SQ相場が不安定になってくると、SQが急に気になります。

普段は相場解説の季節ネタのようなものでもあります。

裁定残高がどうだこうだとか、SQが終わるまでは調整局面だとか、よくいいます。
個別株コテコテの評論家に多いのですが、微妙にポイントがずれていることが多いのです。
せめて原理原則は踏まえてほしいものです。

ずれているポイントは

  • 裁定取引および裁定残高は結果であって、原因を見ずに結果だけを語るのは片手落ちだということ
  • もし、裁定取引による残高が積み上がる原因に問題や変調があればそれを警戒する必要はあるということ

それは

デフレが様々な要因の結果であるのに、その原因を直そうとしないで、結果であるデフレから直そうとする発想にどこか通じるものがあるかもしれません。

まずSQや裁定取引の誤解を上げてみましょう。 

  • 裁定残が多いと解消売りが出る
  • 金利が上がると解消売りが出る
  • SQ値が幻に終わると、そこが当面の高値、安値になる

全部勘違いです。 



まず、裁定残を信用残と同列に考える傾向があるようです。
両方の残高を足して仮需とみなす大胆不敵な分析もあります。

信用の期日が接近すると整理売りが進むという因果関係は確かにあるでしょう。
期日を迎える信用残は、評価損となって決済できないポジションが大半で、それらが期日を限界として反対売買をするというのはあると思います。

しかし、裁定残の原因を作り出している先物の買い方はSQを期日にして反対売買するとか、SQで差金決済するということは全く考えていません。一部の個人投資家の中には、信用取引でとる行動と同じように、評価損を抱え市場で反対売買する気力と判断力を失い、SQの自動清算に身を任せるということはあるかもしれません。
しかし、それは建玉全体からすれば無視できるほど小さいのです。

いつでも反対売買ができ、いつでも低コストで次限月に乗り換えられる先物を大量にSQの自動清算にゆだねる投資家は普通ほとんどいません。

SQ最終日まで残った建玉はほぼすべてが現物へ乗り換えられると考えても間違いありません。

ただ、2つだけ例外があります。

SQにおける現物の売買は通常均衡するのですが、均衡するからと油断して建玉を自動清算させようとする投資家がたくさんいた場合→SQは動かないものだと油断した時(忘れたころ)に限ってたまにおこります

オプションの売りは時間価値が大きく取れるのが最後の最後の瞬間なので、オプションの売りポジションを引っ張る、あるいはインザマネーになってしまって決済できない投資家(おもに個人投資家)が大勢いた場合

この二つが組み合わさると、SQの需給は均衡しない場合がありえます。

SQの話をするのであれば、ここの分析をしないと全く意味をなしません。
裁定残の大小だけでもっともらしい解説をするのはいい加減にやめてていただきたいものだと思います。