2023年01月03日
『デモンズ4』
『デモンズ4』
1991年
イタリア
監督:ミケーレ・ソアヴィ
※本記事はグロテスクな表現を含みます
邦題で『デモンズ』シリーズの続編かと誤解するが、全くの別モノ。
ゾンビまがいの怪物を期待したら、アカンですよ、キラー・カーン。
製作にダリオ・アルジェントの名があり、内容もサタンやデーモンといったテーマ。
この共通項があるからまだ良心的か。
当時インターネットが普及していれば、詳細な情報を得られたかもしれない。
でも当時はせいぜい『ビデオでーた』に頼るぐらい。
半分騙されたようなものだが、素直な私は正統な続編と信じてやまなかった。
『デモンズ』『デモンズ2』のような満足感は得られず、なにか恐ろしく退屈な作品。
本作に関しては、そのような感想を抱いていた。
その作品が、まさかのHDリマスター版でリリース。
そして、私は観返さなければ気が済まない、低級ホラーマニアに成長してしまった。
さてさて、自分の記憶は正しいのか。
それとも、あの日から成長したマニア眼には違う評価で映るのか。
冒頭は1970年南カリフォルニアから。
ヒッピー家族の和気あいあいとした情景。
少年が立ちションしたら、その先に毒蛇がいて号泣。
親父は若い娘の乳房にペイントしていて、ママに促されて重い腰を上げる。
『なんだよ、ボーイ。どうしたんだ?』
そこへ出現した流浪の男。
自らデーモンと名乗り、水と食料を所望。
親切なヒッピー家族は温かく迎えるも、男はその名にふさわしい鬼畜行為に出る。
場面は変わり、1991年ドイツ・フランクフルト。
てっきり主人公かと思った女性があっさり殺害されてビックリ。
その犯人は地下鉄で逃走するも、二人組のスリにターゲティングされる。
巧妙に近づき、男のポケットに手を入れるスリ。
そこで掴んだものに仰天し、周囲は大騒ぎ。
ナンスカ、この展開は!?
アメリカ・ヒッピー事件とドイツ・スリ事件に関連性を見出せず、ちょっと頭がウニウニ。
ようやく主人公・ミリアム(ケリー・カーティス)登場。
小学校の女教師である彼女は、帰宅途中に老人を車でハネそうになる。
幸い老人は無事だったが、責任を感じたミリアムは自宅に招き入れてしまう。
ミリアムは、知らなかった。
老人の正体と計画を。
そこには想像を絶する陰謀と神への背徳行為が隠されていた……。
かなり抽象的な表現で、ストーリー構成が良いとはいえない。
つまるところ、何がおきているのか、さっぱりなのだ。
感覚で読みとくしかなく、湧き上がるインスピレーションに従ったような作りである。
当然ながら、デモンズ風怪物などは出現せず、良くいえば怪奇幻想アートといったところ。
ケリー・カーティスの存在感が牽引力となるが、さすがにそれだけでは十分とはいえない。
確かに、インパクトある画はいくつか用意されているが、アメリカンB級ホラーとはまるで違うタイプなので観客を選んでしまうだろう。
不思議系演出のオンパレード。
特に放水からのラストシーンは、奇妙である。
ちなみに監督はミケーレ・ソアヴィ。
『アクエリアス』『デモンズ95』などを手掛けている。