2006年01月18日

失神(てんかん以外にも原因はいろいろあるのねん)

 前回のブログのテーマが「てんかん」でしたが、先日似たような症状で来院されたわんこがいました。
 
 そのわんこの場合は、意識が完全にとんでいるようではなく、へなへなと「腰砕け」のようなかんじで倒れ込み若干意識が薄れていくような感じであると飼い主さんから話を聞きました。しかも、その発作は動こうとしたとき、あるいは興奮したときに出た…とのことです。

 この内容だけでは、てんかんも十分に考えられるのですが、いろいろ探っていると問題点が明らかになってきます。
 このわんこ、心臓に明らかな「雑音」があるのです。そして、よーく聴診を続けてみると、心臓の拍動が1拍消えているときがあるのです。心電図で確認してみたところ不整脈もありました。レントゲンで胸の写真を撮ってみたところ、心臓肥大(通常、心臓になんらか問題がある場合見られます)や肺水腫(肺に水が溜まっている状態)などがあります。安静にしていてもどうも呼吸の早さが落ち着いてこないなどから考えて、このわんこの失神の原因は心臓の病気からくる「循環不全」だと考えられました。
 心臓からうまいこと血液が送れないことによって、一時的に脳への血液供給が足りなくなってしまい、酸欠状態となることで失神をおこすとされています。特に急に心拍数が変わったり、運動等によって血圧が変化したとき等にみられます。
 しかも循環不全による失神が生じるときは、往々にして心臓の状態もよくないことが多いです。当然のことながら適切な治療が必要なケースです。

 心臓の悪いのはおおかた確認できましたが、ほかにも問題がいくつかあり、その他の問題からくる失神の可能性を除外した上で治療をはじめます。原因となっている病気がひとつであるとは限りませんので、この辺は十分注意を払いながら確認をしていきます。

 医療というのは奥が深いです。同じ症状をだしていても原因が全くことなることもあります。これをいかに正確に、また迅速に診断できるかがすごく大事であり難しいように思います。


km_vet at 14:13│Comments(0) ひとりごと 

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