九条清隆 相場観と金融工学

株式・先物・オプション・FX・仮想通貨など、投資・投機を通じていろいろ考えるブログです。

2015年01月

これまでマクロ経済スライド?
わかりにくい言葉でしたが、ついにその実態が具体的な数字となって議論の俎上になる日がやって来ました。
2004年に100年安心として決めた仕組みがついに発動されるわけです。
年金は名目では増えるけど、物価上昇分ほどは増えないので、実質では減るという、仕組みです。

アベノミクスがインフレを起こしたことで、10年の沈黙を破って禁断の扉がついに開いたわけです。
マイルドなインフレを起こすリフレ政策は実は年金財政を軟着陸させる秘密兵器でもあったわけです。

マクロ経済スライド

年金受給年齢開始年齢になると、年金額が査定され、物価上昇率に合わせて査定額が毎年改定されていきます。
この仰々しいネーミングのマクロ経済スライドとは、査定された年金がそのまま、物価上昇に連動するのではなく0.9%値切る(値切る額は変動)というものです。
インフレで年金絶対額は増えますが、多少削っても痛みを感じにくいだろうという、実に巧妙な年金抑制策です。

この巧妙さをさけるためにわざわざ、仰々しい名称を付けているようです。


最近出て来る話

マクロ経済スライドを物価下落時(デフレ)でも行うという話がでています。
物価が上がっても下がっても給付を抑制するわけですから、こうなるとただの「給付抑制策」でマクロ経済スライドなる、わけのわからないネーミングは全く必要なくなるわけです。


結局
給付抑制をしなければ年金制度は成り立たないわけですから、そろそろ正直な議論を始めるしかないようですね。



 


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ドル円とNYダウの動きでほぼ説明出来た日本株(日経平均)が独自の動きをし始めたので、日々の解説も困惑気味?

公的年金(GPIF)が、しこしこ買っているようですが、最近はこの「くじら」が相場が上がっても買っているのではないかと、市場関係者は疑心暗鬼になっています。上がれば売る下がれば買うのリバランスでは、組み入れ比率はなかなか増やせませんから、上げっても買うという局面はこれからますます増えてくるのでしょう。

最近は、「上がるから買う」の外国人短期筋が割とおとなしいので、結果的にくじらさんの影響力が高まっているのでしょう。 
トレンドのないちゃぶつく展開が増えそうですので、ここはおおらかに休むも相場ということでしょうか。 

 

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日銀決定会合
ECB理事会
ギリシャ総選挙

先週3つのイベントをクリアするたびごとにボラティリティは低下。

ドル円もユーロとドルの力関係に挟まれて方向感出にくく、為替と日経平均の超短期的な連動性が薄れつつあり、
ついに昨晩は、NYダウの下落幅に比べ日経平均の下げが限定的。

その結果、日経平均がNYダウをついに引け値ベースで逆転というおまけ。 

昨日のボラ下げをリンク債に絡める解説もあるが、
やはり、いろいろな条件がそろって素直にボラ下落ということだろう。 

予想外の悪材料がひとかたでそろい、為替やNYダウとの連動性が薄れたとなれば、さらなるボラ下落も十分考えられるが。 

 
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ダークプールとは、それぞれの証券会社が抱えている機関投資家からの執行前あるいは計らいで執行中の注文をまとめたものです。システム化しているところもありますし、紙上に集計しているだけのところもあります。

具体的な注文の形、たとえば指値がついていたりVWAPターゲットとなっていたりするものから、単にある銘柄を買いたい売りたいという曖昧なもの(これをIOI Indication of Interest といいます)まで雑多な形になっています。

こいういう執行前のオーダーや IOIをたくさんもっているほど、証券会社は自社内で顧客注文同士を対当させることができ、うまくやれば鞘を抜くことが出来ます。

ダークプールをATS(第三市場)として登録するることも出来ますが、日本の場合はすべて自社内だけの内部市場という形態になってます。

ダークプールの意味は、板の状況が外部から見えないところから来ています。板を見せればライトプール。

もし、各社のダークプールが お互いに回線で結ばれるようになると、フラッシュボーイズの活躍する舞台ができあがるわけです。日本ではまだまだほど遠い現状かもしれません。


 

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HFTにもいろいろあるのですが、そのなかでも市場間の流動性の分断を超高速取引で先回りするのがアメリカ版フラッシュボーイズです。

そのために必要な舞台が、
分断された複数市場の存在と
ダークプールと呼ばれる、それぞれの証券会社が市場執行の前に抱えている現在進行形のオーダーの塊

の2つです。


日本には東証という最大最強のECNが存在します。個別株の流動性の9割以上を東証が独占しています。大阪証券取引所がなくなった現在、地方証取は地方単独銘柄をほそぼそと取引する場でしかありません。

それ以外の市場(ATS)はSBIジャパンネクストと野村系のチャイエックスジャパンが運営するPTSが2つと、それぞれの証券会社がもつダークプールと言われる執行前のオーダーです。ここにそれなりの流動性があれば日本版フラッシュボーイズの活躍の場がでてきますが、個別株においてはまだほど遠い現状です。現在売買高の半数近くをアルゴやHFTが占めていますが、 それは米国版フラッシュボーイズによるものではなく別の種類のHFTです。

アメリカにはレギュレーションNMSというのがあって、分断された市場の中から最適価格で執行する義務がブローカーに課されていますが、日本においての「最良執行」の定義はそこまで厳密ではなく、主市場(この場合東証)で執行しますと宣言すればそれが、最良執行方針と見なされ、たとえPTSで有利な価格があろうと、ブロ-カーはその値段で約定する義務を負いません。
 
かつては、マネックスや株コム、松井が夜間PTSを開設しましたが、管理コストに見合わずいずれも撤退しています。最近では、東証が100銘柄0.1円刻みを導入して、貴重なPTSの先行者利得まで奪っている状況です。


日本版フラッシュボーイズ

そのような状況の中 、SBIが先物取引で昨年打ち出した「JNETクロス取引」にはフラッシュボーイズの活躍の場があります。あくまでも可能性の話です。

JNET

このJNETクロスという形態は、顧客注文がSBIジャパンネクストのダークプールをのぞいた後に大阪で執行するという形態です。瞬間的に注文がSBIジャパンネクストのダークプールに回送されているわけです。

SBIジャパンネクストが運営するPTS(公設市場外取引)で約定されるのではなく、あくまでもダークプールを経由するという点が要注意事項です。つまり、約定はPTSではなくダークプールでマッチングされ、マッチングしたものは市場内立ち会い外取引としてJNETで執行されるという方法がとられています。

このダークプールの反対側に待ち構えているのが話題のフラッシュボーイズです。

ラージとミニの2つにSGXとグローベックスをまたいでフラッシュボーイズが暗躍しているのは、取引していれば直ぐにわかると思います。分断されているラージとミニがあたかも一つの市場のように同時に動いているように見えるのは、フラッシュボーイズの激しい競争のおかげです。フラッシュボーイズにとっては、このJNETクロスは5つめの市場になるわけです。

たとえば

17000円買い17010円売り板の時、SBIに成り行きの買いを入れると、SBIジャパンネクストのダークプールの中でフラッシュボーイズはその注文に対し17010円で売るか、何もしないか、一緒に17010円を他の市場に買いに行くかの選択を瞬時に するわけです。顧客の注文を大阪市場で追い越したらフロントランニングになりますから、買いに行く場合は他市場にいっているハズ?です。

JNETクロス取引については手数料の引き下げサービスを行っているようですが、裏ではフラッシュボーイズが虎視眈々と利益を狙っているというわけです。想像ですが、フラッシュボーイズからの見返りが手数料引き下げの原資であるかもしれません。正しい順番で執行されているかどうかは顧客にはわかりませんから、SBI証券を信じるしかありません。 たぶん、初期の頃のカツヤマのように感覚的な議論になると思いますが。 

 


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追加緩和を期待するから期待外れに終わる

そろそろ緩和期待から卒業すべきだと思うのですが、相変わらずそれで相場を張るひとも多いので、振り回される為替や日経平均は大変です。

会合後の記者会見もそろそろ回数を減らして3ヶ月に1回ぐらいにすればと思うところであります。
それにしても、苦しい会見でした。
総裁は、いつの間にか原油をのぞく物価上昇率に目標をすりかえていますが、2%の目標を降ろすわけにはいかないのでそれも致し方がないところです。


毎回毎回2%という数字について追求するマスコミもどうかと思います。2%はたとえ無理だとしても、今ここで旗を降ろすわけにはいかないという苦しい事情をあうんの呼吸で理解してあげるべきだと思います。
それには会見の数を減らすのが一番早い。

総裁は一生懸命時間を稼いでくれていますが、なかなか経済が離陸しないのが悩ましいところであります。
世界的にも米国しか牽引役がいないわけですから、非常に厳しい環境はまだまだ続きます。




 


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フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち


展開する舞台が日本とは違うので、結構消化不良になってしまうかたも多いのではないかと思います。
あっさり読めば、アメリカでは流動性が分散されていてそれを利用したイカサマ取引が合法的に行われている程度にしか読めませんが、細部にこだわると相当な知識が要求されます。

フラッシュボーイズに描かれているように、全貌を知る人間は米国ですら限られているのですが、日本市場においてはこうした広義のプログラム売買についての全貌を知る人間はそれ以上に少なく、またそうした人たちが公に発信することもほとんどないのではないかと思います。

以下のキーワードを聞いたことがあるか、だいたいの意味がわかっていないと、フラッシュボーイズの舞台裏を理解するのは大変難しいと思います。


米国市場特有のキーワード
テイカー
メイカー
ペイメントフォアオーダーフロー
ATSとしてのダークプール
レギュレーションNMS
SIP

電子取引特有のキーワード
DMA
DSA
セールストレーダー
アルゴリズム(ルールベイストトレーディング)
マッチングエンジン
IOI
コロケーション
インプリメンテーション・ショートフォール
レイタンシー
ATS
PTS
ECN


相場が大きく動くと、アルゴ、HFT、ヘッジファンドという単語だけが飛び交って振り回されがちですが、上記のキーワードを少しでも理解すると、相場の見え方も少しは変わってくるかも知れません。

米国とは仕組みが違う日本において
アルゴやHFTが何をしているのか
については関心が高い方も多いと思いますので、これらのキーワードを取り上げながらシリーズで解説してみたいと思います。






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フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

HFT(高速高頻度取引)を使ったイカサマを暴くマイケルルイスの著。

この本が提示する問題について、何回かに分けてかいて見たいと思います。

現在、さまざまな高速のプログラムが存在し、 わずかな鞘を求めてひしめき合うという現実があります。

合法的には
同じ情報に基づいて、
短時間で判断し
市場に一番乗りをする
ということですが、実際にはかなりきわどい事が起こっています。
判断対象にする情報が一般的なニュースではなく「約定情報」であるところがイカサマ(フロントランニング)との紙一重を生んでいます。

流動性が分散している米国と日本では、事情や手口はもちろん異なります。


(1)約定情報を速く受け取る

取引所の提供するコロケーションというサービスで取引所にサーバーが置けます。
あるいは、取引所に近接するビルにサーバを設置します。
これにより、物理的に約定データを最短で受け取る競争をします。

(2)次に何が起こるかを予測する

ここが最大の味噌です。
アメリカでは公設取引所のほか私設取引所(ATSやダークプール)に注文が分散されています。ブローカーには最良執行義務が課されていますから、最良値段を求めてオーダーは順番に複数の市場に回送されていきます。
回送されるオーダーの動きを予測して先回りをするのが、米国における常勝高速取引の秘密です。
基本は同じ銘柄の勝負ですから、予測の精度と先回りの順番が勝負です。

(3)ほかの市場に一番乗りをする
もっとも早い回線・ルートを確保します。

同じことを日本で行うには、
ある約定のパターンを分析し、裏に大口のオーダーがあるかどうかを判定するプログラムの精度がポイントです。特に時間分散して執行する注文(VWAPターゲットなど)は判定が容易です。流動性の少ない銘柄も判定が容易です。
ただ、市場間を回送するというキモの部分がありませんから、高速性よりも読みの精度の勝負になり、勝率はかなり低くなります。たくさんあるアルゴリズム取引の中の一部として存在すると考えたほうがいいかもしれません。


つづく
 
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