九条清隆 相場観と金融工学

株式・先物・オプション・FX・仮想通貨など、投資・投機を通じていろいろ考えるブログです。

「SQ週の水曜日は荒れる」
「SQを節目に相場が変わる」

明日メジャーSQを迎えます。

特に6月12月は、オプションが8年前から上場されているので、とりわけビッグなSQとなります。

ちなみに、3月9月のオプションは1年半前からの上場なので、同じメジャーSQでも少し規模は小さくなります。



SQ週の水曜日は相場はあれる

今ではあいさつ代わりに交わされる言葉ですが、それでも昔は一応荒れる理由はありました。

昔は
限月間スプレッド取引がなかった
HFTがなかった
のでSQ週の月火水は、確かに先物の需給が不安定になっていました。


今はこの2つがそろっているため、相場が荒れる合理的な理由はなくなりました。
昔の名残で「SQ前の水曜日が荒れる」が、いまだにあいさつ代わりに使われているようです。


先物の投資家は、満期が近付くと決済するか翌限月に乗り換えるかを選ばなくてはなりません。
満期が近付き決済する人が増えると思わぬ乱高下をするかもしれません。
でもそれが、たまたま水曜日に集中する根拠は今も昔もありません。

SQが近付いた時に先物が乱高下した原因は、実は決済の動きではなく、翌限月に乗り換えるロールオーバーの動きです。

ロールーオーバーは、期近の先物を買って期先の先物を売るか、期近の先物を売って期先の先物を買うだけの需給的には中立な取引です。中立ですが金額が大きいので、それぞれの限月がうまく売買できないと一時的に需給が大きく偏ってしまいます


限月間スプレッド取引がなかった時代は、それぞれの限月で別々に売買する必要がありました。枚数が巨大なので、成り行きでポンポンと執行するわけにもいきません。指値で丁寧に執行することになりますが、これはなかなか大変です。できない指値が必ず残ってしまいます

そもそも、需給的には中立なはずなのに、意図せずポジションが残ってしまい、それが大勢の参加者の間であちこちに発生し、やむを得ずどこかで反対側を一気に買う売るということが起きてしまいます。

昔は悪いことに、期近と期先の出来高がある程度同じになる期間がSQ週の前半しかありませんでした。ロールーオーバーはこの3日間に集中して行う必要がありました。昔は荒れる理由がちゃんとあったのです。


今はHFTが1年ぐらい先の先物は自動的に指値を出しているので、期先の売買はいつでも可能です。
スプレッドは1発で1000枚単位で乗り換えが可能です。完全にマーケットに対して中立です。

スプレッド取引とHFTが存在するおかげで、
SQ週の水曜日に相場が不当に荒れることはなくなったのです。




このエントリーをはてなブックマークに追加

昨日日経平均が28800円を抜けたあたりから、コールがそわそわし始め、昼休みにぶっ飛びました。

日経2259月限オプションの後場寄りまでのスマイルカーブの変化
20210903SS00003

10:31 少しコールがそわそわ
11:48 コール側が一気に盛りスマイルカーブがほぼ左右対称に
11:55 プット側がほとんど上昇せずにコール側がさらに盛る
11:59 プット側がほとんど上昇せずにコール側がさらにさらに盛る

12:01 全体的に上昇
12:31 プット側が遅れて上昇

とくに11:55 と11:59のスマイルカーブはコール側の方がプット側よりも高い前代未聞の形状。
満期まで1か月ある10月限も、ここまで極端ではなくても過去最高レベルのコールの盛り。


先物の踏み、コールオプションの買い戻し、トレンドフォローのヘッジファンドが一斉にコールを買い上げた足跡がくっきり残っています。

夜間は少し落ち着いたものの、コールの盛りはまだ続いています。
需給がこなれるにはまだ時間がかかりそうです。


このエントリーをはてなブックマークに追加

日本株の上値が重い日が続いております。
6月末にかけては配当金再投資の買い、7月に入ると今度はETFが年に一度の分配金ねん出のため、多量に売るという話が毎年出てきます。

とくに近年は日銀の買いによってETFの残高が異常に膨らんいるので、分配金といえども相当の支払いが行われるのは事実です。



指数連動型のETFは基本現物バスケットを保有します。わずかに先物でもってその分現金を少し持ってコストの支払いとか不測の事態に備えます。

指数連動型ETFは年に一度配当金の中から分配する決まりになっています。配当は年単位では再投資しないことになるので、ベンチマークは一般的に使われている日経平均やTOPIXの素指数です。

年金等のパッシブ運用は配当金を長期にわたって再投資していきます。したがって、配当込みTOPIXをベンチマークにします。ベンチマークに合わせるため、3月の配当金落ち日に予想される配当分だけ先物を買って、実際に配当金が支払われたら、その資金で事前に買った先物を現物に置き換える売買をします。ほとんどはSQで先物を清算し、その分SQで現物を買います。
このような運用を行うので、年金等の動きは配当権利確定日前後に起こります。実際に配当金が支払われる時期は中立要因です。


一方、アクティブ型の運用や個人投資家は、権利確定日には何もせず、実際に配当の入金があった時点で現物を買うことになります。アクティブ型なら、配当入金があっても、いつ買おうかは自由なので相場環境次第です。個人も、配当もらったから機械的に株を買うなんてことはないでしょう。したがって配当金の再投資というものは期待を込めた表現で、投資できる資金が増えるけど実際にこの時期に大きなフローになるかどうかは水物です。

ではETFは?

ややこしいことに、指数連動型のETFはそのどちらでもありません。

各運用会社は、配当金を分配金原資にすることは確約していますが、配当金見込み額をどういう運用をしているかは謎です。年金のように配当権利確定日に全額先物を買ってはいないようですし、分配日にかけてそれほど大量にも売ってないようです。

この謎を解くには、各ETFのNAV(純資産価格)と素指数と配当込み指数が相対的にどういう動きをしてるかを丁寧に比べていかなければなりません。できない作業ではないので、「ETFの分配金ねん出で上値が抑えられる」と軽いタッチで解説している人たちの一人ぐらいやってくれてもいいのではないかと思います。私はあまり興味がないのでしませんが。

「ETF分配金原資について各運用会社がどういう運用をしているか、そしてその結果どの程度の売りが出てくるかはわかりませんが、最大では○○○○億円の資金捻出が必要になることは事実です。ただ、みんなが警戒し買いを控えるので、上値が重くなるでしょう。」とでもいうべきところでしょうね。


配当金を再投資しないというのが基本ですから、必ずしも配当権利確定日に先物を全額買わなくてもかまわないわけです。極端なところ、何もせず配当金をそのまま分配すれば済む話です。ただ、他社との差別化を図るために配当込み指数を多少意識し、多少先物を買って、配当金が入ったらとっとと売ってしまうというところが多いのではと邪推しています。実際のところどういう運用になっているかは謎ではありますが前述した地道な作業をやればかなり解明できると思います。


このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ