2006年12月21日

236眼筋麻痺性片頭痛ophthalmoplegic migraine

眼筋麻痺性片頭痛(偏頭痛)は”前兆のある片頭痛”を持つ人が発作の発症後3-5日の後に同側の眼筋麻痺を見るものとされています。小児に多く、動眼神経を侵すことが多いとされます。 (管理頁



12112私を訪ねてくださった40歳代女性の患者さんは、月に一度程度生理をきっかけに起きる眼球後部の強い痛みがあって、それに引き続いて複視を生じ、其の複視が数日は残ったと表現していました。発作は、30歳台から始まって、だんだんに複視が強くなり、現在では左を見たときの複視が残存するようになっているといいます。私はこの患者さんを眼筋麻痺性片頭痛(偏頭痛)ト診断します。

眼筋麻痺性片頭痛この疾患は、頻度としてはきわめて稀で、私の28年の神経眼科外来に従事した臨床経験でもほとんど出会ってはいないですし、ミグレイン(片頭痛)の患者の0.1%とも報告されています。眼球運動神経麻痺の中でも動眼神経麻痺が最も多く95%、其の場合には瞳孔も傷害されるようです。このことから神経の虚血よりも発作後に拡張した血管による圧迫が関与しているのではないか?と疑われています。頻度では其の次が外転神経で滑車神経に起きることはほとんど無いそうです。


12111眼筋麻痺は1週間から4週間で回復することが多いのですが、繰り返すうちに神経の機能障害を生じ、完全麻痺となって永続的な障害が残ることも有ります。一回の発作で機能が回復せずに永続的な眼筋麻痺を残すことは稀とされています。

12126この疾患としますと、手術などは考えずに保存的な薬剤治療を始めることになりますので、その診断に当たっては緊急の対応が必要な脳動脈瘤、腫瘍はもとより、糖尿病、重症筋無力症、Tolosa-Hunt 症候群なども充分に除外する必要があります。

この患者さんでは、画像診断や筋無力症の除外は前医でかなり丁寧になされていたようでしたので、診断的治療として、発作の予防薬としてのベータ遮断薬のプルプラノロール30mg(今後80mg程度まで増量を考慮します)と発作時のスマトリプタンを屯用で処方しました。もしこれでしばらく発作がおきないでくれたら、その後で残存している外転麻痺に対するステロイド内服などの治療を考えたいと思います。

もちろん上記の他の鑑別すべき疾患も考えながら治療して見ましょう。

参考文献
1)新臨床神経眼科学、三村治編集
2)Ophthalmoplegic migraine HP⇒リンク、(上の図の出典)
3)Neuroophthalmology 教科書です Liu, Volpe, Galetta:,Saunders⇒リンク

今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。

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kiyosawaganka at 11:42│Comments(1)TrackBack(0)この記事をクリップ!複視、眼球運動 

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この記事へのコメント

1. Posted by 高 子   2007年10月05日 22:33
初めて投稿させていただきます。もともと子供の頃から頭痛持ちで12年前に就職し始めの頃、偏頭痛が何日間か持続したことがありました。その後自分の顔を鏡できちんと見ることができない事に気が付き埼玉医科大学病院の神経内科で複視の精査で入院いたしました。MRIやルンバールの検査をしてもはっきりとした原因がわからず、教授回診でS教授よりいつまでなまけているんだと言われてしまい、つらい思いをしたのをおぼえています。1ヶ月位症状がありましたが、自然におさまりました。父からも精神的なヒステリーからきているのではと言われ、私自身も我が儘な性格とストレスからくるものと思っていました。
複視の症状がでたのはその時だけですが、偏頭痛が関係しているのでしょうか?いま現在は頭痛のときはイミグランの内服で痛みの症状はおちついています。
お答え:それは大変でしたね。”自分の顔を鏡できちんと見ることができない事に気が付き”というのは複視があったからでしょうか?眼筋麻痺性片頭痛というものがあり、私が拝見している患者さんにも中年女性の方が居ますが、普通は小児にみられる疾患のようです。
眼筋麻痺性片頭痛の項もご覧ください。236眼筋麻痺性片頭痛ophthalmoplegic migraine http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/50693016.html
イミグランは高価ですが、良く効くようですね。おいでいただくともっとはっきりした話ができそうです。

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院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜の外来を担当)、順天堂江東高齢者医療センターで手術(順天堂大非常勤講師)。2006年国際神経眼科学会副会長。

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