2005年09月29日

17 流行性角結膜炎(はやり眼、はやり目) (清澤眼科医院通信通算4)

EKC








開業6か月め、私は今月、角膜障害で一時的ながら、視力が下がるような重症の流行性角結膜炎(epidemic kerato conjunctivitis: EKC)の症例を続けて2例経験しました。27年いた大学ではこんな重症例はあまり見なかった気がするのですが?

今夜は夜8時過ぎ、先週木曜日に流行性結膜炎と診断し、夕方までに現れなかったので良くなったのかなと思っていた患者さんから、”今帰宅したのだがごみが入ったので痛くて困るのだが見てくれないか?”という電話で始まりました。

角膜の上半分は上皮が糸状に剥れ、蛍光色素にも染まります。幸いに、異物はなし。
痛みを和らげるため、麻酔を点眼し、医療用コンタクトレンズを乗せて今夜は早く休むように説明して、明日の朝の再診を約束して帰しました。

これは先々週の患者さんとまったく同じ症状。

流行性角結膜炎、角膜びらん(角膜糜爛)、糸状角膜炎をキーワードに調べると、

”アデノウイルス感染では、流行性角結膜炎が発症し、ほぼ半数例では点状表層角膜炎が両眼に現れますが、そのほかに、結膜炎が強いと発症後1週ごろ糸状角膜炎や角膜びらんが発症してきます”。と今見たとおりの記載がありました。

通常、大病院では他の眼疾患で通院中の患者さんへの感染を恐れ、初診で流行性角結膜炎の診断が付くと、与えた点眼を続けるように指示し、次の予約までの一週間と指導します。

しかし、角膜の病状が悪化した際にはすぐに再診するように指導する必要があります。

私が昔世話になったフィラデルフィアのWillis眼科病院の若手医師が集まって作ったWills Eye Manual(副題;診療所と救急室用の診断と治療マニュアル)を取り出して見ると、(救命救急室ERのカーター君のような若い医師が、夜の救急救命室でとっさに開くマニュアル本です。私が昔いたころの研修医が第一版をつくり、もう1999年には3版になっています。最新版は4版で旧版の日本語訳もあります。)

ウイルス性の結膜炎は:

かゆみ、灼熱間、異物感、最近の風邪症状を示し、しばしば流行性角結膜炎患者との接触歴が見られる。そして通常片眼に発症して、数日で他眼にも起こる。と解説しています。(フムフムそうでしょうね)

診断の鍵は、下瞼の濾胞が必発なことで、(よしよし)。

そのほか、水状で粘性のある分泌物(めやに)、赤くて浮腫状の瞼、耳の前のリンパ節の腫脹、結膜下の小さな出血、偽膜形成などを伴う(と続きます)。上皮下の浸潤は発症1-2週で見られます。

この(アメリカでの標準的な)治療は:
(少し日本の医師が普通行う治療とは違うようですが)、

1、人工涙液4-8回、1-3週間。
2、冷湿布一日数回、1-2週。
3、かゆみが強ければ、血管収斂剤ないし抗ヒスタミン剤一日4回。(これらはあまり日本ではしないと思う)

4、偽膜は通常(麻酔して綿棒で)取り除きます。
5、偽膜があるか上皮下の細胞浸潤が有り、この結果で視力が下がれば局所ステロイドを使用し、一週間使って徐々に切る。(日本では普通はもっと早くから使うでしょう。)
6、発症10-12日は感染しやすいので、眼に触れたり、握手をしたりするのを避ける。他人との接触は眼が赤い間は避けさせる。(まったくそのとおり)
7、頻繁な手洗い。

そして
経過観察は;1-2週間後でよいが、悪化すればすぐ再診するように指示せよ。通常は最初の4-7日は悪化することが多く、そして2-3週は治らない。、、とされています。

なるほど、一週間で良い方向に向かうことが多いが、視力が更に下がりその後にやっと回復する例もあるということですね。、、、

Willsmanual


今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
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kiyosawaganka at 22:13│Comments(0)TrackBack(0)角結膜、前眼部 | 全身疾患と眼、健康一般

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プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
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