2013年07月31日

4605 眼が乾く、疲れる、痛い(ドライアイ・乾性角結膜炎)

眼が乾く、疲れる、痛い::ドライアイを疑いましょう
。。。
シェーグレン症候群(Sjogren syndrome) (管理頁)(2012,12,1改定)

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シェーグレン症候群は自己免疫性の疾患で慢性の関節炎等を示す疾患ですが、眼の表面が乾燥する症状も持つことが多く、患者さんが私たち眼科医をおとづれる事も多い疾患です。

その主な症状には

○口腔乾燥症(ドライマウス)=口が乾く

○眼乾燥症(ドライアイ)=目が乾く

○関節が痛む

○疲れやすい

○皮膚に異常が現れる

等が見られ、40〜60歳の女性の患者さんが多くみられます。

また、慢性関節リウマチの患者さんでは約5人に1人がシェーグレン症候群を合併しているとも言われています。

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厚生省班研究の調査では、日本国内におけるシェーグレン症候群の年間受療患者数は17,000人であるとしています。

診断をされていない潜在的な患者さんを含めると、約10〜30万人の患者さんがいると推定する人も居ます。

シェーグレン症候群の患者さんは、免疫システムに異常を有するという共通の病因を有していますが、実際に現れる症状は様々です。

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私たち神経眼科医がしばしば見るものにはシェーグレン症候群に伴う視神経症が有ります。これは通常の視神経炎のような症状なのですが、ステロイドに反応する自己免疫性の視神経炎の一部を占めるものです。(本稿では詳細を省略⇒特発性視神経炎の記事を参照

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シェーグレン症候群だけに特異的に検出され、かつ100%近い陽性率を示す固有の検査項目・手法がないことから、複数の検査項目を組み合わせた診断が行われています。

診断基準は、「唾液腺もしくは涙腺の病理検査(顕微鏡による精密検査)」「唾液分泌能の検査」「涙液分泌能の検査」「自己抗体の検査」の4つに大別され、このうちの2項目以上が陽性(異常)であれば、シェーグレン症候群と診断することになっています。

■シェーグレン症候群の診断基準(1999年厚生省班)参照

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しかし、ここで眼科医師の本音をお話しましょう。(これは私の私的なつぶやきです。公式の見解ではありませんのでそこのところをお含みください。)

先に説明したとうり、この疾患での主な症状は眼の乾き(ドライアイ)ですから、眼科医としてはわざわざこの診断基準を考慮して、内科医まで煩わせてシェーグレン症候群という診断名を使わなくても、多く場合には単にドライアイと診断すれば事は足りるのです。

ドライアイという”単なる症状の表現”を医学的な診断名として用いることには私も最初の頃には違和感がありました。が、慶応大学の坪田先生らがこのドライアイという言葉を一般に広めてからは、この言葉が広く”病名”としても用いられるようになっています。

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さて、実際に眼科でわざわざこの”シェーグレン症候群”という疾患名をつける場合としては次の3つの場合が考えられます。

1)本当に”自己免疫疾患としてのシェーグレン症候群”が疑われている場合。

2)国の”特定疾患”の指定を受け、本人が支払う医療費を軽減しようとする場合。

3)ヒアレインミニという特定の眼の表面を潤す点眼薬を保険診療で使いたいので、診断名をシェーグレン症候群とする必要があるという場合とが有ります。

ですから、実際にあなたの周りの方がシェーグレン症候群と言われた場合には、その診断をつけた医師が本当に自己免疫疾患としてのシェーグレン症候群と思っているのか?あるいは単に乾き眼と診断して便宜的にこの疾患名を使ったのかを確かめて見る必要が有ります。

上記2)の理由などで、厳密にシェーグレン症候群を診断したい場合には、リウマチ膠原病内科などの協力を得てその診断をつけることになりますが、厚生省の研究班が1999年に出したシェーグレン症候群の診断基準は次のようなものです。(⇒診断基準にリンク)

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1.生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)口唇腺組織で4mm2あたり1focus(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)以上
B)涙腺組織で4mm2あたり1focus(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)以上

2. 口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)唾液腺造影でStage I(直径1mm未満の小点状陰影)以上の異常所見
B)唾液分泌量低下(ガム試験にて10分間で10mL以下、またはサクソンテストにて2分間で2g以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見

3. 眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)シルマー試験で5分に5mm以下で、かつローズベンガル試験(van Bijsterveldスコア)で3以上
B)シルマー試験で5分に5mm以下で、かつ蛍光色素試験で陽性

4. 血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)抗Ro/SS-A抗体陽性 B)抗La/SS-B抗体陽性

【診断基準】
上の4項目のうちいずれかの2項目以上が陽性であれば、シェーグレン症候群と診断する。


このうち第3項の眼科の検査は、眼乾燥症(ドライアイ)の状態を調査する検査項目です。 基準ではシルマー試験(点眼麻酔はしないまま、まぶたに試験紙をはさみ、5分後に試験紙へ染み込んだ涙液量を測定する試験)に、ローズベンガル試験もしくは蛍光色素試験(フルオレッセイン角膜染色)のいずれかを併せて行い、判定します。

シルマー試験では、試験紙に染み込んだ涙液量を試験紙が濡れた長さで評価し、5mm以下の場合には異常と判定します。

ローズベンガル試験及び蛍光色素試験では、これらの液によって眼の角結膜上皮の障害された部位や粘液が付いていない乾燥部位が染色される性質を利用して、染色された状態から病状を評価します。

シェーグレン症候群では、染色部位(乾燥部位)が存在している様子が観察されますが、これは涙液の減少により自己免疫によって点状に損傷を受けていることを示しています。



強いドライアイに対する種々の治療は他の記事にまとめましたので参考になさってください。⇒リンク
○101 涙点プラグ(ドライアイ、ジェーグレン症候群) ⇒リンク
○コンタクトレンズで眼が乾く方へ⇒リンク






kiyosawaganka at 10:18│Comments(0)TrackBack(0)

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プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
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