2006年05月30日

106 眼精疲労

眼精疲労

眼精疲労(asthenopia アステノピア)って何でしょうか?

小さな文字の詰まった書類を読んでいると眼が疲れるとか、パソコンで数字を操作していると眼が乾いて疲れるとか、長時間の運転をしていると標識が見えにくくて疲れるとか、要するに“眼が疲れる”と言う患者さんの訴えをそのまま病名にした眼科医にはそれこそ便利な病名です。

子供の世界にはテレビゲームが侵入し、大人の世界にはパソコンその他のVDT(ビデオ
ディスプレイ ターミナル)を使う仕事が増えて眼精疲労を訴える患者さんが増えています。

眼精疲労の定義は、“眼を持続的に使った時、健常者では疲れない程度でも疲れて、眼の重圧感、図重感、視力低下、時には複視などを訴え、はなはだしいときには悪心(気持ちが悪くなること)や嘔吐(胃の中のものを吐いてしまう)までをきたすこと”と所敬先生たちの書かれた現代の眼科学には説明されています。

 当然この眼精疲労はさまざまな原因で起きる病気を含むものですからひとつの症候群です。(原因を問わず同じ症状を示す疾患を集めたものを症候群といいます。)、

では、それにはどんな状態がその下に隠れているのでしょうか?赤薔薇


1、 調節性眼精疲労

老視(や調節衰弱)などのときに、眼鏡を掛けないで見える最も近い点(これを近点といいます)が延長しているのに老眼鏡を掛けないでものを読もうとすれば、強い眼の疲れや肩こりを訴えます。

遠視の傾向がある人では近くを見るときの調節負荷はいっそう強まりますから疲労は強く出ます。乱視でもこの疲れを感じている場合があり、眼科医による正しい眼鏡の調整は眼精疲労治療の第一歩です。

2から4ジオプターの遠視があると、日常生活で遠方を見ているときでも、普通の人がいつも近くを見ているような負担が眼にかかります。それでも本人は若いときは2.0が見えたと主張し、今でも何とか視力表の1.0が裸眼で読めるので、常用する眼鏡の必要性を説明してもなかなか納得してくれません。

軽い凸レンズの遠方視用の眼鏡を処方して、購入していただき、その使用を始めると、こちらがびっくりするほど症状が取れたといって喜ばれることがあります。
紫群花




2、 筋性眼精疲労

眼球を左右上下に動かす筋肉は左右眼それぞれに6本ずつついています。眼の方向を変えるたびにこの6つの筋肉は緊張状態を変化させ、対象物に視線を合わせます。

ところが、多くの人ではその視線は平行ではなく、軽く外向きぎみ(外斜位)に寄っていて、左右の視線を合わせるためには眼球を内側に寄せる(輻輳するといいます)ことが必要です。

患者さんが年を取ってきますと、この輻輳作用が弱まってきて、外斜位が顕性化して間欠性外斜視になったり、その直前には大変な努力をしながら両眼で見たりします。

このような患者さんに対しては眼を内側に寄せる輻輳努力を弱めるような方向にプリズムを眼鏡に入れることが有効なことがあります。

高齢になって瞼が下がってくると(これを老人性の眼瞼下垂といいますが、)、上の瞼が瞳にかかってくるようになります。

そのとき患者さんは無意識におでこの筋を使って瞼を挙げたり、後頭部の筋肉を使ってあごを上げて視線を確保しようとします。

額の筋や首の筋は意図的に力を必要とするときに働くべき筋肉の随意筋であって、ずっと働き続けられる筋肉ではないので大変な疲れを訴えることになります。この場合には眼瞼挙筋の短縮手術も行われます。あやめ

3、 症候性眼精疲労

結膜炎、角膜炎、ぶどう膜炎、緑内障などによる眼の慢性的な刺激感や痛みを眼精疲労として訴える場合があります。

これは“治療すべき疾患がほかにある”という意味で症候性の眼精疲労と呼ぶわけなので、治療を考える場合には原疾患を見逃さないように診断しなくてはなりません。

ことにドライアイがある場合には眼の疲れという訴えになる場合が多いので、涙液の分泌量の減少(濾紙を挟んでそのぬれる長さが5分で10ミリを超えることが必要)や角膜表面の細かい傷(生体染色顕微鏡検査:フルオレッセインで角膜を染めて緑の光で照らすと傷が青く点状に光るので傷が分かり、表層角膜炎が診断されます。)などを根拠に診断します。紫雪型

4、 不等像性眼精疲労

左右それぞれの眼には合っていても、左右で2.0ジオプトリー以上の差がある眼鏡を掛けると、眼が疲れて眼鏡を掛け続けていることが出来ません。

左右に近視があって、その差が2ジオプトリー以上の場合には、強い近視のあるほうの眼の眼鏡を弱くしてこの不等像性眼精疲労を避ける必要があります。紫雪型

5、 神経性眼精疲労

上記の原因がすべて除外できる場合に、心因性(従来ヒステリーなどと呼ばれていたもの)の原因を想定して神経性眼精疲労と診断する場合があります。

参考文献:現代の眼科学、所 敬 ほか(金原出版)


現代の眼科学


○お蔭様で無事に、開院14月目の診療を無事終われます。感謝いたします。
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プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
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