2012年 5月1日

大阪市にある「帝塚山学院幼稚園」の田中幸枝新園長先生に会いに行って参りました。
田中幸枝先生とは主任をしておられた時から何度も「本物の幼児教育」について、そして、「本物の幼稚園のあり方」について意見を交わしてきました。田中先生は、お若いながらもしっかりとした考えをお持ちで、まったくぶれることがありません。この4月から、園長先生になられたとお聞きして、さっそく、お話を伺ってきました。
田中園長先生のお話は、子育てに悩む方々の光明になると思いますので、是非、ご覧ください。


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田中幸枝 新園長先生 と 豊作のスナップエンドウ

田中園長先生は、「食育インストラクター」の資格をお持ちです。
田中新園長先生は、「できる限り農薬を使わずに育てた「生きた野菜」を子どもたちに味あわせることで、味覚を広げていきたいと思っています。また、作物を育てる経験を通し、食に対する感謝の気持ちを持てるようにと考えています。そして、すばらしい日本の食文化に触れながら、食事の際の美しい所作も身につけてほしいと願っています。」と、仰っていました。

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昨年、新たに設けた「キッズアドベンチャーマウンテン」(通称 冒険山)

帝塚山学院幼稚園では、園庭は子どもたちにとって第2の保育室だと考えているそうです。キッズアドベンチャーマウンテンでは、トンネルくぐりやもしもし電話、倒木渡り、岩登り、芝滑りなど様々な遊びが楽しめます。

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冒険山には、鹿も住んでいるようですよ。


田中幸枝新園長先生に、幼稚園で最も大切だと考えていることを、お聞きしました。田中先生は、

「初等教育と幼稚園教育は異なったものです。
そして、幼稚園教育で最も大切なことは、安定した情緒のもと、自己を存分に発揮することだと思います。それを実現するには、安定した環境でなければいけません。安定した環境でなければ、自分を発揮することは出来ないからです。まず、自分を思う存分発揮する。その上で、学びがあります。安定した環境には、その子らしさを「その子らしさ」として受け入れる教師の深い愛情が欠かせません。この「自分」を受け入れてくれる環境の中で、子どもたちは心のイガイガを収め、情緒が安定するのです。そしてその後で、子どもたちは自主的に実体験を積み重ね、創造力や想像性を養い、21世紀を担う子どもたちに必要な豊かな感性を育んでいくのだと思います。まず自分を発揮する、その後で感性を身につけるのです。この時期にしか感性は育たないのかもしれません。何故なら、この幼稚園の時期は、人としての貪欲さが顕著だからです。知りたい!やってみたい!見たい!触りたい!味わいたい!といった貪欲さが感性を育むのだと思います。


帝塚山幼稚園の子どもたちは、この貪欲さを生かしながら、喜びを持ってゆっくり育っていきます。そして、年長さんからは知識の部分も伸ばしていきます。年少・年中時に培ってきた「聞く力」、「考える力」、「実行していく力」にプラスαとして、「しっかり見る力」、「しっかり話す力」を育てています。この力がこれから先の学習において、「自主的な学習のできる児童」になり、「自分で発見できる児童」に育つのです。帝塚山学院幼稚園では、小学校入試対策は致しませんが、小学校に進学しても、何の問題もないと小学校の先生方に言っていただきますよ。


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広くて清潔な園舎です。小さな靴箱に並んだ靴がたまらなく可愛い。


帝塚山学院幼稚園の特徴の一つに「長期に渡る観察」があります。
1クラスで1つものを観察するのではなく、1人が1つのものを責任をもって観察します。子どもたちは、この長期に渡る観察をすることで、さまざまなことを発見します。「蝶」は「蝶」というくくりではなく、「アゲハ蝶」、「モンシロチョウ」、「モンキチョウ」ですし、「幼虫」は「幼虫」というくくりではなく、「1齢幼虫」、「2齢幼虫」ですし、「雲」は「雲」というくくりではなく、「今日の雲」、「今の雲」なのです。子どもたちは、この観察体験を通して「発見」し、「発見」の喜びを知ります。そして、自分で喜びを見つけようと注意して観るようになります。小さな発見がもたらすものは、大きな喜びです。この喜びを知ったお子さんは、小さなことでも遊べるようになります。でも、与えられた喜びしか知らないお子さんはは、「もうないの?」、「新しいゲームは?」、「次は? 次は?」と言う子になってしまいます。
お出かけ時、テーマパークに出かけるのは保護者にとっても便利でしょう。お子さんも喜びますしね。でも、「ショーが始まるよ。楽しみましょう。」といった楽しみは与えられた刺激です。与えられた喜び、与えられた刺激しか知らないお子さんが、自分から歩み寄って楽しみを見つけることができるでしょうか?人生の楽しみを見つけ出すことができるでしょうか?でも、4~5歳の時に、自らが発見する喜びを知ったお子さんは一生を楽しく過ごせるのです。「観察」は、本物を見て、本当のことを知ることだと思います。特に長期間の観察は、視野が広くなり、広く深く学ぶことができるようです。


先ほど、子どもたちに「感性」を育みたいと言いましたが、今のお子さんは、楽しいことが転がっていても見つけることができないことが多いのではないでしょうか。これを見つける力をつけてあげたいと思っています。この力が「感性」だと思います。


s-IMG_6180-1帝塚山田中先生講演会
園で出来た葡萄からぶどう酵母を作ってパン種にし、
パン生地をこねているところです。


昨年、本園独自の取り組みが評価され、ソニー幼児教育支援プログラムで「奨励園」に選ばれました。公益財団法人ソニー教育財団が主催するソニー幼児教育支援プログラムでは、「科学する心を育てる」をコンセプトに、幼稚園・保育園における優れた取り組みを募集・表彰し、その内容を全国に発信しているのですが、本園での、モンシロチョウのアオムシ観察やぶどうの酵母を育てると言った園内独自の取り組みが認められ、「奨励園」に選定されました。これからも、子どもの「発見する喜びを感じる心」を大切にし、知的好奇心を伸ばす教育活動を展開します。


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幼稚園の制服です。


帝塚山学院幼稚園には、「4つの教育方方針」があります。
「基本的生活習慣」、「コミュニケーション」、「 情操教育 」、「学びの始まり」ですが、それらすべての教育方針には、「その子らしさを大切に」という思いが詰まっています。「その子らしさを大切にする。」、これは本当に必要なことです。自分らしさを認めてもらって、自己肯定感は生まれるのです。そして、この自己肯定感は幸せに生きていくうえで何より大切なことだと、私は考えています。自己肯定感を育む最高の場所は家庭に違いありませんが、その次に「その子らしさを大切にする」場所は、固い信頼関係で結ばれた友達と、深い愛情で包んでくれる先生がいる幼稚園だと思います。

「4つの教育方針」の1つである、「基本的生活習慣」についてですが、帝塚山学院幼稚園では、毎日繰り返される登降園時の挨拶、手洗い・うがい、着替え、給食などを通して、基本的生活習慣が身につくように導いています。「自分の責任で生活をしなさいよ。」と、声掛けをしています。自分で用意をし、自分の荷物は自分で持つことは当たり前のことです。身の回りの事は自分の責任でさせています。
保育者は、年少児・年中児・年長児の成長に合わせて、しゃべる早さも変えています。先生の話を聞いて、ある一定の時間内に自分で目安を立てて実行・消化していく。この時に周りを見ることで、自分の行動のスピードを知ることが大切です。このスピードはその子その子で違います。この違いに気付かせることも必要です。そして、上手く行かなかったときは、その経験を次に生かしていく。1時間に1つしか対処できなかった時は、次は2つ対処できるように、さらに3つ対処できるように、自分で考えさせていきます。自分に足りなかったところに気付かせる。そして、子供本人が困らないようにする。子どもが困らないようにすることが、最上の愛情だと思っています。

jpg高橋先生 帝塚山
帝塚山学院幼稚園のお子さんは本当に本が好きですね。

帝塚山学院幼稚園では、感性とともに理解力も付けていただきたいと思い、未就園児さん対象に「読み聞かせの会」を開きます。図書館に行くことも良いと思いますが、是非、帝塚山学院幼稚園にも来てください。親子で同じ楽しい時を過ごすことは、この先の親子関係にとって、非常に大切なことだと思います。同じ本を読んで、感動を同じにする。同様の感動体験を持つ親子のきずなは強いです。どうぞ、帝塚山学院幼稚園に来てくださいね。」

以上が、田中幸枝新園長先生のお話でした。田中幸枝新園長先生、ありがとうございました。
「その子らしさを大切にしつつ、自分に足りなかったところを気づかせて、自分の責任で生活させる。」
いつもながら、考えのぶれない田中先生です。

子どもが困らないように、前もって歩く道をならしてあげたいと、つい思ってしまいます。子どもの為に、子どもの為に・・・・って。でも、田中先生が仰るように、この先、子供が困らないように、自分の足りないところに気付かせることが、最上の愛でしょうね。耳の痛い話です。
最後に、幼稚園パンフレットにある、心に残った言葉を書きます。

「しっかりそばで見て、そっと支える教育を。帝塚山学院幼稚園は、子どもたちの未来を真剣に考えます。」


子どもの笑顔を守りたい。幼児教室けいkids+の心です。


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