2006年07月04日

119, 遠視の眼鏡作成

44歳女性からの”患者の気持ち”医療相談Q&Aです。

ajisai








質問
6歳息子の遠視について

昨年11月ごろ、6歳の息子が「目が疲れる」「ときどき頭が痛い」というので、眼 科で検査してもらったところ、遠視と診断されました。

目の調節機能をなくす目薬をさして、正しい視力をはかったところ、そうひどい遠視ではないが、めがねで矯正したほうがいいでしょうとのことでした。

当初は息子も本や遠くが見えやすいと喜んでいたのですが、今年小学生になった4月ごろから、「勉強をしていると目がとても疲れてしまう」とめがねをかけたがらなく なりました。

めがねをかけて近くを見るときにぼやけたり、みえにくくなることがあるそうです。

眼科に行き、視力表とレンズの組み合わせによる調整めがねで視力をはかり、少し視力に変化があるけれども、たいしたことはないので様子を見ましょうということで、目の調節機能改善の目薬をいただいてきました。

どうしてもというのであればレンズをかえてもいいけれどもということでしたが、判断基準が素人ではわかりません。

素人考えでは、遠視を矯正するためのめがねですから、こどもの成長にしたがって変化があればこまめにレンズを変えたほうがいいのでは思うのですが、どうなのでしょうか。

勉強のときは疲れるからと、子ども自身はめがねをかけたがらず、それを無理にかけさせているような状態ですので、今のレンズをつかっていて大丈夫なのか、心配なりました。

よろしくお願いいたします。


han 89







お答え:
ご相談をお寄せくださりありがとうございます。


小児の遠視はなかなか其の存在に気がつくことの難しいものです。

調節性内斜視と呼ばれる遠視による斜視が発生している場合や(小児の内斜視の項目参照:リンク)、検診で片方の眼の視力が下がっていることが見つかって其の原因を調べたら、片方ないし両眼に遠視(やそれを伴う乱視)が有ったと言う場合などに、わ
たしは眼鏡を作ることをお勧めします。


この子供さんの場合、遠視が発見された最初のきっかけはそのようなものではなく、「目が疲れる」「ときどき頭が痛い」と訴えていたと言うところが少し引っかかります。

屈折異常(遠視、近視や乱視)を持つことが疑われる子供さんが受診した場合、私は何もしない状態で屈折度数と視力を測定し、次にミドリンP(調節麻痺剤といって自分の意思で近くを見る力を奪う薬です。これが効くと瞳孔が暫く大きくなります)点眼後20分くらいで再度屈折度数を計りなおしその結果を比較して方針をきめます。

この結果、相当度数の遠視(+1.5Dくらい以上でしょうか)があれば、眼鏡の処方も検討を開始します。眼鏡の処方には今度はアトロピンと言う強い調節麻痺剤を一週間程度つけてきてもらって、遠視度数をしっかり残らず出させて、処方する眼鏡度数を決定します。(アトロピンを用いた屈折検査を参照:リンク

通常、遠視や遠視性の乱視では子供は目が疲れず、よく見えますから眼鏡を喜んで掛けます。(たとえば2歳の子供が朝起きると、眼鏡を自分で掛けると言う信じられない話を親が聞かせてくれます。)

其の点も現在の状態とは違うように思われます。

94








”めがねをかけて近くを見るときにぼやけたり、みえにくくなる”ということは

(1)遠視の眼鏡(凸レンズ)が弱いか、(2)その他の眼が疲れる原因が隠れている可能性の両方を考える必要がありそうです。

(1)眼鏡の度数に関連して申し上げるならば、眼鏡の度数を決める検査で、きちんとアトロピンまで使ってしらべてあるかどうか?(つまりミドリンPやサイプレジンまでにとどめていないか?)と考えますし、

(2)その他の原因としては、

(2−1)眼や視神経に見難さを起こしているほかの原因(たとえばさかさまつげや視神経炎とかと言ったようなもの)がないかどうかということをもう一度見直します。

(2−2)”心理的な原因で何か調子が悪い”と言うことを、”眼が見えない”という表現で親に危険信号を発しているのではないか?と考える必要があるでしょう。(小児の心因性視覚障害の項目参照:リンク

han 89







子供の眼鏡はすぐに小さくなり、壊れることもありますので、其の機会をとらえて1−2年ごとくらいで再三処方を変えるのが普通です。”6か月はやや早いか?”と考えてまだ眼鏡を買い替える必要はないと言ってくださる先生は、比較的良心的な先生と考えることも出来るでしょう。

なお、遠視や弱視の矯正用の眼鏡は(通常の近視の眼鏡はだめです)今年の4月から其の作成に(それまではなかった)行政からの補助が出るようになっています。(訓練用眼鏡の公費補助の項参照:リンク
hana92







参照項目ばかり多くて恐縮ですが、私のブログ内にあります”おばあちゃんにも分かる目の病気”の解説からもリンクしています。参考になさってください。

”おばあちゃん”と言うのは私の娘のおばあちゃん(私の母)と言う意味です。なるべく素人にも分かるように説明しようとしています。いかがでしょうか

清澤眼科医院通信の最新ページ先頭へ(リンク)

kiyosawaganka at 14:07│Comments(1)TrackBack(1)視神経、視路、視野 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 遠視とは  [ 遠視矯正【遠視を矯正】 ]   2009年04月15日 23:57
遠視矯正のサイトです

この記事へのコメント

1. Posted by ゆゆママ   2006年07月05日 00:02
この相談をした者です。
大変ご親切にお答えいただき、ありがとうございました。
お礼をどこに書いてよいのかわからなかったので、コメント欄に書かせていただきました。
お答えを読みながら、遠視のめがねを作るときに、アトロピンまでは使って調べていなかったなあと思い出しました。

息子はその後、勉強のときに目が疲れるという頻度は減りました。
先生のおっしゃるように心理的に何かがあったのかもしれません。
こどもの成長にはいろいろあるものですね。勉強になりました。
遠視めがねの公費補助も行政に聞いてみようと思います。
これからも様子を見ていこうと思います。
本当にありがとうございました。

ありがとうございました。清澤

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
診療案内
◎診療時間◎
【月・火・木・金】
・9:00〜12:30 
・15:30〜19:00
【水・土】
・9:00〜12:30

【休診日】
水曜と土曜の午後、日曜と祭日


毎週水曜は院長不在のため、代診の医師による診療となります。

診療終了時間30分前に受付をお済ませください。

診察内容によってお時間のかかる検査をする場合もありますので
お時間に余裕をもってお越し下さい。

Archives