Junk Bond King と称されるマイケル・ミルケンは、カリフォルニア大学バークレー校を主席で卒業のあと、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールで MBA を修めた俊才。在学中にジャンク債について研究、金融工学と統計学を駆使して企業の倒産確率を計算し、多数の信用度の低いジャンク債をパッケージにして小口証券化することでリスクを分散させる仕組みを考えついた金融の天才といわれている。卒業後は、投資銀行Drexel Burnham Lambertに入社し、ジャンク債の取引でまたたく間に頭角を現す。そして、巨万の富を築き上げたのだが、その絶頂期にインサイダー取引で刑務所行きとなる。マイケル・ミルケンという男は、そんなどす黒い面も持ち合わせている金融のプロで、The epitome of Wall Street greed (ウォール街の貪欲の権化)と呼ばれていた人物。
彼が考案した Junk Bond の仕組みは銀行によって大々的に活用されることになる。銀行は、信用力の低い企業へ融資した債権をパッケージにして証券化商品に仕込み投資家や投資銀行に販売することにより与信リスクの転嫁ができたので、融資先企業の経営が悪化しても不良債権を抱え込まずにすむようになった。これにより、銀行は経営内容の悪い企業へもどんどん融資するようになる。信用度の低い企業向けの融資だから、当然金利は高い、だからジャンク債の利回りも高く設定できる。これは、サブプライムローンの仕組みとよく似ている。特定の投資銀行は低所得層を相手にした住宅ローン債権を買い取り、これを証券化し、さらに細分化して他の証券と混ぜ合わせて信用リスクを分散させた証券化商品を、投資機関や投資銀行、証券会社、保険会社など、ありとあらゆる企業に売りまくった。
サブプライムローン債権を証券化商品に仕込んだのは投資銀行だが、その大元はジャンクボンドにあり、その仕組みを投資銀行の貪欲な経営者どもが、金儲けのためにちょっと拝借したということだ。そして、そのジャンクボンドを編出した張本人はマイケル・ミルケン。「The financial crisis we’re in today stems from the invention by Michael Milken of the junk bond. You can draw a straight line from Michael Milken to the financial crisis today」 と忌々しく思っている世界の国々の政府要人、産業界・金融界の重鎮は多いのではないだろうか。大手証券会社ベアー・スターンズ、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズが業界から退場し、巨大保険会社 AIG が経営危機に陥り、世界金融危機の様相を呈している。
大元のジャンクボンドから端を発したサブプライムローン問題に起因して世界がこれほどまでに混乱しているのだから、やはり、マイケル・ミルケンは Greedy で悪玉だと酷評されても致し方ないように思う。その張本人マイケル・ミルケンは、ジャンクボンドで貪欲に稼いだあぶく銭を元手に Milken Family Foundation を設立して、現在は教育や医療分野での慈善事業に専念し、罪滅ぼしをしているそうな・・・。