の子はこん棒にぶたを殴るように頼みますが断られ、次に火に頼みますがやはり断られ、水にも雌牛にも……と続き、最後にやっと、というお話。

「ものいうおなべ」はここでも取り上げたことがあります。
貧しい夫婦が雌牛をものいうなべと交換したら、そのなべは金持ちの家に行って、プリンや麦や金貨を持って帰ってきて、最後に金持ちの主人をくっつけて遠くへいってしまう、というお話。

「魔法の帽子」
かぶると姿が見えなくなる。
そんな小人の帽子をかぶった羊飼いは結婚式にもぐりこんで、ご馳走をたらふく食べ、持って帰ろうとポケットにも詰め込みますが、花嫁のスカートが防止に当たって吹っ飛んでしまい、魔法も消えてしまい……というお話。


物語のディテールまでじっくり味わってほしいと思っているので、こういったダイジェスト版は実は持っていないのですが、結構楽しめますね。
お話を聞くのは好きだけど、自分でなかなか読めない、というお子さんでも、1話が見開き2ページという長さで、しかもすべての漢字にふりがながついているので、飽きずに1人で読めそうです。


記念日・行事、主な作品のミニ解説も付いています。
ちなみに今日はサッカーの日なんですって。
サッカーが11人対11人で行うスポーツだからなんでしょう。

イエペはぼうしがだいすき (日本の創作絵本)
文化出版局編集部
文化出版局
1978-12-17



イエペは帽子の大好きでなんと100個も帽子を持っている3歳の男の子。
でも茶色の帽子が一番のお気に入り。
帽子をかぶっていると友だちからイエペはからかわれてしまうこともあるそうで、ある日、保育園に帽子をかぶらずに出かけてみると、なんだか調子が出ません。
そこで、空気の抜けたぺちゃんこのサッカーボールをかぶってみると気が晴れました。
でも、やっぱり茶色の帽子が一番好き!


というお話。
デンマークのコペンハーゲンに暮らすイエペの日常を写した写真絵本です。

カメラマンの石亀さんは、公園で会ったイエペを童話の主人公のようだと思い、2、3日後、保育園に会いに訪れ、いったんは日本に帰るものの、イエペに会いたいと再度デンマークに旅立ったのだそうです。

イエペが表情豊かにとらえられているだけでなく、デンマークの保育の様子や家庭の暮らしぶりがうかがえ、眺めていて飽きません。

トンチンカンばあさん (1984年) [−]
レンナルト・ヘルシング
ほるぷ出版
1984-09



犬のためにえさを買ったり、服を買ったりするおばあさん。
でも帰ってくるたびに犬がとっぴなことをしていて……。

おばあさん、犬に振り回されすぎです。
いちいちまじめに対応しているのが、かわいい、というか、かわいそう、というか……。

展開は予想を裏切ってくれます。
それを楽しめるかどうかが、この絵本を好きになれるかどうかの分かれ道です。

レンナート・ヘルシングさんの他の作品は次の通りです。

にぎやかな音楽バス
レンナート ヘルシング
プチグラパブリッシング
2004-06


ちゃっかりクラケールのおたんじょうび
レンナート ヘルシング
プチグラパブリッシング
2003-09



このページのトップヘ