2016年02月14日

7470:硝子体注射治療 香川大学 辻川明孝教授 第4講聴講記

intravitreal_injection
硝子体注射治療

日常臨床に役立つ眼科治療学アップデート
硝子体注射治療 香川大学 辻川明孝教授の講義を拝聴しました。
その聴講記です。

1、始めに
抗ウイルス剤、ガス注入、
加齢黄斑変性へのデバシズマブ(アバスチン)以後、抗VEGF抗体の使用は普遍化した

2、薬剤の種類
2−1 略
2−2 ケナコルト 比較的安い、眼後注射が一般的
   マキュエイド 糖尿病黄班症、硝子体内注射で
2−3 アバスチン 抗VEGF 保険適応外
2−4 マクジェン 効果はマイルド、脳卒中のリスクは低い 
2−5 ルセンティス 抗体の一部の製剤、マリーナスタディーなど ほとんどのデータがこのルセンティスに準拠している。
2−6 アイーリア 受容体なので結合能が高い 8週ごとでも可(半減期は長い)
ファーストラインはアイーリアとルセンティス

3、適応疾患

3−1:加齢黄斑変性 中心窩下にCNVを伴う滲出型。PCV(光線力学療法が効く)は多少違うかも。典型AMD,PCV,RAPを別けている。(厚生省ワーキンググループ治療指針)それぞれに指針がある。
新しいものも出てくるし、AMDにはバリエーションが多い

投与方法は以下の3法がある。
○ 固定投与 3か月一度では不足
○ PRN:毎月受診し、活動性に応じて投与 投与頻度が不足しがち
○ トリートアンドエクステンド 受診するたびに活動性により投与する。不必要なときもある。PrONTOスタディーなどはこの形。本邦でもこの投与法が増えていると。

HORIZON試験:2年後でも投与が必要
SEVEN-UP 打つ回数が多い方が結果は良い
2週ずつ伸ばしてゆく方法もある。
AMDの両眼性
地図状萎縮も問題:回数が多いと出やすい、色素上皮萎縮が広がる

3−2 近視性脈絡膜新生血管:ルセンティスとアイーリアに適応有。PRNを行う医師が多い。
傍中心窩のCNVが最も良い適応である(重要)

3−3 その他
ぶどう膜炎:両眼性のものもある。
網膜色素線条、保険適応無し
外傷性CNV
特発性脈絡膜膜新生血管(昔のいわゆるリーガー型に相当)一般的な予後は良い

3−4 網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症:早い段階が理想的、繰り返しが必要になる。抗VEGFが適応。血管アーケード外ならPC.PCしてあれば、抗VEGF開始は遅くても変わりない可能性がある。CRVOの予後は良くない。
OCTは水平断と垂直断を併用で見よ。
視力が良くならない、慢性化したものでは中断も。
虚血型のCRVOならば;汎網膜光凝固が必要。

3−5 増殖糖尿病網膜症
OCT2次元黄班マップが必要
ルセンティスとアイーリアが使われる。
導入期3回で以後PRNもなされる
マキュエイドの硝子体内、或いはケナコルトの球後ももちいられる
増殖糖尿病網膜症 アバスチンを使うこともある。術中の出血減少を期待する。


3―6 新生血管緑内障 保険適応無し

3―7 未熟児網膜症 将来ルセンティスも検討中。

3−8 網膜細動脈瘤 効果はあるが保険適応無し。

4、投与方法
リスク要因には次のものがある:
 患者さんの取違い
 治療薬の誤り
 投与眼の左右(診察医と注射医師が別なら診察時にシールを張ることも有効)
 解除するナースの手間を省くにはキットの利用も有効と。

5、局所合併症
○細菌性眼内炎 投与後数日から。おかしければ受診をするような指示
怪しければ、硝子体手術を考えた方が安全
○無菌性眼内炎 翌日からも起きる

終わりに
硝子体内注射は有効で、今後も増えそうである。だが高価なので、医療経済への影響もあるだろう。無駄なく効果的に使用したい。

眼科医清澤のコメント:
 聴講メモを整える為に、テキストとは違う番号を振りました。当医院でも、その手技になれた医師に依頼して、ルセンティスとアイーリアを用いて眼内への抗VEGF抗体の投与を既に始めています。その意味でも、どのような条件でこれらの薬剤の使用が為されているのかを今回習ったことは、院長の私にとっても、大変大きな意味がありました。
 先日の学術の集会で「アバスチンには眼球内投与の保険適応は無く、医療費は査収できないが、学内倫理委員会を通せばその使用も違法ではないという仕組みに既にできている。」という指導的な意見を聞くことがありました。しかし、大学病院などのような先進的な診療施設以外では、敢えて保険診療から踏み出した診療は考えにくいかもしれません。


kiyosawaganka at 19:41│Comments(0)TrackBack(0)

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プロフィール
院長 清澤源弘
”すべては患者さんのために”を目指す江東区南砂駅前の眼医者です。眼科知識普及に役立つブログの作成が趣味。緑内障、小児眼科、花粉症などの眼科疾患を治療し、コンタクトレンズにも注目。眼瞼痙攣のボトックス治療、複視や視野障害の治療が専門でPETでの脳機能評価も手がけます。東京医科歯科大臨床教授(07年4月-、現在も毎水曜午後の神経眼科外来を担当)、2006年国際神経眼科学会副会長。日本眼科医会学術部委員
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