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小室さん(左)の期待を「いい意味で裏切れるようなイベントにしたい」と話す城野さん

 清瀬市で19日に開催される音楽祭「清瀬フォークジャンボリー」に、フォーク歌手小室等さん(68)が出演する。3年前、フォークを愛する若者が全国のアマチュアバンドに呼びかけて始まった手作りの音楽祭に、プロ歌手が無償で出演するのは極めて異例のことだ。若者の熱意に共感した小室さんは「自分もまだ現役であり、共にフォークソングの可能性を模索したい」と出演を快諾した。(中居広起)

 

 音楽祭を主催するのは、清瀬市のアマチュアフォーク歌手城野兼一さん(26)。2人の出会いは昨年8月、都内で開かれた小室さんのコンサートだった。ファンだった城野さんは偶然、会場前で小室さんに出くわした。

 「うわっ」と思わず声を上げると、「今日、来てくれたの? ありがとう」。気付いた小室さんは、ファンには珍しい20歳代の若者に笑いかけて、握手を交わした。

 「これはチャンスかもしれない」。コンサート後、小室さんに思い切って声をかけた。小室さんは自分の音楽活動について根掘り葉掘り聞いてくる城野さんを「変わった人だ」と思った。だが、フォークに対する情熱に感心し、この若者が主催しているという音楽祭を見てみたいと思った。

 小室さんが音楽活動を始めたのは、学生だった1960年。友人たちと手弁当でフォークコンサートを開いた。フォークの黎明(れいめい)期で、何が起こるか分からない手探りの時代だった。「こわいもの知らずで、理想を実現したいと奮闘したあの日の自分と若者の姿が重なったのかもしれない」

 10月、別の場所で開かれたコンサートの後、城野さんを打ち上げに誘った小室さんは、音楽祭への参加を承諾。こうして、歌手歴約50年の小室さんと40歳以上の年の差がある城野さんは、同じ舞台に立つことに。

 「夢みたいな気持ちだった。今まで支えてくれた他の出演者たちがいたから実現したと思う」と城野さんは目を輝かせた。小室さんは当日、娘のこむろゆいさんとのユニット「ラニヤップ」として出演する。小室さんが、アマチュアだけのイベントに出演するのは「初めてのこと」という。

 城野さんは5年前、テレビで南こうせつさんのライブを見てフォークソングに魅せられ、一度も弾いたことのなかったギターを買って独学で練習を始めた。池袋のフォーク酒場で、フォークソング全盛期に青春を過ごした、自分の親世代のファンと知り合ったのがきっかけで清瀬フォークジャンボリーを始めた。

 その後は、インターネットの動画サイトなどで見つけたバンドに直接メッセージを送るなどして、北海道から沖縄県まで全国から出演者が集まってくれるようになった。

 出演者には、交通費や出演料は一切出ていない。それでも「フォークを次の世代へ受け継いでいきたい」という城野さんの思いに共感し、今年も仲間が集う。

 会場は、清瀬市元町の清瀬けやきホール。午後1時半開演。一般前売り500円、当日800円。高校生以下無料。問い合わせは城野さん(090・4521・3421)。

2012年5月18日 読売新聞)