「日経平均の値動きは一段とおかしくなった」
最近こう感じている投資家の方が多いのではないかと思います。もともと日経平均は癖のある指数でした。そんなことは十分わかってはいるものの、最近の値動きは一段とおかしくなっているようです。
投機家にとっては、おかしな動きをすること自体悪いわけではありませんが、おかしな動きが続くことで参加する投資家が減り流動性が落ちてしまえば、投機家の参加者も減ってしまいます。
日経平均は、今その瀬戸際にいるのではないかと思います。
日経平均はもともと単純平均という計算方法でスタートしました。単純平均のメリットは採用銘柄の「値幅の値動き」が直接指数に影響を与えるわかりやすさにあります。指数が動いた要因が、とてもわかりやすかったわけです。ところが、純粋な単純平均では、採用銘柄が変わったり増資や分割で株数が変わったりすると、指数の連続性に問題が出てきます。それをカバーするために、いろいろと改良が加えられてきました。
そもそも単純平均の指数を指標にすること自体無理がありますが、日経平均は度重なる計算方法の変更でこの無理筋を乗り越えてきました。これまで何回か日経平均に代わる指数を生み出そうという動きがあったものの、日経平均は根強いファンに支えられることでことごとく難局を乗りきりました。
ところが、生き残りの代償としてこれまで行ってきた改良が積み重なって、いつの間にか日経平均は何を表す指数か全くわからないものになってしまいました。指数の連続性だけは保たれていますが、改良前後で数字をただ繋ぎ合わせているだけといってもいい状態です。
指数の計算方法が当初の単純平均から大きく変わっているので、過去の日経平均と今の日経平均を比べてもほとんど意味はありません。それにもかかわらず、いまだにバブル崩壊前の39,000円レベルが史上最高値として意識されるのは、多くの人が覚えているからという同調圧力から簡単には抜け出せないということだと思います。
本改訂版では、日経平均の終わりが始まった可能性を整理し、改めて日経平均をトレーディングすることについて考えてみたいと思います。