2016年01月22日

7392:スギ舌下免疫療法,アドヒアランス良好で1年目から効果を実感:記事紹介

スギ舌下免疫療法,アドヒアランス良好で1年目から効果を実感   2016.01.20

 (要点)後藤穣氏は,スギ花粉症によるアレルゲン免疫療法を実施している患者に対するアンケートの結果を報告した。

 スギ花粉症のSLIT治療薬が2014年10月に発売され,ダニをアレルゲンとするアレルギー性鼻炎に対しても昨年(2015年)冬に販売が開始された。SLITは国内では新規の治療法であり,長期寛解や治癒を導くことができると期待される。

苦痛があった日数は,2週間以内が皮下群で40%,舌下群では93%。抗ヒスタミン薬などの薬剤投与日数は,2週間以内が皮下群では54%,舌下群では50%。

患者は2週間ごとの通院が負担と感じ,毎日の舌下投与はそれほど負担に感じない。SLITの効果の自覚としては,「効いた」(33%),「とても効いた」(26%),「やや効いた」(19%)。SLITは簡便性,安全性が高い治療法である。スギだけでなくダニに対しても実用化され,アレルギー疾患に対する免疫療法の意義が再認識されつつある

ーー以下全文再録ーー
 日本医科大学多摩永山病院耳鼻咽喉科部長・病院教授の後藤穣氏は,スギ花粉症によるアレルゲン免疫療法を実施している患者に対するアンケートの結果を第52回日本小児アレルギー学会(2015年11月21〜22日,会長=天理よろづ相談所病院小児科部長・南部光彦氏)で報告し,「舌下免疫療法(SLIT)のアドヒアランスは良好で,1年目から効果を実感している患者が多かった」と述べた。

スギもダニも舌下免疫療法が可能に

 スギ花粉症のSLIT治療薬が2014年10月に発売され,ダニをアレルゲンとするアレルギー性鼻炎に対しても昨年(2015年)冬に販売が開始された。SLITは,海外では既に複数が実用化されているが,国内では新規の治療法であり,長期寛解や治癒を導くことができると期待される。しかし,これまでの皮下免疫療法(SCIT)ではまれながら重篤な副作用があるというのが問題となっていた。

 後藤氏は,2015年に新橋アレルギー・リウマチクリニックにおいてスギ免疫療法を実施した患者〔SCIT実施(皮下群)35例(1年目5例,2年目4例,3年目以上26例),SLIT実施(舌下群)14例(全例1年目)〕に対して行ったアンケートの結果を報告。苦痛があった日数(なし〜ほぼ毎日の6段階)は,2週間以内が皮下群で40%,舌下群では93%であった。抗ヒスタミン薬などの薬剤投与日数は,2週間以内が皮下群では54%,舌下群では50%であった。

 皮下群では,免疫療法実施期間が長くなるほど症状が抑えられるという結果であったが,舌下群では1年目から効果を実感している患者が多かった。舌下群における前年の花粉飛散シーズンとの症状の比較では,72%が「前年の方がひどい」と答えていた。同氏は「初年度としては良好な結果」と述べた。


約8割が効果を実感

 さらに後藤氏は,2014年11月〜15年1月に新規にSLITを開始したスギ花粉症患者102例(男性44例,平均年齢51.17歳,平均罹患年数23.7年)を対象に実施した「スギ花粉舌下免疫療法飛散後アンケート調査」の結果について報告。連日の舌下投与の負担については「それほど負担ではなかった」(54%)が最も多く,「全く負担ではなかった」(33%)が次いだ。2週間の通院間隔の負担については「やや負担だった」(45%)が最も多く,「負担だった」(24%),「それほど負担ではなかった」(23%)と続いた。患者は2週間ごとの通院が負担と感じており,毎日の舌下投与はそれほど負担に感じていないことが分かった。

 SLITの効果の自覚としては,「効いた」(33%),「とても効いた」(26%),「やや効いた」(19%)が上位で,約8割が効果を感じており,好成績だったといえる(図)。来年も続けたいかとの質問に対しては,99%が「継続したい」と答えており,「継続しない」は0%であった。舌下投与を毎日行うことができたかについては,「毎日できた」(84%)が最も多く,次いで「週1回くらい忘れた」(14%)であった。

図. 舌下免疫療法の効果の自覚

(後藤穣氏提供)

 SLITについての意見・要望では「通院間隔についての不満」「花粉米や他のアレルゲンに対する舌下免疫療法に対する期待」「他の人に勧めたい」「来シーズンへの期待」「薬が常温管理にならないか」「薬の容器を開けるときに少しこぼれる」「効果が予測できるようになってほしい」などの声が聞かれた。

 同氏は「昨年の8月27日以降は,関連学会主催の「舌下免疫療法(減感作療法)講習会」を受けていない方も「アレルゲン免疫療法(減感作療法)eラーニング」の受講後は,次のステップ(各社製品適正使用eラーニング,eテスト)に進むことができ,舌下免疫療法の処方が可能になった。ぜひ多くの医師に実施してもらえたらと思う」と述べ,「SLITは簡便性,安全性が高い治療法である。スギだけでなくダニに対してもSLITが実用化され,アレルギー疾患に対する免疫療法の意義が再認識されつつある」とまとめた。

(慶野 永)


kiyosawaganka at 15:32│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
診療案内
◎診療時間◎
【月・火・木・金】
・9:00〜12:30 
・15:30〜19:00
【水・土】
・9:00〜12:30

【休診日】
水曜と土曜の午後、日曜と祭日


毎週水曜は院長不在のため、代診の医師による診療となります。

診療終了時間30分前に受付をお済ませください。

診察内容によってお時間のかかる検査をする場合もありますので
お時間に余裕をもってお越し下さい。

Archives