2006年07月21日

127, ヘルペス角膜炎(樹枝状角膜炎、円盤状角膜炎など)

ヘルペス角膜炎、ヘルペス性角膜炎
樹枝状角膜炎、円盤状角膜炎などの特徴のある角膜病変を示す単純ヘルペスウイルスherpes simplexによる角膜炎を説明します。
口唇ヘルペス






単純ヘルペスには眼や口唇を主に冒すI型(口唇ヘルペスの図の出典)(HSV-1)と外陰部を冒すII型があります。

I型ヘルペスの感染症としては角膜ヘルペスと桐沢型ぶどう膜炎(私の母校東北大学の前教授桐澤長徳先生にちなむもの別項目参照:リンク)がありますが、本日は角膜ヘルペスに話を限定します。

角膜ヘルペス:

単純ヘルペスによって起こる角膜や結膜の病変を角膜ヘルペスと総体的に呼びます。ヘルペス性角膜炎ハ再発を繰り返し高度の角膜混濁を残すことがあります。

角膜ヘルペスは、眼のみに単独で起き、初感染、上皮型、実質方の順に進行します。


初感染







1)初感染ヘルペス:
初感染ヘルペス結膜炎図の出典
ヘルペス性角膜炎の初感染の大部分は乳幼児期に起こります。ヘルペスの初感染の多くは不顕性感染で、眼では眼瞼結膜炎であり、眼周囲の発疹を伴う急性結膜炎の乳幼児がヘルペスの初感染である場合があります。

しかし、最近はヘルペス感染が成人で濾胞性結膜炎の臨床像を取ることがあり、これは流行性角結膜炎に似ていますので注意が必要です。

2)上皮型ヘルペス樹枝状角膜炎(図の出典)
樹枝状角膜炎








ヘルペス性角膜炎の上皮型病変の代表は樹枝状角膜炎です。初感染後に三叉神経節に潜伏するウイルスが再活性化して起こります。

ヘルペス性角膜炎の再発には発熱、月経、紫外線被爆などがきっかけとなるようです。

ヘルペス性角膜炎の症状は片眼性の充血と異物感で、時には急性結膜炎の形をとります。

上皮型ヘルペス膜炎の本態は、上皮細胞におけるウイルスの活発な増殖と感染細胞の脱落です。

ヘルペス性角膜炎の確定診断にはウイルス抗原の証明が良いですが、“樹枝状の上皮欠損“と言う特徴的な形態から細隙灯顕微鏡での診断が出来ます。

ヘルペス性角膜炎の治療は抗ウイルス剤の投与で、アシクロビル(ゾビラックス眼軟膏一日5回)かIDU(一時間毎に点眼)のどちらかで約一週間で治癒するとされています。

上皮型角膜ヘルペスの視力予後は一般に良いものです。

3)実質型角膜ヘルペス:円盤状角膜炎(図の出典
円盤状角膜炎







ヘルペス性角膜炎は再発を繰り返すうちに、上皮型角膜ヘルペスが実質型角膜ヘルペスへと移行することがあります。

この実質型角膜ヘルペスも、やはり特定の誘引に引き起こされますが、先立つヘルペス性角膜炎の病歴で診断が出来ます。

実質型角膜ヘルペスは角膜の浮腫を主体とする円盤状角膜炎で病理学的には遅延型過敏反応を基盤に持つものです。

実質型角膜ヘルペスの壊死性病変が高度に進行すると角膜が穿孔することがあります。

実質型角膜ヘルペスの治療目標は炎症の沈静化とウイルス増殖の抑制なので、ステロイドと抗ウイルス剤の併用を行います。

実質型角膜ヘルペスが再発すると視力は徐々に低下してゆくことになります。



簡単ですが、私の母にも理解できる程度に簡便に角膜のヘルペスの病変を説明いたしました。患者さんの理解の助けになればよいがと願っています。

参考文献:大橋裕一、単純ヘルペス、PP213-215、目の病変 各科臨床医のために、1991、金芳堂

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(改定 2007、12,22)
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プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
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