2011年03月21日

2135: 緑内障のお話:昭和40年男インタビュー記事 其の3


六小2135: 緑内障のお話:昭和40年男インタビュー記事 其の3

年に一回は検診を!

緑内障


40歳以上の17人に一人が持っているという緑内障。だが、その真相は意外と知られていない。しかし我々はすでに緑内障のリスクがどんどん高まる年齢に突入している。
自分自身で目を守るという自覚と、正しい知識を持って対策に臨もうではないか。


 前ページにて取り上げた白内障と一緒に緑内障を思い浮かべた人も多いのでは? しかし、具体的な症状についてはあまり知られていないのが実状だろう。
「緑内障というのは視神経が障害されて視野の一部が徐々に失われていく病気で、我が国における失明原因の第1位を占めています。一度失なった視野は治療しても元に戻らないので、早期に発見して進行を食い止める治療をすることが非常に大切です…が、緑内障は初期には痛みなどの自覚症状がほとんど現れず、また視野欠損に気がつかないことも多いため、自覚のないままに病気が進行してしまうケースが非常に多いのです」
 資料によると、なんと40歳以上の日本人における緑内障有病率は5%にも達するという。つまり40歳以上の20人に1人の割合で緑内障だということだ

「しかも、緑内障患者のうち、緑内障だと診断されていたのは、全体の約1割に過ぎません。つまり、緑内障があるのにもかかわらず、これに気づかずに過ごしている人
が大半だということなんです。緑内障の進行は非常にゆっくりですが、視野欠損が自覚できるころには失明寸前ということも多いんです」
 だが、視野が失われるのに、それに気がつかないというのはちょっと想像しにくい。
「では、ちょっとテストしてみましょう。誰かの背中を押すような感じで右手をまっすぐ前に出してみてください。次に親指と小指を伸ばしたまま、他の指をとじま
す。左目をつぶって右目だけで親指の先をじっと見つめながら、小指を動かしてみてください。見えないでしょう?」
 なるほど、確かに小指の動きが見えないところがある。視野欠損があっても気がつかないという意味がよくわかる。
「これは盲点と言って、誰にでもある見えていない部分なのですが、我々が日常生活でそれを意識することはありませんね。なぜかというと、人間の脳には見えてない
場所を周囲の色や質感で埋め尽くして自覚しないようにする、そういうプログラムが働いているからなんです。だから、見えてない部分をあたかも見えているかのように感じてしまう」
 視野欠損に気がつかなければ治療もされるはずがない。「ですから、緑内障を治療しにくる方は、健康診断で眼底写真を撮り、緑内障の可能性があると言われて初めて眼科を訪れたというパターンがほとんどなんです」

7小
原因は眼圧の上昇による視神経の障害

緑内障がそんなに怖い病気だとは知らなかった。その原因は一体なにか。
「それは眼球の圧力が高まることで、その圧力に耐え切れなくて血液の流れが悪くなったり、あるいは視神経が圧迫されて死んでしまうからです。視神経は眼球の後ろにある太い神経なんですが、片方の眼に約100万本の神経線維があり、それが50万本
よりも少なくなると視野に欠損が出ると言われています。眼球内は血液の代わりに栄養などを運ぶ房水という液体が流れていて、眼球はこの房水の圧力によって形状が一
定に保たれています。毛様体で作られた房水はシュレム管というところから排出されるのですが、房水の流路が詰まったり、閉塞することで眼圧が上がってしまうのです」

 ところが、この眼圧というのが一筋縄ではいかない。最近は必ずしも緑内障患者の眼圧は高くないということがわかってきているのだそう。
「緑内障のうちの62%は眼圧が高くないものであったという調査結果が出て注目されたのが今から10年前です。どうやら眼球が好む眼圧というのが人それぞれ異なり、それよりも高い眼圧が生ずると視神経が枯れてくるということがわかってきたんです。つまり日本人全体のなかでの平均値と比較することに、あまり意味はないということなんです」
 では、緑内障かどうかをどのようして調べるのだろうか。「やはり、まずは眼圧の測定です。いくら正常眼圧とは無関係でも、傾向として緑内障患者の眼圧が高めであることは確かですから。特殊な装置で眼球に風を当てて、それによる眼球の形状変化を測定することで眼圧がわかります。次に眼底写真の撮影。
眼底鏡という機械で目を覗くことで眼の奥の網膜の状態を観察することができます。これで視神経がどの程度ダメージを受けているかがわかります。最後に視野検査。どこが見えていて、どこが見えていないかをチェックしていきます」
 この3つが緑内障かどうかを判断する検査だという。

早期発見さえできれば怖いことはない 
 緑内障だと診断された場合は、その後どんな治療が行なわれるのか。

「房水の産生を減らしたり、流れをよくする作用のある点眼薬を使います。また、レーザーを使って虹彩などに穴を空けて房水の流路を確保したり、手術によって流路を作ることもあります。どちらにしても、すぐれた点眼薬も開発され、失明に至ることは稀ですので、正しい診療が始まりさえすれば、そう恐れる必要はありません。緑内障は早期発見・早期治療がもっとも大切ですので年に一回は検診を受けましょう。そして注意深く病気の進行を観察し続けることが大切です

ーー本文ここまで、ここからは図の説明ーー
1、中途失明の原因疾患
成人後に失明した場合の原因となった疾患をグラフにしたもの。緑内障が糖尿病を押さえて1位となっている(2006年度 厚生労働省 調査結果)

2、視野欠損時の自覚症状の有無

視野が半分以上かけたときに自覚症状があったかどうかを調べた結果。なんと約3割の人が自覚症状がなかった(緑内障フレンドネットワーク調べ)


3、緑内障の有病率

40歳以上の日本人における緑内障有病率を調査した結果。年齢が増す毎に増えており、しかも少子高齢化のせいで年度を増すごとにその割合は増加している( 日本緑内障学会調べ)

ーーーーーー



4、■視野障外の進行

初期:目の中心をやや外れたところに暗転(見えない点)ができます。この状態で自分自身で異常に気がつくことは稀です

中期:視野の欠損部が広がり始めますが、この段階でももう片方の目で補われるため、気がつかないことがほとんど

末期:視野はさらに狭くなり、視力も悪くなって日常生活に師匠を来すように。さらに放置すると失明に至ります
ーーーーー

5、これが緑内障患者の眼底写真。白っぽくなっている部分が視神経乳頭の陥没
部分である


6、毛様体で作られる房水の圧力で眼球形状は保たれている。房水の排出口や流路がなんらかの理由で詰まったり閉塞することで眼圧が上昇すると、視神経が圧迫されてダメージを受け、視野が徐々に失われていく。視神経乳頭の陥没具合で緑内障の進行度合を観察することができるので、眼底写真による検査は非常に有効だ


7、緑内障セルフチェックシート□ 強い近視である
□ 親や兄弟に緑内障の方がいる
□ 低血圧気味である
□ 冷え性である
□ 頭痛もちである
□ 暗いと以前より見えにくく感じる
□ 運転中に信号を見落とすことがある
□ つまずきやすい
□ 階段の上り下りが怖い感じがする
緑内障に関しては、自分がそうだと気が付いていない
患者が多いとされている。右記の項目は緑内障に見ら
れる症状なので、もしも当てはまるものがあり、不安を
感じる場合は、こちらもすみやかに眼科に相談しよう。
とくに緑内障は早期発見が重要だ。
ーーーーーー

□□□□□□□□□■□□□□□□□□□■
緑内障になると実は脳の働きがかなり変化します。脳の糖代謝を測るPETという装置で測定した画像を見てみましょう。右が正常時の脳、左が緑内障の脳です。正常時に比べて活発に働いている赤い部分が明らかに少ないのがわかります。つまり、緑内障の脳は正常時の脳ほど働いていないということですね

(清澤注:がまだ添付されていません。写真を拡大して印刷すると図が詳細に見られます。)


6大






















7大

kiyosawaganka at 16:04│Comments(1)TrackBack(0)緑内障 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 友   2013年11月18日 13:04
両眼の視野が半分の左側同名半盲です。先生の記事を探しています
眼科通信のナンバーでの検索もできるようにしてください。友人が698にあったと教えてくれたのですが開けません。目も不自由ですのでよろしくお願いします。
お答え:興味を持ってくださりありがとうございます。
2008年10月19日の698 脳卒中の視覚のリハビリ 2 半盲の病巣と対策(http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/51119738.html)
2009年10月15日の1083 半盲の病巣と対策  江本博文 清澤源弘 (脳卒中の最前線より)(http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/51337405.html)こちらでもよいでしょう。お大事に

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
診療案内
◎診療時間◎
【月・火・木・金】
・9:00〜12:30 
・15:30〜19:00
【水・土】
・9:00〜12:30

【休診日】
水曜と土曜の午後、日曜と祭日


毎週水曜は院長不在のため、代診の医師による診療となります。

診療終了時間30分前に受付をお済ませください。

診察内容によってお時間のかかる検査をする場合もありますので
お時間に余裕をもってお越し下さい。

Archives