2009年04月12日
851◎眼動脈分岐部の脳動脈瘤手術1日後、見えなくなりましたという質問とお答:2007-06-05

[295/298] 2007-06-05 1181042387
なほさんからの相談 [脳動脈瘤手術1日後、見えなくなりました]
右内頸動脈瘤(眼動脈分岐部)クリッピング術後、視野が上半分欠如、1日後には見えなくなりました。約1ヶ月半たちました。右目にもやもやとした陰のような物が見えており、両目で見るともやもやの影が左の目の視野を邪魔しており、常にもやもやの陰が見えます。この影は何なのでしょうか?脳神経外科の執刀医は網膜中心動脈血栓症だろうという意見で、回復は無理であろうということです。このような症状を診療してくださる医師を捜しています。
お答え:
それは大変お困りでしょう。眼底全体に変化があれば網膜中心動脈の閉塞症ですが、視神経に変化が限られるなら虚血性視神経症と考えられます。
参考に私のブログのその部分を開いてみていただけますか?
http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/50702211.html
予後は厳しいですが、早期ならばステロイドなどを使ってみる手もあるかもしれません。
追記:(2009.4.10)脳外科医ではなく、眼科医である私には本当の専門分野とはいえませんが、眼動脈が内頸動脈から分かれる部分はなかなかアプローチが難しいです。
なお、唯一私が見せてもらった似た症例が下の論文の症例です。もう20年も前の患者さんです。
眼球に行く血管は他から側副血行路がない限り、眼動脈が唯一の道であって、それを止めると眼球への血流は途切れてしまい失明してしまいます。しかも、眼動脈はおそらく直径が2ミリくらいしかない細い血管です。ここにできた動脈瘤に頸があればクリップを置くことができるでしょうが実際にはなかなか難しいでしょう。放置して動脈瘤が破裂するとくも膜下出血となり、その止血も困難でしょう。放置することも困難だったのかと思います。その処置で眼動脈の眼球に向かう血流が途絶しなければ良いのですが、この相談者の場合には、手術直後は持ちこたえたのだが、しばらくしたらそれほどの間もなく、血流が途絶えてしまったということなのでしょう。
眼窩内の眼動脈瘤の症例報告
未破裂の眼窩内にあった眼動脈瘤のまれな症例の報告、術前の動脈瘤による圧迫での視神経症状の増悪が止まった。外頸動脈からの眼動脈への側副血行路との関連における手術術式について議論した。
Intraorbital ophthalmic artery aneurysm: case report.
Ogawa A, Tominaga T, Yoshimoto T, Kiyosawa M.
Neurosurgery. 1992 Dec;31(6):1102-4;
Department of Neurosurgery, Iwate Medical University, Japan.
A rare case is presented of a nonruptured aneurysm of the intraorbital ophthalmic artery in which successful resection of the aneurysm resulted in improvement of preoperative progressive signs caused by the mass effect of the aneurysm. The surgical management of this rare entity is discussed with special attention given to the collateral circulation of the ophthalmic artery from the external carotid artery.
(共著者の脳外科の先生方は皆さんその後、大成されました。小川先生は岩手医科大学脳外科教授で岩手医科大学長に、富永先生は東北大脳外科教授に、脳外科吉本教授は東北大学学長になりました。)
(ベストドクターズとは) 今日も最後まで眼を通してくださりありがとうございます。
(管理頁)
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