九条清隆 相場観と金融工学

株式・先物・オプション・FXなど、投資・投機を通じていろいろ考えるブログです。

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日本では「仮想通貨」という呼称が定着していますが、世界的には「暗号通貨」というようです。
黒田日銀総裁は最近、仮想通貨を「仮想資産」と呼んで、通貨ではないということを強調しています。通貨の番人はあくまでも中央銀行であり受けて立つようです。異次元緩和をあと5年になう大物の意見です。

この新しい資産の特徴は
  • デジタルである
  • 電脳空間を瞬時に移動できる
  • 実体価値はよくわからないけど換金性がある
  • 相対で直接取引できる
  • 伝統的な通貨から価値を切り離すことができる
  • 流通量はルールで決まっている
  • 契約も書き込むことができる
  • 一方で新しいものはいくらでも誕生する
といったところでしょうか。アナログな古い世代には理解しにくい世界ではあります。

どのデジタル「資産」が生残るかという視点はもちろんではありますが、この「資産」の技術である分散台帳やブロックチェーンの仕組みが、どういう形で近未来を変えていくのかにも注目しております。この技術によって、銀行や証券や不動産などの仲介・契約業務の大半が置き換えられることは間違いありません。そうした危機感から、この資産で将来をヘッジするニーズもありそうです。

いまは値動きが激しすぎて「通貨」として使うのは難しくても、どこかで落ち着いて、いずれは通貨としての機能を担っていくのだと思いますが、現状は通貨というよりは「資産」としての価値の方が大きいので「暗号資産」という呼び方がしっくりきます。

どの程度この新しい資産に期待するかによって、この資産との距離感が変わるようです。
閉塞感のある人生の逆転を狙うひとから、分散投資の一環として考えるひと、新しいギャンブルだととらえる人まで、実に様々です。

一口に仮想通貨といってもいろいろな側面があり、また通貨によっても特性があり、今後もどんどん新しい特性を備えたものが登場するでしょう。需要はこれからも増えるでしょうが、供給側も増加するので、一攫千金の夢も確率的にはどんどん低くなるでしょう。また、新しいものほど性能がいいので、既存の仮想通貨も油断は禁物です。それでもまだ、リスクリターンはほかのビジネスや投資よりは少し分がいいような気はします。

仮想資産の価値を支える要因
暗号資産に投資する場合のチェックリスト

価値貯蔵(逃避資産)プレミアム
リスクオフや、財政破綻が予見されるときの受け皿としてのプレミアム
量子コンピューターの時代にも対応できる頑強性
競合資産は金や貴金属


希少性(死蔵)プレミアム
発行量が決められている
保有量に応じて通貨が貰える仕組み(通貨による金利)


基軸通貨プレミアム
ほかの通貨を買うためやIOCに応じるため

流動性プレミアム
いつでも換金できる
競合資産は伝統的通貨
いずれ登場する官制デジタル通貨

送金プレミアム
簡単に瞬時に送金できる

柔軟性プレミアム
運営主体があり、通貨のプログラムを変更できる
契約をブロックチェーンに載せることができる

発行体プレミアム
信用力の高い企業が参加
配当がもらえる株式のようなコイン

投機プレミアム
値上がりするという人間心理から生まれる
隣の人が儲かったから買う
ドキドキしたくて買う

秘匿性プレミアム
評価は難しいが、確実に需要はある

宝くじプレミアム
小金で一攫千金を狙う


いろいろなプレミアム要因がありますが、リスクとリターンを考え遊んでみましょう。
確実に行きたい人は、買い方や有望コインを教える「にわか講師」になる道があります。
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VIX

VIXインバースETN(2049)出所:カブコム

値動きを見てもらうとわかるように、VIXが10%近辺に低迷していた2017年でも上昇が続いています。4年前に買っていた投資家でも最後はドボンしてしまうという大どんでん返しです。
このVIXインバースは

  • VIXが低下すると儲かる
  • VIXが低下しなくても儲かる

という夢のような特性を持っています。種はのちほど説明します。このふたつの特性の違いをしっかりと理解しておかなければ、正しい投資はできません。

VIXが低ければVIXが下がらなくても儲かる

VIXが下がれば儲かるというのは直感的に分かりやすいのですが、この二つ目の特性が低ボラ状態の中でもコツコツ稼げる秘密です。この二つ目の仕組みがあるがゆえに低ボラでもついつい深追いの誘惑に負けてしまうのです。
これが、こんな歴史的に低いボラティリティでこの商品に資金が集まり、投資家がぎりぎりまでこの商品を持ち続けた理由です。ボラティリティが下がらなくてもコツコツ儲かるという味を占めると、売り場のタイミングを逃し、これまで積み上げてきた数年にわたる利益を一瞬で失うことになるわけです。

日経平均でも同じ様な損益パターンは作れる

期先の2,000-3,000円OTMプットを売り、期近になった頃合いで期先に乗り換えるということを淡々と続ければ、これとそっくりな損益が作れます。20連勝とか30連勝しても、たった1敗で帳尻があうというわけです。ただし、オプションではETFやETNと違い、全額を失っただけではすまないかもしれません。

VIX連動商品はVIXに連動しているわけではない

実はこのETNはVIXに逆連動するのではなく、VIX先物指数に逆連動する仕組みになっています。
VIXを直接売買するためには、期近と期先のOTMコールとOTMプットすべてを一定の比率で保有する必要があります。これはあまりにも大変で、オプションを調整するたびに売買コストや売買スプレッドがかかり商品化は困難です。

幸いなことにVIX先物があります。VIX先物をヘッジする場合も同様にオプションを連続的に売買しなくてはなりません。しかしながら、アメリカではVIX先物自体に大きな流動性があるので、投信会社はVIX先物だけを売買すればいいというわけです。もちろんオプションとVIX先物の裁定をする専門業者もいます。

というわけで、VIX連動商品は、VIX指数そのものではなくVIX先物指数に連動するように作られています。期近と期先のVIX先物を調整するだけでVIX先物指数に連動させることができるわけです。厳密には、VIX先物指数連動商品とよばなくてはいけませんが、一般的にはVIX連動商品とよばれています。(勘違いした説明もよく出回っていますが)

収益を生むVIX先物の期間構造

ボラが低いときは(たとえば20%以下)
VIX期近先物<VIX期先先物
ボラが高いときは(たとえば20%以上)
VIX期近先物>VIX期先先物

という構造があります。期間が長くなるほどVIXなどのボラティリティは一定の水準に収束する性質があるので、期先ほど動きが鈍く、期近は期先に比べて上下により敏感に動きます。SPは20%程度日経は25%程度が分岐の目安です。


ボラが低い時は期間構造から自動的に利益が出る

VIX先物指数に連動させるには、期先VIXを売って期近VIXを買うという調整を繰り返します。高く売った先物を安く買い戻して、期先にロールオーバーすることで継続的にチャリンチャリンと利益が出るのです。

ボラが高い時は期間構造から損が出る

そんないいことばかりではなく、ボラが上昇すると期間構造は逆転します。
この場合は、期間構造が逆に不利(期先の方が安い)に働き、ボラが高止まりすると期間構造からは損が出ます。しかし、長期的にはボラは収束するので、ボラ低下からいずれ利益が出ます。

VIXインバースで儲けるには

ボラが跳ね上がったとこで仕込めば、しばらく期間構造が不利に働きますが、その後の長いボラ下落局面で利益が出ます。
ボラがかなり低い水準になったら、期間構造から利益がでますが、そこは瞬殺のリスクの罠が潜んでいるわけです。商品性を知っていても実際にはこの甘い汁をいちど吸うとそこから抜けるのは大変難しいわけです。

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VIX関連の上場ETFや上場ETNのうちボラ低下に張るファンドが壊滅したようです。
残高が37億ドルから5億ドルへ

そもそも、ETFやETNで、対象商品の売りを証券化したものや、レバレッジを掛けたものは構造に無理があります。

この手の商品は理論的には損失は無限なので、証券がゼロ以下にならないように早期償還の仕組みを作る必要があります。VIX逆連動の商品が早期償還となって損失確定した投資家が続出し話題を呼んでおりますが、そもそもそういう商品なのです。

ゼロ以下になることはまずありえないだろうという経験則が発行側にも購入側にもあったのだと思います。我々は、タレブのいう果ての国にいることをすっかりわすれているようです。

今回はなぜこの商品が人気だったかという細かい仕組みの説明は省きますが、わかりやすい商品でも同じようなことは起こりえます。

おなじみ、日本で人気のレバETFやインバース型ETFやダブルインバース型ETFにも同じように(ゼロになる前の早期償還)の仕組みはあります。

たとえば日経平均が売買出来ずにいきなり5割下げたらレバETFはゼロになります。5割も一気に下がらんだろと思うかも知れませんが、値段がつかずに数日かけて半分になることがないわけではありません。その間基準値も出せず大混乱になるかもしれません。

なんせ1987年ブラックマンデーの時、SIMEX(SGXの前身)で日経平均は5,000円の安値を付けたことがあるのですから。
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