九条清隆 相場観と金融工学

株式・先物・オプション・FX・仮想通貨など、投資・投機を通じていろいろ考えるブログです。

2016年08月

日銀が買ったETFをどうするのかについていろいろ説はありますが、やがて取り崩しが始まる公的年金を受け皿にするというのは、さすがに無理だろうと思います。むしろ方向としてはGPIFの株式を日銀に買い取りさせる方向ではないかと......。

公的年金については、目先儲かった損したばかりの議論ばかり目立ちますが、

「100年で帳尻が合う」
理屈が成り立つ間は、株で勝負するスタンスを変える理由は見当たりません。

100年後には制度担当者も運用担当者も受給者も生存していないというのが、今の100年設計制度のややこしいところです。
帳尻があわなくなっても、新たな理屈が登場するでしょうから、議論をかませるのも大変難しく、野党も単年度の損失をなじるしか方法がないのでしょう。
我々も、せいぜい現状を認識するのが精一杯です。

2015年度の運用状況
2015年度の財政収支状況

年度運用状況報告は、かなりわかりやすくないましたが、財政収支状況は相変わらず読みにくいです。
難しいことはさておいて、とりあえず押さえておくべき現状は

現在の積立金 約140兆円(時価ベース)程度。日本株は約30兆円
内訳

やがて本格的な取り崩し(肌色の部分)が始まり100年後に積立金はなくなる。

財源

このシナリオ通りに運用と支給が展開し
100年の間に世代間人口比率が修正され、
年金受給開始年齢が大幅に引き上げられば、
積立金は枯渇しても問題は生じないはずではありますが......。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

市場をロボットトレーダーが支配するらしい。
私はそうはならないと思っている派なので、結構期待しながら読みました。




AIとアルゴリズムの違いは、AIは自己学習したり柔軟に判断することだと思います。一定のルールに基づいて行動するのがアルゴリズムで、ルール通りにいかない曖昧な部分に判断を加えることができるのがAIということでしょう。市場に近くなればなるほど、AIは連続的に判断を行なう必要があります。果たして市場取引をどこまでAIで自動運転できるかというのがテーマの一つです。

金融市場がAIに支配されてしまうのか、それとも人間トレーダーがAIを活用することでより強くなるのか?この二つのあいだでは、だいぶ想像できるイメージが異なります。
前者だと人間トレーダーは消滅する運命にあります。残念ながら、本書の立場はあいまいで、警鐘を鳴らすだけで終わっています。


金融市場におけるAIの役割
  • 長期的に儲かる銘柄の選択
  • ポートフォリオ構築・リバランス
  • すでに売り買いすることを決めたものを出来るだけ有利に市場執行
  • 売り買いするかどうかのタイミング判断も含めた短期的市場取引
上に行くほど資産運用、下にいくほど、市場取引、高速取引ということになります。

金融市場ではすでにアルゴリズムは広範に使われています。果たしてAIの進展でどこまで人間不用に出来るのか?
現在、市場執行の大半がアルゴリズムに取って代わられていますが、これが普及する過程でも、人間トレーダーの抵抗が長く続きました。とりあえず、人間トレーダーがアルゴリズムを使いこなすことで第1ラウンドは決着しています。

資産運用の世界

AI以前の問題として、異常なペースでインデックス化が進んでいます。ETFが市場を支配する勢いです。日銀もこの動きに拍車を掛けます。運用会社の仕事が着々とETFに奪われているわけです。また、AIを搭載したロボットアドバイザーが最適なETFを選択するという仕組みも急速に広がっています。でも、こうした動きは、今のところAIの精度というよりはコスト削減の要素が一番大きいのだと思います。


銘柄選択

人間より遙かにたくさんのデータを読み、時系列にどのようにでも相対比較できるロボットがファンドマネージャーに比べ有利な立場にいることは間違いありません。でも、それだけで勝てるかどうかについてはまだまだ疑問です。この点についても、本書では指針は示されていません。

  • 人間だけで銘柄を選択
  • ロボットだけで銘柄を選択
  • ロボットが自動学習で選んだ銘柄を最後に人間が判断
  • 選び方のポイントを人間が教えたロボットを使って選んだ銘柄を最後は人間が選択
果たしてどれが優勢になるのか?
ロボットはかなり浸食するでしょうが、人間ファンドマネージャもやはり生残るでしょう。結局市場執行と同じように、共存していくのではないでしょうか。


市場取引

イベントや指標に反応して高速で動けば儲かる局面は確かにあります。
ただ、勇み足もあるので確実かどうかは何ともいえません。分のいい局面に特化してやり続ければ儲かるでしょう。分のいい局面を選別するのにAI活用の余地はあると思います。でも、こういう局面を狙う動きは市場のほんの一断面にすぎません。

通常の相場で、マイクロ秒後から数分後の動きを予測する技術の開発は進むでしょう。しかし、その技術が開発できたとして、ロボットが能動的に動いてスプレッドを払った上で儲かる方法が見つかるとは思えません。結局、今、HFTがやっているように、市場間の先回りか、逆張りによる裁定取引しか収益を上げる方法はないというのが現在の私の持論です。

また、市場のアルゴリズム取引の大半を占める売り買いすることを決めた注文の分割執行をより緻密化する開発はさらに進むでしょう。


まとめ

残念ながら本書では、私のこれまでの考えを変えることはできませんでした。とくに、市場取引に関して、ロボットやアルゴリズムがどういうロジックでどういう取引をしているかについてはほとんど記述がなく、表面的に手に入る情報を集めてまとめただけの内容でした。クオンツファンドの残高が大きいとか、儲かっているとか、優秀な科学者が集結しているというだけでは、AIが市場を支配するという説得力はありません。

将棋や囲碁の世界もそうでしょうけど、天才棋士がロボットを使えば新たな局面になるはずです。そうすると、別のゲームとして区別する必要があるかもしれまん。たとえば、人間部門、AI部門、無差別部門。
市場取引は別のゲームとして区別できませんので、これらが入り乱れることになります。結局、人間とロボットの融合こそが必勝パターンの要だと思います。こういう主張であれば納得できるのですが。


お勧め度 NA (何を知りたいかによる)

市場取引きやトレーディングとAIについて期待する人にはもの足らないでしょう。
AIが金融全般にどういう影響を与えるかについて広く知りたい人にはお勧めです。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

ようやく発動。
発動基準が変わったかどうかは不明。
ただ、発動してもインパクトがない理由は

証券会社が、発動がない日に現物株を少しづつ買い集め
事前に運用会社に持ち込み
裸でETFを在庫していた。
と考えるとしっくりきます。

なぜ裸で買うかというと、ETFが間に合わないからでしょう。証券会社にはリスクがありますが、いろいろある中では正々堂々とした対応方法です。


これまでのように

発動→証券会社による先物買戻し
といかない日があるので、

日銀砲が発動しているのに下落
日銀砲が発動してないけど上昇


という展開を交えながら、市場は徐々に均されて(慣らされて)いくのでしょう。



 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

昨日も日銀出動はありませんでした。
日銀ETFだけが相場ではありませんが、一応何が起っているかは知っておいて損はないはずです。
いろいろあった問い合わせからまとめました。

Q 日銀はなぜ場で買わないのですか?
A たとえば最大の対象銘柄1321 (25%のウエート)の場合、1日の売買代金は20億円から50億円程度です。すべての購入対象ETF合わせた売買代金は100億円程度です。700億円買うためには、証券会社から立ち会い外で直接購入するしかありません。


Q なぜ前引けを基準にしているのですか?
A 機関投資家のバスケット注文を前引け基準で決めていた慣行を踏襲していると思われます。

Q どういうルールで買い付けを決めているのですか?
A 行政マニュアル(業務手順書)のようなものに 文書化され、あとから説明出来るようになっていると思われます。誰かが相場観で決めているわけではないはずです。ルールは一切開示されていません。

Q 立ち会い外クロスとは何ですか?
A 機関投資家や証券会社が場を通さずにお互いで値段を決め、あとから取引所に報告する方法です。執行が場で行なわれないだけで、その後の決済は、通常通り行なわれます。日銀のETF買いは立ち会い外クロスを使って証券会社と買い付け代理人である信託銀行の間で行なわれます。同じような物にOTC(市場外取引)という方法があります。

 Q 値段はどうやってきまるのでしょうか?
A 後場の相場実勢(指数や先物)のVWAPを基準に決めていると思われます。

Q 日銀の買いを受けた証券会社はどうしているのでしょうか?
A ETFの在庫を持ち先物のヘッジを 当てている状態であれば、対応はとても簡単です。先物を後場買戻し、在庫のETFを受け渡しするだけです。証券会社はいかにうまく先物を買い戻すかで損益が決まります。


Q 証券会社は在庫をどうやって手当てするのでしょうか?
A 裁定残高が潤沢にあれば、適宜その現物バスケットを運用会社に持ち込んでETFに作り替えてもらいます。持ち込んで1日でETFと交換できます。

Q 証券会社の在庫がない場合はどうするのでしょうか?
A1 いろいろ方法はあります。最も簡単な方法は、大口保有者から借り株してそれを渡します。そのままだとショートになりますから、先物を買って、先物買いETF売りのポジションにして、後から反対売買して行きます。
A2 EFPという方法で、裁定残を持っている業者から現物を当日決済で受け取り、運用会社に持ち込み急遽組成する方法があります。ただ、この方法は裁定残を持つ相手方が必要で、今のように裁定残自体が枯渇している状態では、相当高いコストがかかります。緊急避難的には使えますが、常用はできません。
A3 未済(T+3で受け渡しできないこと)覚悟で現物バスケットを買って運用会社に持ち込むというあぶない方法もあります。
 
Q 日銀購入日とETF残高増加がずれるのはなぜですか?
A 日銀購入と、ETF組成のタイミングは関係ありません。これまでは、前倒しにETF組成が行なわれたいたのが、次第に同時平行、場合によっては後追いで組成されていると思います。


いずれにせよ、正規のやり方ではかなりタイトな状態であることだけはまちがいありません。
ただ、元になる個別の株券はまだ潤沢に存在しているわけですから、裏技やグレーな方法を使えば、いろいろ方法はあることは間違いありません。
また、それを何事もないかのようにうまくやりくりするのが証券会社の後方部隊の腕の見せ所でもあります。

「中のひと」が証言しない限り、なぜ発動がないのかの真相は永遠に薮の中でしょう。
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

zan
日銀ETF買い入れは算高比例で行なわれると仮定して計算。
買い入れ対象ETFの2割を占める1306(TOPIX型)2.5割を占める1321(日経型)の発行済み株数の推移。


すべてのETFを調べる必要がありますが、代表的2銘柄だけを調べてみました。
日銀買い入れ日と、残高増加日が違う理由は過去の記事を参照ください。

TOPIX型が昨日まとまって設定され、
この2枚柄に関しては、4回の買い入れ額にようやく算高増加が追いつきました。
受け渡し未済の限界が2週間であると考えると、とりあえずこの2銘柄に関して、もし残高不足の問題があったならばその問題は少なくとも今は解消されたはずです。

日経型は毎日しこしこ持ち込み設定が行なわれているようです。




 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

日銀の総括を巡り、いろいろな意見がありますが、その中で異色の意見が

著者はオペレーションリサーチの専門家で経済学では異端の学者です。

経済の状態を「正の経済」と「反の経済」にわけ、デフレ・インフレの概念に代わる経済状態の分け方を提唱しています。
既存の経済学者・リフレ派・反リフレ派からすると「とんでも経済学」に分類されそうですが、氏の主張は現状をかなり説明出来き、私にはかなり参考になりました。

なかなか議論がかみあわない既存のアベノミクス論議に食傷気味の方にお勧めします。
いかついタイトルの割にわりと読みやすいです。

異次元緩和がなければ、長い停滞が続いたはずだが、黒田日銀によって日本経済は復活の手がかりを得た。
ただし、それは日銀が全く予想しないルートによって...。

お勧め度 ★★★★ 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

なかなか本当のことはわからない。
担当者も聞かれれば否定するしかないだろう。

ETF枯渇で札割れか、日銀買い巡り思惑交錯 

テクニカルな問題はTOPIX型に関してはそのうち解消されるだろう。

ただ、このままの比率で日経型を買い続けるのはさすがに問題は多い。

このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

あいかわらず日銀プレーに振り回される変な市場です。
昨日は、日銀買いにもかかわらず、売りを吸収できずに下げる展開だと思いましたが、結局日銀買いははいらず。
その割には下落が少なかった気がします。

考えられることは2つ
  • 発動基準を変更した
  • テクニカルな問題が生じた 
発動基準を変更した可能性は十分ありますが、買い付け量を考えると発動しにくい方に変更することはないと思います。条件を少し複雑にした可能性はありますが、あまり複雑な条件を設定すると恣意性を疑われ、あとから責任問題になる可能性が出て来るので、発動条件はなるべくシンプルで客観的なものを採用するはずです。

そうすると、なんらかのテクニカルな問題が生じたか生じているとしか考えられません。

ズバリ、ETFの組成が間に合わない

十分考えられます。 
ただでさえ、証券会社の在庫がない中で、2回発動した分の受け渡しがまだ終わってないのでは? 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

急遽リオ特番。
テレビ東京は昔から卓球に力を入れていたので、この選択は予想の範囲内ではあります。
イケメントリオと呼ぶにはあと一息???で惜しいけれど、それを埋めるに十分な水谷選手の活躍。

注目です。
 
追記7:05 卓球はNHKでした。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

久しぶりに教祖様の登場。

今回のお告げは、
8月SQ16926.6円が上値のメドになるそうです。 

キャプチャ
キャプチャ


見逃した方はご参考に。
 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

これまでは、日銀決定会合前に日銀の政策変更を材料に、発表後のマネーフローの変化を見越した「日銀プレー」が行なわれてきました。

政策変更によるマネーフローの変化は大きな物になる可能性も高く、HFをリード役にしてかなり大きなトレンドが出ていました。政策変更がなかったり期待に届かなければ、反動は大きなものになりました。


新たな「日銀プレー」は、従来型より直接的でルールも単純で、政策や政策のインパクトを読むという面倒なことをしなくてもよくなりました。日銀がインデックスを機械的に買うので、市場参加者は日銀が買わない微妙なゾーンで買っていかに高く日銀に売りつけるかというより直接的なものになります。


ボラの状態がそれを表しています。

従来の日銀プレーは、コール主導でボラが上昇し、まずスキューが低下。相場が上昇すると反動安を警戒してプットも上昇するという形で、ボラが上昇しました。

新しい日銀プレーでは
下落時に日銀が買うのでプットを引きつけて売る戦略が有効になり、プットのボラが下落してスキューが低下。上昇時には日銀の買いが出ないので、買いが加速することもないのでコールのボラも上昇せず。コールもプットも下落しボラが急低下という状態になっています。

今回の日銀プレーは、海外イベントに極端に弱い構造になっていますから、いつもは買い上がりで勝負するHFも、ばば抜きの要素が強すぎるとして二の足を踏んでいるのかも知れません。日銀が決めた量を買うだけですから、突発的な下落ではみんなが買ったババを日銀に渡せずに 沈没してしまうかも知れないからです。あるいは彼らの「矜持」がそういうトレードを許さないのか。

やがて市場は、日銀に渡すために現物バスケットをしこしこと集めてETFに交換し日銀の指名を待つ証券会社と、日銀プレーを楽しむ小口投機家に占拠されてしまうのでしょうか。

 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

ETF

日経CNBCで説明していましたが、微妙にちょい違います。
何が違うかというと日銀ETFの買いでは現物株の売買はどこにも登場しません。

上図の方法でもETFの組成はできますが、組成するのに1日かかり残念ながら受け渡しサイクルに1日間に合いません。また、この方法では信託銀行にある日銀口座(多分特金口座)に現物株が1日居座ってしまいます。

この方法では回らない上、日銀としても現物株を一時的とはいえ保有したくないので、証券会社は事前に在庫しているETFか、ない場合はETFを借り株して、信託銀行との間で立ち会い外クロスを使ってETFを直接渡しているのです。つまり、日銀は信託銀行にある勘定を使って証券会社から直接ETFを購入しているのです。

証券会社が裸でETFを在庫していればそれを引け後立ち会い外でクロスして終わり。
この場合はインパクトありません。→今後このケースが出て来ると思われます。

証券会社は通常先物のヘッジを当てているので、この先物を買い戻すことで市場にインパクトが出るわけです。 

先物の板上のどこかに証券会社の買いが入るのですが、担当者のくせによって買い方は違います。うまく買えば、証券会社は売買益を期待できますが、受渡値段がVWAPに基づいているので、 細かくスライスした買いをロボットに任せ、勝負所だけ担当者が買っていると思われます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

ここのところ続いて日銀ETFについての書き込みが続いていますが、ついでにもうひとつ。

市場を歪めるという批判はたくさんありますが、別に市場を歪める大胆な投資家がいてもいいと思うのです。たとえそれが日銀であったとしても。
私が問題だと思うのは、日銀が「儲けを目的としていない単純ロボット」であることににつきます。

儲けを目的としない投資家が決められたルールで株を買い続けることが株式市場にとっての大きな弊害だと思っています。これによって、機械的な日銀買いに便乗してにいかに高く引き取らせるかのゲームが行なわれるだけです。冷静な長期投資家はそのようなばかばかしいゲームからは遠ざかろうとするでしょう。

投資家心理に働きかけ、株価を押し上げ、景況感を押し上げ、デフレマインドを払拭する金融緩和だという中途半端な理屈はこの際捨てて、株価てこ入れを前面に出し
せめて、儲けも考えながら買い方も工夫して欲しいのです。最終的に6兆円買うにしても、時には売ることがあってもいいでしょうし、株価上昇が続けば別に6兆円買い付ける必要もありません。そうすれば市場のダイナミズムを少しは失わないで済むはずです。それでも、しょせん官制相場であるということは仕方がありませんが、機械的にやるよりは少しはましなはずです。そうすると運用責任者が必要になりますから、簡単な話ではないでしょうけど。

しかしながら、今の方法のままだと

長期投資家は、海外金融市場との相対比較で日本株を見ていますから、米国株がさらに上昇すれば、日本株は上昇するでしょうし、そのときは日銀ETFは上げを一時的に加速させる効果を生むかもしれません。
世界的にリスクオフの動きになれば、ほとんど効果もないでしょうが、下げを食い止める効果は少しはあるでしょう。

プラスの効果は多少ありますが、それによって失われるダイナミズムのマイナスのほうが遙かに大きいはずです。

表だって今のやり方に反対できない株式業界は苦しい立場だと思います。投機家を抱えない大手証券ほど厳しい展開になるのではないでしょうか。世界的な株価上昇が続いてくれることを祈るしかありませんが、その場合でも、いつかくる下げ過程で日銀は高いところでたんまり在庫を膨らませることになりそうです。


このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

ついに日銀6兆円丸は船出しました。
果たして帰る港は一体どこなんでしょうか?本当にでちゃったのというのが正直な感想です。

今日の所は発動基準が少し緩んだことと、金額が倍増したことだけは確認出来ましたが、発動基準についてはもう少し複雑な基準に変更されているような気がします。なんせ6兆円をつつがなく買い付けなくてはなりませんから。

とにかく、ルールを決めて「事務作業」に落とし込むことは絶対条件ですから、それなりのルールは用意出来たのだと思います。

何回か発動されれば、発動基準はいずれはっきりするでしょう。

発動基準がわかれば、発動予測自体に意味はなくなります。 
誰もが今日は来そうだとわかるわけですから。

すぐにゲームは発動を予測するだけの単純型から
予測を前提に市場参加者がどう動くかに移るでしょう。相場解説も、日銀がどう動くかではなく、それを予測して投資家がどう動くかが最大のネタになるでしょう。

日々の動きは誰でも参加出来るカジノの世界となるでしょう。
やがて、勝負は日銀砲が効かない世界的リスクオフ時に、どこまでリスクを覚悟して仕込むかに変わってくるでしょう。


このような動きに長期投資家は、日銀なきあとの世界を信じて超長期戦で動くしかなくなるでしょう。

まあ、世界で一つぐらいこのような異質な市場があってもいいかもしれませんが、

アナリストやファンドマネージャーは今後いったいどういう仕事をすることになるのでしょうか? 
私的にはたいへん興味ある部分です。 全員マザーズ?
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

GPIFが株式の組み入れ比率を上げて官制クジラと揶揄されました。
しかし、あくまでも運用が目的。
うまい下手と批判の対象になります。

ただでさえ官制クジラの存在感が大きいところに、日銀ETFが限度を超えて巨大化してしまいました。
しかも、目的は運用でもなく、買い支えでもなく、金融緩和という名目で。

決めたルールに則ってただ機械的に買うだけ 

相場観を入れたり恣意的に買うと「責任」問題になりますから、あくまでもルール通りに実行して責任者が直接的には存在しないような仕組みでなければならないわけです。運用ではありませんから、関係者が事務を淡々とこなすだけで回る仕組み。(指名を受ける証券会社だけはばたばた大変ですが

これは 融通の利かないアルゴリズムにほかなりません。
史上最大粗悪のアルゴの誕生です。
これに比べればHFTの細かい鞘取りなんて誤差の範囲です。


まともな外国人投資家はそれだけでも、日本株を避けるでしょうね。
割高な物を買ってさらに割高になることを期待しないと成功できないわけですから。
(まあ、それが株式投資の本質の一部ではあるんですが、それはあくまでも短期的な話です)

結局

この融通の利かないアルゴリズムの動きをどう逆手に取るかというヘッジファンドと 
日銀プレイを楽しむ投機家以外、

ばかばかしいと考える人が増えるのではないでしょうか。
ますます、すさんでいく株式市場。
市場には儲けを狙ういろいろな投資家が参集してこそ活力が出るにもかかわらず。

こんな市場にしておいていいか、本当に疑問です。
来年も6兆円ペースで買うのでしょうか?
株式業界全体で考えるべき市場の根幹に関わる大きな問題だと思います。
2,000円持ち上げる力があるなんてレポート出して喜んでいる場合ではないのでは。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

すでに日銀は買い入れ対象となるETFの7割を保有していますから、市場で買い付けるにしても限界があります。
誰かが日銀様お買い上げ用にETFを組成する必要があります。

昨年までのように先物が割高な状態なら、証券会社は毎日少しずつ

TOPIXの現物買い TOPIXの先物売り
日経225の現物買い 日経225の先物売り

で裁定残を積み上げて、それを運用会社に持ち込んでETFの買い先物のヘッジ売りに交換して、日銀からの指名に対応すればよかったわけです。

ところが、先物の買い手が激減している現在、なかなか裁定残は組めません。
ということで裁定残をETFと交換する形で在庫を用意することができなくなりました。

したがって、日銀の買いに対応する証券会社はETFをやりくりするのにてんてこまいです。

 ここに買い入れ額倍増が出てきたわけですから、現場は悲鳴を上げていますが、箝口令がしかれているのかその悲鳴は表面化していません。

なんとか6兆円の買い入れを可能にするにはいくつか方法があります。いずれにせよ、現物株のパッケージを誰かがまとめてETFに作り替えなければなりません。


(1) 日銀が直接先物を買う 実現度 NA

(2) 日銀が市場からETFを買う 実現度 10%
 そもそも買い入れ対象ETFは約4兆円しか存在しないし、流動性も不足。

(3) 証券会社が相場が下げた日に日銀買い入れとは別に現物バスケットを買いETFを組成して裸で持つ。日銀に指名されるまでは抱えておいてリスクを取る。

実現度 10-50%

(4) GPIFの保有株を拠出させ、ETFと交換する。 証券会社は当面GPIFから借り株してしのぐ

実現度 0-50%

(5) 同様に機関投資家の保有株を拠出させ、ETFと交換する。 証券会社は当面機関投資家から借り株してしのぐ

実現度 20-80%

(6) レバETFを買い入れ対象に加える NA



 まとめ

日銀が金融緩和と称してETFを買う功罪はさておいて、それ以前に技術的な問題が大きく立ちはだかります。

ETFの貸借料がそれなりに上昇すれば(5)のシナリオが最も現実的でしょう。というまでもなく、すでにこういうオペレーションを余儀なくされている証券会社はいるはずです。
日銀の指名を受けた証券会社は後場先物を買い借りてきたETFを日銀に引き渡す。証券会社には先物買いETF売りのポジションが積み上がっていく。借り株料がかかるため、何兆円に耐えられるハズはなくすぐに限界が来そう。

(3) は証券会社が腹を決めれば実行できますが、これは経営者の判断次第。うまくやれば儲かる?銀行系証券ならやるとこころはありそうな気がします。
 
日銀が直接先物やレバETFを買えば、簡単ではありますが、これはさすがにNAとしました。

いずれにせよETFの問題点を事前に伝えなかった証券会社の自業自得ですね。証券会社に何とかしてもらうしかありません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

買い入れ対象ETF残高の半分を占める大手運用会社ETFの発行済み株数の推移。
日銀買い入れペースにしたがってきれいに同じペースで増加しています。
昨日現在 金額ベースでは TOPIX型2兆8,000億円 日経225型3兆2,000億円です。
ETF

ETF6兆円の買い入れを机上で決めたのはいいのですが、いろいろ実務的な問題があります。

(1)証券会社の在庫と買い入れ方法の問題

これは一度説明(日銀ETFに立ちはだかる関門)していますので、簡単に復習すると、VWAPで立ち会い外取引に対応できる在庫が枯渇しているという問題です。これは、買い入れ方法を変更すれば表面的には克服できる問題です。
たとえば、市場で直接買うとか。

(2)流動性の問題

ところが、レバETFと違い、日銀の買い入れ対象のETFは約13兆円の7割は日銀がすでにお買い上げです。
ざっくり
買い入れ対象ETF 13兆円
うち国内大手運用会社発行分6兆円
日銀保有 9兆円


買い入れ対象ETF1日総売買代金 200-300億円

このような状態で市場から数百億も買えるのか?

 (3)日経型には限界

TOPIXは加重平均ですから年間6兆円買おうがそれ自体は全く問題ないでしょうが、日経225は等株(旧額面換算)一律に買う必要があります。この辺の細かい分析はそのうち出て来るでしょうから、そちらにおまかせしますが、日経型を半分の3兆円ペースで買うことは無理・無謀でしょう。 必然的にTOPIXのウエートを上げざるをえないでしょう。しかし、TOPIX型の流動性は数十億円です。


上げ賛成はいいのですが、この始末一体株式業界はどうするつもりかな。 
このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

↑このページのトップヘ