脆くないとはいったいどういう意味だろう?

脆いというのは、一見頑強で安定している用に見えるモノが、たった1粒の砂を動かすだけでものの見事にに崩れ去ってしまうような状態のことをさすようだ。
複雑高度化専門化された現代社会では、ショックに対してどんどん脆弱になってく。リーマンショックのような大イベントでなくても、いたるところに脆さはあふれている。
潜在的な副作用が目に見えないのをいいことに、目先の安定だけを求めると、取り返しのつかない大きな間違いを起こすことになる。

では脆いの反対は、頑強、堅牢でいいのだろうか?

ブラックスワンでおなじみのタレブは、脆いの反対に「反脆い」という聞き慣れない言葉を使って、最近の世相を斬りまくる。


英語の題名は「anti-fragile 」だが、日本語では反脆いとはいわない。
そこで、無難に反脆弱性という訳となった。

反脆いだけではなく、本書ではタレブのスパイスの利いた絶妙な造語がどんどん飛び出してくる。
前作に違わず、リラックスして読むと、頭の中を言葉だけが通り抜ける。体調万全にして、メモを取りながら読み進めないと、あっといまにタレブを見失ってしまう。

反脆いとは、オプショントレーダーならガンマプラスのことだといえば、ぴんとくるだろう。
タレブは、ガンマの概念を、金融商品としてのオプションに留まらず、世の中に存在するあらゆる選択権としてのオプションに言及している。
自然界はもともと、反脆く、小さな過ちを繰り返しながら、全体は生きながらえ進化を続けてきた。
しかし、最近はこの自然の摂理に逆らう、学者や政治家や経営者があふれているという。

たった、1回のテールイベントで壊滅的な打撃を受ける現代においては、小さな利益をせこせこ積み重ねることには何の意味もないと警告する。さらに、その小さな利益の反対で起る巨額の損失を他人に後始末させる仕組みは許せないアホな行為だと終始吠えまくる。

たいへん面白い本だが
読み終えると、かなり心身疲弊する。

オプショントレーダーは必読。
もちろん、トレーダー以外のすべての地球人必読。

反脆くあろう。