2008年09月18日

マイケル・ミルケンという男

Junk Bond King と称されるマイケル・ミルケンは、カリフォルニア大学バークレー校を主席で卒業のあと、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールで MBA を修めた俊才。在学中にジャンク債について研究、金融工学と統計学を駆使して企業の倒産確率を計算し、多数の信用度の低いジャンク債をパッケージにして小口証券化することでリスクを分散させる仕組みを考えついた金融の天才といわれている。卒業後は、投資銀行Drexel Burnham Lambertに入社し、ジャンク債の取引でまたたく間に頭角を現す。そして、巨万の富を築き上げたのだが、その絶頂期にインサイダー取引で刑務所行きとなる。マイケル・ミルケンという男は、そんなどす黒い面も持ち合わせている金融のプロで、The epitome of Wall Street greed (ウォール街の貪欲の権化)と呼ばれていた人物。

 

彼が考案した Junk Bond の仕組みは銀行によって大々的に活用されることになる。銀行は、信用力の低い企業へ融資した債権をパッケージにして証券化商品に仕込み投資家や投資銀行に販売することにより与信リスクの転嫁ができたので、融資先企業の経営が悪化しても不良債権を抱え込まずにすむようになった。これにより、銀行は経営内容の悪い企業へもどんどん融資するようになる。信用度の低い企業向けの融資だから、当然金利は高い、だからジャンク債の利回りも高く設定できる。これは、サブプライムローンの仕組みとよく似ている。特定の投資銀行は低所得層を相手にした住宅ローン債権を買い取り、これを証券化し、さらに細分化して他の証券と混ぜ合わせて信用リスクを分散させた証券化商品を、投資機関や投資銀行、証券会社、保険会社など、ありとあらゆる企業に売りまくった。

 

サブプライムローン債権を証券化商品に仕込んだのは投資銀行だが、その大元はジャンクボンドにあり、その仕組みを投資銀行の貪欲な経営者どもが、金儲けのためにちょっと拝借したということだ。そして、そのジャンクボンドを編出した張本人はマイケル・ミルケン。「The financial crisis we’re in today stems from the invention by Michael Milken of the junk bond. You can draw a straight line from Michael Milken to the financial crisis today と忌々しく思っている世界の国々の政府要人、産業界・金融界の重鎮は多いのではないだろうか。大手証券会社ベアー・スターンズ、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズが業界から退場し、巨大保険会社 AIG が経営危機に陥り、世界金融危機の様相を呈している。

 

大元のジャンクボンドから端を発したサブプライムローン問題に起因して世界がこれほどまでに混乱しているのだから、やはり、マイケル・ミルケンは Greedy で悪玉だと酷評されても致し方ないように思う。その張本人マイケル・ミルケンは、ジャンクボンドで貪欲に稼いだあぶく銭を元手に Milken Family Foundation を設立して、現在は教育や医療分野での慈善事業に専念し、罪滅ぼしをしているそうな・・・。



この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/kiwahori/51374835
この記事へのトラックバック
1990年代、アメリカの大投機時代を代表する二人の人物がいた。アイバンボウスキーとマイケル・ミルケンだが、彼らはウォール街の錬金術師といわれた。そのボウスキーがインサイダー取引の罪でSECに摘発され1億ドルの罰金を払わされた上、3年の実刑に処せられたのは1986年のこ
野村證券スキャンダルの検証 2/2 〜相場操縦【投資一族のブログ】at 2012年01月26日 21:10
この記事へのコメント
サブプライムローンを組み込んだ金融商品が世界にばら撒かれたのが150兆円、その関連で世界の金融機関が被った損失が119兆円、個人投資家が被った損失は…?
家計とは桁違いの数字を見ていたらカワイコちゃんの歌でも聞きたくなってきました。
Posted by waamann at 2008年09月18日 18:27
ソフトパワー、ハードパワーごった煮で列島を侵攻シテ来る。国の脳みそがあるべき中枢が空洞!ここまで馬鹿になると楽しかね、土砂降りも楽しむべし。
Posted by ike at 2008年09月19日 10:21
水不足の時は土砂降りも有り難いけど、しとしと降る小雨も風情があっていいですね。むかし土曜日が半ドンだった頃、小雨降る土曜の昼下がりの御堂筋を、今日は何か良い事があるかも知れないと期待しながら梅田に向かって歩いていて…良い事は一度も起こらなかったですね。
米国のバブルは、巨額の貿易黒字を米国に還流し続けてきた日本にもその責任の一端があるでしょうね。日本もそろそろ金利を上げて、円高による輸出の採算悪化には歯を食いしばって耐え抜き、体質改善を図って行かなければ先はありませんね。いつまでも米国頼りの輸出依存型経済では米国の景気に翳りが出てくるたびに日本もおかしくなり、支持業界救済の為に補正予算でカネをばら撒く、こんな十年一日の如き衝動的政策の繰り返しではグローバル経済の中で埋没してしまうのではと心配です。
Posted by capri at 2008年09月20日 05:40
雨とくれば、やはり懐かしい歌、「井上ひろし」の「雨に咲く花」ですね。
Posted by KI at 2008年09月20日 11:07
Johnnie Ray の Just walking in the rain も懐かしいいい歌でした。筥崎宮の近くの行きつけのパブでよく聴いたものです。来週は、その筥崎宮にお祓いに行くとばい!
Posted by KI at 2008年09月20日 11:36